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11話 あらあら、スアノース王国ですって

 20日の日程で、私達はルジーゼ地方をやっと出たわ。

 全行程の半分ほど過ぎた辺りを進んでいるところね。


『姫様!私達にも出来ました!!皆様の、皆様のおかげです!姫様!ありがとうございます!とお伝えください』


 ネズミ達が嬉しそうに話しかけてきたわ。

 朝の身支度を終えて、食事の準備をしているハンナの所に行こうとしていた時にね。


「出来たの!良かったわね。ハチ!ねぇ、ハチ!!」

『はいワン。ネズミ達は本当に頑張ったワンよ。僕はしっかり見ていたワン。本来の姿にならずに頑張っていたワン!誰かさんみたいに化け猫スタイルに頼らずね』

『あたしのことニャんかぁ!でも、あんた達マジで……凄いニャ』

「うふふ。ロクだって、頑張っていたの知ってるよ!その姿でも闘気功が使えるようになったじゃないの」

『確かに使えるけれど……威力はハチの方が上……ニャ』

「あら、そうなの?でも練るスピードはロクの方が上よね。そして安定感はネズミ達が上よね」

『ありがとうございます。この闘気功を使い、姫様のお役に立てて見せます。兵士の皆様には感謝の気持ちでいっぱいでございます』


 そう言って私の前に並んだわ。

 私はハチの上に乗って、朝食を食べている兵士さん達の前に行った。

 そこにはお父様にハンナ、みんなが揃って食べ始めていたの。


「お父様。ハンナ。おはようございます」

「うむ、おはようナナ」

「おはようございます。ナナ様」

「兵士の皆様。ネズミ達がありがとうございますと言っています。私からも大変、感謝の気持ちでいっぱいです。これからも私共々よろしくお願い致します」


 私はハチの上から頭を下げた。

 するとハチもロクもネズミ達も下げたのよね。

 顔を上げるとハンナが満面の笑顔で私達を迎えてくれたわ。


「ナナ様!!頭など下げないでください」

「そうです。姫様!俺達なんかに頭を下げないでください!」

「あら、変かしら?」

「変ではないぞ。ナナ。素晴らしい事だ。友でも家臣でも、褒めるときは褒め、感謝の気持は言葉と態度で!だ。それが出来るナナは偉いぞ」

「うふふ、ありがとうございます。そうそう、姫様は止めてね!私……あぁ~、いや、コレは姫様でもいいのよね。でも……姫……様……」

『うふふ。ナナ、そこは仕方ないね。だって本物の姫様だものニャ』

『そうそう、仕方ないワン』

「そうですよ!ナナ様。何となくですが言っている事が理解できましたよ。ナナ様は姫と呼ばれることに抵抗を感じていますが、姫様は姫様ですからね。そもそもスアノース王国における貴族は4家しかございません。姫と呼ばれる方も限られています。仕方のないことですね。さぁ!朝食が終わり次第、中断しておりましましたお勉強を再開しましょうね」

「はい」

「ワン」

「ニャ」

「チュウ」


 その言葉通りにお勉強は再開されたわ。


 馬車が動き出した車内には私、ハンナ、お父様、ハチ、ロク、忠大の6人が地図を広げてお勉強が始まったわ。

 まぁ~最後まで聞いていたのは私と忠大だけだったのはご愛嬌よね。


 さて、そのお勉強だけれど、この世界の成り立ちから現在に至るまでの話だったわ。


 まずは魔族と人族の事は知っているからいいとして、山脈が出来るほどの戦いの後話。

 初代勇者達が、生き残った人達のために討伐、整地して建国したのがスアノース王国。

 問題はその広大な土地だったの。

 要は5人の勇者が治めるには広すぎたってこと。

 さらに魔族との戦いは終わったわけではないので、その警戒も兼ねなければならず……当時の勇者様達は頭が痛かったはずよ。

 少しだけ同情してしまったわ。

 そんな思いまでして出来上がったのが、山脈を4つに分けて当時の勇者達が統治すること。

 それが貴族になったのね。


 それでは山脈名と地名の紹介ですわね。

 うふふ、意外と簡単なのよ。


 各地方は山脈を背にする立地なっていて、その為に山の名前はその地方の名前になったの。

 ルジーゼ山、ガーグスト山、マーウメリナ山、メースロア山が連なり山脈を成しているわ。

 山はメースロア山から高く、次にマーウメリナ山、ガーグスト山、ルジーゼ山と低くなっていて、さらに気候も山の高さが寒さの高さ。

 山が高いぶん寒さは倍増と言ったところね。


 1番高い山を持つメースロア地方は、メースロア山を背に凍てつく大地が続くため作物は疎か人も獣も住まない不毛な土地。

 しかし地中には原油が豊富にあり、さらに鉱石も発掘されているみたい。

 地表には資源が無くても地中には豊富にある。

 人々も洞窟を改造して暮らしているようだし、不自由なく暮らせるようね。

 前の世界でいう所の、トルコにあるカッパドキアを想像するといいかしら。


 2番目に高い山を持つマーウメリナ地方は、マーウメリナ山を背に寒く風も強い。

 しかし大地までは凍てつくほど寒くないみたいね。

 その為、米に似た作物が育つ……グングン美味しいお米が育つ……お・こ・め。

 厳密に言えばお米ではないらしいのだけれど、ほぼ米と言っても過言ではないわ。

 前の世界で言う所の、新潟、青森、北海道?その辺りの景色でいいと思うの。


 3番目に高い山を持つガーグスト地方は、ガーグスト山を背景に寒さも暖かさも調度良く、人も獣も暮らしやすい。

 その為、作物よりも人と家畜が多いわ。

 やはり酪農、畜産で有名なニュージランのよね!お肉が美味しいもの!

