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134話 あらあら、未来予想……図? ですって

 私が何故、この揺りかごに来たのか?

 その理由を知ったわ。

 私は……私たちは、龍神の尻抜いでこの世界に居るのよ。

 そもそも、この世界は神の揺りかご。

 その成り立ちから教えてくれたわ。

 龍神とはって話よ。


「妾たち龍神は……神龍を守り育てる者。その……神龍とは……神そのものなんじゃ。神が生まれれば、育成するための星を創る。揺りかごじゃな。その揺りかごを管理する者、神を育て守る者、どちらも同じ龍神なんじゃ。妾たち龍神は、神と同じ力を持ち、神が神として神龍になるまで守り育てる役目を持っておる」


 ククルが聞かせてくれたわ。

 なるほどね。

 龍神とは、子守をするイン、フル、エンサーの3人のと、食事の用意をするトッシュやククルたち。

 もっと詳しく言うなら、神龍である幼名ちょこ様のお世話。

 ちょこ様と龍神の食事である魔力が充満している揺りかごから、消化し栄養素として取り込むための苗床である星、揺りかごの育成管理をする。

 そう、龍神とは私たちの管理者だったの。


「役目が終わればどうなるの? それに、神龍になれば私たちが生きるこの揺りかごはお払い箱?」


 ククルの言葉尻が気になり、質問したわ。

 言いにくそうに、目を泳がせながら話し出したの。


「……そうじゃな。中には、最高の苗床……う〜ん、苗床より揺りかごの方が良いのぉ……最高の揺りかごと認定されれば、そのまま宇宙の揺りかごとして認められ、残る事もあるんじゃ。しかし、この揺りかごは……」

「初めから間違えてしまった」

「そうじゃ。妾のせいじゃな。ナナ、そんな顔をするで無いわ。分かっておる。泣き言は言わぬ。今はアークの力を取り込んでいる、刀祢に会わなければ何も始まるまいよ。それに、妾の神龍は一筋縄ではいかないようじゃ。今も暴れているのが感じ取れる。トッシュが起こしてしまったからのぉ。オホホホ」


 呆れるわね。

 まだ、そんな事を言っていたのよ。

 でも、私が怒るより先に自覚していたのよね。

 流石だわ。

 このとき本当に、フッと頭に浮かんでしまったの。



 私の竜坊はこの世界のために……殺されたの? ?



 この想いが、私の頭や心やカラダ全体に溢れてしまいそうなぼどいっぱいになったの。

 思わず質問したわ。

 その答えが……。


「……」


 沈黙。

 私の想いが、肯定された様で悲しかった。


「ククル! どうして答えなてくれないの? それは、本当の事だから! ! ! 」

「違う! ナナ、それは違うぜ。俺たち龍神は、揺りかごの魔力を使う動物や人を成熟している星から譲り受けるんだ。厳密な審査と調査を繰り返して、貰う動物と人を選ぶんだぜ。もちろん、命を奪うことなんかしない。終える命の中で、未来のある命や徳の高い命、悲しみに染まっていない命を選び、調査をして決定するんだ。厳重に綿密に、計画を立てて実行するんだ。軽はずみで命を弄ぶような事は決してしない!」


 トッシュが代わりに言い訳をしてくれたわ。

 だったら尚のこと、刀祢がこの世界に来た事が許せなかった。

 その思いをぶつけたら、思わぬ方向へと話が進んだの。


「まさに、事故じゃったんじゃ。終える命の中で鐡竜一はすぐに決まったんじゃ。かの者は美しい命の灯じゃった。次を探している時に、ちょこ様が暴れて、手当たり次第に物が飛び色々な所を触り壊したんじゃ。その際、押してはいけない強制転移のボタンを……。言い訳にすぎぬな。

 刀祢の乗った護送車と岩城秀幸いわきひでゆきたちが乗った車が衝突した瞬間、強制転移のボタンが押されたんじゃ。そのまま、この世界に来てしまった。刀祢以外は存外良い命の灯じゃったから、問題無かったんじゃ。しかし、刀祢だけは、この世界に不要な命。その、黒い汚点に対抗するため。そして……鐡竜一のサポートをするため。転生を決めたのが、鐡ナナなんじゃ」

「私? !」


 なんと!

 私は、竜の手助けをするために居たのね!

