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World's End Online  作者: yuki
第三章 World's End Project
58/83

ラボラトリー-5-

 新堂からの電話を終えた霧島は送られてきたメールの確認も見ずに再び内線をかける。

 コール音が数回響くと、聞き慣れた声が受話器の奥から聞こえてきた。

「夜分遅くに済みません。犯人が分かりました。一度こちらへ来ていただけませんか?」


「犯人が分かったんだって? 君の親友とやらも随分と走り回っていたようだったからね」

 珈琲を淹れながら待つこと数分、まだ研究を続けていたのか、白衣姿のままの福部がやってきた。

「ええ。あちこちを走り回って情報を集めてくれましたよ。こちらをご覧ください。彼が纏めた資料です」

 こちらの都合で呼び出しておいてなんだが、新堂はよくやってくれた。

 どこか捻くれている自分と違い、根が真面目でひたむきな彼ならば、きっとこの大役を果たしてくれるだろうと信じていた。

 新堂はもう十分に役目を果たしてくれている。だからここから先は自分の役目なのだ。

 資料を眺めている福部に、霧島は熱い珈琲を啜りながら晩年の思いで語る。

「福部さん、僕は貴方に感謝しているんです」


 福部と霧島が出会ったのは夜の世界で異世界の少女の力を借りて作り出した装置を使い、神経パルスの解析を終えた頃だった。

 まだ年若い上に研究一筋だった霧島にはコネクションなんてものはない。

 折角研究成果が得られても、それを売り込む場所や組織を知らなければ資金は得られない。

 ほとほと困っているときに大学教授から紹介されたのが、同じ分野の大きな研究所を運営している福部所長だった。

 彼は霧島の研究成果に大きな関心を示し、持前のコネクションを活かして方々へ売り込んでくれたのだ。

 おかげで医療品メーカーを中心に大きな反響を受け、使い切れない程の研究資金を得ることができた。

 それだけではない。

 この研究所の設立を話した時だって、人材集めや適性のある部署への配属など、多くのマネジメントを一手に引き受けてくれた。


「孤独な天才に価値はない。研究で必要なのは一人の天才ではなく、一丸となって動けるチームです。短期間でここまで研究が進んだのは他でもない、貴方のおかげです」

「突然かしこまってどうしたのかね? 褒められるのは悪くないが、君がいなければこの研究はそもそも成り立たっていなかったんだ。自信を持ちたまえ」

 霧島としては正直な感想だったが、福部は面食らったように首を傾げたあと、照れくさそうに頭を掻く。

 この研究所は彼なくしては成り立たない。だからこそ、霧島にはどうしても理解できなかった。

「何故、情報を流したんですか」

 彼がどうして外部に通じ、重大な研究成果を流していたのかが。


「それは一体、どういうことかな?」

 すっと細められた目は霧島の言葉の意味を推し量りかねているようだった。

「……もうお互いに腹の探り合いは止めましょう。貴方が犯人である証拠は揃っているんです」

「これはこれは、面白いことを言う。君だって施設の中から通信ができないことくらい知っているだろう? 一体どうやって私が情報を流すのかね?」

 確かに地下にある研究施設は外からも中からも一切の電波が遮断される設計になっている。

 館内ネットワークも完全に独立しており、外部ネットワークには最初から繋がっていない。

 この状態で外部と接触するには研究施設から外に出るか、唯一外部と繋がっているネットワーク部署の連中を丸めこむしかないと考えていた。

 その内、所長である霧島以外が外に出るのは難しいと言わざるえ終えない。

 数十台にも及ぶ監視カメラや熱、赤外線、重量変化による監視も行われている。

 残りはネットワーク部署からの漏えいだけだったが、あらゆるログを攫っても内部の情報を漏らした形跡は見つからなかった。


「それを見つけてくれたのは古川です。彼と僕は知り合いなんですよ。といっても面識はありません。だから貴方は僕との関連性を見つけられなかった」

 自分の知識では漏えい元を探れるのは難しい。かといって、外部の専門家に頼っても買収されている可能性があるし、露骨な知り合いだと間違いなく警戒されるだろう。

