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20話 あらあら、恭順の首輪ですってパート2

 無事に恭順の首輪を付ける事に成功したのよね。

 嬉しかったわ。

 でも……確かに、このアイテムなら魔力が無い人にも力を手に入れることが出来る。

 問題は魔獣と人族に横たわる恐怖と偏見ね。

 前の世界でも偏見による差別は末代まで続いていたもの。

 難しいと言うより、無理よ。

 人の根源は前の世界でも、今の世界でも同じだと思うから。


 さて、残るはハチとロクだけれど……。


「ハチ、ロク。どっちからする?」

『あたしからしたいニャ』

『いや、僕からするワン。ネズミ達は魔力が少ないから何も無かったかもしれない。僕よりロクの方が魔力が多い。もし、ロクがオーバードライブしたら誰も止められない。僕からするから……後を頼むワン』

『……分かったニャ』

「話は決まったみたいね。お爺様、もう少し下がってください」

「うむ……わかった」


 お爺様は私を抱えて、訓練場の縁へと移動してくれたわ。

 そこまで下がらなくてもと思ったけれど、これが大正解。

 ハチは人族側に来て初めて魔力を開放し、本来の姿を見せてくれたの。

 一番変わった所は、大きさと魔力。

 大きさは前の世界で言う所の、市営バスサイズ。

 そして魔力なんだけれど……私は魔力を全く感じないから、ダメね。

 今からスキル魔力察知を取得してオンにしたわ。

 感じるわ!

 ハチの魔力を感じる。

 そうねぇ……ハンナと同じくらいかしら。

 そう思って視線をハンナに見ると、彼女は目をまんまるにして驚いていたのよ。

 なぜなの?

 そしてお爺様も、なぜ?


「お爺様。なぜそんなに驚いているのですか?」

「なぜ……じゃと。このサイズと魔力。これ程の魔獣を見たことが無い。もし暴れだしたら、ワシだけでは無理じゃなぁ。風と白の魔力を感じるのぉ。だったらガロスでは難しい、ワシとルバーなら対処が出来る」

「お爺様……魔力の大きさならハンナと変わらないように感じるのですが?」

「むむ、ナナ……」

「はい!スキル魔力察知をオンにいたしました」

「うむ、それはいい心がけだぞ。だがしかし、魔力だけで強さを判断してはならぬぞ。魔力は魔術を使う糧に過ぎぬ。ハチはスキル闘気功を使う。その事を踏まえると……やはりワシとルバーが適任であろう。ナナ……仲間は大切にするのだぞ」

「もちろんです!ハチは私の足ですから。そしてロクは私の魔力、ネズミ達は私の目です。私の身体の一部です」


 私はハチとロクが褒められた事が嬉しくてニコニコしていたら、風が巻き起こったのよね。

 何事!と思ったら、ハチが私のニコニコに反応して尻尾をフリフリ、風がピューピュー。

 大きさを考えてほしいわね。


「ハチ!風が凄いから尻尾フリフリは止めて!!」

『ごめんワン。ナナが嬉しそうにしていたら自然に揺れてしまったワン』


 あらら、シュンとしちゃった。


「うふふ、恭順の首輪をするわね。ハチ……これからもよろしくね」

『もちろんワン』


 首輪に血を付けてハチに向けると、私の手を離れ忠大達と同じ動きをして頭の上で止まったわ。

 身体検査が終わった感じね。

 黒の魔方陣では無くて、白色で翡翠色の縁取りがしてある魔方陣が現れたと思ったら、ハチの首に魔方陣と同じ色の首輪が嵌ったの。


 そして……。


『ナナ!僕のステータスだ!!』

「そうね!ハチ……大丈夫?」

『僕は何とも無いよ……面白い!面白いよ!!』

『ナナ!あたしもしてニャ~!!』


 大興奮のハチと大暴れのロク。

 収拾がつかないこの状況。

 大暴れのロクに首輪を付けないとね。

 また訓練場がボコボコなりそうだわ。


「ロク!落ち着いてちょうだい。本来の姿に戻ってOKよ」

『分かったニャ』


 この一言でロクは本来の姿に戻ったの。

 この時の私は、嬉しさのあまり色んな所への配慮に欠けていたわ。

 ロクはハチとは違うのよ。

 魔力の大きさではなくて……。


「ナナ!ロクは違う属性の魔力を3つも持っとるのかぁ!!」

「お爺様?」

『ナ〜ナ〜』


 こちらに向かって駆けてくるのは、動物の豹をライオンサイズにして左目がクリムゾン色で右目が水色で尻尾が二又……ちょっと怖いわね。

 そんな風に思っていると、恐れをなした兵士の1人がロクに向かって手にしていた槍を投げてしまったの。


『ふん!へなちょこだニャ』


 言い捨てたロク。

 向かってくるスピードは落とさずに、夏みかんサイズのファイヤーボールを出し槍が飛んでくる方角に設置。

 着弾すると溶かさんばかりに融解したの。

 夏みかんサイズから晩白柚サイズに変わったファイヤーボールは、尻尾の先でリフティングしつつ私の側まできたわ。

 ファイヤーボールにしては変ね。

 そんなこと言ってる場合じゃないわ!


