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World's End Online  作者: yuki
第四章 それぞれの想い
66/83

気ちがい達のお茶会-8-

 帽子屋が多くのプレイヤーを伴ってポータルゲートに消えてから約2時間後、捕縛したサモナーを引き連れて戻って来たケイン達を迎えたのは沈痛な面持ちのカイトだった。

 かつてない焦燥と苛立ちに塗れた顔は、一見しただけで何か重大な問題が起こったのだと見て取れる。

「何かあったのかな」

「今すぐ全員をリュミエールに戻せるか?」

 質問に対する答えはない。礼節に欠ける行為なのかもしれないが、ケインは全く気にしていなかった。

 セシリアの寄越した早馬は軍と自由の翼が散開する直前に届いたおかげで、狩組もリュミエール軍も未だ一ヶ所に纏まっている。

 ポータルゲートを使えば即時帰還も難しくないが、衆目の前で堂々と使用して良いものかどうか。

 数人ならともかく、あれだけの大人数を帰還させれば必ず気付かれる。

 しかし、ケインは心の中に生まれた迷いを一瞬で断ち切って決断する。

「……分かった。クロ、今すぐ皆を呼び戻そう。準備してくれるかな」

 カイトもケインも同じ狩組だ。出会ってからまだ1ヶ月強と言えど、四六時中共に行動していれば相手の人となりくらい把握できる。

 彼が自分でも思いついた危険性に思い至らない筈がない。にも拘らず緊急招集を求めたのは、それが必要だからだ。

「悪いな。個別に説明している時間が惜しいんだ」

 1から10まで事情を説明して貰うのが一番分かりやすいとしても、カイトの様子や口ぶりを鑑みれば一刻を争う状況なのは明白だ。

「構わないよ。君がそこまで言うって事は絶対に必要なんだろう?」

 何よりケインにとって、理由は『カイトに頼まれたから』だけで十分過ぎる。


 カイトが調べた限りでは、500人以上いたメンバーは狩組を含めて200近くまで減っていた。

 昨日から帰ってなかったり、朝早くから飛び出したまま事情を知らない者が幾らかは居るとしても、300人近い流出はほぼ確定と言っていい。

 30分ほどかけて緊急招集された狩組と残ったメンバーは多目的ホールに集められ、状況の確認を推し進める。

 この場に狩組が勢揃いしている時点で帽子屋の帰還ルールは嘘だと証明されたのに、帽子屋のルールを信じたメンバーがただの一人も残っていないのは皮肉としか言いようがなかった。


「セシリアの拉致にメンバーの誘拐って……あいつら何考えてんだ」

 状況は『深刻』を遥かに飛び抜けている。

 被害は壊滅的で、どこから手をつければいいのか見当もつかない。

「とにかく、全体的に情報が不足しています。他の人はともかく、セシリアさんが拉致されたと決まったわけでもありませんし」

 カイトとリリーを襲ったのは三日月ウサギで、帽子屋と繋がっている確証はまだ得られていない。

 ゲーム時代に所属していたギルドが同じだったと言うだけで両者を結びつけるのは早計にも思える。

 もしかしたら平和的に解毒剤を譲って貰い、リリーの容態が安定するまで、アセリアで様子を見ている可能性もあるのだ。

 勿論、限りなく低い可能性であると前置く必要はあるが。

「それに、帽子屋がプレイヤーを奴隷にする為に拉致したというのも疑問が残る気がするんです」

 魔術師の少年の声に幾人かのプレイヤーが頷いた。

 実を言えばケインもカイトも、帽子屋が奴隷欲しさにプレイヤーを襲ったとは思っていない。


 VRMMOでは些細な用事で離席したい時もログアウトが必要になる。

 必然的に従来のMMORPGのような野暮用で画面の前からプレイヤーが離れる、所謂Afkという概念は存在しなかった。

 一部の溜まり場で会話を楽しんでいるプレイヤー以外はフィールドやダンジョンに出かけている事が多く、城塞都市アセリアの様な大きな街であっても、その中で過ごしているプレイヤーは決して多くない。

 運営からのメッセージを信じて約半数が転移したと仮定すれば、城塞都市アセリアに転移されたプレイヤーはおそらく500人程度。

 近場で狩やクエストに勤しんでいたプレイヤーが転移後に慌てて戻ってきたのを加えても700人前後が妥当な線だ。

 廃人ほどログイン時間と狩時間が比例する関係にあり、転移に巻き込まれた時間が狩に赴くには丁度いい頃合いだったのを加味すれば、城塞都市アセリアに居るプレイヤーはチャット専ギルドや遠くに出られない初心者と言った低レベル層が大半を占める。

