30話 あらあら、ヘルシャフトですって
ロクと忠凶が魔獣化し、黒属性の魔力を高めた為に様子を見に来たルバー様。
そのまま魔術ブラックホールの考査までする事になったのよね。
そこまでは平和だったわ。
問題はそれから先よ。
件のルバー様。
天地万物の勇者は伊達てでは無くて本物なの。
でも……ね!
誰にでも秘密はあるものよ。
ルバー様の秘密って、運動オンチと視力の悪さだったの。
ハチとロクが、面白がっちゃったのがいけなかったのよ。
きっとね!
スキル闘気功の薄玉を使って新しい魔術を完成させた。
ブラックホールとは別のね。
水属性のシャワーと風属性のドライヤー。
そこで私がいらぬ事を口走ったばっかりに、ルバー様を壊してしまったの。
私は閃きをしただけだったのよ! 本当よ!
ルバー様が、薄玉と界面張力理論で高性能のレンズを創ってしまったの。
大きさも屈折率も、変えられるレンズ。
その名もコンパクトレンズ。
冗談みたいな話しよね。
ところが話はここで終わらなかったわ。
ハチが突拍子も無い事を言い出したの。
もちろんハイテンションのルバー様に聞いてみたわ。
だって私、今本人の左腕に抱かれていますもの。
一番近くにいる人、に聞くのは当然ですわよね。
「ルバー様。ハチが、白属性と黒属性は相反する属性。でも正反対だからこそ似ている属性。という事は白属性でもブラックホールは出来ないのかと聞いていますわ。そんな事できますの?」
私のこの質問に、少しだけ冷静になる成分が入っていたみたい。
真面目な顔をして、ハチをマジマジと見つめながら説明をしてくれたわ。
「ハチの……言う通りだね。1番、理解しやすいのは魔術ザイルだ。黒属性の拘束術で、コレは白属性でも術を発動する事が出来る。魔術ホワイトザイルだね。確かに、稀ではあるが同じ理論を用いて、違う属性で発動する魔術がある。ガロス、お前はどう思う?」
「……うむ……確かに出来るかもしれん。そもそも空間理論が白属性だからなぁ。出来るかもしれんが……そう簡単にいかないのが理論であり魔術なのだよ。ナナ」
「では、お父様は出来ないと?」
「そうでは無い。難しいと言っているんだよ。ルバーでも、違う属性で魔術を発動させる事は出来無いんだよ」
「難しいだ!」
「はいはい、難しいね。ルバーよ……そんなところで張り合うな。はぁ〜」
「うふふ、そうですわね。でも」
私の次の言葉を遮ってハチが叫んだわ。
取ったどぉ! ってね。
『出来たワン!』
「「!!!」」
「で、出来たの?」
『そうワン。術が発動すると内容も理解できるワンね。なるほど、なるほど。面白いワン!』
「そ、そうなのね。ルバー様。私をハチに乗せてください。話を聞きますので少し待っていて下さいね」
「も、もちろんだよ」
私をハチに乗せてくれたルバー様は、誰かにスキル意思疎通でお話をした後、お父様と話し込んでしまったわ。
「ハチ!説明よろしく」
『はいワン』
リンゴ箱の上に薄玉を置いて説明してくれたわ。
どこをどう見ても、魔力察知を使っても、薄い玉なのよね。
白属性の魔力が込められているはずなのに……?
『コレは、薄玉の中を完全に支配することができる魔術ワン。空気を抜いたり、増やしたり、重力で押しつぶりたり、無重力にしたり、気圧を上げたり、下げたり出来るワン。さらに殺すことも生かす事も出来る。解除すると、入った時の状態に戻るワン。でも、身体の中身に及ぼす状態異常は元に戻してから解除しないとそのままワン。殺した場合は生かしとかないと死んでしまうという事。ちなみに、やり方はブラックホールと同じワンね。何かいい名前ないワンかぁ?』
「名前ねぇ~。ブラックホールと同じ時空理論を用いているからホワイトホールでいいんじゃない?」
『……白い明日なんか待っていないワン。それに負ける匂いがプンプンするワンね』
「だ、だったら……ブラックホールが英語表記なので、ドイツ語表記はどうかしら? 支配のヘルシャフトはどう?」
『いいワン! かっこいいワン!
