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1話 あらあら、転生ですって

 私こと、鐡ナナは100歳の寿命を全うして終わりを迎えたわ。

 生き抜いたわね。

 思い出すことも、悔いも何もないはずなのに……。

 5才くらいのフランス人形が目の前に現われて、耳を疑うような事を言ったのよ。


「おめでとうございま〜す。

 貴女は100歳の寿命を全うしたばかりか、1000の苦行と1000の徳行を冠水した事を祝して!

 特典付きで異世界に転生いたしま〜す。パチパチ!

 あ!でも貴女、たった一つだけ悪い事をしているわね。それは引かせもらって……ハイ!転生です!」


 と理解に苦しむ事を言ったそのフランス人形は、私の頭に手を置いてブツブツ何かを言ったかと思うと勢いをつけてど突かれた。


 もちろん私の目には星が瞬いた。


 目を覚ましたらそこはフカフカのベッドの中。

 ただ視界がぼやけていてはっきりしない。

 でも100歳まで生きた私にとって、見なれた光景。

 それにしても耳障りな音ね。

 音痴?違うわ。

 言葉が解らない為に耳障りな音に聞こえるのね。

 それでも……音痴。


「あせrfcっjghjkmんbvhjkんbdsっd〜」


 まったく理解できないわ。

 さてはて、どうしたものかしら?

 それにしても眠たいわね。

 何だか死ぬ時みたいだわ……まさかよね!?


 だんだん分かってきたわ!


 私は産まれたばかりの赤ちゃんだったの。

 そして変な歌を聞かせてくれ女性は、ハンナと言うらしいのだけれど……今の私にはコレが限界ね。


 次に分かったことは、この場所は日本では無いという事。

 だって私を覗き込んだハンナは、まだ若くソバカスのある赤茶色の髪をしたおぼこ娘だったもの。

 あらイヤだ!

 今どきおぼこ娘なんて言葉は使わないわね。

 えっと……田舎娘?かしら、そんな感じの娘さん。

 もちらん髪を染めているのかと思って引っ張ってみても、完璧な地毛だったわ。

 さらに日本人では無い決定的な証拠が目。

 彼女の目は赤かったのよ。

 これは後になって分かたっことだけれど、彼女は火の力を持った能力者で魔術使いだったのよ。

 えっと……玄孫の梨沙ちゃんが好きなラノベ?異世界?魔法?なんかそれらしい世界みたいね。


 今、私に出来る事は……私は若い…私は若い…私は……と意識しないと100歳の感覚に戻ってしまうこと。

 私は赤ちゃんなんだし、それくらいしか振る舞えないんだけれどね。

 そろそろ泣かないとお昼の時間だわ。


「ふぉんぎゃ〜ふぉんぎゃ〜ふぉんぎゃ〜〜」

「あらあらお乳の時間ですね〜今からあげまちゅよ〜」



 お乳をもらえる時間は短いものね。

 あっと言う間に1年間が過ぎたわ。

 その頃になると色んな事が理解できるようになるのよ。

 でもほとんど毎日、寝ているのだけれど。


 さらに1年間が過ぎ、今度は言葉が喋れるようになるの。

 ここいら辺は元の世界と似ているようね。

 様子を見ながら片言のお喋り。

 塩梅を探っていたけれど……具合は良いようね。


 そうそうハイハイするようになって気がついた事は……。


 その前にこの世界について話さないとね。


 この世界は魔の力を秘めた魔族と魔の力を持たぬ人族が、領土の奪い合いをしながら暮らしている世界。

 魔の力を持つ魔族が優位の様な気がするがそうではないのよ。

 そもそも魔族には絶対数が少なく、簡単な思考しか持たないとされている獣を配下にして人族との帳尻を合わせているの。

 その人族の方も、魔の力がまったく無いわけではなく時たま産まれてくる魔力を持った子供を勇者と称していて、さらにこちらも時たま現れる、異世界からの渡来者と転生者を異世界人と称しているの。

 その子たちを王国にある学園に、集めて、育て、闘わせていたの……そんな世界なのね。

 この世界は魔の力があるか、無いかで道が決まるようだわ。

 私は、転生者の異世界人になるのね。

 ちなみに異世界人は特に強い魔力が宿っているみたい。

 そんなに人数がいる訳ではないようよ。

 そうなの……なんと私にもあったのよ!