 帽子屋が好き放題に振る舞えているのは、策略による情報工作に加え、彼を止められるレベルのプレイヤーが少ないからだ。

 だが、嘘や悪事はいつか必ず明るみになる。

 今はまだ城塞都市アセリアに居るプレイヤーの数が制御できる規模だから上手く回せているだけに過ぎない。、

 今後はリュミエールから城塞都市アセリアに移動したプレイヤーが居たように、ダンジョンへ潜っていた廃人も城塞都市アセリアを目指すだろう。

 そうなれば帽子屋が制御できる規模なんてすぐに超えてしまう。

 彼の傍若無人な振る舞いや悪事は、そう遠くない未来に破綻すると決まっているのだ。


「問題は、あの帽子屋がどうして破綻すると分かっている計画を推し進めているのか、だな」

 何も考えていなかったり、後に引けなくなったという可能性はまずないと見ていい。

「未来の破綻をひっくり返せる"何か"があるとしか思えません」

 その一言でホールの中にざわりと困惑が広がった。

 もしも本当にその"何か"とやらがあるのだとすれば、アセリアを目指す廃人達を待つ時間はない。

「可能性は2つです。一つは帽子屋が本気で元の世界に帰りたくて、三日月ウサギから帰還用アイテムを取り返す為に多少乱暴でも資金を集めようとした」

 城塞都市アセリアに辿りついた廃人が運営からのメッセージを見て帰還方法を知ったとしても、帰りたいと願うかは未知数だ。

 元の世界に帰りたくなくて、帰還用アイテムを持つ三日月ウサギと手を組む者も廃人達の中には居るだろう。

 帽子屋はそうなる前に決着をつけるべく、低レベルのプレイヤーに犠牲に強いてでも決戦の準備を進めているという可能性だ。


「元の世界に帰れれば破綻は起こり得ません。奴隷にしたプレイヤーに何をさせているのか分かりませんが、死なない程度の労働であれば、悪役をかってでも強引に計画を推し進める利点はあるでしょう」

「それはないよ」

 しかしその意見を、ケインは即座に否定する。

「前にセシリアが言ってたんだ。『働きもせずに贅沢な暮らしを続けて目的意識を持ち続けられるのか』って。僕らが元の世界に帰りたいのは生活の糧を得る為に命のやり取りを続けているからだ。もし本当に帰るつもりがあるなら、実戦に慣れる為にもモンスターを相手に戦闘訓練くらいはするんじゃないかな。でも彼はそんな話を少しもしていない」

 三日月ウサギは多数の廃人を仲間に引き連れている。アイテムを取り返すなら大規模戦闘は避けられない。

 数十対数十の大規模戦闘では当然ながら各職業間の連携が極めて重要になる。

 長年同じギルドで研鑽を続けてきた間柄ならともかく、初めてPTを組むような者同士で連携をするならある程度の演習が必要だろう。

 にも拘らず、帽子屋はこんな当たり前の提案をしてこなかった。

「したくないか、出来ないのかは分からないけど、なにかやましい事情があるんじゃないかと僕は思う」

 ケインにしては珍しく頭から人を疑った意見だったが、その妥当性には誰もが頷く。


「帽子屋が帰りたくない派だとすると、やはり情報が足りなさすぎます。現時点では未来の破綻をひっくり返せる"何か"も見当がつきません。……ですが、碌でもない結果になるのは間違いないでしょうね」

 いつか辿りつくであろう廃人達を待っている暇がないとなると、追加戦力は見込めなかった。

 今の自由の翼の戦力は正直に言って高くない。高レベルのヒーラーであるセシリアが欠けたのは大きな損失だった。

 鉄壁の防御力を誇るカイト、近接攻撃力に特化した親方、遠距離攻撃力に特化したユウトと個々の人材は悪くないが、彼らの力を数割も増幅し、支えられるヒーラーがいなければ安定は望めない。

 特に対人戦においては、先にヒーラーを落とした方が勝ちだと言われているくらい、一二を争う重要なポジションなのだ。

 高威力のスキルが飛び交う戦場で、減り続けるHPを回復する為にポーションをガブガブ飲みながら落ち着いて戦える逸材が居るなら是非とも見てみたい。

 ポーション専用に3本目の腕でもない限りはどうしたって行動に支障が出てしまう。

 持ち込める数にも限度があるし、この世界では短期間で100や200を超えるポーションを飲むなんて真似も物理的に不可能だ。間違いなく腹を下すか吐く。


「なら話は終わりだな。足踏みしている暇なんてないんだ。一人でも帽子屋の所へ乗り込む」

 事情の説明を終え、硬直の兆しを見せた会議に見切りをつけたカイトが音を立てて立ち上がる。

「虎穴に入らずんば、か。そうだね。セシリアと合流できるかもしれないし、状況を調べる為には危険を承知で行ってみるしかなさそうだ」

 ケインも暫く考えてからカイトへ同調した。

 出来れば城砦都市アセリアで暮らしているプレイヤーにも意見を聞きたいところであはるが、帽子屋の影響がどこまで浸透しているか分からない以上、聞いた話が全て事実だと思わない方がいいだろう。

