44話 あらあら、梅干しですって
はぁ~、本当に長い円卓会議だったわね。
会議の議題が議題なだけに、私が参加しなくちゃいけなかったけれど、大変だったわ。
だって、魔獣の事は何も知らないし、魔族の事もね。
何より問題だった事があったの。
勇者が自分の立ち位置を全く理解していなかった、と言う事よ。
その為に、自分達が1番強いと勘違いしていたんですもの。
もちろん、高かった鼻をへし折ってやったわ。
本来ならココでお役御免だったはずなのよ。
最後になって、ベルネ様が違法にマジックアイテムを製造していた事を、ご自身で暴露なさいましたの。
そのアイテムとは“恭順の首輪”だったのよ。
アレは私に一任されていたみたいなのね。
その為、ルバー様は私に丸投げしましたわ。
まぁ~、そのおかげで夏休みのバカンス先を確保出来たから、結果オーライなんですけれどね。
本当に終わり! と思ったら……ルバー様と王様から、ネズミ隊が新たに発案したスキル技“影法師・影縫い”を詳しく知りたいと言い出したから、話が大きく曲がってしまったの。
私が解放されたのは夕ご飯を軽く過ぎた、宵の口の頃ね。
「はぁ~、やっと晩御飯ね。何か食べれるものあるかしら? それはそうと、ハチ。行き先、分かるの?」
『頭の中で忠大が、道を案内してくれてるワン』
「え! そうなの」
驚いてスキル“意志疎通”を発動させたの。
〈『次の階段は下で御座います。一番下まで降りてください』〉
なんとまぁ~。
なんの迷いもなく歩くと思った。
「忠大。道案内ならここに出てきて説明してちょうだい。隠れる必要などないわ。私も聞きたい事もあるしね」
『はっ』
私が手を翳した。
その影から、忠大がハツカネズミ姿で現れたわ。
ハチの頭の上にね。
乗るにはこの姿しか無かったからだとは思うけれど、心が安らぐわ。
「スアノース城の作りはどうなっているの?」
『はっ。この城の起こりは、100年に満たない90年前に遡ります。改築改造を繰返し、今のような姿に落ち着いたのが60年ほど前の事です。建築……』
「ストップ! 誰が作ったとかはまた後日聞くわ。今はこの建物の構成。どこに何があるとか、ね。そう言うのが聞きたいわ」
『はぁ! そうでしたか、申し訳ありません。それではご説明いたします』
と始まった話に思考が止まったわね。
複雑ではないのよ。
シンプルなんだけれど、広大な土地と異世界人の建築技術が物言う作りだったわ。
トランプのダイヤマークを思い浮かべてね。
そのマークの内側を対角線どうし直角に線を引き、小さいダイヤマークが4つ出来た。
下にある小さいダイヤマークが、行政や司法を司る場所で王様のお仕事場所、司法の塔と言うらしいの。
その上にあるのが、王様の居住区で奥の塔。
奥の塔から見て、左にあるのがルバー様率いる冒険者ギルドの仕事場、ギルドの塔。
右にあるのが勇者学園、勇者の塔なの。
ここには勇者の寮もあるわ。
ちなみに私達はギルドの塔にある、職員寮で暮らすみたいよ。
そして中央に、小さいダイヤマークが接する頂点を一画とした二等辺三角形を作り、4つ合わせて大きな四角形を形成するわ。
そこをくりぬき中庭に成っているのね。
その中庭には、福岡ドームほどの闘技場が建っているのよ。
忠大の話だと、ここで毎年、王様の誕生際が行われるみたい。
司法の塔から伸びる道には、屋台が両サイドに並ぶほど広さがあるわ。
上の窓からチラリと見たら。
夕闇迫る時間帯で、夜に差し掛かる藍が辺りを暗くしはじめていた。
そこに浮かび上がる斜里道と闘技場は、歴戦の勇者の怨念のように蒼白く見えたの。
少しだけ、怖かったわね……などと思っているとハチが真相を教えてくれたわ。
『ナナ。大丈夫ワン。あれは中には入れない様に保護魔術が施してあるワン』
「なぁ~んだ。私はてっきり、負けた勇者の呪いがかかっているんだと思っちゃった」
『ナナは考えすぎニャ。呪いならもう少し禍々しいニャ。あたしは実際に、呪いを受けたことがあるから分かるニャ』
「うふふふ、そうだったわね。何だか懐かしいわ。アレで猫又になっちゃったんだもよね」
