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40話 あらあら、一触即発ですって

 異世界人クラスのみんなとお泊まり会をした翌日。

 正装したエディと一緒に連れて来られたのは、モンサンミッシェル風のお城だったわ。

 そこで、発見された王子様と、貴族の娘のお披露目が行われたの。

 要は、エディと私の紹介よね。

 その後、魔獣についての円卓会議が開かれたわ。

 勿論、お昼を食べてよ。

 クラブハウスサンドは美味しかったわね。

 オーソドックスなスタイルのサンドイッチだったけれど、懐かしさもあり深い味わいだったわ。

 それにしても、マヨネーズまで再現してしまう異世界人って怖いわね。

 まぁ〜、美味しい物は正義だから仕方ないわね。

 さて、始まった円卓会議だったけれど議題そっちのけで、私VSイヴァン様とベルネ様の様相を呈してしまったの。

 だいたいイヴァン様が、私とお父様やお母様の悪口を言ったのが間違いなのよ。

 でもそう感じていたのは私だけで、この世界の常識はイヴァン様達だったみたい。

 腹ただしかったから、会議なんて忘れて暴れてやったわよ。

 口だけだけれどね。

 誤解が解けて、お父様が私の理想の人だと再確認して、やっと会議の本題に入ったわ。

 そうなの!


 この円卓会議は……。


「それでは会議を始める。今回、皆に集まってもらったのは魔獣について新たな情報がもたらされた事にたんを発する。そもそも……」

「イヴァン様。発言してもよろしいですか?」

「ナナ君。どうぞ」

「ありがとうございます。議題に上がっている魔獣についてですが、皆様はこの報告書を読まれたのでしょう?」


 私は見回したわ。

 グルリとね。

 ここに居る全員が頷いていたわ。

 ルバー様を除いてだけど。


「お父様。だったら何故、私が必要なのですか?」


 と、お父様に質問したのに答えてくれたのはルバー様だった。


「その答えを出せるのは、僕だけだよ。簡潔に言うと……信じてくれなかったのさぁ」

「でも、イヴァン様とマギノ様は実際の魔獣と戦われたのではありませんか?」

「「……」」


 あらあら、視線すら合わせてくれませんわ。

 思わず、ため息混じりに話しちゃったじゃないの。


「はぁ〜。目の当たりにして信じないのでは、見たこと無い、王様やベルネ様は全く信じていませんね。それで、私がここに居るわけですかぁ。だったらどうします? ロクでいいですか? 彼女なら大きさは丁度良いですし、魔力は最大ですから、理解しやすいかもしれませんね。出しますよ〜」

 〈『ナナ! ルバーを指差して!』〉

「ハチ? これでいいの??」


 スキル“意思疎通”で言われるままに、さし指をしたわ。

 すると、影からハチが飛び出しルバー様に襲いかかったの。

 もんどり打って倒れた上に乗り掛かり、牙を剥き出しにし怒りを表していたわ。

 こ、こ、恐い。


『今、ヘルシャフトを使おうとしたワン』

「ハチくん! 分かったから! もう使わないから! ど~い~てぇ~~」

「はぁ~。皆さん動かないで下さい。この子達は、私の配下の魔獣です。何もさせませんから、落ち着いてください」


 そう宣言しないと、魔術合戦になってしまうわ。

 事実、イヴァン様の手には夏みかんサイズのウィンドウボールが形成されていたし、マギノ様のせいで今も揺れているし、ベルネ様の魔力で寒いし、お父様は私をテーブルに置いて王様の盾に徹しているし、いつの間にか天井にはホワイトボールが室内を真昼の様に変えてしまっているし、これは王様の仕業ね。

 そして、何故かテーブルの上にはロクが猫又スタイルで居るし、ネズミ達は私の回りで金柑サイズのブラックホールを出していたわ。

 あら?

 この子達、この魔術は使えなかったのではなかったかしら?