 それはね……。


『何をボ〜としているかニャ』

『そうだワン。危ないワンよ?』

「うふふ、だいじょうぶでちゅうよ」


 私の魔力はおそらく変わっていて珍しいモノだと思うわ。

 聞いたことないないもの、そんな能力!

 私に備わっていたのは、獣の声が聞こえるのというもの。

 凄いのかそうでも無いのかよく分からない力ね。


 私の右にいるのは黒猫のロク。

 左にいるのが白い犬のハチ。

 両方とも元からここで飼われていたペット……だと思うの。

 いつの間にか私の側にいて、話かけられたのよね。

 自分の能力が何なのかさえ知らなかったのに驚くわよ。

 でも人肌の温もりは私の心を癒す力があったの。


 だって私には……膝から下が何も無かったのだから。


 元の世界で言うところの身体障害者になるわけね。

 だからかしら、私が起きている時に母親や父親らしい人を見かけていないの。

 こんな体だから?

 それにしては手厚い看護なのよね。

 この世界の普通が分からないけれど……普通ではないと思うわ。

 だって火の勇者がメイドをしているし、住まい屋だって決して小さくないわよ。

 まぁ〜今の私は小さいのだけれど、大きさぐらい分かるわ。

 ペットだって居るのよ。

 私の立ち位置がよく分からないけどね。

 調度品にしても安物には見えないし、ベッドもフカフカだし清潔だしミルクも離乳食も美味しいわ。

 だから大切にされていはいると思うのよ……それとも私は……死んだ事になってる?

 そんな不安を心の隅に住まわせつつ、さらに時が過ぎた。


 私、鐡ナナ改ルジーゼ・ロタ・ナナは5才になりました。


『今日はなにするかニャ』

「今日ねぇ……何する?」

『散歩がいいワン』

『え!あたしはここでゴロゴロする方がいいニャ』

「う〜ん……どちらも捨て難いわね。だったら散歩をしてからゴロゴロしましょうかぁ!」

『結局、歩くのニャんね。まぁ〜あたしも動かないとあんたみたいに、ブクブク太るから散歩するニャ』

『僕は太ってないワン』

「アハハハ!3人で行きましょう」


 さらに成長した私は、ここがどこでどんな立ち位置かを理解したわ。

 まずはここがどんな地域なのか?

 さきに軽く説明した通り、魔族と人族で領土を奪い合っている世界。

 そんな世界の昔話で、魔族と人族の間に山脈が隆起するほどの戦いがあり、境界線が出来上がったとの話があるの。

 その隆起した山脈は、水が豊かに湧き出ていて豊穣な土地。

 そんな山を背景に、果樹園や農地が盛んなこの地方の名はルジーゼ。

 そこを統治しているのがロタ家。

 そして私が一人娘のナナ。

 名前を見ると、どこの誰なのかが分かる仕組みなのね。


 魔族がどうなっているかは知らないけれど、人族はスアノース王国を頂点に、各地方を貴族が統治している形になるわ。

 その中でもロタ家は広大で肥沃な土地を保有しているの。

 良さそうだけれど悪い所もあるのよ。

 それはね……魔族との境目の山脈が他と少しだけ低く魔獣や魔族が顔を出している地域になるからよ。

 要は誰も怖くて住めないところに当時、ロタ家の当主が勇者だったので移り住んだ……という事らしい。


 さらに私が住んでいる場所は山の中腹に近い辺縁の地なの。

 誰にも見られずに散歩三昧。

 ちなみに、ここには両親ともども、誰も来ないわね。

 おそらく忘れていると思うわ。

 私的には幸せだげどね。

 それでもね……それでも親の顔は見てみたいものよ。

 私を産んで一度も来ない、親の顔を見てやろうじゃない!この時までは、そんな軽いノリだったのよね。

 今から思うと行かなければよかった。


 そうそう一部修正があるわ。

 私……異世界人のくせに……魔力が全く無かったの!

 じゃ、獣の声が聞こえるのはなぜ?

 答えは、ただ聞こえるだけなので魔力は使わない。

 私の能力はただ獣の声を聞くだけの事のようね。

 はぁ~派手な魔術を使いたかったわ。


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

ナナには足がありません。

ご気分を害した方がいたるかもしれません。

もしそんな事を感じてしまったのならすいません。

でもナナは負けじと生きていきます。

そんなナナを見守っていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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