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47話 あらあら、護るための力ですって

 みんな、怖がっていたのよね。

 確かにあの視線を浴びれば、トラウマにもなりそうだわ。

 私たちはルバー様と一緒に朝食を食べて、勇者校舎へと向かったの。

 中庭へと出て見ると、刺さるほどの人の目の乱舞。

 これ程とは思っていなかったけれど、ある程度の予測は立てていたわ。

 私とハチとロクとネズミ隊で、とある作戦を練っていたから実行したの。

 まぁ〜、魔獣化して脅しでは無く、軽く挨拶をしたのね。

 すると私の意図を汲み取った仲間が行動を起こしたわ。

 ホゼとマノアが持っていた防犯ブザーを鳴らし、青ちゃんが変身をして驚かせ、エディが飛んでレア度を見せ付けた。

 それでベランダから私達の教室へと入った。

 するとそこには、同学年の勇者クラス面々が勢揃いしていたの。

 ホゼの話によると、水風船の儀式なるものがあったみたい。

 本来なら担任の先生が待ち構えていて、教室の戸を元気よく開けると風船爆弾で濡れ鼠になる。

 そこで、ウエルカムトゥー勇者学園! って、場を和ませるのが恒例行事だったみたいね。

 ところが私達の教室に居たのは同学年の勇者達。

 濡れた私達を見て、笑い者にするつもりだったみたい。

 ところが入って来たのがベランダからだったから、目論見を外した勇者達は教室から出て行ったわ。

 もちろん前の扉からね。

 ウフフ、リーダー格のクラーネルがずぶ濡れになって、ワナワナ言いながら出て行ったわ。

 慌てたのは私以外の面々。

 ルバー様が取り成すために後を追いかけたの。

 私達は自習ね。

 教室の雰囲気としては小規模な塾の広さ。

 黒板があり教壇があり、少し手狭な感じね。

 教壇から見て、右から青ちゃん、マノア、ホゼが机を並べているの。

 その後ろに私、エディが居るわ。

 机は青ちゃんとマノアの間に私が居て、マノアとホゼの間にエディね。


「ナナちゃん……勇者クラスの人達の事を知っているの?」

「まぁ〜、ねぇ〜。それなりに調べたわ」

「私達にも教えてくれない」

「それは……出来ないわね」

「どうして?」

「個人情報保護法って感じかしら? 憎らしい相手でも、喋っていい事ではないわ。然るべき理由があるのならだけれど……聞かせてよ」

「え? ! ……えっと……それは……」


 言いよどんでしまった青ちゃん。

 私だって鬼ではないわ。

 個人の情報を喋っていい正当な理由が欲しい! と言っただけよ。

 でも押し黙ってしまった青ちゃん。

 重たい雰囲気が教室を支配してしまったわ。

 話題を変えなくては!


「そうだわ! 青ちゃんの特殊魔術“憑依”なんだけれど、ちょっと変ね?」


 私のフリに、この空気をヒシヒシと感じていたホゼが乗っかったわ。


「それ、僕も思った。青の能力は、本当に憑依なの?」

「え! そうよ。最初にギルドでカードを作った時に見てもらったもの。間違いないわ。ホラ! 見ていいわよ」

「ってマジックアイテム“見える君”が無いから分からないよ」

「ホゼ、大丈夫よ。忠大! いるかしら?」

『はっ。此処に』


 手をかざした影から姿を現したわ。

 ……何故にハムスター?


「キャー! とっとこ……」

「マノア! それ以上は! !」

「はぁ〜。マノア、ホゼ、ごめんなさい。まったく忠大、何でその姿なの?」

『はっ。この姿の方がウケが良いかと思いまして。そちらのマノア様から拝借致しました』


 空いた口が塞がらないわね。

 無駄な所に、大切な能力を使っているようだわ。


「なぜウケが必要なの? 能力の無駄使いはやめなさい」

『はっ。しかし、鼠は厄災を撒き散らす使徒と呼ばれ、忌み嫌われております。姫様に仕える者として、イメージダウンは阻止しなければいけない命題です。この様な姿で少しでも、喜んで頂けるのなら安いものです』