 風景もそんな感じみたいよ。


 4番目に高い山を持つルジーゼ地方は、ルジーゼ山を背景に暖かくさほど寒くないわ。

 しかし山が低いために魔獣が頻繁に出現していたのよね。

 勇者が駐屯している為に魔獣も減り、住みやすくなったが獣または家畜は飼育ができなくなったみたいよ。

 当たり前といえば仕方がないわね。

 一度植え付けられた恐怖は、簡単に拭い去る事は出来ないわ。

 しかしながら、水が豊かに湧き出ていて豊穣な土地。

 人々は豊かな水と荒らされることの無い土地で果樹園や農業、農林が盛ん。

 農業が盛んだからアメリカ……と言いたいけれど私が暮らしていたのでよく知っているわ。

 旅行で行った思い出がある、九州に似ているのよ。

 それにね……旦那様と最後に行った豪華列車の旅、幸せだったから忘れられないわ。


 そんな山脈から20日ほど進んだ場所にお城があり、そこから先がスアノース地方となるみたい。

 さらに5日ほど行った先は海が広がっているわ。

 海の先は、行けても2キロから3キロが限界。

 海流が激しくて、とても船では行けるところではないようよ。

 魚は美味しく食べれそうだけれど、私が産まれてから一度も食卓に並んだ事が無いわ。

 流石に海から5日で、城から20日では食卓には並ばないよね。

 お城では食べれるかしら?

 でも私お魚より肉食女子なのよね。

 うふふ。


 そしてお母様に別れを告げて18日目。


 お父様の話では、4頭引きの馬車が3台しかないので速かったようだ、とね。

 車窓から見える景色は、朝日を受けたスアノース城が浮かび上がっていたわ。


「ハンナ!お父様!アレがスアノース城ですの」

「おはようございます。ナナ様。そんなに身を乗り出すと危ないですよ!」

「おはよう。そうだ。アレが王都スアノースだ」

「お父様。ハンナ。おはようございます。アレが……」


 目の前に見えている城は、朝焼けのシルエットだった為か見覚えがあった。

 前の世界でたった1度だけ海外旅行に行ったのよ。

 その時、フランスで見たあの景色。

 旦那様と娘で気球に乗っての遊覧飛行。

 そうそう、あの時も朝焼けだったわね。

 美しく水面に映えるお城……モンサンミッシェル。

 目を瞑ると思い出される風景に胸が踊るわ。

 思わず呟いてしまっていたのよ。


「……モンサンミッシェル……」

「やはり、ナナ様は異世界人なのですね」

「え!どう言うこと?」

「異世界人の皆様が必ずスアノース城を見て、そのモンサンミッシェルと呟くからです」

「へぇ~、やはりそうなのね!」

「おう、確か初代勇者の家臣に異世界人がいたらしい」

「お父様。そんな、昔から異世界人はいたのですか?」

「あくまでも“おそらく”だ。文献が残っているようだしなぁ。その前からもいたかもしれんぞ!さぁ、正門だ。お前たちは屋敷に行っていろ。ハチとロク、ネズミ達は……どうするかのぉ」

「そうですね……ルバー様なら見破る恐れがあります。とにかくナナ様を冒険者に登録して恭順の首輪をしない事には……大変な事になると思います」

「だなぁ!よし。ハチとロクとネズミ達は屋敷へと行ってくれ」

『姫様!でしたら忠凶をお連れください。小型のハツカネズミ姿なら誰にも見咎められる可能性は低いかと。どうぞお連れください』

「聞いてみるから待って。ハンナ、忠大がね。小型のハツカネズミ姿なら誰にも見られないから連れて行ってほしいと言っているわ。いいかしら?」


 私の手には白くて、黒いお目々がクリクリのハツカネズミがちょこんとん鎮座していたの。

 か、か、か……。


「可愛いですわ!」

「ハンナ……」


 私ではなくハンナがはっちゃけた。

 ハツカネズミ姿の忠凶を抱きしめてうっとりしているのだもの。

 どうも、可愛いモノに眼がないみたい。

 仕方がない気もするけどね。


 ハチとロクは兵士さん達のいる馬車へと移動してネズミ達は……すでに居なかったわ。

 忠凶の話では、コレだけ大きい場所だと沢山の情報が手に入るかも、と言いつつ散っていったて。

 素早いわね。


 正門をくぐると前と後ろの馬車は左に、私達は真っ直ぐ進んだわ。

 2分ぐらい進んだところで馬車が止まり、私を抱えたお父様が降りたの。

 そこは、モンサンミッシェルで見た参道グランド・リューにそっくりだったわ。

 その1番目立つところに宝石の看板があり、そこにお父様は入っていった。

 ココが冒険者ギルドみたいね。


 最初の関門よ!

 気を引き締めて取り組まないと。

 ハチとロクのネズミ達がかかっているんだもの!

 頑張らなくちゃ!


 ファイトよ!わ・た・し!


スアノースに到着です。

カタカナ表記が多くて……間違いが!!あるかもです。

そこは優しい心の目で読んでください。


この日、この時に更新するので5年前を思い出したいと思います。


私はのんきに買い物を楽しんでおりました。

15時ごろ帰宅して災害を知りました。


今の私達に出来ることは、忘れない事、伝える事、だと思います。


今も苦しんでいる方にも幸多からん事を願って……また来週、会いましょう。

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