「手分けして聞き込みをしたいところですけど、敵のホームとなると危険ですね」

 同じく参加の意思を示したユウトが困ったように言う。

 情報の取捨選択をするなら多くの意見を集める必要があるのに、敵がうようよいるかもしれない場所での人海戦術は危険を伴う。

「なるべく高レベルの人達で纏まって行動しよう。参加者は僕に声をかけてほしい。出発は30分後、それでいいね?」

 締めの言葉を投げかけたケインに、集まっていたプレイヤー達は大きく頷いた。


 参加を希望するプレイヤーは思いのほか多かったが、大人数すぎると逆に動きを制限されてしまう為、ケイン、カイト、ユウト、親方と言った高レベルプレイヤーから10人を選抜した帽子屋の屋敷に乗り込む部隊と、15人程度のバックアップを務める補助部隊に分かれる。

「何かあれば屋敷に突撃。場合によっては戦闘になる可能性もある。各員心してかかって欲しい」

 ケインから対人戦の可能性を言及され、狩組と言えど緊張を隠せない。

 モンスター相手ならともかく、人を、それも同じプレイヤーを殺すのに忌避感を抱くのは当然だ。

 襲われれば自分が死なない為にも応戦せざるを得ない。

 高レベルのプレイヤーを相手に殺さない程度の手心を加えるなんて真似が出来る筈もなく、一度戦火の口火が切られればどちらかの陣営が壊滅的な被害を受けるまで、血を血で洗う殺し合いが繰り広げられるだろう。

