花さか姉妹
部活用の脚本です。私用に使っておりますので、作品とは違います。子供向けのものであります。
語り手
姉
妹
おじさん
お父さん
語「みんな、こんにちは。今日はみんなにお話を聞かせるために来たんだ」
語り手椅子に座る。
語「もう三月も終わって、暖かくなってきたね。そう。春が来たんだよ。皆は、春って言うと、何を思い浮かべる?年長さんは、入学式かな?私はね、やっぱり桜。綺麗だよね。今日は、そんな春のお話」
幕が開く。
語「ここは、とある町の公園。春を迎えたこの公園には、桜が名一杯さいていて、とても綺麗です」
おじさん登場。
語「公園に一人のおじさんがやって来ました。お花見に来たのかな」
爺「…はぁ」
語「でも、おじさんは、なんだか元気がないようです。あ、公園にまた誰かが来ました」
姉「お父さん! すこし遊んでてもいい?」
父「怪我しないようにな」
妹「私もいきたい!」
父「お姉ちゃんに着いてろよ」
妹「わかった!」
父「あとでむかえくるからなー」
姉「わかったぁ!」
姉、走り回る。
妹「桜綺麗だね、お姉ちゃん!あ、おじさんこんにちは」
爺「はい、こんにちは」
姉、走って戻ってくる。
姉「こんにちは!お花が咲いてますね!」
爺「こんにちは。今日も元気そうだね」
姉「おじさんも元気ですか!」
爺「あぁ、元気だよぉ…」
おじさん、見るからに項垂れている。
姉妹、こそこそとはなす。
妹「…なんか、おじさん元気ないかも」
姉「いつもならつまんない親父ギャグとか言うのにね」
爺「…聞こえてるよぉ」
妹「何かあったのかな」
姉「んー。きっと妖怪のせいだよ!」
妹「なるほど!」
爺「妖怪かぁ。いや。年のせいなんだろうけどね」
姉「歳のせい…なんか…大人の話だ!」
妹「私たちには難しいかも!」
爺「わからないかもねぇ」
姉「おじさん元気だそうよ!春だよ!ほら!暖かいんだからぁ~!」
爺「あはは…」
姉「…」
妹「…ねぇお姉ちゃん。この木だけお花咲いてないよ」
語「その木は、たくさんの綺麗な桜の木のなかで一本だけ、花が咲いていないのです。」
姉「ほんとだ、一本だけ枯れてるみたい」
爺「君達も気になるかい?その木はね、もうとしょったんだろうねぇ」
妹「としょった?」
爺「年をとって、お爺ちゃんになるってこと」
姉「おばあちゃんではないの?」
爺「…かもしれないね」
妹「じゃあ、お花もう咲かないの?」
爺「私が子供の頃からずっとあった木だから、咲けないのかもしれない。私よりももっと年上なんだもの」
姉「他の木はみんな咲いてるのになー。一本だけ咲いていないなんて、寂しそうだよ」
爺「…しかたないのかなぁ、やっぱり寂しいけれどね」
妹「そっか…」
爺「ほら、他の桜は綺麗なんだから、気にしないで遊んできなさい」
おじさんハゲる。
語「おじいさんはまだ寂しそうでした」
姉「やっぱり元気ないね、おじさん」
妹「ねぇ、お姉ちゃん。この木、咲かせてあげたい。きっとおじさんも元気になってくれるし。この木も、きっと咲いてる方が嬉しいよ!」
姉「そうだよね!よし!がんばって桜を咲かせよう!」
妹「でも、どうやって?」
姉「…ま、任せて!えっと…うん!これは妖怪のせいだよ」
妹「なるほど!じゃあその妖怪を」
姉「やっつよう!きっとあっちだ!」
姉妹はける。
姉「やっぱりあっちかも!」
姉妹逆にはける。
妹「…見つからないね。私たち、妖怪見えないんだよ」
姉「そっか、
まぁ、こんな日もあるよ!」
語「二人はがんばって次の方法を考えます」
姉「そうだ!はなさかじいに頼もう!」
妹「はなさかじいって、妖怪の?」
姉「そう!どんなところにもお花を咲かせるあの妖怪を呼ぶの!そうときまったら探しにいくよ!」
妹「でも妖怪見えないんじゃ」
姉「そうだった!あーもうどーしよう!」
妹「うーん。妖怪に頼んないで、私たちがなにかできないかな」
姉「私たちが…あ!思い付いた!」
妹「なに?」
姉。髪飾り(他でもいい)を取り外して木につける。
姉「ほら!お花咲いたよ!」
妹「…ほんとだ!」
姉「偽物だけど、咲いてるみたいでしょ!もっとつけよ!」
妹もつける。
妹「足りないね」
姉「もう持ってないよ」
語「二人とも、困ってしまいました。…ようし、二人のために、皆で魔法をかけてあげよう。お話のなかにお花を届けるの。こうやって!」
語り手、花を舞台上に投げる。
姉「あ!お花来た!」
妹「やった!つけよう!」
語り手「みんな!こんな風に、お花を二人にあげよう!」
語り手投げる。ガヤ、客席からも舞台に投げる。
届かない場合は上下手から調達。
妹「たくさん来た!」
姉「やった!たくさんつけよう!」
つける作業続行。
姉「もっと、高いところにもつけないと」
妹「お姉ちゃんがんばって!」
飛び跳ねして必死につけようとする。
おじさん登場。
爺「これ!なにをしておる!」
姉「うわぁ!」
妹「きゃあ!」
爺「…なんだ、君達だったのか。これは、なにをしてたんだ」
姉「木にお花をつけようとして…」
妹「お花咲いてなくて可哀想だったから、それに、おじさんも元気なかったし」
姉「綺麗に咲いたら元気になってくれるかなって。ね?きれいでしょ?」
爺「あぁ。綺麗だ。ありがとう。…本当に綺麗だ。」
妹「…おじさん元気になった?」
爺「君達のお陰で元気になったよ。木も綺麗になって嬉しそうだ」
妹「よかったぁ」
姉「はなさかじいの代わりになれたんだね!」
爺「はなさかじいさんか、そうだな。言うなれば君達ははなさかじいさんではなく、花咲か姉妹だな!」
姉「親父ギャグも元通りだ!」
妹「やった!」
カラスの声。
爺「ほら、もう夕方だ。暗くなる前に帰らないとね」
お父「おーい。迎えに来たぞー」
妹「あっ! お父さん!」
姉「いかなきゃ!おじさんじゃあね!」
妹「じゃあねー!」
姉妹はける。
爺「またおいでー」
おじさん、桜を向いて
爺「そうだよな。諦めちゃいかん。できるだけのことはやってみようかな。えっと、肥料はあるかなぁ」
おじさんハける
語「こうして二人の姉妹とおじさんは元気になりましたとさ。お仕舞い。よぉし、皆もお花を咲かせてみよう!」
最後に、後ろに枯れ木の絵を描いたパネルを置いといて、そこにみんなで花びらをはってもらう。