 ある決断をしたわ。


「だったら、答えは1つよ! 後、2年で私はこの学園がら卒業するわ。その後……私はあの山を越える! 魔族領へと乗り込んでやるわ! 刀祢と全面戦争よ! !」

「「「「「ハァ? 」」」」」


 ものすごく変な顔をされたの。

 みんなは、今すぐに動き出した方が良いと考えていたみたい。

 要は、2年もかけて準備をするのではなく、これまでの準備で勝ち混みだ! の、つもりだったの。

 それを私が2年なんて言ったものだから、間抜けな声が出たのね。

 でも、ハチが……自分のスキルは完璧に自身のモノにした。キーになるロクのスキルが全然ダメダメだから……と言い出して、ロクの特殊スキル・魔術“未来予想図”の考査と実査をしていたら、2年ぐらいかかるかも? そんな風に言ってくれたの。

 さらに……。


「ロク様をもう一度、解析してみてもよろしいでしょうか? どうも気になるところがございます。もう少し、時間をかけてじっくり解析してみたいのです。えぇ、えぇ、分かっております。そんな事をすれば、私が壊れる可能性がある事は、重々承知しております。それでも、ロク様の力になりたいのです。ひいては姫様のためでもあります。どうか、私に使用の許可を下さい」


 ハァ? ?

 忠大は何を言っているの? ? ?

 もちろんすぐ止めに入ったわよ。


「そんなのダメに決まっているじゃない。貴方が犠牲になるんでしょう! ? 」

「たしかにワン。と、言うかぁ。そこまでないワン。ロクは一度、魔術“フリーザ・解析”をしている。もう一度する意味が分からん」

「どうしても、確認したい事がございます。情報として不十分な箇所がございまして。それに……ロク様にはいくつかの未知なる扉があるように思います」

「あたしに? 扉? ?」

「はっ。恐らくですが、魔族シャルル様とマリア様の心の記憶がロク様の魔力障壁になっているのではないかと考査しています。その確認をしたいのです」

「心の記憶? 魔力障壁? ?」


 ……完全に私が置いてけぼりだわ。

 そんな私をおもんばかってくれた、忠大が追加で説明してくれたの。


「申し訳ございません。姫様。ロク様は、飼い主であったシャルル様とマリア様の魔力をそのまま取り込んでおります。その際、想いや心も一緒にロク様の体に取り込まれてしまったのです。確かに、ハチ様もマンプク様を体ごと取り込んでおりますが、すでに心が壊されていたので何の障害にもなりません。ところが、ロク様はシャルル様&マリア様の記憶の想いが壁となり、特殊スキル・魔術“未来予想図”を阻害しているのでないか、と考査しております」

「どうして、そう考査する?2人の想いを捨てろと?」

「ロク……」


 珍しく忠大に噛み付いたわ。

 ロクはシャルルを愛していたもの。

 最高のご主人様だったと、今でも想っているわ。

 その思い出が悪いと言われたのよ。

 誰だって頭にくるわ。


「そうではありません。そうでは……」

「ロク、忠大に詰め寄る出ない。忠大も言い方があるじゃろう」

「申し訳ございません。ククル様」

「良い良い。ロク、想いとは計り知れない重たいもの。妾とて、アークに対する想いを捨てきれずにこの場に居る。しかし、前に進むためには、大切な者を守るためには、葬り去らなければならぬ。無くせとは言わぬが……」

「ククル、無理を言ってはダメ。ロク、貴女の想いは貴女のモノよ。大切にしなさい。そうね。忠大、もう一度“解析”してちょうだい。その壁にはきっと扉が付いているはずだわ。もちろん、鍵もあるはずよ。ロクを愛していた人が貴女を裏切るわけ無いわ」

「ナナ、ありがとうニャ」


 私の不安はもう1つあったわ。

 それを口にしたの。


「ハチ、忠大が壊れるってどう言う事なの?」

「……同じものを2度も“解析”しないワン。それをすると言うことは、より深く探る事。それだけ、忠大に負担がかかるって事ワン」

「無理をするって事?」

「そうワン」


 大きくみんなが頷いたわ。

 少し不服です! の顔をしているのは忠大だけ。


「だったらダ……」

「まぁ〜、良いんじゃねぇの。ナナ。忠大って言うより、お前ら全員ナナのためなら無理が無理と感じてないだろう。それに、ロクの“未来予想図”がもう少し、使い物にならなければならねぇのは事実だ。どうすれば良いかなんて、本人が分かんねぇなら知っていそうなヤツに聞くしか無いだろう。元々は、北岡真理亜の能力だったんだ。マリアの記憶を頼りにするのが、1番手っとり早いだろう」