 それでもなお、彼らの意思は変わらなかった。


「一度は離別した俺達がこうしていられるのだって全部あいつのおかげだしな」

「借りは返すもんだろ? ……俺、今良い事言ったよな!」

「はいはいワロスワロス。返す頃にはまた借りが増えてんじゃね?」


 セシリアは自分達の仲間だから。

 低レベルのプレイヤーを養う為に危険な戦闘を買って出た彼らが、仲間を見捨てるなんて真似をする筈がない。

 もしも彼らの姿が現実と同じものであったならば、こうも簡単に頷けなかったのかもしれない。

 でも今はゲームのキャラと同じ姿で、同じ力を持っている。それはある意味、自分のなりたかった姿だ。少しカッコつけるくらいでなければ決まらない。

「……そうだね。クロ、ポータルゲートを頼む」

 ケインの合図にアセリアの外周部へ繋がる扉の中にプレイヤーの姿が吸い込まれていった。



 ケインは案内された時の記憶を頼りに分乗した複数台の馬車を進ませる。

 アセリア内部におけるポータルゲートの使用制限は思った以上に不便極まりない。

 検問を潜り抜けて貴族街に辿りつく頃には、沈みかけていた太陽が城壁の向こう側へ完全に姿を隠し、城下町は夜の帳で包まれていた。

 屋敷の手前で馬車を降りた一行は幾つかのグループに分かれて行動を開始する。

「A~C班は散開して待機。合図があった時や時間を超えても連絡がない時は派手に暴れて騒ぎを起こせ、いいな」

 互いの役割を再確認した後、ケイン達突撃班は堂々と屋敷の門を叩いた。

「はいはい。今開けますよ」

 暫くすると扉の向こう側に影が映り、気だるげな声が漏れ聞こえてくる。

 硬い音と共に鍵が外されて扉が開かれると、応対に出た青年はずらりと並んだプレイヤーの姿に驚き目を見開いた。

「帽子屋に会いたい。自由の翼のケインだと言えばすぐにわかる筈だ」

 有無を言わせぬ様子に彼は「確認する」とだけ残し、扉を開けたまま奥へすっ飛んで行く。


 戻ってきた青年によって案内された、3人掛けのソファーが対面式に設けられた広い応接間には既に帽子屋が待機していた。

「皆様こんばんは。そうそうたる面々で突然の来訪とは穏やかではなさそうですね。本日はどのようなご用件でしょうか」

 ぞろぞろと入ってきたケイン達をざっと眺めた後、シルクハットを胸に抱いて一礼して見せる。

 何の憂いも焦りも見られない言葉の数々は、とても数時間前に多くのプレイヤーを騙して連れ去った態度とは思えなかった。

 厚顔無恥にも程がある。そんな帽子屋の様子にカイトは奥歯をギリと噛みしめた。

 まだ剣を抜く訳にはいかない。相手が襲ってこない限り、戦闘行為は禁止と事前に言い渡されている。

 今回の計画に帽子屋が加担しているのは間違いないとしても、だからといってこの屋敷に居る全プレイヤーが関係していると決めつけるわけにはいかなかった。

 確固たる証拠も揃えずに剣を抜けば悪役にされるのは自由の翼の方だ。

 その結果、無関係のプレイヤーを巻き込み、あまつさえその命まで奪うなんて真似は絶対に避けなければならない。


「僕達の要求は2つ。一つ目は解毒剤を求めてここに来たセシリアと会わせて欲しい。二つ目は馬鹿げた嘘を吐いて連れ去った自由の翼の人々を返して貰えないかな」

 ケインは丁寧で物静かな口調を心掛けていたが、隠しきれない怒気が言葉の節々に滲み出ていた。

 普段の穏やかな視線も今は鳴りを潜め、鋭く尖った視線を真っ直ぐに帽子屋へ突き立てている。

 しかし帽子屋はどこ吹く風とばかりに微笑みさえ浮かべて余裕の表情を崩さない。

「確かにセシリア嬢はここにいらっしゃいましたよ。解毒剤を探しているとの事でしたので、用立てる代わりに一つお願いを聞いて頂いたのです。残念ながら今この街には居りません」

「では何処に行けば会えますか」

「お答え致しかねます」

 意味のない茶番だ。問いただしたところで彼が本当の事を言うとは限らない。

 それでも、この押し問答には一定の意味がある。


「彼女は我々のギルドメンバーで、動向を把握する権利がある。"答えられない"では済みませんよ。その正当性を説明できないのであれば、我々はどんな手を使ってでも彼女の安全を確保しなければなりません」

 隠し立てするのは何か後ろめたい事情があるからだ。

 自分の仲間を守る為なら荒事も辞さないという直接的な脅しに帽子屋の目が僅かに細められる。

 獲物を狙い定める鳥類のような眼は『今ここでこいつらを排除すべきかどうか』を見定めているかのようだ。

 部屋の中に張り詰めたような空気が満ちる。幾人かはごくりと喉を慣らし、身に着けた武器に意識を向ける。

 だがそんな空気は帽子屋の声で瞬時に霧散する。

「ふむ。仲間想いの良いマスターですね。私としても身に沁みる思いです」

 高レベルのプレイヤーと本気で争えば、屋敷の中だけ済むようなお上品な顛末にはならない。

 曲がりなりにもここは貴族街の一角だ。ケイン達は逃走すれば素性不明の集団で終われるが、帽子屋は顔を知られている以上そうもいかない。

 一方的に襲われたのだと釈明しても無駄な詮索が入るのは目に見ている。

 或いはその詮索に一枚噛むのが目的なのかもしれないと疑った結果、彼はすぐに誤魔化すという選択肢を放棄した。


「えぇ、セシリア嬢も自由の翼の方々も大切にお預かりしています」

 何の気兼ねもない、それこそ他愛もない戯言を口にするかのような気軽さで、帽子屋は誘拐を肯定する。

「自分が何を言ったのか理解していますね?」

 立ち上がったケインの手が腰に着けられた愛剣の柄へと伸ばされ、いつでも引き抜ける態勢に整えられた。

 いや、ケインだけではない。彼の一言で自由の翼全員が臨戦態勢へと突入している。

 あと一つ、何かきっかけさえあれば乱戦になりかねない一触即発の雰囲気の中で、帽子屋の背後に控えていたプレイヤーが慌てた様子で剣を抜こうとした。

 自由の翼の面々はまだ武器を完全には抜いていない。そんな場所で敵対する勢力が剣を抜けば十分にきっかけとなり得る。

 だがその直前で帽子屋は剣を抜こうとしていたプレイヤーに鋭い制止を投げかけた。

「剣をしまいなさい。話はまだ終わっていませんよ」

 あとほんの少しの均衡は彼の言葉によってどうにか押し留められる。


「これ以上話し合いの余地があるとでも言うつもりか?」

 他ギルドのプレイヤーを強引な手段で拉致した時点で非は明らかだ。

 救出の為に一戦交えたとしても、多くのプレイヤーから理解を得られるだろう。

 しかし帽子屋はこんな状況でありながら少しも動揺を見せていない。

 それはまるで、何もかもが帽子屋の土俵の上で踊っているだけなのではないかと言う幻想を抱かせ、ケインの顔を曇らせた。

「手段が乱暴だったのは認めます。ですが一つだけ言わせて頂きたい。こんな強引な手段を使って、私に一体どんな得があると言うのですか? 貴方達はまず尋ねるべきなのです。一体何の為にこのような大それた事をしたのか、と」