次に空気を抜いたり、重力をかけたり、気圧を上げたり、殺したり、生かしたりは何かいい言葉がないワンかぁ?』
「え! そ、そ〜ねぇ。でも動詞を付けるからには言葉が長くなるわね。“空気を抜く”とか“重力を上からかける”とかリバースみたいに簡潔な言葉は無いわね」
『ナナは勘違いをしているワン。言葉は飾りワンよ。だから動詞はいらないワン』
「え! だったら、ここは日本語と言うより漢字1文字はどうかしら? 空気を抜いたり増やしたりする時は空、重力をかけたりする時は重、気圧なら気、殺すなら死、生かすなら生、解除せずに入った時の状態に戻したい時は戻、最後に解除するときは解。コレで分かりやすくて、叫びやすいわね……え! 叫ぶ?」
自分で言っておいて変な事に気が付いたわ。
何で叫ぶなのかしら?
そう感じていたのは私だけで、ロクもネズミ達も大きく頷いていたの。
ハチに至っては……はぁ~。
『かっこいいワン!
解……したら駄目ワン。危なかった。忠大、考査に協力してくれるネズミを1匹、連れてきてくれワン。もう少し試してみないと解らない事だらけだから、よろしくワン』
『はっ』
真面目な顔をし、内容も真っ当な話しのはずなのに、どこかおちゃらけている様に感じてしまうのはロクとネズミ達のせいね。
どこぞの戦隊モノじゃ〜あるまいし、技名を叫ぶだなんてあんまりよね。
ため息混じりにそんなことを思っていると、ルバー様とお父様が私の側に来てくれたの。
「お話は終わりましたか?
私の方はハチにしっかり聞きましたよ。まだまだ考査をしなければいけないようで、手助けしてくれるネズミを探しに行ってもらっています」
「僕の方も終わったよ。セジルとオットーに連絡して時間を強奪してきたから!
ちなみに、オットーは僕が雇っている秘書件身の回りの世話をしてもらっている人だよ」
「あら! 便利なお方をお持ちですのね」
「だろう〜。優秀なんだが、男なんだよね……眉目秀麗なんだが、男なんだよね……はぁ〜」
「そんなことを言ってると、オットーに捨てられるぞ!」
「なに!」
「うふふ。ルバー様は弱点が多い方でしたのね」
「そうさぁ〜、姫様。私は弱点だらけの優男。そばにいてくれるかい?」
「ルバー!貴様、いい加減にしろよ! お前なんか俺は認めんからなぁ!」
「お父様もルバー様も、悪ふざけも大概にしてください。時空理論を白属性の魔力で発動した新しい魔術の説明を致しますよ」
「「はーい」」
漫才のようなやり取りを諌めて、ハチから聞いた話をしたわ。
再度、壊れ始めたルバー様。
アイテムに関してはお父様が壊れそうで、魔術やスキルに関してはルバー様のようね。
さすがスキル全能の保有者ですわ。
「なるほど、なるほど、なるほど! 面白いぞ!!」
やはり壊れたルバー様。
リンゴ箱に鎮座していると思われる、魔術ヘルシャフトをマジマジと見ているわ。
「なるほど、なるほど、術が完成し発動すると無属性になるのかぁ。面白い!」
大興奮ですわね。
そこに、忠大の後ろから一回り小さいドブネズミを連れてハチの側に来たの。
『ハチ様。連れてまいりました』
『よろしく〜ワン。死ぬような事は無いから安心してほしいワン』
死のワードに狼狽えるドブネズミ。
何で、そんな物言いしか出来無いのかしらね。
「ハチ! そんな言い方をしてはダメよ。
ごめんなさいね。私はルジーゼ・ロタ・ナナです。貴方の生命は保証いたします。あ! そうだわ! もし、最後まで協力していただけるのならこちらを進呈いたしますわ。いかがかしら?」
私が差し出したのは3センチ真四角のチーズ。
ネズミ達がおやつ用に取っておいた品物なの。