 信用のおける相手でその手の知識もあり、かつ交友関係があると思われない相手。

 そんな複雑怪奇な条件にあてはまる知り合いが居たのは僥倖だった。

 World's End Onlineの開発に参加したフリーランサーの一人、古川竜司である。

 フルダイブシステムに組み込む機能を依頼した際、打ち合わせの間に間によく会話をした。

 ネットワークの脆弱性を探すのが三度の飯より好きだと豪語していた彼が、密室の巨大研究所で発生した情報漏えいと言うシチュエーションに興味を抱かない筈がない。

 公募の形に偽装し、セキュリティ監査役として迎えてからは一切接触せずに漏えい元の調査を頼んだのだ。

 流石はプロといった所か、古川の調査は迅速だった。


「まさか内部に抜け道があるなんて思いませんでした」

 実験を行う際、ユーザーの脳の余剰領域を確保する為、意図的な遅延(ラグ)を発生させることがある。

 管理用コンソールからWorld's End Onlineの管理サーバーへGMコマンドを発行する以上、外部との接続が発生する。

 そして、World's End Onlineの管理システムをそのまま組み込んだ関係上、発行できるコマンドも多岐に渡っていた。

「貴方はこのコンソールから遅延(ラグ)コマンドを使用する振りをして、アイテムの作成コマンドを使用した」

 情報の書かれた手紙アイテムを人気のない場所に作り出し、外部の協力者へ拾わせる。

 ゲームなどしたことのない霧島にはとても思いつかない発想だった。

 だが、ここまで情報を明かしても彼は未だに薄笑いを浮かべ、自分が犯人だとは認めない。


「なるほど、そんな抜け道があるなんてね。確かに私は何度か遅延(ラグ)を発生させた。……だが、私だけと言うことはあるまい? 私が犯人だと言い切るにはいささか無理があるだろう」

「ええ。発行された管理コマンドのログは綺麗に消されていましたから、犯人を特定することはできません」

 消去されたログは古川でもサルベージできなかった。

 だからこそ、霧島は次の手として新堂をここへ連れてきたのだ。

「ですから、査察官に扮した新堂が懸命に情報を集めている間の貴方の行動を全て押さえさせていただきました」

 その瞬間、福部の浮かべていた笑みが吹き飛ぶ。

「言ったはずです、彼は撒き餌だと。でもそれは不穏な情報を集める為ではなく、貴方に対してのものです」

 テーブルの上にSDカードの刺さったレコーダーを置く。流れてきた音声に彼の顔が険しさを増していった。


 彼は用心深く、危ないと思った時は焦らずにじっと様子を伺うタイプだ。

 正攻法では切り崩せないと悟った霧島は親友を偽の査察官に扮させ、情報を集めさせる計画をわざとばらした上で、怪しい人物として古川の名を告げた。

 まさか疑われている相手に計画を包み隠さず話すとは思うまい。

 彼は自分が疑いから外れていると思い込み、自分の派閥の研究者へ古川の悪い噂を流す様に口添えしたのみならず、霧島の無能さを嘲りながら自らを犯人だと公言した。

 椅子を勧められた際に襟首へ盗聴器を仕掛けられていたとも知らずに。




 これ以上ないほどの決定的な証拠を突きつけられ、福部ががくりと肩を落とす。

「どうして、こんなことをしたんですか」

 霧島の問いかけに彼は答えず、俯いたまま押し殺したような声を漏らす。

 初めは泣いているのかとも思ったが、次第にそれは大きくなり、やがて暴力的な嘲笑へと変貌した。

 怪訝な顔で眺めていると、福部は急にぴたりと笑い声を潜める。それから底冷えするほどの無表情で言った。

「どうして? 決まっているだろう、この研究成果は私の物だからだ。神経パルスの解析に偶然成功しただけの学者が私を差し置いて国立研究機関の所長だと? 笑わせるな、その肩書は本来私の物であるべきなのだよ」

 福部もまた、長年脳の研究に携わっていた研究者だ。惜しみない研鑽と努力を続け、大きな研究施設の所長と言う立場にまで上り詰めた。

 それを自分より遥かに年若い霧島が瞬く間に掠め取っていったが面白い筈ない。

「君の研究に力を貸したのも、私の手の内にある企業で技術を独占する為だ。土下座で技術供与を求める虫けらを眺めるのは壮観だったよ。だというのに、君は私に無断で国と別の研究所を立ち上げた。勝手なことをされては困るのだよ」