 セシリアの拉致はともかくとして、大規模なプレイヤーの誘引は最初から隠そうとすらしていない。

 帽子屋の言う通り、もし仮に奴隷にして金銭を得られる算段がついていたとしても、露見してしまえばそれまでだ。

 何か別の思惑があるとしか思えない。


「言いたい事があるならさっさと言え」

 いっそこのまま斬りかかれれば楽なのだろうが、カイトはそこまで単純に割り切れる性格をしていない。

 まだセシリアを助けられていないのだ。もしここで帽子屋を倒せたとしてもセシリアが助かる保証はない。

 逆に敵を追い詰め、報復として死体が送られてくる可能性を排しきれない以上、迂闊に手を出す訳にはいかなかった。

「三日月ウサギの勢力が増えつつあります。このまま硬直状態が続けば我々に勝ち目は無くなるでしょう。そうなる前に我々は行動せねばなりません。具体的には、1週間後の深夜に敵が根城にしている要塞跡地を強襲します。今回の件は早急に戦力が必要だと考えた私が提案し、アセリアのギルド連合で承認を得ました」

 断れば預かっているプレイヤーがどうなるか分かっているなと、帽子屋は敢えて言葉にはせず目配せだけで伝える。

「……脅迫、という訳だね」

 ケインは苦い表情で剣の柄から手を放さざるを得なかった。

「目的の為なら手段を選ぶつもりはありません。どうしますか? ここで我々と戦いますか? しかしそれでは三日月ウサギをのさばらせる結果に終わるだけで誰も得をしません。今は堪えて手を貸して頂きたい。事が終われば、たとえ成功しても失敗しても無事に帰すと約束しましょう。それまでは紳士的な扱いをすると重ねて約束致します」

 表面上は紳士に頭を下げてみせるが、躊躇なくプレイヤーを誘拐した彼らを信じられる筈もない。

「……1週間後の強襲に参加すれば人質は全員無傷で解放する。そう約束して下さい」

 それでもケインはこう言葉を続けるしかなかった。




 お茶会の屋敷を後にした一行は同じ馬車の中で重苦しい雰囲気に包まれていた。

 誘拐と言う本来であれば決して許されない行為を、帽子屋は緊急事態を理由に正当化して見せたのだ。

 元の世界に帰りたいと思うプレイヤーに、この機会を逃せば帰れなくなるのだと吹き込むだけで、多少の悪事には目を瞑るようになる。

 なにせ自由の翼への誘拐と脅迫は多くのプレイヤーにとって自分と関係のない出来事だ。

 それより重大で密接な関係にある、元の世界に帰れる確率を上げられると言われれば、良心の呵責以外に反駁する理由はない。

 そして肝心の良心の呵責は2か月近い不慣れな異世界生活で限界に達しつつある。

 自由の翼が帽子屋の悪事をアセリアに住むプレイヤーに伝えたとしても、理解される可能性は大きく減った。

 いや、もし帽子屋の言うようにアセリアで結成されたギルド連合で可決されたのだとしたら、ゼロと言っても良いだろう。

 これで作戦の一つに挙げられていた、帽子屋の悪事を大々的に周知して包囲網を構築する作戦は早くも頓挫したことになる。

「クソッ! なぁ、なんか良い案ある奴はいないのかよ」

 誘拐と言う決定的な悪事を働いた帽子屋を糾弾し、アセリアに住むプレイヤーの賛同を集めて対抗するのは簡単だろうと思っていた。

 それがまさか開き直った挙句に正当性を主張し、あまつさえ多くのプレイヤーから認可を得たなどと言い出すなんてこの場の誰にとっても完全に想定外だった。

 けれど、こうしてアセリアに赴き、帽子屋と険悪な会話を繰り広げた行為は無駄に終わらない。


「案はありませんが、お話したい事があります」

 声は馬車の中、男達のすぐ傍から唐突に投げかけられた。

 澄んだ清流を思わせる高く可愛らしい声に誰もがギョッと目を見開く。

 この馬車にはむさ苦しい男達しか乗っていないのに、その声がどう考えてもまだ若い女性の物だったからだ。

 慌てて周囲を伺おうとした瞬間、

「動かないで。平静を保って、私の声に気付かないふりをしてください。帽子屋に監視されている可能性があります」

 制止を言い渡され、全員の動きがぴたりと止まった。

 それはそれで不自然な光景ではあったが、辺りを探し回るより余程いい。

「……自然にしていてください。私は暗殺者(アサシン)で今はスニーク状態にあります。姿を見られるのは不味いですが、こうして話すだけなら問題はありません。ただし、あまり騒がないでください」

 どういう理屈で完全に見えなくなっているのか分からないが、そういうスキルが暗殺者(アサシン)に用意されているのは確かだ。

「一体何者だ」

「個人の名前は申し上げられません。私達の事はどうぞ『眠りネズミ』と呼んで下さい。帽子屋や三日月ウサギに頭を押さえつけられているだけの毎日から目覚めんと誓った者達の集まりです」