 などと現実逃避をしたくなったわ。

 出来ないけどね。


「皆さん! 矛を収めてください! ルバー様が余計な事をするから、こんな惨事になるのですよ!」

「あははは……すまない。まさかハチが飛び出して来るとは思わなかったよ。約束する! 魔術は使わないよ」

「ロクは普通の猫の姿に戻ってちょうだい。ネズミ達もブラックホールを解除して。でも、ちゃんとしたブラックホールじゃない。素晴らしいわ。ハチもルバー様から降りて。お父様達も魔術を解除して下さい」

 

 まず、初めにネズミ達がブラックホールを解いたわ。

 次に、ロクが黒猫の姿になった。

 私からお願いしているのにこちら側が武装解除しないと、向こうもしないわね。

 ネズミ達が私の影に入ったのを見た、お父様の緊張が解け皆様の魔術を解除していただきましたわ。

 ところが、ハチだけはルバー様の上から下りようとしなかったの。


「ハチ! ルバー様の上から下りなさい!」

『駄目ワン! ルバーはまだ白属性の魔力を練ってるワン!』

「もぉ〜! ルバー様! ヘルシャフトを諦めていないのですか?」

「ナナくん。それは出来ない。よく考えて欲しい。この場所に、王と貴族の当主が揃って居るんだ。そこに……魔獣……。流石にマズイ。理解して欲しい」


 この言葉に、一気に忿懣を募らせたわ。

 勿論、爆発させたわよ!

 当たり前じゃない!

 ルバー様は私を信用してくれなかった。

 この子達は私の家族、私の仲間、私自身なのよ!


「ハチ!」

『ヘルシャフト!』


 私は知っていたのよね。

 ネズミ達が毎日、黒属性の鍛錬をしている事を、ハチとロクに至っては、魔術の性能を上げる為に日々じゃれ合いながら考査を続けている事を、ちゃ〜んと見ていたんだから!

 白属性の高まりを感じたルバー様もヘルシャフトを発動させたわ。

 でもね……魔力の器が発動する時間に関係があったみたい。

 要は、ドラム缶の水を半分捨てる時間とバケツの水を半分捨てる時間を比べるとではバケツの方が断然、早いわよね。

 その事を理解していたハチは、後から白属性を練ったにもかかわらず、ルバー様よりも早く術が発動した。


「今わかりました。お父様がここに入る前に、ハチやロク、ネズミ達すら外に出すな、と言われた意味。お父様は知っていたのですね。この子達が私の影から出た時、ルバー様がヘルシャフトを使う事を事前に聞いていたのでしょう。

 ……馬鹿にするのもいい加減にして下さい! ルバー様が王様を守るように、この子達は私を守るのです。その為に日々鍛錬をしています。それは貴方達とて同じでしょう。違いますか? 私が子供だから、異世界人だから、何も分からないと思われたのですか? だったなら情けない事です。それとも、勇者の力を見せ付ければ私が黙ると思ったのですか?」


 私はテーブルの上から一人一人、しっかりと目線を合わせ見たわ。

 そして、勢い良くテーブルを叩き自己主張をしたの。


 バン!


「売られた喧嘩は……買いますわよ」


 いつの間にか私の周りには、ネズミ達が臨戦体制で囲っていたわ。

 勿論、ロクは猫又スタイル。

 ハチはルバー様の上で唸っていました。

 それを見たお父様は、天を仰いであちゃ〜のポーズ。

 イヴァン様、マギノ様、ベルネ様は、目を見開きお口もアングリで言葉も無いと言ったところかしら。

 当のルバー様はハチの下でジタバタしていたわ。

 しっちゃかめっちゃか、まさにこの言葉がピッタリね。

 その時、王様の笑い声が微妙な空気を一蹴したわ。


「あははは! あははは! ガロス、そなたの娘は凄いなぁ。誰も敵わんでは無いかぁ。ルバー、魔力を引っ込めろ。ナナには、攻撃する気は無いようだ。無用な争いは避けよ」

「し、し、しかし〜」

「ルバー、もしだ! もし、ナナにその気があったなら、最初のヘルシャフトで死んでいよ」

「まぁ〜。そんな物騒な事は致しませんわ」

「あははは! なんのなんの。ヘルシャフトを発動させただけで、何もしておらんのはその気が無いと俺は読む。如何かなぁ〜?」

「オホホホ! 流石、王様ですこと。感服いたしましたわ。その通りです。重力変化や魔力封印などなど、何もしていませんわ。私は別に、争いたくてこの場に居るのではありません。ただ魔獣を知ってもらいたくて、その書類に書かれている事は真実だと信じてもらいたくて、この子達を出しましたの。ですのに、話をする前から犯罪者扱い。誰だって頭に来ますわ。で・す・が! 先ほど言ったことに嘘偽りはありません……売られた喧嘩は、買いますわよ……。