ハチの少し前を歩いているロクが楽しそうに、猫又バージョンに姿を変えたわ。
この姿でも獣の範疇だって言うのも可笑しな話よね。
見ためは妖怪なのに獣なんですもの。
などと、話しているとギルドの塔の食堂へと到着したわ。
中に入ると、小学校の2クラス分の広さに5人程が囲って座れるぐらいの円卓が20セット不規則に並んでいたわ。
入ってすぐの所に、業務用のカウンターキッキンがあって中には膨よかな給食のおばちゃんが鼻唄まじりで、後片付けをしていた。
「フン〜、フンフン〜、フン〜、フンフン〜、フン……。あらあら、食堂は終わったよ。あるのはルバー様の夜食分だけだよ。あんた〜、もう少し早く来なきゃねぇ〜。晩飯に有り付けないよ……!キャー!貴族様だよ!!」
その場で土下座をししたものだから、入り口にいる私から見えなくなったわ。
はぁ〜、貴族、貴族、貴族様! ………うんざりね。
「そのネタはもういいから、顔を上げて立ち上がって下さい。あ! お喋りもいいですからね。貴族ですけれど、異世界人です。いちいち頭を下げられるとこちらが迷惑です。普通に接して下さい。出来なければ……ハンナに連絡してロタ家の屋敷に行きますわ。
それとも……不思議発見! 城下町探索! にでも出てみるかしら? うふふ、楽しそうね……」
『姫様。それをなさいますと、ハンナ様から烈火のごとく雷が落ちるかと存じますが、いかが致しましょう』
「むぅ〜。分かっているわよ! 貴方の事を今度から爺と呼ぶ事にしたわ」
『姫様! そ、それは……あんまりです』
「うふふ、冗談よ。そんなホッとした顔をしないでよ」
『それは、良うございました。爺と呼ばれるなら、髭を蓄えなければいけなくなる所でした』
「髭って……必要かしら? まぁ〜、いいわ。そんな事より、ハチ。彼女の前に私を下ろしてくれる」
『いいけど、汚れるワンよ』
「こんなの汚れのうちに入らないわ。平気よ」
『了解ワン』
そう言うと、土下座をしている給食のおばちゃんの前にハチがトコトコっと歩いて行ったわ。
そして、私が手をかざし、乗せたまま影に入ったの。
もちろん私は自分の影には入れない。
土下座をしているおばちゃんの前にペチャンと座ったわ。
「これで顔が見れるわね。初めまして、私はナナです。この通り、足はありませんが手助けしてくれる心強い仲間がいます。なに不自由なく過ごせていますわ。
確かに私は貴族ですが、そこいら辺のアホな貴族と一緒にしないで欲しいです。そらと……貴女にとって難しいかも知れないわね……それでも! 他の人達と同じ様に接して下さい。お願いしますわ……ダメかしら?」
長い沈黙の後、意を決した様に顔を上げて微笑んだわ。
「よっしゃ! ナナ様は異世界人なんだね。分かったよ。だったら、他の人達と同じ様に時間厳守! だよ」
「あいちゃ~、確かにその通りね。だったらルバー様の夜食をいただくわ。彼の方なら、貸しがいくつかありますし、何とかなります」
良い考えね!
などとほくそ笑んでいると突前、体が浮き上がったわ。
私はおばちゃんに、抱え上げられたのね。
「人様の物を取っちゃ~、いけないね。少しだけでいいなら、用意してあげるよ」
「ありがとうございます! お姉様」
「あはははは! 嘘は言っちゃ~、いけないよ。あたしは食堂のおばちゃんで通っているんだ。そう呼んどくれ。大した物は出せないが……コレでいいなら……お食べ」
そう言って、私を近くの椅子に座らしてくれたわ。
大人用の椅子だから、テーブルの上に何かが置かれても私からは見えないわね。
そう言う時は膝の上に、と言うのが定番だけれど私には無理。
さぁ~、困ったわと思っていると、私の手に何かを握らせた。
「コレは……おにぎり?」
「残ったご飯で握ったモノだよ。口に合うかどうかは分からないけれど、お食べ」
まさにザ・おにぎり、という名に相応しいわ。
形といい、色艶といい、ただ残念なのが冷めている点よね。
まぁ~、おにぎりなら冷めててもアリよ。
それにしても、一口食べて驚いたわ。
もちろん中の具にではないわ!