 最初は小さな異変だった。

 城砦都市アセリアで過ごしていた小さなギルドメンバー全員がある日を境に忽然と姿を消したのだ。

 異世界へ放り込まれた直後だけあって、プレイヤー達は混乱の極みにあり、この小さな違和感に気付いた者は殆どいない。

 仮に気付いたとしても、どこか別の場所へ移動しただけだろうと気にも留めなかったに違いない。

 唯一例外だったのは、消えたギルドに属していた友人から「帽子屋に招集されたから行ってくる」と聞かされた一人のプレイヤーだけだ。

 それから幾日か経ち、ようやくプレイヤーが諦めからくる落ち着きを取り戻した頃、不意に最近見なくなった友人の事を思い出す。

 心配になったプレイヤーは使っていた宿屋を訪ねたがいつの間にか引き払われており、最後に会ったと思われる帽子屋へ何か事情を知らないか聞きに行く事にしたのだが……直後、そのプレイヤーもまた、所属していた小規模ギルドごと姿を消してしまった。


 転移してからというもの、プレイヤーを指定して電話のように会話できる『Wis機能』が使えなくなったせいで、プレイヤーの交流は顔を合わせられる限定的な範囲に絞られていた。

 元々、MMORPGではギルド単位で活動する傾向が強く、敵対する大規模PvP専用ギルドでもない限り、他ギルドの動向やメンバーを詳しく把握する必要はない。

 自分の所属するギルド以外は、『同じマンションだけど別の階で暮らしている顔も知らない住民』くらいに希薄な関係と言える。

 顔を合わせれば挨拶を交わす程度の関係であって、ある日を境に姿を見かけなくなったとしても、どこか別の場所に移ったのだろうと気にも留めない。

 こうして、アセリアで起こった小さな異変は誰にも気づかれる事なく闇に葬り去られる筈だった。

 しかし、仲の良かった友人が何も言わずに姿を消すなんて何かあったに違いないと思った彼は、元から慎重な性格をしていた事も手伝って、居なくなった友人の『帽子屋の召集』という言葉に小さな違和感を感じ、別のギルドの知人へ「もし自分が何も言わずに姿を消したら帽子屋を調べて欲しい」と言伝してから帽子屋に会っていた。


「元々2人はそれほど仲の良い間柄ではなかったそうです。転移後のごたごたで暫くは忙しく、言伝された事を忘れてさえいました。でもある時、風の噂で突然居なくなったギルドがあると耳にして、最近会っていない知人の言伝を思い出しました。久しぶりに顔を見に行くと、最近まで使われていた筈の家はガランとしており、人の気配どころか、ここ暫く生活していた痕跡さえありませんでした」

 彼は不思議に思い、知っている限りのプレイヤーへ突然見なくなったギルドやプレイヤーが居ないかと聞き回った。

 すると、話した事はないけれど近所で良く見かけていたプレイヤーを見なくなったという話が次々に見つかる。

「多分彼は知ってはいけない情報を掴んだのでしょう。ある日突然姿を消しました。ですが、そうなる可能性を織り込んで知人に「自分が居なくなったら調べてほしい場所がある」と伝えていたんです」


 知人はある日忽然と姿を消した彼の手がかりになるのではないかと、言われた通りの場所を調べ、長い手紙を見つけた。

  居なくなったプレイヤーはどれも小規模ギルドに属していて、その全員が例外なくアセリアを探しても見つからない。

  中には帽子屋に呼び出されたと周りのプレイヤーへ何となしに話していた者もいた。

  招集された事を話したギルドも一緒に消えたケースが多数。

  怪しいのは帽子屋だ。一体何をしているのか分からない。

 手紙には居なくなった彼が消える直前まで調べた情報が目いっぱい詰め込まれていて、最後はこう締めくくられている。

 『帽子屋が現地の貴族らしき人物と密会しているのを見つけた。彼はこの街で商人を束ねている人物らしい。物資の融通でも頼んでいるのだろうか? 明日はその商人が何を取り揃えているのか調べてみようと思う』


「彼は何かあると感じ、後を継ぐように調査を始めました。そして遂に帽子屋の裏の顔を突き止めたんです。事実を知った彼は告発しようと思いました。……でも、出来なかったんです。勝ち目がないから」