 お父様、私をハチに乗せて下さい。そうすればこの子達も安心しますし、私も動きやすいですわ。お父様? お父様!」

「はっ、はぁ〜。分かったよ」


 お父様は驚きと諦め笑の半々な顔で、私をハチに乗せてくれたわ。

 話を聞いていたハチは、やっとルバー様の上から下りてテーブルと同じぐらいの大きさになり、お父様の側に来たの。

 解放されたルバー様は荒い息遣いで衣服を直し、ご自身の魔力を確かめていましたわ。

 後ハチのヘルシャフトが効いているかも見極めていましたわね。


「ルバー様。あまり魔術を使いますと、魔力を封印いたしますわよ」

「あははは! こ、こ、怖いなぁ。大人しくしてるよ」

「お願い致しますわね。さて、ネズミ達は私の影に入ってちょうだい。何かあればすぐ呼ぶから。ロクは猫又スタイルになって頂戴。いや、違うわね。魔獣化サーバルキャットになって。ハチ、ロクが暴走しない様に監督していてよ」

『はいワン。暴れたら魔力を封印して、重力で潰してやるワン。エヘヘ〜ワン』

「まぁ! 悪い顔ね。ほどほどにしてよ。さぁ、ロク。お願いね」

『了解ニャ。ハチ! 覚えてらっしゃい。もし、あたしに変なことをしたら……分かっているかニャ? まぁ、いいニャ。魔獣化』


 ロクはテーブルの上で魔獣サーバルキャットに姿を変えたわ。

 それはそれは、美しく危険な獣。

 サバンナのスーパーモデルの名も伊達じゃ無いわね。

 体長は100センチほどで、手足も長く細っそりとしていて、顔も小さく少しだけ耳が大きいわ。

 ただ普通サーバルキャットと違い、色と模様が黒豹みたいなの。

 眉目秀麗を体現したかの様な姿。

 尻尾が2本の猫又スタイルなのが、少し残念だわ。

 まぁ〜、コレも愛嬌ね。


「さぁ、皆様。コレが魔獣です。ですが、くれぐれも誤解しないでいただきたいですわ。このロクを含めハチやネズミ達は、私の配下の魔獣です。イヴァン様とマギノ様が出会われた魔獣とは異なります。と、言っても違いは殆どありません。彼らとて竜王の配下の者ですものね。

 ……イヴァン様……ルバー様……。今、沢山の“恭順の首輪”を用いて、魔獣部隊を編成できると考えましたね。確かに、あれだけの力ですもの、強靭な部隊になるでしょう。しかし! そんなに物事が、上手く行くわけないでしょうが。お父様ならご理解いただけますよね。“魔獣の首輪”が万能ではない以上、“恭順の首輪”も万全ではないという事。もし、街中でオーバーヒートでも起こせばスアノースは半壊どころか全壊しますわよ。そもそも、“魔獣の首輪”と“恭順の首輪”は元が同じでも全くの別物です。“魔獣の首輪”は、そこに書いてあります通り、魔力を流す道具です。獣を魔獣にする為の物ですわ。勿論、ハチやロクの様に首輪無しで魔力を取り込み魔獣へと進化する場合もございます。それを簡単にしたのが“魔獣の首輪”ですわね。それに引きかえ、“恭順の首輪”はその名の通り、獣や魔獣を繋ぎ止める首輪です。その鎖は、絆と言う不覚的要素の塊みたいな単語で構成されますわ。どのくらいの絆で、どのくらいの強度があるのかも解らない、謎だらけの代物。今回、たまたま上手く行っただけかも知れません。それを試せますか? 国民の命を犠牲にして、実験しますか? まさか……異世界人の命ならいいとでもお思いですか!」


 私は話を一旦止め、一人一人わけ隔りなく睨みを効かせたの。

 勿論、お父様もですわ。

 悲しい事にイヴァン様だけ、視線を合わせてもらえなかった。

 許さないんだから!


「ロク!」

「ニャ!」


 ロクが一気に変化したわ。

 勿論、姿形は先ほどのサーバルキャットよ。

 でも、ネコ科特有の逆立った毛に縦細くなった瞳孔、爪や牙は剥き出し、まさに臨戦体制。

 さらに、左側はクリムゾン色の赤色で、右側は水色、その根幹にあるのは漆黒の黒色。

 その色の魔力を纏った姿は化け物以外、何者にも見えなかった。

 私はそっとハチを撫でたわ。

 言わずとも分かってくれる存在、それがハチとロク。

 ハチが私を見て頷いたわ。

 ここはヘルシャフトが支配している世界。

 外に、この魔力の影響が出ていないか心配したの。

 まぁ〜、取り越し苦労だったけれどね。

 さて、刃を向けられたイヴァン様。

 呼吸をするのを忘れた様に、息を止め目を見開きワナワナしていたわ。

 実は、他の面々も同じ姿でアワアワしているんですもの。

 笑ってしまったわ。

 でも、その笑いがダメダメだったみたい。


「ナナ! その悪役みたいな笑みを止めなさい。皆が引いてるぞ」

「あら、お父様、オホホホホ! ごめんあそばせ。皆様、私とこの子達の絆は生半可なモノではありませの。ハチとロクは、私が赤子の頃から犬と猫として側に居てくれましたわ。それは……お父様ごめなさい……血の繋がりより濃いモノです。ロク、もういいわ。猫に戻って頂戴」