そのネズミ達は……5匹全員、項垂れているわ。
うふふ、よほど楽しみにしていたようね。
「後でもらってあげるから……ね!」
『いいえ! 大丈夫です。たかがチ、チーズの1つや2つ平気です』
『チ〜〜ズ〜〜』
恨めしそうな声は忠凶からね。
まぁ、聞かなかったことにしょう。
『コレくれるならやるチュウ。このリンゴ箱の上に行けばいいチュウかぁ?』
『そうワン。食べる前にそのチーズを持って入ってくれワン。食べ物も観察したいワン』
『わ、分かったチュウ』
片手で大事そうに抱えて、恐る恐るハチをジロジロ見ながらリンゴ箱の上にある薄玉に入ったわ。
音にするならプゥルリィン、そんな感じね。
『今は平気ワンね』
『はい……チュウ』
辺りをキョロキョロするドブネズミさん。
何も無しと判断したのか、落ち着いてこちらを見ましたわ。
「ハチ。貴方と同じ様に話すから、ワンと言わないでね。つられちゃうわ」
『分かったワン。でも……可愛いのに……ワン』
「ゴホン!お父様、ルバー様。今からこのドブネズミさんが考査に協力してくれます。ハチが話した通りに私が話します。質問は後から受け付けますので、ご了承ください。では、ハチよろしくね」
『はいワン』
「だから、ワンは無しで!」
「クゥ〜ン」
ハチはチェ! 可愛いのになぁ〜と言いたげな顔をしていたわ。
ロクは何が面白いのか理解に苦しむけれど……ニタニタしているのよね。
あの顔は、私がワンと言うのを期待しているのね!
絶対、言わないんだから!
「『今から、空気を抜くワン』ます。も!ハチ!ちゃんとして!!」
『は〜い』
ハチの尻尾が下がったので、反省していると解釈したわ。
私は頭を撫でてから、やり直しを要求したの。
「ハチ。今度こそ……よろしくね」
頷いたので良しとするわ。
「『空気を徐々に抜く』」
「『空』」
そう言った途端、もがき苦しみ出したわ。
1分ほどで仰向けになりピクピクしだしたの。
あ! と思ったらハチが。
『戻』
「戻」
私が少し遅れて言ってしまったけれど、その言葉でケロリと元に戻ったのよね。
「『重力を上からかける』」
「『重』」
今度は上から潰さんばかりに、ドブネズミさんを押さえつけ始めたの。
その隣で、チーズが煎餅状態になっていたわ。
「『戻』」
まさに魔法の言葉。
この一言で元の姿に戻るの。
今回もよ。
煎餅がチーズに……不思議。
ハチはいろんな事を試したわ。
毒状態にしたり、無重力にしたり、眠らせたり、泣かしたり。
本当にありとあらゆる事をしたの。
もちろん全てその状態になる、そして戻で元通りになる。
魔術の怖さを思い知った気がしたわ。
人の体で同じ事が出来ると思うと、とても怖いわね。
「『これが最後、死ね』」
「『死』」
衝撃的だった。
誰もが、1度は口にする言葉。
“死ね”
この言葉の持つインパクトは、とてつもなく強い破壊力があるわね。
私の心が潰れそうだわ。
もちろん、ドブネズミさんはその場で倒れて息をしなくなった。
「『生』」
その反対で、なんて温かみのある言葉なのかしら。
聞いている私にも、力が湧いてくる言辞よね。
ドブネズミさんも、何事もなかったように起き上がったわ。
本当に不思議よね。
「『解ワン』……ハチ!やったわね!」
『やった! やった! やった〜ワン! ナナのワンも可愛いワン』
「はぁ~、全くもぉ〜。恥ずかしいじゃないの」
私の嘆きをスルーされてしまったわ。
お父様もルバー様も、割れるように消えた薄玉に夢中。
そこは良かったわね。
薄玉が消えた後には、入ってきた時と同じ姿勢のドブネズミさんとチーズが居たしあったの。
「ハチもういいのね」