 若い才能を前に嫉妬の炎で焼かれ、いつしかそれを奪い去ろうと考えるようになった。

 魔法の理論を解明し世間に公表すれば間違いなく今世紀最大の偉人と評されるだろう。

 ノーベル賞どころの騒ぎではない。誰もが到達できないような遥か高みへ登りつめる事ができる。


「……残念です。貴方は僕の理解者であると思っていたのに。既に警備員は呼んであります。部屋は用意させますから、研究が終わるまでの間はそこでお休みください」

 偽物の夢を誇らしげに語る福部に対し、霧島は複雑な心境だった。

 自分だって、あの異世界の少女と会わなければ魔法の発見には至らなかったのだから。

 だからといって放置はできない。警備員が到着するのを待ってから、適当な部屋に軟禁することになるだろう。

「所長の座が欲しかったのなら、行ってくれさえすれば良かったのです。私は研究ができればそれでよかった」

 今の地位は設立の時に政府から祭り上げられた結果だ。霧島は地位も名誉も求めてはいない。

「ふざけるなっ! この私に物乞いをしろと言うのか!? お前如き相手に!」

 その言葉に福部はテーブルを叩き壊さんばかりの勢いで激昂する。

 乗っていたコーヒーカップが中身事吹き飛び、硬質な音を立てて砕けると絨毯の上に染み渡る。

 福部の顔は今まで見た事のないほど醜悪に歪んでいた。

 しかしそれも一瞬のこと。すぐに平静を取り戻したばかりか、にやついた笑顔さえ浮かべて見せた。


「まあいい。そろそろ頃合いだと思っていたからな。良いことを一つ教えてやろう。君の弱点は研究に没頭しすぎて、マネジメントを疎かにすることだ」

 福部は自然な動作で白衣の内ポケットへ手を伸ばす。

 鈍い銀色の光沢。6つの穴が開いたシリンダーには天井からの光を受けて金色に煌めく弾丸が残らず装填されている。

 ガチャリという金属音と共に福部の親指が撃鉄を起こした。

「馬鹿な真似はやめてください! 僕を殺したところでこの施設から逃げられるわけが……」

「馬鹿なのは君の方だ。おかしいとは思わんのか? 私がこの部屋に来てからもう随分経つと言うのに、警備員は一体どこをほっつき歩いているのだろうね」

 ハッとして壁に掛けられた時計を見やる。連絡を入れてから既に15分が過ぎていた。一番近い詰所からこの部屋までは5分とかからない。

「まさか……っ」

 漏えいの件が露見したというのに、福部は少しも取り乱していないどころか、勝ち誇ったかのような笑みさえ浮かべている。

「君はここが外部から隔離された密室だという事を理解しているのかね?」

 いつからか警備員は全て彼の派閥に丸め込まれていた。

 いや、警備員だけではない。最初は幾つかに分かれていた派閥の内、霧島の所属する一派を除いた残りを1つに纏め上げていた。

「本当はもう少し入念に準備を整えてからの予定だったがこの際仕方あるまい」

 そう告げると銃を構えたまま反対側の手で内部通信用の携帯端末を取り出す。

「私だ。ネズミに勘付かれてしまってね、計画を前倒す。すぐに解析の調整を行ってくれ。……そうだ、余剰演算領域なんてちまちましたもんじゃなく、全領域を使っての最大出力でだ」


 福部の声に今度は霧島の顔がみるみるま内に青く染まった。

 解析に脳の余剰演算領域を使っているのは、通常使う領域にまで踏み込んでしまうと生命活動の維持ができなくなるからだ。

 普段から使っていない領域だけあって、効率は数ミリパーセントに落ち込むが、無断で巻き込んでいるプレイヤーに危害を加える訳にはいかない。

 もし最大出力で実行などしようものなら、30分も持たずに全員が死ぬだろう。

「馬鹿なっ! 十数万の人間を殺すつもりかっ!?」

 人体実験……いや、これはもう虐殺と何も変わらない。だというのに、福部は悪びれた様子もなくさも当然とばかりに告げた。

「殺すのではない。科学の発展の礎になって貰うのだよ。あとは制御の方法さえ分かれば研究は完成するのだ。彼らの犠牲があれば、それを成し得ることもできるだろう」

 想像を絶する言い分に霧島が言葉を失う。もはや狂っているとしか表現できなかった。

「シナリオはこうだ。成果を急いだ君は危険を軽視し解析を進め、被験者は全員死亡。責任を感じ自殺する。完成した研究成果は私の基で引き継がれ、この世界に大いなる繁栄をもたらすのだ。どうだ、なかなか面白いだろう?」