「ロク!大丈夫……なの?」

『平気ニャ。あんなの攻撃の内に入らないニャ』

「そ、それは……どうするの?」

『まぁ~見てるニャ』


 文字通りニャリと笑って。

 二又の片方の尻尾でファイヤーボールを操りながら、もう片方には夏みかんサイズのウォーターボールを出したのよね。

 なに?と思う間にファイヤーボールを東京タワーと同じくらいまで上げて、後を追うようにウォーターボールも投げたのよ。

 すると最頂点に到達したファイヤーボールにウォーターボールが激突、炸裂。

 花火のような華やかさがあったわ。

 玉屋~!

 叫びそうになったわね。


「綺麗ね」

『ありがとニャ』

「うふふ、ロク……これからもよろしくね」

『もちろんニャ』


 私にゴロニャンと鳴きながらお座りをしたロク。

 ライオンもネコ科よね……まぁ、可愛いからOKよ!

 恭順の首輪に血を付けてロクに向けるとハチと同じ様な動きをしたわ。

 検査も終わりで、黒色の魔方陣が現れた。

 よく見てみると黒ではなくて外の縁は赤で内側は水色、奇妙な色合いよね。

 もちろん首輪も同じ配色になったの。

 パッと見、黒い首輪だからいいのだけどね。

 そして当のロクは……。


『ナナ!あたしのステータスなのニャ!』


 大騒ぎ。


「ハチもロクも落ち着いて!普通サイズに戻ってよ!話し難いわ」

『ごめんワン』

『ごめんニャ』


 普通サイズの犬と猫になったハチとロク。

 どことなく、シュンとしているのが可愛くて手を伸ばして撫でてあげたわ。

 気持ち良さげに喉を鳴らす2匹。

 私の体の一部よ。

 大切な仲間。

 本当にありがとうね。

 ちなみに2匹のステータスなんだけれど……なにが凄いのかよく分からないわ。

 とりあえず、こんな感じよ。


【ハチ】オス Eランク

 《配下魔獣 ウインドーウルフ》

 HP=3000

 MP=6000

 STR(力)=2000

 VIT(生命力)=1500

 DEX(器用さ)=1500

 AGI(敏捷性)=3000

 INT(知力)=2000

 《魔術=白属性・風属性》

 ウインドーボール(風)

 ウインドースピア(風)

 ウインドアロー(風)

 トルネード(風)

 スプリングボード(風)

 ホワイトシールド(白)

 ホワイトザイル(白)

 女神の涙(白)

 《特殊魔術》

 魔獣化

 《スキル》

 影・意思疎通・完全擬装・魔力感知・闘気功



【ロク】メス Cランク

 《配下魔獣 黒ヒョウ》

 HP=4000

 MP=8000

 STR(力)=1500

 VIT(生命力)=2000

 DEX(器用さ)=1000

 AGI(敏捷性)=2000

 INT(知力)=1700

 《魔術=黒属性・火属性・水属性》

 ダークボール(黒)

 ダークシールド(黒)

 ザイル(黒)

 ロック(黒)

 ヒプノティック(黒)

 ファイヤーボール(火)

 ファイヤースピア(火)

 ファイヤーナイフ(火)

 ファイヤーウォール(火)

 メルトボール(火)

 ウォーターボール(水)

 ウォータースピア(水)

 《特殊魔術》

 魔獣化

 《スキル》

 影・意思疎通・完全擬装・魔力感知・闘気功



「お爺様。ハチがEランクでロクがCランクです。どれほどの実力ですの?」


 と軽く聞いたのに返事は無かった。

 顔を覗いてみると目は見開き、口はワナワナと震えていたの。

 よく周りを見てみるとお父様もハンナもルバー様も同じ姿だったわ。


 なぜ??

 私にはさっぱり分からないわね。


ハチとロクのステータス登場です。

例文にもれず変わる可能性があります。


本来の姿はいかがでしたか?

大きいことは正義です。

私もふくよかですので正義です。


それではまた来週会いましょう。

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