『はいワン』
「ドブネズミさん。本当にありがとうございます。そのチーズ食べてくださいね」
「チュウ」
掛け声一発、口にチーズを咥えて走り去ったわ。
実は私とハチは、スキル意思疎通で話す内容とタイミングを図っていたの。
でなければ、あそこまでバッチリ行かないわ。
「ハチ……どんな感じなの?」
『凄いワン。あれだけ色んな事をしたのに僕のMPが全く減っていない。最初の発動する時だけで後はいらないみたいだ。面白すぎる……ワン』
「そうなんだ。私も魔術を疑似体験したわ。何とも不思議ね。お父様、ルバー様。最初だけで後は全く減らなかったようです。魔術における言葉とは何ですか?」
不思議そうにリンゴ箱を見つめていたルバー様。
私の質問に、頭の中の思考を止めて答えてくれたわ。
「なぜ?」
「ハチが“言葉は飾り”だと話していたので。では魔術における言葉とは、不必要なモノなのですか?」
ニッコリと笑い、朗らかに答えてくれたわ。
「そうだね。言葉は飾りだ。ハチはいいこと言うね。その通りなんだよ。“魔術とは理論”だ。もちろん理論をぶつけ合うときは激論をする、その為に言葉を弄する。しかし、魔術となった時、言葉は不要となる。よく考えてほしい。ステータス画面の魔術欄に視線を合わせるだけで発動するんだ。言葉などいらないと思わないかい?」
「確かに……そうですね。要らないです」
「だろう! だったらなぜ、魔術名を言葉として発するのか! それは、危ないからだよ。突然、後ろからファイヤーボールが飛んできたら驚くだろう。パーティーを組んだり、複数人で行動する時などは、見方の魔術で怪我をする事が続出したからね。技名を言葉で発するようになったんだよ。今では暗黙の了解となっている。叫ぶ際、長いと困るからね。言う方も聞く方もね」
「なるほど! とても良く理解出来ました」
「そうかい。それでは、魔術ブラックホールとヘルシャフトを世界に披露しょうかね」
ルバー様は訓練場の真ん中手前まで行き、大きな声を上げたわ。
「行くよ! まずは……ブラックホール!」
ルバー様の頭上に出現したブラックホールは、ロクが作ったモノより大きく密度が濃いような気がしたわ。
だって黒かったモノ。
怖いくらいの黒……ロクのブラックホールが漆黒色ならルバー様のブラックホールは暗黒色……違いが分かり難いわね。
でも魔力の差なのかもしれないけれど、すごい感じがしたわね。
「お~い! 攻撃よろしく!」
「ニャ」
「ワン」
「チュウ」
「おう」
最後はお父様。
字面だけ見るとハチ達と変わらないわ。
子供という事かしら?
私はそんな埒もない事を思っていると、みんなが次々に魔術をルバー様に放ちだしたの。
しかもこの子達、魔獣化までして魔力を上げていたわ。
倒す気満々ね。
『ファイヤーボール』
『ウインドボール』
『『『『『ブラックボール』』』』』
「無闘玉」
「なに!! 怖いわ!!!」
ルバー様に向かっていた魔術達は、綺麗にブラックホールへと吸い込まれたわ。
あっという間にね。
腰を抜かしていたのは……可哀想なので割愛いたします。
武士の情けですわ。
「大丈夫と分かっていても、怖いわ。
ひっくり返して、もうちょい上だなぁ〜。う〜ん……よし! リバース」
何が、う〜ん……よし! なのかと言いますと。
ルバー様がリバースしたのは、お父様が放った無闘玉。
選んでリバースしたみたいなの。
凄い事なのに、残念感が否めないわ。
「お前のスキルなどいらんわ!!」
「なに!!」
「解。あははは! 凄いぞ! 魔力が戻ったぞ! まさかMPが回復する魔術が存在するとは……素晴らしい! ロクは凄い凄い凄いよ!