だって、一口食べたぐらいでは到達しなかったんですもの。
でも、口に入れた瞬間、ほどける米粒。
一粒一粒が、僕はここだよ! 私はここよ! と甘さを主張していたわ。
ホンの少しだけ固めに炊かれたご飯は、本当に美味しかった。
そして中の具がこれまた良いわ。
昆布の佃煮なんだけれど、米の美味さを引き立てていたわね。
醤油とみりんと砂糖だけで煮られた物は昆布だけ。
シンプルなんだけれど、最高に美味しいわ。
おばちゃんの腕は本物ね。
あっという間に食べ終わった私に、ほどよく冷えた湯呑みを手渡された。
ここはお茶でしょう! と思いつつも飲んでビックリ。
飲みやすく、口のなかを洗い流すにはもってこいの水ね。
美味しいわ。
私的には冷たい方がお好みだったんだけれど。
「さぁ~、これで最後だよ。……口に合うかどうかは……どこから来たかによるんだよねぇ~。まぁ、いいやぁ! たんとお食べ!」
あら?
含みのある言い方だわ。
何かあるのかしら?
手渡されたおにぎりを見ても、先程のと同じモノよね。
完璧なおにぎりだわ。
二口食べて、広がる酸っぱさ。
これは!
「梅干し!」
「あぁ~、よかった。ナナ様は日本から来た異世界人だったんだね。だったらこれも食べれるね」
皿に乗っているモノを見て驚いたのなんの!
そ、そ、その黄色い物体わ!!
「たくあん? 大根があるの? 梅の木があるの?」
「あはははは! 日本から来た人は皆、同じことを言うねぇ。大根ではなくてカブーラの実を干したものだし、梅干しではなくてトーチの実の塩漬けだよ」
懐かしい響きに胸を踊らせたわ。
たくあんではなくて、カブーラを一切れ手に取り食べた。
カリカリ、ポリポリ……。
「たくあん!」
このカリカリ感とポリポリ感は堪らないわ。
手が止まらない、口も止まらない。
音を聴いているだけで満たされるって不思議ね。
そして……。
「梅干し!」
おにぎりの具が梅干しだったのよ。
これも完璧な塩100%の田舎梅。
良いわねぇ。
このしょっぱさは梅干しそのものよ。
でも梅じゃないって信じられないわ。
「あはははは! 何も言わなくても分かるよ。梅の木があるのか! って言いたいんだろう。そんなものは無いよ。あるのはトーチって言って、マウメリーナとメースロアの間に自生している木なんだよ。それを異世界人が、梅の木だ! 梅の木だ! と囃し立てて品種改良を施して、スアノースでも育つ様にしたのさぁ。その出来た実を天日干しにして、シウラの葉と一緒に塩漬けにしたのさぁ。ちなみにシウラとは、あんた達の言うシソだね。
たくあんの方だけど、実はこれスアノースに自生していた木でね。でも食べると辛くって、家畜の餌にしかならなかったモノなんだよ。ところがこれも天日干しにして、漬物にしちまった。驚いたね! それがまたうまいの何の! さらに、衛生的にも経済的にもあたしらの味方だし。あっと言う間に広がった食べ物なんだよ」
「分かる! たくあんは言わずと知れたご飯の共だし、梅干しは保存食だもの。さらに、梅には使い道いろいろ有るのよね。塩漬けだけでは無くて、はちみつ漬けとかカツオ梅などなど色々あるのよね。さらに、酒と角砂糖と梅で、梅酒なんてモノもあったわ。はぁ〜、梅干しのおにぎりを食べられるだなんて……はぁ〜、美味しかった。おばちゃん! ありがとう! とても、とても、美味しかったわ」
「そんなに褒めたって何も出やしないよぉ〜。でも……気に入ってくれたあたしも嬉しいよ。朝は6時から開いているからね。早めにおいでよ」
「はい! おやすみなさい」
「おやすみ」
さぁ〜、明日からが本番よ。
腹ごしらえには少し足りないけれど、無いよりマシだわ。
この上、上、上……何回あるのよ!