「ハァ〜、そうじゃのぉ」


 トッシュとククルが賛成したら、反対するのは私1人。

 勝つわけ無いじゃない。


「無理しないでよ」

「もちろんです」


 そうして、ロクのより深い考査が始まったの。

 と、言っても忠大の魔術“フリーザ・解析”頼みなんだけれどね。

 テーブルを綺麗に片付けて、ロクと忠大が向かい合ったわ。


「それでは、ロク様、リラックスして目を閉じてください」

「あいよ」

「それでは、参ります。魔術“フリーザ・解析”」


 黒い魔法陣が、ロクを中心にして描かれたわ。

 その縁から黒い膜が波のように出てきて、ロクをドーム状に覆ったの。

 それからが、長かったわよ。

 だって、晩御飯を通り過ぎて、就寝時間までかかったもの。

 その間、忠大は1ミリも動かなかったわ。

 目を閉じ、念仏でも唱えているかの様にブツブツと何かを呟いていたの。

 物凄い精神力と集中力の賜物ね。

 それを見守る私たちも大概だけれど。

 それでも、おにぎりや豚汁を食べたわ。

 おにぎりの具が、最近考案されたツナマヨだったの。

 テンションが上がった事は内緒ね。

 マヨがほぼ完璧に再現できるようになったのよ。

 努力の涙が見えるようだったわ。

 ちなみに、私が最近ハマっているのは、昆布マヨ。

 昆布の佃煮にマヨ。

 奇抜で美味しいの? と、疑いたくなる組み合わせだけれど美味しわよ。

 その際の注意点は、マヨを入れすぎない事。

 これは要注意!

 なんでもバランスが大切よ

 。なぁ〜んて、思っているとロクを覆っていた膜が出てきた時と同じように、魔法陣の中へと消えたわ。

 中で、ロクは心地よい寝息をたてていたの。

 それと対照的だったのが忠大。

 脂汗を体全体から流し、仰向けに倒れたわ。

 呼吸は荒く、肩でゼェゼェと苦しそうにしているの。

 私はハンドタオルを広げて、忠大を包んだわ。


「大丈夫?」

「ハァ〜、ハァ〜。……姫様……だ、だ、大丈夫です。ハァ〜〜、スゥ〜〜、ハァ〜〜〜〜」


 深呼吸を2度ほどしてから話し出したの。


「詳しい事は明日、報告させていただきます。ですが、これだけは言わせて下さい。ロク様、愛したお人は誰も裏切っておりませんでしたよ。扉も鍵もございます」

「……あたり前ニャ」


 ウフフ、嬉しそうにしているわ。

 貴女のその笑顔が好きよ。

 その言葉を聞き、安心して解散したの。

 ハチだけは、データーを寄越せと詰め寄っていたわ。

 その頭を叩いたのはククル。


「少しは整理する時間をくれてやらぬか! 何でもかんでも欲しがるでは無いわ。馬鹿者! 」

『チィ、仕方ないワン。忠大、明日で良いワン。……無理するなよ』

「ウフフ、無理するなよですって」

「なら、良しじゃ」


 ハチの頭をワシワシ撫でて、執務室を出て行ったの。

 私たちも、自室へと向かったわ。

 忠大も含めたネズミ隊は、ハチの背中に乗せたの。

 ロクはスキップしながら、着いてきたわ。

 鼻歌まで出ながら、私の横を通り過ぎ先頭を歩いていたのよ。

 本当に楽しそうよね。

 でも、芯から疲れていたみたい。

 だってベッドに入るなり、すぐさま寝息が聞こえていたもの。

 それと、忠大も。


「忠吉、忠大は大丈夫なの? 寝てしまっても平気なの?」

『はっ』


 私の言葉を聞いて、忠大をツンツンしだしたの。

 もちろん慌てて止めてわよ。


「ダメじゃなの! 起きちゃうわ! ! 」

『ナナがうるさいワン。大丈夫だよ。眼球が細かく動いているから。多分、生きるのに必要な最低限だけ動かして、後は情報処理に全ての機能を使っているワン。明日の朝には終わるよ。僕が忠大を選んだ理由はここにあるんだ。忠大は演算能力はずば抜けて凄いんだ。ルバーやククルに匹敵するんだよ。僕も手伝いたかったんだけど……。まぁ、今が1番楽しいところだよね。ハァ〜〜、僕も眠たくなったよ。おやすみ、ナナ」