 自慢げに胸を張っていたわ。

 ハムスターの姿でね。

 あまりにも可愛いから、頭をコチョコチョしてしまったわ。

 視線が……マノアの視線が……痛い。

 私は、そっと忠大を差し出した。

 優しくしてあげてね、と添えて。

 目をキラキラさせた彼女は大事そうに受け取り、満面の笑顔で頬ズリをタップリしたわ。

 名残惜しそうに、次で待っている青ちゃんに渡したの。

 彼女も、とろ〜んとした目でナデナデしていたわ。


「この子達はスキル“走破”が使えるの。忠大が見たものをみんなに伝えるわ。青ちゃんのギルドカードをこの子に触らせてくれるかしら?」

「勿論よ! でも、ナナちゃんの情報源はネズミ隊ちゃんだったのね。はい、どうぞ」


 ウフフと笑いながら両耳を覆う様にセットした、フンワリお下げ髪の右側を耳にかけたの。

 見えたのは大きな一粒真珠。

 金柑サイズの大きさにビックリしたわ。


「真珠のイヤリングなのね」

「イヤリングでは無くて、ピアスよ。ホラ」


 髪の毛を耳にかけて見せてくれたわ。

 耳の裏にはピアス特有の穴が空いていたの。

 そこには、本当に大きなホワイトパールが一粒づつ煌めいていたわ。


「でも、それを四六時中、着けているの?」

「だいたい着けているわ。とても落ち着くの。安心するのよ。それでも、流石に寝る時は外すわ。その時の為にこんなモノを作ってもらったの」


 青ちゃんのマジックバックから出てきたモノとは?


「シーサー?」


 沖縄の家の守り神、1組のシーサーを取り出したわ。

 でも、姿がお座り姿勢では無くて、犬がよくするハイタッチの芸をしているの。

 不思議がる私に気がついたのか、両耳とも外してシーサー台座に真珠のピアスを取り付けたわ。

 するとあら不思議!

 真珠の玉に乗ろうとしている、シーサーの姿になったの。

 か、か、可愛いわ!

 さらにその置物の耳に、ピアス留めが刺さる突起が付いているの。

 リボンみたいで、これまたキュート!

 私から正面に見て、左側のシーサーはメスで口が開いているの。

 右側の口が閉じているのがオスらしいわ。

 初めて知ったわね。

 メスのシーサーを忠大に差し出したわ。


「はい、ナナちゃん。でも、私の特殊魔術は“憑依”よ。ちゃんと調べてもらったもの」

「……気に障ったのならごめんなさい」

「うっ、そんなことないわ。ただ……私が嘘つきみたいに言われた様で、少しだけカチンと来ただけよ。私の方こそ、ごめんなさい。忠大ちゃん、どうぞ」


 青ちゃんの机の上で、騎士のポーズ姿勢で待っていた忠大の前に置いたわ。

 そして私に視線を送り頷き、触った。


『姫様。確かに特殊魔術“憑依”でございます』

「そうなの。……ねぇ、青ちゃん。1つが2つに別れたの?」

「違うわ。初めから2つよ。最初は私も驚いたけれど、2、3個と出てくる人もいるみたいよ」

「そう。……忠大、オスのシーサーも見てくれる」

「え? ! こっちも? 同じ物よ?」

「青ちゃん。念の為よ。念の為」

「分かったわ。はい、どうぞ」

『はっ。それでは、失礼致します』


 訝しみながらも差し出されたシーサー。

 それに手を触れながらスキルを使う忠大。

 すると見る見る、驚愕の表情に変わったわ。

 でも、とっとこネズミ姿でやられても迫力に欠けるわね。

 緊張感がダダ滑りだわ。

 忠大から発せられた言葉には驚愕したけれどね。


『ひ、ひ、姫様! 特殊魔術が違っております! “憑依”では無くて“変身”です! !』


 すると忠大は、トットコトットコと歩きメスのシーサーにもう一度触れて確認してから改めて説明してくれたわ。


『姫様。やはり特殊魔術だけが違っております。後のステータスは同じです。いかが致しましょう。ルバー様に報告致しますか?』

「ちょっと待ってちょうだい。原因を探るのが先決よ。青ちゃん、みんなも聞いて」


 青ちゃんの席に集まるかと思ったのに、私の席に集ったわ。

 みんなの優しさよね。

 青ちゃんが忠大と真珠乗りしたシーサーを持って来たわ。


「みんな、ありがとう。忠大の話によると、このメスシーサーの真珠には特殊魔術“憑依”とあるのね。ところが、こっちのオスシーサーの真珠には特殊魔術“変身”とあるの。ねぇ〜、青ちゃん。あなた双子なの?」

「え! 違うわ。一番下の妹は双子だけれどね。私は4姉妹なの。長女が私で、次女がふじで、三女と四女が双子のはなああと言うのよ。……元気……かしら」


 伏し目がちに下を向いてしまったわ。

 私からは一筋の涙が見えてしまったの。

 家族の事を思い出してしまったのね。

 辛い事を聞いてしまった様だわ。

 ……ごめんなさい。

 私は前の世界を思い出して涙する事なんて無いわ。

 だって今も楽しいもの!

