秋麗人
今日、ちょっとドキドキする出来事がありました。いつも会社帰りに立ち寄る本屋さんでのことです。本を検索するタッチパネルってあるじゃないですか。それで、気になる小説を検索してたんですね。で、横で人が待ってるなあって思って早々に切り上げたんですが、その人が「すみません」って声を掛けてくるんです。僕は突然のことで少々びっくりして「はい」って答えてその人を見ると、20代のとても綺麗な女性。身長は160cm以上です。すらっとしててショートカット。眼鏡の知的な清潔美人です。
なんだろうって思って、その美人さんの表情を窺っていると、タッチパネルを指差して「使えました?」って聞いてくるんですよ。最初、彼女がどういう意味で言っているのか分らなかったのですが、単純に本の検索機能が正常に作動しているかどうかを知りたかったみたいで、僕は素っ気なく「はい」とだけ返事してすぐにその場を立ち去ったんです。そして、彼女はそのタッチパネルを触っていたようですが、遠目で彼女の様子を見ていると、なんだかうまくいかない様子で、しきりに首を傾げているんですね。
僕は今時、本の検索もできない奴がいるんだなあって思ってたんですが、ふいに彼女が顔を上げたんです。そしたら、バチッと僕と目が合っちゃいまして。そしたらなんと彼女、少しはにかんだ笑顔を見せて会釈するんですよ。その仕草に僕は、あたかも使い方を教えてほしいみたいな印象を受けてしまいまして、思わず彼女の方へと近寄ってしまいまして。すると彼女はまた頭を下げて、今度は明らかな意思表示を見せて、さあどうぞ教えてくださいと言わんばかりにタッチパネルから離れるのです。この状況となってはもう仕方がありません。結局、その美人さんに本の検索の仕方を教えることとなったのでした。