 挙句に、その責任は口を封じられた霧島へと押し付けられる。

 他殺と自殺の違いなんて検視報告書に書かれた文字だけだ。

 例え死体がどうであれ、立ち会った人間が自殺と判断するだけで闇に葬られる。


 塀の外は危険で溢れていた。様々な思惑を持った人が霧島の研究成果を狙っていたからだ。

 なのに、どうして塀の中には危険がないと思っていたのだろうか。

 外に居るのも中に居るのも同じ人間だと言うのに。

「さて、真に口惜しいが、そろそろお別れの時間と行こうかね」

 トリガーに指が絡み、ゆっくりと引き絞られる。

 逃げる時間も立ち向かう時間も用意されていなかった。

 火薬の炸裂する音が部屋中に響き渡る。ややの間を開けて霧島の身体がゆっくりと崩れ落ち、あとはピクリとも動かなかった。

 うつ伏せになった身体の腹の辺りから黒々とした染みが絨毯に広がっている。

「ふむ、初めて使ってみたが、人の身体とは脆いものだな。……私だ。館内を制圧しろ。外部へ通信されると厄介だ、ネットワーク管理室は最優先で落とせ、いいな」

 福部は動かなくなった霧島を眺めながら人ごとのようにそう呟くと電話先の相手へ矢継ぎ早に指示を飛ばした。






 購買でつまみの類を物色してから霧島の部屋に向かうものの、よくよく考えればあいつの部屋には1度しか行っていない。

 しかも似たような景色をぐるぐると歩き回ってようやくついたのだ。

 今さら道を思い出せと言われても、新堂の頭脳がそこまで優秀にできている筈もなく、あちこちを歩き回りすれ違った人に尋ねながら、結局30分近い時間をかけやっとの思いで到着した。

 だというのに、何度扉をノックをしても反応はない。仕方なく携帯を鳴らすのだが、全くの無反応だった。

 トイレにでも入っているのだろうか。何にせよ、今さら元来た道を戻る気にはなれない。

 その内戻ってくるだろうと、勝手に中で待たせて貰う事に決めて扉を開いた瞬間。

 ばさり、とつまみの入ったビニール袋が床へ落下した。


「おいっ! どうした、何があったっ! しっかりしろ!」

 うつ伏せに倒れている霧島をがくがくと揺さぶる。

 暫くそうしていると咳き込みながら目を覚ました。

 着ていた白衣は胸の部分がべっとりと黒く汚れており、一体何をしたのか穴らしきものも見て取れる。

 不審に思って触れてみると何かが外れ、床に転がり重たげな音を打ち鳴らした。

「……なんだ、これ」

 不思議な素材でできた板の中心に鉄片が食い込んでいる。指でぐりぐり弄ると簡単にはがれ床へ転がった。

 つまみ上げてまじまじと眺める。尖端がひしゃげた円筒形の物質は映画でしか見た事のない銃弾にそっくりだ。

 霧島は暫くぼうっとしていたが突然目を見開くと弾かれるようにして立ち上がる。

「新堂か。……っ! 今何時だ!? あれからどのくらい経った!」

「は? 何をそんなに慌てて……」

「良いから立てっ! 時間がない、古川の所へ急ぐぞ」

 訳が分からず目を瞬かせていると引きずられるようにして部屋から連れ出された。


「待てよ! 犯人は古川で解決したんじゃないのか? 一体何をそんなに急いでるんだっ」

「犯人は福部だ! 古川とお前を餌に釣り上げるつもりだったんだ。くそっ、甘く見過ぎていた。まさかいきなり撃ってくるとは思わなかった! 説明は後だ、急いで古川に会わないと十数万の人間が殺されるっ」