 でも青ちゃんにとっては違うのね。

 私は手をそっと手に重ねて微笑んだわ。


「大丈夫?」

「ごめんなさい。大丈夫! そんな事より……どう言う事なの? メスの方が“憑依”でオスの方が“変身”って、意味わからないわね。

 あ! そう言えば、お母さんがお腹の中では双子だったのよって聞いたことがあるわ。5ヶ月辺りまでは心音も聞こえていたのに、6ヶ月ぐらいからは聞こえなくなりエコーにも影が写らなくなったらしいの。機械の故障か母体の心音が聞こえたのか、どちらかだろうと言う話になったみたい。そうそう、華と蒼を妊娠した時、私が毎日お腹に耳を当てて心臓の音を聞いてあげていたの。その時に話を聞いたのを思い出したわ!」


 私は、とある漫画を思い出してしまったのよね。

 どうもその思いはマノアやホゼに伝染しちゃったみたい。

 だって、私の話をすんなり理解したもの。

 同じ事を思い浮かべていたとしか思えないからね。


「ねぇ、青ちゃん。突拍子もない話かも知れないけれど、聞いてね」

「勿論よ」

「お母さんのお腹の中にいる時は双子だった。ところが、育つにつれて片方の成長が止まりもう片方が吸収して、青ちゃんとして産まれた。その為に貴女の体内で、もう1人の貴女がいるの、か、も? ? ?」

「ビューティーフォー! 漫画の世界ね! 素晴らしいわ。そんな事が現実にあるのね! !」

「マノア、静かにしろよ。でもナナの話した事は多分、当たりだと思う。さらに、言うならば。次元の壁を超えてくる時に、僕達は何らかの能力をもらっているよね。青の中の青にもその資格があった! としたら2つの能力にも説明がつく」

「ホゼ……だったら私どうすればいいの? こ、このままでいいの?」

「う〜ん…………?」


 確かにそこが問題だわ。

 明確にしないと、ルバー様から守れなくなってしまうもの。

 あんなヤツに青ちゃんの事がバレたなら、質問責めぇ〜の付き纏い〜のに、なる事請け合いよ。

 それほどの特殊魔術ですものね。

 すると、マノアがあっけらかんと答えを出したの。


「そんなの簡単よ。ファンタジーあるあるだもの。

 名前をつければいいのよ! サモナーが魔獣を登録する様に、青ちゃんの中の青ちゃんにも固有の名前をつければ登録完了! 新たな仲間が出来るのね。コレで旅をするのも安心。パーティーを組むなら……」

「止まらないマノアはほっといて。でも、名前をつけるのはグッジョブな提案だわ」

「ナ、ナ、ナナ」

「で、でも……名前だなんて……どうやって付けたらいいの?」


 みんなが押し黙ったわね。

 そんな時、あの男が手を挙げたの。


「は〜い! オレいい案が浮かんだぜ。青の名前は青森せいしんだろう。だったらそれを2つに割れば良くねぇ!」

「「「え?」」」


 私達、女子にはエディの言っている事の意味がよく分からなかったわ。

 でもホゼだけは、理解出来たみたい。


「成る程! うん! いいと思う。流石、エディ! 寝ているのかと思ったよ」

「バ〜カ! 寝るには早いよ!」

「ちょっと待って。ホゼ、説明して」

「ナナにも理解できなかったのかい? エディは親からもらった名前を2つに割ったらどうか、と言ったんだ。青は、青森のせいだろう。青の中に居る青は、青森のしんで、2人合わせて青森。親が付けてくれた名前だね。ちょっと……大丈夫?」


 ホゼが説明をして居る最中、青ちゃんの左目から止めどなく涙が溢れていたの。

 メスのシーサーを胸に握りしめホロホロと泣き始めたわ。

 今度は両目ともね。


「貴女は森よ。私が青で貴女が森。2人合わせて青森よ。変だと思った。だって、私だけが一字多いんだもん。お母さんったら、ちゃんと説明して欲しかったわ」

『姫様! 青森様のステータスが変化いたしました! 特殊魔術“変身・憑依”と変わりました!』

「え! ! 青ちゃん! ちょっとそれ貸して! 忠大、すぐこっちも調べて!」

『はっ。……同じ様に変化致しております。今はどちらも同じです』


 私は慌てて説明したわ。

 すぐさまルバー様にも手紙を出した。

 配達人? ネズミは忠凶ね。

 後日、改めてギルドで登録し直すみたい。

 もちろん、みんなで一緒に行く事を約束したわ。

 楽しいわね!