上に上がれば上がるだけ、部屋数が減っていくけれど、それでも10階以上はあるわね。
その9階が私達の宿舎に当てられたみたい。
階段しかないこの世界で10階もの、上り下りはある意味拷問よ。
まぁ〜、私はハチのおかげで楽させてもらっているけれどね。
着いてみると、そこにあるのは大部屋1つと個室2つの3部屋。
大部屋は女子部屋だとしたら、男子達は個室ぅ?
『姫様。こちらがお部屋でございます』
やはり大部屋が女子の部屋だったみたいね。
男子部屋の個室も気になるけれど、今は青ちゃんとマノアに会うのが先よ。
私は軽くノックをして返事を待ったわ。
コンコン。
「ど、どちら様ですか?」
怯えた声が返ってきたの。
青ちゃんの声だわ。
「私よ! ナナよ! 入るわね」
「ナナちゃん!」
「ナナ!」
私が戸を開けるより先に、中から飛び出して来たの。
抱きついた腕がキツかったわ。
それほど、心配をさせたみたい。
一先ず中に入ったわ。
「ナナちゃん! どこに行っていたの? 私、心配したのよ!」
「青ちゃん……ごめんなさい。私は……まぁ〜、大人の付き合いをして来たのよ」
「大人の付き合い? なにそれ? でも、無事で良かったわ」
「マノアにも、心配かけてごめんなさい」
「いいのよ。ただ何も連絡なくて、半日は長いよね」
「本当よ!」
「あははは……ごめん」
私はひたすら謝ったわ。
でも、くすぐったい謝りなんて、初めてね。
謝罪しているのに、嬉しいだなんて変だわ。
やっと落ち着いた、青ちゃんとマノアに詳しい状況を聞いたの。
「私達も驚いているの。私とマノアとナナちゃんは、この元4人部屋で。エディとホゼは、元1人部屋を無理やり2部屋にして使っているわ」
「え! ? だったらあと1部屋は?」
「ルバー様の部屋見たいよ」
「マジ! ……なの? 狭く無いかしら?」
「う〜ん、なんか仮みたいよ。今、奥の塔に作っている最中だって」
「マノア、私達、奥の塔で暮らすの?」
「みたいね」
「また、エライ所に居を構えるのね」
「本当ね」
何となくマノアと目が合い笑っちゃったわ。
エヘヘ、とね。
私達は、お互いの状況について話したの。
まず驚いた事は、部屋割りよ。
やはり男子は、1人部屋に机とベッドを無理矢理突っ込んだようね。
それにひきかえ、女子部屋は入って左の窓側にマノアのベッドがあり横に机と箪笥。
この箪笥を挟んで、青ちゃんの机がありベッドがあるの。
そして、入って右側の窓辺に私のベッドが机があり箪笥があるわ。
ベッドには、お姫様のベッドには付き物の天蓋が着いていたの。
問題はその先、入ってすぐの右側。
布団の様なクッションと猫ちぐらが置いてあったわ。
絶対にハンナの仕業ね。
青ちゃんに確認すると。
「それでしょう。ハンナ様が自らここに置いて行ったのよ。何でも、前の部屋でも使っていたし、大きくなれるから大きい物を用意いたしましたって、言いながらね」
「う〜ん。私の影に入れるから、必要無いと思うの。貴方達、どうする?」
『もちろん使うワン。ナナの影にいるのもいいけれど、時々は布団で寝るのも悪く無いワン』
『あたしはどちらでもいいニャ。ただ、あたし達はまだスキル“影法師”じゃないから、影移動が出来無いニャ。その為にナナの影に入ると、出れ無い時がたまにあるのよね。そんな時は困るから、あたしは猫ちぐらで寝るニャ。猫は自由に生きる生き物ニャ』
『はぁ? ! 何をカッコよく言ってるワン。ナナの影に入っている方が側にいれるから都合がいいワン。それに自由に生きる? カッコ良すぎワン。似合わんワン』