次はヘルシャフトだね。まずは薄玉を作って……ヘルシャフト……なるほど、なるほど」
とブツブツ言いながら、私達のところに来たルバー様。
お父様はまだモゴモゴ文句を話しているけれど、スルーでいいわね。
リンゴ箱にヘルシャフトを乗せたわ。
手には白く可憐な花が植木鉢ごと出現していた。
それを中に入れて、考査の始まりね。
ルバー様はひと通り試したわ。
最後に……。
「枯。そして、解」
「ルバー様! それは」
そう、ルバー様は枯らしたまま解除してしまったの。
ハチ曰く、体内系の技は元に戻さないとそのままになってしまう、との事。
その通りに白くて可憐な花がものの見事に枯れちゃったわ。
可哀想な事をするのね。
「なるほど、なるほど、本当に枯れたままだよ。ガロス、この魔術ヘルシャフトは暗殺行為を防ぐ事も出来れば、拷問や尋問にも使える。間違って殺したとしても生き返らせる事が出来るから、安心して詰問できる訳だね。……これは……恐ろしいなぁ。どう、思う?」
「防ぐにはどうしたらいい?」
『簡単ワン。発動する時、白属性の魔力の高まりを計算すれば分かるワン』
「確かにそうだけれど。四六時中スキル気配察知を作動し続けていると、気分が悪くなりそうよ」
『そうかぁ~』
「なるほど、なるほど、ハチが言いたい事は分かる。しかし、それは別な方法を考えるべきだろうね」
「え! ルバー様! ハチの話した内容が理解できたのですか!?」
「分かるわけ無いよ。クゥ〜ワンワンにしか聞こえないよ。ただ、これまでの流れと、ナナの言葉と、僕も同じ事を考えていたからね。勘で話しただけだよ」
「そうですのね。ちょっと残念ですわ。でもヘルシャフトがそんなに危険な魔術ですのね。お父様……どうしましょう」
「まぁ〜大丈夫なんじゃないかぁ。なぁ、ルバー」
「だろうねぇ」
「え! どういう事ですの?」
「それはね。この魔術を……」
ルバー様の言葉を、叫び声が遮った。
その者は誰!
『『『『『姫様! ブラックホールが使えません!』』』』』
ネズミ達の悲鳴が木霊したわ。
「え? ルバー様! お父様! ネズミ達が魔術ブラックホールが使えないそうです」
「……さては……ネズミ達はスキルを多用して魔術をあまり使っていないようだね」
「そうなの?」
『はい、その通りです。私達は魔力が低く使い物になれませぬゆえ。スキルをよく使います』
「あら、あまり使ってないようですわ……って、それの何が悪いのかしら?」
「ナナはこちらの常識には疎いようだね」
「……すいません。ルバー様」
「謝ることはないよ。これから学ぶのだから気にすることは無い。なぜ? ネズミ達が使えなかったのか。それはね。黒属性の熟練度が足りないからさぁ」
「それはスキルではないのですか?」
「考え方、やり方はスキルと同じだよ。魔術は理論で強化されたり、新しい術が生まれる。では、属性とは熟練度で強化される。魔力を使う事で、流れを読み操り慣れる。おそらくネズミ達は黒属性の熟練度が足らないのではないかなぁ? 地道に使い熟練度を上げていくしかないね」
「そうなのですね。納得ですわ」
「まぁ~魔力のあるヤツは大変だね。俺やナナには魔力が無いからマジックアイテムを使う。その場合は理論だけで魔術を発動する事が出来る。魔力があるのも良し悪しだなぁ~ルバー」
「なに!」
お父様とルバー様の不毛なやり取りは、絶え間なく続いているわ。
それにしても属性に熟練度があるなんて初耳だわね。
ネズミ達は目を輝かせながら。
『熟練度を上げれば、私達にも使えるようになるぞ! 今日からブラックボールを100発だ!』
『『『『おー!』』』』
盛り上がっているわ。
元テニスプレーヤーと同じ熱量で燃えているのよね。
はぁ~、怪我だけはしないで欲しいわ。
明日から私……学園に入るのに……不安になってきたわね。
はぁ~、大丈夫かしら?
新しい魔術ヘルシャフトのお披露目です。
魔術のランクとして、ヘルシャフトはブラックホールと同じです。
ちなみに、ヘルシャフトやブラックホールを使えるほどの魔石は……別荘が買えるくらい……です。
次回はネズミ達の報告会の話です。
ネズミ達は何の報告をするのでしょうね?
それではまた来週会いましょう。