 帽子屋の存在感は大きい。

 転移初日、帰還用アイテムを奪った挙句に集まったプレイヤーを虐殺した三日月ウサギを止めたのは彼だ。

 集まっていたプレイヤーは不審者として騎士団に拘留されたが、保釈金を支払って解放したのも彼だ。

 混乱しているプレイヤーを呼び集め、お金を持たない者達には惜しみない支援を申し入れたのも彼だ。

 帰還用アイテムを奪還すべく、アセリアの高レベルプレイヤーを集めてギルド連合を作り上げのも彼だ。

 しかしそれは、彼のほんの一面。言うなれば表の顔に過ぎない。


「帽子屋は低レベルのプレイヤーが集まる小規模ギルドを集め、奴隷として商人へ売りつけていたんです」

 小規模ギルドほど他ギルドとの交流が薄いという特性に目を付けた帽子屋は、関係者を丸ごと売りつける大胆な手口を取っていた。

 人が居なくなったから行方不明者が出る訳ではない。

 居なくなった人を"探そうとする人"が捜索届けを出す事で初めて行方不明者が生まれるのだ。

 なら逆に、"探そうとする人"が出ないような広い範囲を纏めて誘拐してしまえば良い。

 現実世界なら会社や学校と言った何らかの組織に属した時点で対象が広くなり過ぎて難しいが、この異世界において、プレイヤーを知っているのは一部のプレイヤーだけなのだ。

 それも前述の通り、ギルド間の関わり合いは酷く薄くなっている。

 

 例え真実をこの目に焼き付けたとして。

 写真もビデオカメラもないこの世界で、帽子屋と貴族の怪しげな取引を見たと主張したところで誰が信じると言うのか。

 三日月ウサギの回し者が帽子屋を失墜させようとしているのだと言われてしまえばそれまで。

 帽子屋の悪事を告発する為には言い逃れの出来ない確実な"証拠"を必要とする。下手に声を荒げても破滅するのは自分の方だ。

 彼は信用できる仲間に声をかけて調査を続ける事にした。そうして出来上がった組織が『眠りネズミ』である。

 城砦都市アセリア内のプレイヤーは『何も知らない一般人』と『眠りネズミ』、『お茶会に与する者』3つの勢力に分けられる。

 ただし、具体的に誰がどの組織に加入しているかについては不明瞭のままだ。

 中にはお茶会に潜り込んだ『眠りネズミ』のメンバーもいる。恐らく逆の、『眠りネズミ』に潜り込んでいる『お茶会に与する者』もいるだろう。



「アセリアで何があったのか大体わかった。確かに小さなギルドが消えてもすぐには気付かないかもな。でもよ、そんな事を続けてりゃいつか気付かれるんじゃないか?」

 姿なき暗殺者(アサシン)の説明に自由の翼の一人が疑問を投げかけた。

 幾らギルド間の関係が薄いと言っても、敵対している訳ではないのだから情報共有を兼ねた定期的な会合くらいは開くだろう。

 最初は来ていたのに突然来なくなったギルドが増え続ければ誰だっておかしいと思うに違いない。

 暗殺者(アサシン)の説明では消息不明になったとされるギルドの数は既に30を超えている。

 一つ二つならともかく、これだけの数を隠し通すのは難しい。


「私達もそう思っていました。いずれ限界が来ればプレイヤー達の間にもおかしいと言う声が広がる。その時が告発のチャンスだと期を伺っていたのです」

 けれど、事態の露呈を計算に入れていた帽子屋は『眠りネズミ』の待っていた期が訪れる前に動いた。

『三日月ウサギの勢力と正面から戦えばどちらの陣営にも犠牲者が出ます。この世界で死んだ人間は帰還魔法が発動しても元の世界には帰れません。それは非常に悲しい事です。ですから私は無血でアイテムを奪還したい。……簡単な話です。圧倒的な戦力でもって三日月ウサギ達の拠点を包囲し降伏させればいいのですから。ですが、今の戦力でこれを成すのは難しいでしょう。そこで目につきにくい小さなギルドを秘密裏に他の街へ派遣したのです』

 三日月ウサギの行動を阻害する為、高レベルのプレイヤーをアセリアから動かす訳にはいかない。

 かといって大々的に派遣を決めれば、三日月ウサギ達の一派が各個撃破に向かうかもしれない。

 帽子屋は悩み抜いた上、敢えて誰にも計画を打ち明けない事で秘匿性を確保。

 目につきにくい小さなギルドに頼み込み、彼らは快く引き受けてくれたのだと、まるで美談のように語った。

 それを確認する術はないのに、殆どのプレイヤーは今なお疑いの目線を向けていない。

 いや、正確には目を向けられなくした、と言った方が正しいだろうか。


「これが何かご存知ですか?」

 暗殺者(アサシン)は姿を消したまま、透き通ったオレンジ色の液体で満たされた親指大の小瓶を取り出し、腰かけていたプレイヤーの膝の上に転がす。

「……補助ポーション瓶、だよな」

 一口にポーションと言っても、HPやMPを回復する単純な物から、飲むと一時的にステータスが上昇したり、経験値が増加する物まで種類は多彩だ。

 ゲームでは回復・補助・特殊で容器のデザインが異なっており、プレイヤーの間でもこの違いを元に区別されていた。

 複雑な意匠を施された小瓶はゲーム時代で補助ポーションに使われていた容器と一致する。

 色合いを加味すれば中身の特定も難しくない。


 狂気薬(バーサークポーション)