「撃たれたって……まさかあの破片、マジで銃弾かよ!?」

 聞きたい事は山ほどあるが、真剣な霧島の表情からしてかなり逼迫した事態が迫っているのだろう。

 何より、十数万の人間が殺されると言うフレーズは洒落にならない。

「分かった、とりあえず協力する。俺は何をすればいい!」

 明日世界が滅びても信じると言ったな。あれは事実だ。

 今の新堂には次の瞬間に十数万人が殺されると言われても信じられるだけの経験値が貯まっていた。不本意なことに、霧島のおかげで。

「そうだな、まずはあの扉の前に居る警備員をのす。この際生死は問わない、あれは敵だ!」

「OK任せろ、荒事なら割と得意だ」


 無茶苦茶な要求にもかかわらず迷わなかったのはこちらの足音に気付いた警備員が無言でリボルバーを向けてきたからだ。

 霧島を掴んで近くの曲がり角に転がり込むと静止を呼びかける一言もなしに銃声が響き渡る。

「マジで撃ってきやがったぞ! ちっくしょう、ここは日本だ! ドンパチなら海外でやりやがれ!」

 訳が分からないのに受け入れてしまっている自分が怖い。

 敵が銃を持っているならそれなりの武器が必要だ。新堂は周囲を見渡した後、壁に埋まった扉と赤いランプに飛びつく。

 それだけで霧島も何をしようとしているのか察したのだろう。

 曲がり角の向こうからは近づいてくる警備員どもの足音が聞こえる。猶予はない。

「開けろ!」

 新堂の叫び声とともに霧島がバルブを全開まで捻る。

 ぺたんと畳まれていたホースが荒れ狂う水圧に膨れ上がり、丁度顔を出した警備員の顔目掛けて吐き出された。

「ぐぉっ!?」

 消火栓の直撃を受けてバランスを崩した警備員がすっころぶ。

 反射的に引き金を引いたのか2度の銃声が響き渡るものの、まともに狙いを付けられないのでは当たる筈もない。

「ちったぁ頭冷やしやがれ! おい霧島、そこに消火器もあるぞ!」

 集中的に顔を狙って行動を阻害している間に霧島は設置されていた消火器を取り上げるとのたうっている男に向かって豪快に振り下ろした。

 おぞましい音が鳴り響き、男はぴくりとも動かなくなる。脈はあるから死んではいないだろう。


 ドアを潜ればすぐそこがネットワーク管理室だ。

 マスターキーに持っている霧島のIDカードで扉を開けて飛び込む。

 部屋の中には警備員が一人、丸々と太った男に銃口を向けているところだった。

 霧島は武器代わりに持っていた消火器の口を顔へ向けると素早くトリガーを引く。

 白い液状の消火剤が凄まじい勢いで噴出し、咄嗟に顔を庇った所へ渾身の右ストレートを土手っ腹へお見舞いすると白目を向いて痙攣する。

「何なんすかこれは! こんなの聞いてないっすよ!」

 彼はぷんすかと怒るのだが、外見のせいでいまいち迫力に欠ける。

「後で説明する。良いから今すぐにWorld's End Onlineの管理コンソールから全ユーザーの強制ログアウトを実行しろ、早く!」

 霧島はそんな彼の泣き言を華麗にスルーして今にも噛み殺さんばかりの勢いで掴みかかる。

 普段温厚な姿からは想像もつかない豹変ぶりに、肥えた男はびくりと背筋を伸ばした後、一つ返事でパソコンへ向き直った。

「意味わかんないっすよもう! はいはい分かりました、やりゃいいんでしょ!」

 投げやりな態度ではあるが、キーボードを操作する指は丸々と超えた身体からは想像もできないほど早く、ぶれて見えないほどだ。


「一体何が起こっているんだよ。第一お前、何で銃で撃たれる事を知ってたんだ」

 胸を保護するように指し込まれていた板は明らかに銃弾を防ぐ目的が感じられた。

 銃撃が怖いなら予め防弾チョッキでも用意しておけばいい。霧島にかかればそのくらいお手の物だろう。

 そもそも撃たれたのが胸ではなく腹だったならあの板の意味も虚しく銃弾は身体へ突き刺さっていた筈だ。

 にも拘らず銃弾はあの板の、それもど真ん中で止められている。作為を感じない方が不自然だ。

「あれはセシリアから直前にそうしておけと言われたんだ。まさか撃たれた銃弾を防ぐ為の物だなんて思ってもない」

 意味不明な単語の羅列に新堂は詳しく聞こうと口を開けた直後、遮るようにして肥え太った男が奇声を発した。


「上は何考えてるんすか!? 全サーバーに大規模な遅延(ラグ)が展開されて……出力全開で解析を行うつもりっすよ!?」

「だからそれを止めるんだ! ユーザーの強制ログアウト急げ!」

「無理っすよ! 遅延(ラグ)コマンド中は安全の為ログアウト機能がロックされる仕様なの忘れたんすか!?」

 霧島の顔がしまったとばかりに歪んだ。

 この状態から強制的にログアウトさせる方法があるとすれば、ゲームサーバーかユーザーのPCからLANケーブルを引っこ抜くくらいしかない。

 最大出力の解析が行われるまでに間に合わせるのはどう考えても不可能だ。

 どうにかしてユーザーを逃す方法はないのか。

 悲壮な表情で考え込んだ霧島に、新堂は恐る恐ると言った様子で声をかける。

「何か分からんが、魔法でどうにかならんのか?」

 刹那、その手があったかとばかりに霧島が顔をあげた。


「古川、手伝え! 以前フルダイブシステムの機能追加を頼んだな? あれと大して変わらない」

 言い終わるより先に手身近なPCへ携帯端末を繋ぎ合わせ、入っていたデータを展開する。

「何しろってんすか!」

「ちょっとしたプログラムの改修だ! ログアウトさせられないなら出来る限り異世界へ避難させる!」

 突拍子もない声に古川が目を剥いた。

「ちょ、何言ってんすかあんた! 魔法の原動力がログインしてるユーザーの脳ってこと分かってるんすか? 送ったが最後、もう二度とこちら側へ再転移させられなくなるっすよ! あっちとこっちじゃ時間の流れが違うんすから、1ヶ月かけて再発動できる人員を確保できたとしても、その頃にはみんなよぼよぼの爺さん婆さんか下手すりゃ死んでるっス!」