『はいニャ』


 黒猫の姿になったロクは、私にすり寄ったわ。

 ひと撫でしてから続きを話し出したの。

 ご苦労様、ロク。


「ネズミ達、出てきてくれるかしら?」

『はっ』


 テーブルの中央付近で、一列に並んで現れたわ。

 相変わらず礼儀正しく、騎士の礼をしながら待機しているんですもの。

 少しだけホッコリしちゃった。

 私は気を取り直して、話し出しす事にしたわ。


「オホン、この子達は…………。この子達は“魔獣の首輪”を付けていたのです。そして、魔力が少ないからという理由で無理やり外され、残ったのはこの5匹だけ。皆さん、想像して見て下さい。自分自身も苦しい。そして、目と鼻の先で繰り広げられている地獄絵図の様な光景。私なら堪えられませんわ。きっと首輪と繋げて、心と身体に刻み込まれる事ですわね。それなのに、この子達は“恭順の首輪”を付けてくれましたわ。自ら進んで、です。ただただ、私の役に立ちたいばかりの行動だったと思いますわ。これを忠義と呼ばずして、なんと言うのですか? 王様ならご理解いただけますよね」


 質問を投げ掛けたわ。

 本当は王様にこそ答えて欲しかったの。

 なのに、大きく頷いていたのはベルネ様、マギノ様、イヴァン様、お父様。

 民を治める者達なのですね。

 苦労も多そうだわ。


「み、皆様が同じ見識で嬉しいです。確かに、この子達との年月は浅いものですわ。ハチやロクの様に、長い年月による絆ではありません。ですが、心の傷より私への忠義を優先してくれたんです。忠義も立派な絆ですわ。

 人族同士でも難しい絆を、言葉すら理解できない獣とどうやって構築していくおつもりですか? まさか“魔獣の首輪”の様に強制しますか? そんな事をすれば魔族と同じですわね。その事をよく理解していたのがお爺様、ガウラ様です。だからこそ、マジックアイテム“恭順の首輪”を全て、私に譲渡したのです。

 それでも、魔獣部隊を作りたいのなら、私が必要不可欠ですわね。ですが、その部隊は王様の物ではなく……私の物ですわね! オホホホ! ちなみに、私の忠義は……私の物ですわ! オホホホ!」


 声高らかに笑った私は、やっとお父様達を見たの。

 うふふ、壮観ね。

 だってみんな等しく、アホ面下げているんですもの。

 大ウケですわ。


「ハチ、ヘルシャフトを解除してちょうだい。ネズミ達は……そうだわ! 今度から、あなた達の事をネズミ隊と呼びましょうね。私にとって千人力の部隊だわ。これからも、よろしくね」

『『『『『はっ』』』』』

『ヘルシャフト解ワン!』


 言いたい事も言えたし、理解もしてくれた様なので私は御居処しましょう、などと思ってお父様を見たわ。

 私に早く退席して欲しいと物語っていましたしね。

 そんな顔をしているもの。

 ヤレヤレ、その通りに致しますわよ、お父様。

 ところが、言いだす前に席を立ち最敬礼をした人がいたの、王様にでは無くて私とお父様に。


「ガロス! ナナ君! これまでの非礼を詫びたい! 申し訳なかった!」


 イヴァン様が大きな声で謝罪してくれましたわ。

 突前の申し出に驚きましたわね。

 勢いよく下げている、顔を上げましたわ。

 その顔には、慚愧の念が感じ取れたわね。

 まぁ〜、反省だけならサルでも出来ますけれどね。

 追い打ちをかけようかしら?

 傷口に塩でも塗り込めましょうかしら?