 一時的に攻撃力と攻撃速度を増加するステータス上昇系の補助ポーションだ。

 NPCが販売する同系列のステータス増加ポーションと比べて実に10倍近い効力を持っているが、高レベルの錬金術師でしかまともに製造できず、素材も高額なので一般的には使われない。

 大手対人ギルドが採算を無視して暴れまわる時か、大規模PvPコンテンツでここぞと言う時に廃人が使うくらいだ。

「これが何か……?」

 珍しくはあるが先程の会話にどう繋がるのか理解できず、姿のない暗殺者(アサシン)が居ると思しき場所へ訝しげな眼差しを向ける。

「この世界では別の効果があるんです」


 ゲームとこの世界で、スキルやアイテムの効果に微妙な差異があるのは周知の事実だ。

 無味無臭だったポーションはえぐい苦みのある薬品臭い液体に変わったし、武器の職業制限も撤廃されている。

 この狂気薬(バーサークポーション)もその例に違わなかったらしい。

「具体的な効果は倦怠感や憂鬱感の払拭と興奮作用からくる攻撃的な性格の発露。続いて思考力の低下、理性や倫理感の欠如、強い依存性と多幸感。……つまり、強力な麻薬なんです。それも、とびきり性質が悪いと断言できる程の」

 ケイン達はそんな馬鹿なと目を見開きながら小瓶の液体に視線を注ぐ。

 名は体を現すと言うが、読んで字の如く気を狂わせる為の薬だったわけだ。


「帽子屋は狂気薬(バーサークポーション)を混ぜた水や料理を素質のありそうな高レベルプレイヤーに与えていたんです。奴隷商のパトロンでもあるバロンから奴隷の飼い馴らし方を聞かされていたのかもしれません」

 薬物で奴隷を調整したり管理するのはさして珍しくない。

 毎日飲み続けなければ死んでしまう薬物や、思考力を奪う薬物を与えれば容易には逃げられなくなる。

 帽子屋は狂気薬(バーサークポーション)と巧みな話術によってプレイヤーの精神状態を都合の良い形に誘導し、状況を整えた上で隔離していた奴隷を襲わせたのだ。

 狂気薬(バーサークポーション)の薬効が切れれば幾らかの正気を取り戻す。

 罪の意識に苛まれ、押し潰されそうになっていた彼らが帽子屋と狂気薬(バーサークポーション)を頼っても不思議はない。

 『眠りネズミ』がこの事態に気付いた時にはもう手遅れだった。

 城砦都市アセリアには今なお多くのプレイヤーが過ごしているが、よくよく表情を確かめてみると、異様にぎらついた目をしたプレイヤーが混ざっている。


 姿なき暗殺者(アサシン)の説明に誰もがどう判断した物かと頭を悩ませていた。

 即ち、彼女を信じるか信じないか。

 もしかしたら帽子屋の策略という可能性もある。彼女もそれを察したのか、すぐにこう付け加えた。

「私を信じて欲しいとは言いません。ですが、ここ数日の帽子屋の動きは以前よりも大胆になっています。以前から何かしらの計画を推し進めていると考えていましたが、恐らくその時は近づいているのです。今、確実に帽子屋と敵対している勢力は皆さんだけ。どうか私達に力を貸して欲しい。それが無理でもせめて、私達の得た知識だけでも伝えたいのです。もし私達の身に何かあったとしても、沢山の人達の努力を無にしない為に」

「分かった。話だけで良いなら聞くよ。その上でどうするかは僕らが考える。それでいいかな」

 縋るような彼女の物言いにケインは覚悟を決めて頷いて見せた。

三日月ウサギの由来

 →不思議の国のアリスから『3月ウサギ』+能面の『三日月』

  なので仮面(≒能面)と枯れ草(≒藁)で出来た傘をかぶっています。

  転じて、KOP。


帽子屋さんによる城砦都市アセリアで進めていた人心掌握術についてでした。

もうちょっと綺麗に纏められるようになりたい……。


頼れるナイスガイを演じつつ、裏でプレイヤーを出荷してました。

バレそうになったら敵勢力に気付かれないよう味方にも黙ってたんだ! としたり顔でのたまう。

挙句、警戒心の薄いプレイヤーに薬物使って洗脳までしてた鬼畜っぷり。

なおアセリアでは多少強引なところがあるものの、元の世界に帰る為に奔走してくれている善人扱いです。

今さらながら、どこかでアセリアにおける帽子屋の立場を文字数使って描写するべきでしたね……。

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