「お、お、おやすみ」


 いつの間にか……私1人……私も寝よう。


「おやすみ」


 自分に言って布団に入ったの。

 ハァ〜、本当に大変な1日だったわね。

 




『姫……姫様。姫……姫様。起きて下さい。朝です。忠大です。姫様が私を心配していたと聞いて、胸がいっぱいです。姫様、起きてください。姫様』


 一瞬で目が覚めたわ。


「忠大なの! 貴方、大丈夫なの? ! 」

『はっ。大変、心配されていたと聞きました。私は、平気ですよ。お腹が空いておりますね』

「まぁ! そうなのね。良かったわ。白眼をむいて倒れた時は、本当に心配したんだからね」

『それは、失礼いたしました。ですが、最高の強化方法を見つけました。まずは、ハチ様に……』

『待ちな! まずは、あたしだろう?』

『その通りなのですが、確認したいことがございます。その為にもハチ様にも情報の共有をしていただきたいと思います』

『……』


 あらあら、完全に不貞腐れちゃったわね。


「忠大、概要だけでもダメなの? 私も知りたいわ」

『分かりました』


 布団の上には、私、ロク、ハチ、忠吉、忠中、忠末、忠凶、ククル。

 え? !


「ククルなんで、貴女がここにいるのよ!」

「そなたが中々、起きて来ないゆえ心配になってのぉ〜」


 嘘ばっかり。

 私が通常起きる時間より随分、早い時間よ。

 ロクがいち早く聞くことを想定して、起こしに来るを盾にして来たのね。

 魂胆、見え見えよ。


「……」

「まぁ〜、良いではないか。それでは、妾が! 魔術“ヘルシャフト・言”」


 目が、ね。

 お目目が、ね。

 ランランなの。

 追い返せないわ。


「ハァ〜、忠大、話してちょうだい。ちょうどいいわ。ククルにも聞いてもらいましょう」

「はっ。ロク様が保有しております、特殊スキル“未来予想図”と特殊魔術“未来予想図II”ですが、使用方法に間違いがあったようです」

「「「「ハァ? ? ? 」」」」

「はっ。特殊スキル“未来予想図”は、ロク様に降りかかる厄災を頭の中でビジョンとして見せるスキル。特殊魔術“未来予想図II”は、その見せた未来を変える術。と、思われておりましたが間違っていた模様です。

 特殊スキル“未来予想図”ですが、ロク様に降りかかる厄災では無く、全ての厄災を見ることが可能です。ですが、それだとオーバーヒートを起こしてしまいます。そこで、機能停止を防ぐためにロク様の身に起こる事だけを見せているのだと考査いたします。本来の“未来予想図”の10分の1も使用しておりません。そこで、ハチ様がなさった様に演算に長けております私や忠凶、ククル様やルバー様にスキルの一端を渡してみてはいかがですか? もしくは、記憶の貯蔵だけハチ様に譲渡し、事の重大差をロク様が判断する? なども考査できます。

 次に、特殊魔術“未来予想図II”ですが、こちらは概ね合っています。ただ……規模が少しだけ違います。ロク様の事のみではなく、全ての現象に関与できる術の様です。さすが、龍神様が使用する力です。感服いたします。私たち、魔獣の身でも使える様に、制限をかけたと思われます。……聞いておりますか? ロク様? ハチ様? ククル様? ……姫様? ? ? 」


 フリ〜〜〜ズ! !

 私たちが機能停止しています。

 人の身で使えないから制限かけたんでしょう。

 だったら、使えないじゃん!

 宝の持ち腐れじゃん!

 私たちにどうしろとーーーーーー! ! ! !

 フリーズから溶ける事ないわね。

 ハァ〜〜、もう一度寝るわ。

 おやすみなさい。

昆布マヨは子持ち昆布を推奨します。

次にハマっているのが昆布梅です。

梅のすっぱいのが昆布の甘みで中和され、美味しいです。

ハァ〜、おにぎりが食べたくなりますね。


それではまた会いましょう!

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