 少しだけワクワクしだした私に、水を掛けた方が居りましたの。


「ナナに尋ねたい事がある。どうすればいい。魔獣を倒す為には何個中隊あれば良い。あの山の向こうには、どれ程の戦力がある。我々は駆逐されるのかぁ」

「はぁ〜、マギノ様。勇者と言う生物は単細胞の方が多いのですか? それとも、この報告書が悪いのですか? 少し読ませて貰っていいですか?」


 お父様の目の前にある、報告書をパラパラと流し読みいたしました。

 間違えた箇所も、足りない所も、無いように思うのですが……。


「はぁ〜。間違えた所もありませんし、足りない所もありませんが! 説明不足の箇所があります。私は鬼でも悪魔でもありませんわ。もう! お聞きになりたい事が御座いましたら、聞いて下さい! ちゃんと理解出来るまで、御説明いたします。聞いてますか? ルバー様!」

「あ、あははは〜……はぁ〜。言い訳が通じるのならさせて下さい。兎に角、早く。一刻でも、早くと思い急いで製作した為に、説明不足だった事は認めます。みんなに、魔獣が危険な生き物であり、勇者全員で対処しなければいけない存在である。そう結論が出せるように報告書を纏めたから、抜け落ちていた部分があったと思う」

「私も変だなぁ〜、と思いました。ルバー様ったら、最後まで見ずに帰られるんですもの。では、私から説明いたしますね。おそらく、これこそが魔獣に対抗できる対策だと思いますわ。と! 言ってもこれまでの、考察をして鍛錬をして、を繰り返すのが1番なんですけれどね」

「それは、どう言う意味だ?」

「はい、王様。ここに書いてあります通り、魔獣が“恭順の首輪”をしてステータス画面が出たと記載あります。その通りですの。首輪を嵌めると画面が出てきて、魔術の操作や自身の力を数値で確認する事が可能です。その時、この子達が何より驚いたのは、自分達が使っていた技に名前があり、視線を合わせる事でも発動する事です。さらに、スキルについても驚愕だったようですわ。忠大などが魔力無しで使っていた技がスキルと言う名前で表された事にビックリしていたわね。と! 言うことは……魔獣や魔族に、魔術やスキルという考え方がないという事です。

 魔力は魔術を使う糧に過ぎぬ! まさにこの言葉通りですわ。魔力の量では魔獣に敵いませんし、体術や体格でも手に届きませんわね。ではイヴァン様とマギノ様はなぜ、勝てたのでしょう? 答えは簡単ですわ。魔術です。洗練された強力な魔術の賜物です。分かりますか? 先ほどの、ハチとルバー様のヘルシャフト対決で、ハチが勝ちましたわね。それはヘルシャフトを考察して、鍛錬を繰り返した成果です。まずは魔術1つ1つを考察し直して鍛錬をし、1人では戦わない事です。小さな部隊で個別撃破が理想ですわね。えっ〜と、パーティーを組めば色々と良いかもしれませんわね。そのパーティーで考察・鍛錬をすれば連携も取れて魔獣に遅れを取る事も無くなるのではありませんか?」

「ナナ君の言う通りだが、それは勇者のみに有効な手段であろう。異世界人にも使える手ではある。一般兵には魔力が無いから10人居ても、100人居ても同じで烏合の衆にしかならない。1000人居て隊列を組む方が良いように思う」


 イヴァン様の言う事は最もだけれど……魔力が無くてもスキルが使えるのに!

 そんな事を思ってお父様を見ると、何とも情け無い顔をしているんですもの。

 貴方がしっかりしないでどうしますか!

 お父様、しっかりして下さい!


 はぁ〜、私は当分みんなの元には行けないわね。

 はぁ〜、この円卓会議はいつ終わるのかしら?

 はぁ〜、はぁ〜、はぁ〜……ため息しか出てこないわ。

ロクの魔獣化はサーバルキャットです。

いいですね。

私的には犬が好きなのですが、猫も大好きです……が!

猫アレルギーなので、アウト!

テレビなどで眺めるだけです。


次回予告


「ここが、予告コーナーですのね」

「はい。ソノア様。次回予告をするスペースだそうです」

「リルラ、ナナはいないの?」

「ナナ様は本編に出られており、ここには居りません。ソノア様。そろそろ、次回予告いたしませんと、ここはそういう場所です」

「そうなのね。・・・・で! 何を言うの?」

「……ソノア様。私が致します。僭越ながら、次回予告!円卓会議も佳境に入り。魔獣に対抗する手段を模索する貴族と王様。そのヒントとは! ナナはみんなの元に帰れるのか!来週で円卓会議が終了するのか! 読みどころたくさんの41話! 乞うご期待!……こんな感じで如何でしょうか?」

「ソノア、凄い! わたくしも楽しみだわ。でも、旦那様の弱点がわたくしって。何だか、鬼嫁みたいですわね」

「………」


それでは来週会いましょう!


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