「だから工夫するんだ! 帰還用の術式を埋め込んだアイテムを用意する! 時間の流れについては以前の研究で課題になって今は解消されているから問題ない!」

「そんなん全ユーザーに配ってたら日が暮れますって! バッチ処理にどれくらい時間が掛かるか知らないんすか!?」

 こんな事態でそもそもが急な話だと言うのに、古川の突っ込みは正確無比で頼もしい。

 彼の言う通り、十数万のユーザーへアイテムを配布するのは時間が掛かるうえ、万が一所持量が限界だった時は消滅してしまう。

 ならば規模を大きくするだけだ。小さいものをたくさん配るのがだめなら、大きなものを一つだけ配置すればいい。


「基本システムが変わらないなら世界中からユーザーだけを検知して強制的にこちらの世界へ転移させるアイテムも作れる筈だ!」

「り、理論上は可能っすけど……いや、それくらいならすぐに作れるっすけど、それだけ大きな力を込めるのに時間がかかるっす! それに、ユーザーの転移先は今繋いでる場所になるっすよ!? ダンジョンの中とかだったら即死っす!」

 今までの異世界探索ではフルダイブシステムに搭載された秘匿機能で保存した生体データを基に異世界用の身体をコンバートしていた。

 危険なモンスターが出ない地域ならそれで問題ないかも知れないが、プレイヤーはそんなことと露知らず、様々なダンジョンへ出かけている。

 今まさに戦闘中というプレイヤーも少なくないだろう。

 それが突然ただの人になれば……彼の言う通り即死は免れない。

 だからこれは賭けだ。

「転移先の世界で構築される身体の参照先をフルダイブシステムが取得した生体データからプレイヤーのキャラクターデータへ変更するんだ。……もしかしたら、キャラクターと同じステータスやスキルを引き継げるかもしれない」

「んなの滅茶苦茶っすよ! 失敗するのがオチっす!」

 言われなくても分かっている。勝てる見込みは低いだろう。

 だが、ユーザーの作りだした異世界なのだ。誰しもが一度くらい、自分のキャラクターになって冒険したいと思っても良い筈である。

 どの道退路は残されていないのだ。

「やらねば全員殺される! ぐだぐだいっている暇があったら手を動かせっ!」

「……あぁもうっ! 何かあっても責任持てないっすからね!」

 そればかりは安心して任せろと、霧島は古川に向かって親指を立てた。


 2人が傍目からすれば楽しげに会話を繰り広げている中、新堂は勝手に何をすればいいのか分かってしまう己の身体が憎たらしいと思いながら扉のバリケードを作り上げていた。

 会話に夢中だった2人は気付いていないが、先程から仲間と思しき警備員が無線から応答せよと呼びかけていた。

 何かあったとばれるのは時間の問題で、ばれればすぐに仲間がやってくるだろう。

 手元にあるのは拳銃が2つと弾が十一発。いささか心もとないがやれるだけのことをやるしかない。

「A-1からA-13まで制圧完了」

「B-3からB-10まで制圧完了、問題なし」

「G-3付近の班に告ぐ、応答がなくなった。すみやかに確認せよ」

「「了解」」

 唯一の救いは無線のおかげで敵の行動が把握しやすいことか。近づいてくる気配にごくりと唾を飲み込む。

 ネットワーク管理室の前は長い廊下が続いていて、守る側に有利なのも救いと言えるかもしれない。

 装備が貧弱すぎるのを考えると籠城戦もままならなさそうではあるが。


「霧島、太いの、敵が来た! ここも長くはもたないが案はあるのか!?」

 早速姿を晒した警備員に向けて遠慮なく銃を発砲する。当たりはしなかったが、敵が武装している事に驚いて角へと引っ込んだ。

 残りの銃弾はこれで10。10人以上が攻めてきたらダブルスコアでも出さない限りお手上げだ。

「僕が生きていて、かつユーザーも逃したとなれば福部の利益は皆無だ。後はここから協力を要請する!」

 つまりガチャガチャと騒がしいキーボードの音がなくなれば勝利ということかと納得し、再び顔を出した警備員に向かって発砲した。

 距離があるせいか狙いが安定せず打ち抜くことはできないが、再び角へと隠れた。

 この猫騙しがいつまでも通用するとは思えない。これ以上無駄に弾を使うのは避けるべきかと深呼吸する。


「あぁもうなんすかこのソース、ぐちゃぐちゃじゃないすか! だから他人のソースを弄るのは嫌なんすよ! セシリアたん並みのソースとは言わないすけど、5人前くらいは身につけて欲しいっす!」