 約束よ!

 や・く・そ・く!

 友達との約束に何だか高揚してしまったわ。

 でも、みんなも同じ様に紅い顔でニコニコしていたから、気持ちは一緒。

 やはり、お父様が言っていたことは本当の事だったわ。

 友達って良いものね。

 みんなでホンワカした気持ちで雑談をしていた時、勢いよく後ろの扉が開いたわ。

 あ! と言う前に……。


 バ、シャーン!

 ズ、ドーン!


「キャ!」

「「「「「ユント先生!」」」」」

「キャ!」

「ハンナ?」


 初めの悲鳴はユント先生で、水風船の儀式の残りを被ったみたい。

 その後の悲鳴はハンナ。

 まぁ、ルバー様と同じ様にコケたのよ。

 それも絵に描いたような滑りプリに笑ってしまったわ。

 ハンナらしいと言えば、そうなんだけれどね。


「ハンナ、ユント先生。大丈夫ですか? 今、ハチに乾かしてもらいますね。ハチ、宜しく」

『はいワン』


 ブゴーー! !


「「キャ!」」


 今度のは、魔術“ドライヤー”よる風圧からの悲鳴だったみたい。

 ハチ曰く、2人分だワン! だそうです。

 ちょっとだけ、面白かったわ。

 さて、ユント先生にな聞かなければいけない事があるのよ……ね。

 落ち着いてから、私が手を上げて発言したわ。


「はい! 先生、質問があります」

「はい、ナナさん。どうぞ」


 落ち着き払った先生が私を指したわ。


「水風船の儀式の時は何故、先生では無くて勇者クラスの方達が居たのですか?」

「そ、それは……」


 言い淀むユント先生。

 その隙に、ハツカネズミ姿の忠大が真相を教えてくれたわ。

 忠大さん、意味のわからないTPOはやめて欲しいわね。

 内容が入ってこないじゃないの。


『姫様。クラーネル様から、異世界人のくせに僕に逆らうな! 前任者の様にしてやるぞ! と脅された様です』


 言葉が出ないわね。

 前任者って何?

 私の表情で事を察したのはハンナ。

 あら?

 読まれちゃったようね。


「ユント。何があったかを話しなさい。おそらく、話が通った様よ。私達にはチュウチュウとしか聞こえなくても、ナナ様には理解ができるから。何を言われたの?」

「はぁ〜。青森さん、貴女は悪くないわ」


 先生は優しく青ちゃんの肩に手を置き話したの。

 私達には分からなくても、彼女には分かったみたい。

 俯いてしまったわ。

 教壇に戻った先生は私達を見回して話し出した。


「皆さん。長い人で7年間。早い人で4年間。この勇者校舎で学びます。……はぁ〜、知っていた方が良いのかもしれません。マノアさんやエディくんは旧異世界人校舎からでしたからですね」

「「はい、そうです」」

「だったら知らなくて当然です。

 青森さんが入園した時は、1人だったので旧異世界人校舎では無くて、この勇者校舎のクラスに入りました。担任の先生は勇者様で、副担任に異世界人の眞田由美子さなだゆみこ先生が付きました。もちろん、青森さんの面倒を見る為でした。この方は私の先生でもあり、青森さんの育ての親でもありました。

 事の起こりは入園して3ヶ月ほどだったある日。ほんの少し由美子先生が目を離したそのすきに、青森さんが闘技場前広場に連れ去られ、囲まれ、魔術の練習台として虐めを受けていました。耐えかねた青森さんが、虎に変身して反撃したまさにその時、近くを通りかかったノラ家婦人ウラリーヌ様と散歩をしていたクラーネル様に体当たりして尻餅を突かせてしまいました。警護に当たっていた勇者様に取り押さえれている最中に、慌てて駆けつけて来た由美子先生。何とかするべく割って入ったのだけれど……。どうする事も出来ずに切り捨てられる! そう思った直前、ルバー様により助け出されました。そのまま仲裁をかってでられて、事なきを得ました。その際の落とし所として、1人でも異世界人は異世界人校舎で学ぶ事。副担任だった由美子先生は解任。地方へと飛ばされました」


 ここまで話した時、勢いよく席を立ち私に詰め寄った生徒がいたわ。

 もちろん、青ちゃんよ。


「ナナちゃん! やっぱり教えて!