『はぁ? ! あんた、あたしに喧嘩売ってるニャんかぁ?』
『よく分かったワンね!』
などと激しく言い合いをしていても、その姿勢がいただけ無いわ。
だって、ハチはクッションに仰向けになり背中をグリグリしながら、自分なりのクッションに形を変えつつ、口先だけで言ってるし。
ロクはロクでね。
猫ちぐらの中で、自分の気持ちいい位置取りをグルグル回りながら、言っているんですもの。
お互いがお互いを見ないでの言い合いは、迫力に欠けるわね。
私達はその光景に、笑ったわ。
お父様の言う通り、仲間って良いものね。
ひとしきり笑った後、マノアが胸の奥に秘めた不安を口にしたの。
「私……不安だわ。ナナは貴族だし、エディは王子様だし、青ちゃんは自分の能力で切り抜ける事が出来る。でも、私とホゼだけは勇者の好奇な目に晒されて、捕まって、揉みくちゃにされても逃げる事すら出来ないわ。正直言って、怖い」
「私だって怖いわ。食堂で顔を上げられなかったもの。あの視線は……痛いよね」
「青ちゃん、食堂で何かあったの?」
「ナナちゃん。何も無いわ。何も無いからこそ、怖いのよ。でも、あったらあったで怖いし、無くても怖い。も〜、ここに居るだけで怖すぎて疲れちゃう」
「青ちゃんと同意見」
「そうねぇ〜。明日は皆様にちゃんと挨拶をしましょうね……ね! ハチ!」
『まかしてワン』
「「え?」」
「ウフフ。さぁ、寝ましょう! 明日も早いんだからね! おやすみなさい」
「お、お、おやすみ。ナナちゃん」
「お、お、おやすみ。ナナ……早いなぁ! もう寝とる」
「ナナちゃんも疲れたのよ。私たちも寝ましょう。おやすみマノア」
「うん。おやすみ。青ちゃん」
私達はベッドに潜り込んだわ。
でも寝た訳じゃ〜無いのよね。
ウフフ……明日のお楽しみ!
ウフフ……勇者に目にもの見せてあ・げ・る!
ウフフ……ウフフ……ウフフ……。
午前中に更新したかったのに!
出来ずに申し訳ありません。
疲れて寝ちゃいました。
スアノース城の構造は難しようで実は簡単です。
絵に描いてみると分かりやすいかも?
次回予告
「姉ちゃん。ココが予告スペースなのね」
「セジル! もう直ぐなんだから、動かないでよ! お腹に触るでしょう!」
「もぉ〜、分かってないなぁ〜! 動かないといけないんだって。お母さんが言っていたよ」
「そ、そ、そうなの? でも……見ているコッチとしては、心配だわ」
「姉ちゃん。もういいから、来週の予告をすれば? コレはその為のスペースなんでしょう? 早くしなよ」
「分かったわよ。はぁ〜、昔はあんなに可愛かったのに……」
「はぁ? なんか言ったぁ?」
「私ハンナが送る次回予告は、何やらスキル“意思疎通”で行われた密談。ナナは何を目論んでいるのかぁ! その前に、食堂での視線に攻撃に耐えられるのかぁ! ナナ達の忍耐力が勝つか! ところが助けてくれる救世主が現れる。そこで告げられた王族の負のレガシーを聞くこととなる。果たしてナナはキレずに話を聞か事が出来るのかぁ!乞うご期待」
「姉ちゃん……この言い方だとナナ様はキレやすいの? たかが食堂で朝ごはん食べるだけなのに?」
「馬鹿ねぇ。予告では話を少し盛るのが常識よ」
「へぇ〜、初めて知った」
ハンナとセジルの姉妹に予告をしてもらいました。
姉妹っていいですよね!
私も優秀な姉が誇らしいです。
それではまた来週会いましょう!