 黙々と作業を続けていた2人だったが、突然古川が苛立たしげに机を叩く。

 コードが分かりにくいと苛立っていたようだが、霧島はセシリアの名前に驚いて思わず声をあげていた。

「セシリア!? 君もセシリアを知っているのか!?」

「何言ってんすか、霧島氏の依頼で作った機能はおいらとセシリア氏の共同作業っすよ。普段は一人でやる方が楽なんすけど、セシリアたんのソースコードはおいらも驚くくらい見やすかったっす。あぁ、そうか、霧島氏はセシリアたんじゃ伝わんないか。あれはゲーム内のキャラ名だったっす。ネカマに命かけてるっていうか、World's End Onlineの描画エンジンも担当してたらしいっすけど、自分のキャラが一番見栄え良くなるように裏で調整してたっす。表面上は仕様通りに仕上げながら細工するとかマジカッケーっすよ」

「そうか、ゲームキャラの名前か……」

 例の異世界から来た少女のことかと勘違いしていたが、ただのゲーム内のキャラクター名だと聞いて肩を落とす。

 しかし古川はそんな霧島に気付く事もなく延々と喋り続けていた。

「開発中に開発途中の描画エンジン使ってネカマ用のアバターまで作ってたっすね。なんか異常なくらいデータ集めて、あの執念はどこから来るのか分かんないっすよ。笑えるのが納品の時に開発用のフルダイブシステムの返却を求められた時っすね。まさか返せなんて言われるとは思っていなかったらしくて、それを基に微調整したから新品に変えたら崩れるだろってえらく怒ってたっす。その後どうしたかは分かんないっすけど、あの分だと新品買って来て側だけ入れ替えて返却するとかやりかねない勢いだったっすね。……って、聞いてるっすか?」

「良いから手を動かせ!」

 勿論聞いている筈がない。元から才能のある古川はともかく、必要最低限しか覚えていない霧島には話している余裕などないのだ。


 それから暫くは敵も頭を出さず、せわしないキーボードの音だけが響いた。

 気づけば無線からも音は聞こえてこない。敵に捕らわれたと気付き、周波数を変えたのだろう。

「まだ終わらないのか!? いつ突入されてもおかしくないぞ!」

「こっちはもう終わるっす! 霧島氏の方はどっすか?」

「こちらも終わりはしているんだが……駄目だ、例のアイテムを作り出せるだけの出力が足りない!」

 車の燃料タンクにストローを使ってガソリンを注いでいるようなものだ。

 このままでは完成するまでに短くて数日はかかる。

 何か別の手段を考案すべきかと考えた瞬間、新堂が叫び声をあげた。


「あいつら盾持ち出しやがった! やべぇ、これじゃ銃なんて意味ねぇ!」

 ジェラルミンらしき盾を掲げ、匍匐前進で迫る様はまるで動く壁だ。このままでは容易に扉まで到達されてしまう。

「くそっ、霧島、そこの消火器寄越せ! 目に物みせてやらぁ!」

 幸い敵は匍匐前進の最中で銃口を向けている余裕はない。気付かれないようそっと扉を開くと、迫りくる壁に向けて消火器をぶん投げた。

 ヒキガエルが潰されたような声と言うのはこのことかと一人得心し、形の崩れた隊列に向けて銃を構えてから叫んだ。

「知ってるか? 消火器って爆発するとなかなか楽しいことになるらしいぞ?」

「た、退避ーっ! 戻れ戻れ、爆発させるつもりだっ!」

 盾を持った一団がその場で立ち上がり、まるで蜂の子を散らす様に逃げ帰る。

 半分以上はブラフだ。消火器へ命中させる自信はないし、そもそも1発当てたくらいで爆発するとも思えない。

 だが脅しによる効果は絶大だったようで、暫く時間を稼げそうだ。

 しかしそこへ、今度は古川の叫び声が響く。


「まずいっす! 最大出力による解析の準備に入ったっす! 後数分でシステム起動するっすよ!?」

 万事休すとはこのことだ。

 余剰演算領域を使ったくらいでは例のアイテムを作り上げられる筈もない。

 十数万人分の帰還術式を内包させるのだ。どの程度の力が必要になるかなど想像だにできなかった。

 方法があるとすれば、たった一つだけ。

「なぁ、新堂」

 まるでこれから死地へ赴く兵のように物憂げで悲しげな表情だった。

「爆弾を解体できる男は一人しかいない。なのに、絶対に間に合わない距離に2つの爆弾が仕掛けられた。片方が爆発すれば5万人が死に、もう片方が爆発すればその倍が死ぬとしたら、どちらを助けるのが正解なんだろうな……」