 私にもう少し知識があったら、由美子先生を辞めさせる事も無かった思うの。尻餅を突かせたのが貴族様でなかったら、由美子先生と離れる事も無かった! だから、今度こそみんなを護りたい……ナナちゃんが知っている情報を私達には教えて! 他言も、悪用もしないわ! お願い! !」


 確かに尻餅を突かせたのが貴族でなかったら、練習台として虐めを受けていなかったら、誰がどんな性格でどんな能力を持っている事を知っていたら、たら、たら、たら……そんな思いが私にも伝わったわね。


「はぁ〜。青ちゃんの思いは理解できたわ。ユント先生もハンナも、何も言わずに最後まで私の話を聞いてね。ハチ、この空間を支配してちょうだい。他人に聞かれと困るのよ」

『分かったワン。ヘルシャフト!』


 ハチが教室ごと支配したわ。

 相変わらず鮮やかです事。

 さて、私はみんなに知っている情報すべて話したわ。

 その際、呆れたのはマノアね。

 あの子ったら、水風船の儀式騒動の時しれっと写真を撮っていたみたいなの。

 それを焼き回し?

 写真の上から撮るやり方で7枚、同じ物を撮り渡しできたわ。

 でも何で写真? と思ったら。


「記念よ、記念。私、決めたのよ。楽しく生きる! ! とね」


 まさか、記念の為にコッソリ写真を撮るだなんて……やるわね。

 でも、そのお陰で話がスムーズに進んだのだから、侮れないわ。


「話は理解できました。ナナ様。あまり表立って動かない方がよろしいですよ。今回の事で間違いなくターゲットは貴女様でしょうし、単独行動は許しませんからね。他の皆様も、ナナ様をよろしくお願いしますわ。本当に……はぁ〜」

「ハンナ様」

「ユント、様付けは止めてよね。今は同僚でしょう」

「そ、そうね。ハンナ、ごめんなさい。まだ慣れなくて。それはそうと、ナナさん。ルバー様からも、ナナさんは単独で動くから、誰が重りを付けて固定しといた方がいいと聞きました。青森さん……よろしくお願いしますね」

「はい!」

「あら、いい返事ね。青ちゃん。先生も先生です。人を難破船の様に言わないでいただけます事」


 みんなで和やかな雰囲気になったので、ヘルシャフトを解除して帰りの会を始めたわ。

 いいわね!

 いいわね!

 物凄くいいわ!

 この空気、懐かしい。


「では、明日は歓迎遠足です。皆さんは遅れない様に、教室まで来て下さい。お、おやつは500円までですよ〜〜」

「先生! バナナはおやつに入りますかぁ!」

「え! バ、バ、バナナ?」

「あははは、エディ! そのネタは解る人にしたか理解できないよ!」

「ホゼ、マジで! コレって遠足前には必ず言わないと始まらないテッパンネタ何だろう? 俺さぁ、いつ言えばいい良いかワクワクしていたんだよねぇ」

「「「「「あははははは!」」」」」


 みんなで大爆笑。

 あんな大声で笑ったの初めてかも。

 確かにあるあるネタよね。

 私の時は200円だったわ。

 それにしても、明日は遠足なのねぇ。

 初めて知ったわ。

 あのチンピラ共……仕掛けてくる事請け合いね。

 まぁ、やられたら熨斗つけて返すのが私の流儀よ!

 楽しみにしてなさい!

 勇者諸君! !

青ちゃんの本当の能力は変身でした。

一度はやったみたいネタですよね。

私も大好きな作品の1つで、面白いですよね。

闇医者のヤツですよ。

個人的にはフェニックスが好きですね。

私の青春の1ページでしたよ。


次回予告

「僕の名前はクラーネル。この世界を救う救世主様だ! 来週の予告を仰せつかったので言うぞ。心して聞け。

次週、歓迎遠足に行く事になったナナ達。仕返しを企むクラーネル達は何かの行動を起こすのか! 見逃せない戦いの予兆はすでに始まっている。乞うご期待。

ロタ家のバカ娘など相手にしないさぁ〜。それにしても……なんで僕1人なんだ! ! 寂しくないぞ! !」


ガロスよ!

私は間に合ったぞ!

来週は……クラーネルに聞いて下さい。

サン&ムーンに負けずに更新いたしま〜す!

それではまた来週会いましょう。

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