 霧島にもわかっている。これはただ責任を一人で被りたくないだけだ。こんな不確かな問いかけで、誰かの賛同を得たと思い込みたかっただけだ。

 けれど新堂は即答する。

「多い方に決まってんだろ。必死で努力してもダメな時だってあるんだ」

 まるですべてを分かっているとでも言いたげな表情で。


 それを聞いた霧島は覚悟を決めてコマンドを入力する。

 全ユーザーの半数に対し無制限で領域を占有。

 並列処理で個別制御を行い、例のアイテムへ世界を改変する力そのものを流し込む。

「霧島氏……」

 途方もない速度でスクロールする画面にはconnection not foundの文字が次々と流れていく。

 その一つ一つがこの世界に生きていた誰かの命であり、勝手な都合で摘まれていった命だ。

「早くしろ……さっさと終わらせてくれ!」

 誰かの命を削って誰かの命を助ける。そんな身勝手が許されるとは思わなかった。

 どうしてこんなことになってしまったのか。自分の無力さに涙が溢れてくる。

 目を離すことはできなかった。まるで流れる一文字一文字を焼き付けるかのように凝視する。

 流れ出す人の命は止まらない。もしかしたらこのまま全員を殺してしまうのではないかと言う恐怖に包まれる。

 いっそ止めてしまいたい。ゆるゆると腕が伸び、停止用のコマンドを発行しようとした瞬間、命の流出が終わりを告げた。

 complete Sequence。

 短い一文と共にアイテムの生成完了を示す文言が表示される。


「っ! 古川っ!」

「分かってます! 転移プロセス起動……駄目っす、この数を転移させるのにはやっぱり……人の命を使うしかないっす」

 一体どこまで罪を重ねなければならないのか。それでも、今さら止まる訳にはいかなかった。

 connection not foundの後に今度はcomplete Sequenceが続く。

 その数だけ無事に異世界へ転送できたはずだ。けれどそれを確かめる術はなかった。

 connection not foundだけの時もある。他のプレイヤーを助ける為に犠牲となった人の数だ。

 恐らくこちらはすぐに判明するのだろう。

「やばいっす、こちらの動きに気付いたみたいっす! 奴らも必死こいて後追いで解析を始めたっす!」

 思わず傍にあった机を殴りつける。

 connection not foundだけ行が明らかに増え始めていた。

「プロセスを止めることはできないのか!」

「無茶っすよ! ゲームサーバーへ接続できても向こうの研究設備とは繋がってないんす!」

 せめて出来ることはないだろうかと思い、霧島は管理室に設置された外部通信用の受話器を取る。

 政府関係者の窓口にしか繋がらないが、今はもうこれしか方法がない。

 受話器が取られた瞬間、霧島は力の限り叫ぶ。

「福部の野望は潰えた! 僕は生きているし、全てのプレイヤーは離脱した!」



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



 電話の効果は抜群だった。

 すぐに福部と繋がっていたと思しき派閥から連絡が届き、今回の件は彼一人の陰謀であり云々かんぬんという、とてもじゃないが信じられない内容を喋り通した後、ものの数分で本物の自衛隊が設備へ雪崩れ込んできた。

 彼らの間で計画の変更があったのは明らかだろう。

 用意された自衛隊も、本来の用途は福部の鎮圧ではなく、僕の身柄確保と混乱に生じた研究成果の持ち出しだったはずだ。

 容疑者の福部は結局死亡した。

 抵抗し銃撃戦を仕掛けてきた末に被弾したのだという。果たしてそれが本当かは、考えるまでもないだろう。


 世間ではWorld's End Onlineのプレイヤーが相次いで死亡したばかりか、行方不明者も続出していると、蜂の巣をつつきまわしたような騒ぎになっている。

 死亡者数は現在判明しているだけで33487人。

 生きてはいるものの、植物状態を始めとした重篤な障害を引き起こした重症者が21082人。

 行方不明者に至っては実に7万人を超えている。

 これだけ大規模な集団失踪だと言うのに警察は何の手がかりも見つけられず、捜査は難航していた。

 同時に一連の事件はフルダイブシステムの欠陥が原因ではないかと報道されており、魔法に関する研究を今すぐ再開するのは困難と判断され、計画は一時的な凍結処分を施された。


 それからもう1ヶ月。

 帰還したプレイヤーはただの一人もいない。

 城塞都市アセリアに設置したアイテムを起動するだけで世界中のプレイヤーが強制的に転移される筈だというのに。

 研究設備はもうない。魔法を生み出す手段も。

 それでも僕は諦めきれない。いや、諦めることは許されない。

 たとえどんな小さな可能性でも彼らに近づく方法があるのなら、試す義務が今の僕にはあるのだから。

1日14k文字とかきっついです……。

最後のほうは走り書きだったので、後程修正する気満々です。

流れは変わりませんが、もうちょっと細かいところも手を入れたいなぁ。


ラボラトリー編にお付き合いいただきありがとうございました。

残るは最終章、ユーザーの帰還方法を知ったセシリア達はまたまた厄介な問題に巻き込まれるようです。

誰かが発動すれば帰れるアイテムがあったのに何故1か月もの間使われなかったのか。

その答えが明らかになります。

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