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World's End Online  作者: yuki
第二章 異世界
50/83

リュミエール-16-

「とんでもない援軍を寄越してくれたものだな」

 迸る怒気で道中の執事やメイドを跳ね除けながら、ノックもせずに領主の部屋へと押し入ったゼフェルは開口一番にそう告げた。

 本来なら不敬罪で牢獄に送られても文句は言えない行為だというのに、部屋の主であるグレゴリーは視線すら寄越さず、苦笑いを浮かべるだけに留める。

「ゼフェルか。その様子からすると、彼らは大分活躍してくれたみたいだね」

「活躍どころか独壇場だ。奴等だけならもっと早くこの事態を収めただろうな。これが報告書だ、さっさとで目を通せ」

 ばさりとぞんざいに放られた紙束を捲る度、グレゴリーは苦笑をもらす。

 最後のページに辿り着く頃には爆笑と言っても過言ではなかった。

「子供に読み聞かせる英雄譚でももう少し苦難の道のりがあるものじゃないか? 犠牲者は出ず、重軽傷者は全てあの少女によって治癒されたか。騙すのが上手いとは思っていたが、何をどう騙せばこういう結果になるのかな。全てが悪い夢だった、と言われたほうがまだ納得できるよ」

 紙束を置き、飄々と答えてみせるグレゴリーにゼフェルは小さく鼻を鳴らす。

「オーク数匹を一撃で屠る剣技、瀕死の数十人を一瞬で癒す治癒術、挙句に転移魔法まで保持している。これだけの戦力をどうやって引っ張ってきた? いや、それ以前にあいつらは一体何だ? とても人同じ間とは思えん」

「君がそれを言うのかい? 兵の大多数も同じ感想を君に抱いていると思うけどね」


 リュミエール軍のゼフェルといえば国内外に名の知れた偉大な騎士だ。

 あらゆる戦場を駆け巡り、打ち立てた功績は数知れず。現役からすれば年老いた今でさえ様々な騎士団からの勧誘が絶えない。

 そんな、現代の英霊とも呼ばれているゼフェルが同じ人間とは思えないと言い出す集団が存在するなんてそれこそ悪い夢だ。

 だが、ゼフェルは真剣な面持ちを崩さなかった。

「……これまで数えきれん程の死線を潜り抜けたつもりでいる。出来うる限りの研鑽もしてきた。しかしそれでも、越えられない一線と言う物が存在する。人が自力で空を飛べぬように、水の中で暮らすことが出来ぬようにな」

 武の才に恵まれなかったグレゴリーにとって、ゼフェルの感覚はよく理解できない。

 先代が死に、グレゴリーが領主を引き継いだばかりの頃、リュミエール領は周辺の貴族に狙われ対処に追われていた。

 それを力ずくで捻じ伏せ続けてきたのがゼフェルだ。

 向かうところ敵無し。今なお無敗の猛将と恐れられている。

 時折沸いて出る領土問題の中には、彼を伴う軍勢が動くという噂だけで解決した事すらあるくらいだ。

 その強さは良く知っているというのに、長年付き合っている中で一度もを聞いた事がなかった言葉だ。


「彼女はそれを超越していると?」

 脳裏に交渉を持ちかけてきた少女の姿が思い浮かぶ。

 年端も行かず、見るからに華奢な彼女がゼフェルの言う実力者には到底思えないが、転移魔法と高位の治癒魔法を行使したのが事実であれば確かに異常だ。

 しかしゼフェルはゆっくりと首を振る。自体は尚も深刻だった。

「あの娘は特にそうだが、それだけではない。あの集団全員が、だ」

 瞬間、グレゴリーの顔が凍りつく。

「……それは中々、笑えない冗談だね。一応聞くが、彼らとやりあって勝てる見込みはあるかい?」

「ある訳ないだろう。10倍の兵力を集めても一方的に殺られるだけだ。逆に聞くが、どんな重症だろうと瞬時に治癒される不死身の軍勢を相手にどう戦えと? 烏合の衆ならともかく、敵はただの一撃でいとも簡単に戦線を突き崩せる火力まであるのだぞ。自滅でもしてくれねば不可能だ」

「情報工作による同士討ちか。案としては妥当でも、あの少女が居る限り難しいだろうね」

 馬鹿も休み休み言えとばかりに勝てる見込みが微塵もないと宣言する彼に苦笑しつつ、内乱の可能性を探る。

 けれど、幾ら考えても満面の笑みで自分を丸め込んできた少女を上手く出し抜く方策は見つからなかった。

 それどころか、下手な情報操作をしようものなら手酷いしっぺ返しを受けかねない。

 特に今は自由の翼への関心が高まっている。利用されると厄介だ。


「それで? 先程から遠回りな会話ばかりしているが、実際あれは何なんだ?」

 自分の世界に篭り、押し黙ったグレゴリーにゼフェルがうんざりした様子で再び問いかける。

「別に誤魔化したわけじゃない。正直なところ、彼らの実態は何も掴めていないんだよ」

「御託はいい。さっさと吐け」

 もはや尋問の様相をなしてきた会話に、グレゴリーは逡巡した後、お手上げとばかりに肩を竦めてから、引出しの中に仕舞われていた数枚の書類を差し出す。

 リュミエールの諜報部が作り上げた自由の翼の調査報告書だ。

 本来は領主以外に見せて良い物ではないそれをゼフェルは怪訝な表情で受け取り、読み進める内にみるみる真剣な眼差しへと変わっていった。

 しかしすぐに最後のページへと到達し、2、3度となく見直してから机の上に載せる。


「続きはどこだ?」

「それで全てだよ。情けない事にね」

 報告書は簡潔に纏めるのが美徳とはいえ、あれだけ大規模な組織の仔細を調べたなら数枚で収まる筈がない。

 枚数が少ないのは単純に情報が不足しているからだ。

 その地に元から住んでいる人間であれば生きて行くうえで必ず人間関係が築かれる。

 それを調べ上げれば人の成りも自ずと浮かび上がってくるものだ。

 しかし彼らはまだこの街に来て日の浅い旅人で交流が少く、漏れてくる情報も限られてしまう。

 かといって強引な手段……拉致や恫喝を行えば彼らとの関係が崩れかねない。

 人手不足を彼らに頼っている以上、踏み入った調査は行えなかったのだ。


「つまり、何者かも分からない連中を援軍として差し向けたのか」

「端的に言えばそうなるね」

 その言葉にゼフェルの眉が吊り上がり、あらん限りの力で机を殴りつけた。

 戦場に素性の知れない集団を放り込むのがいかに危険な事か。

 もし彼らが敵対勢力の差し金だったとしたら、全滅していたのはゼフェル達だったに違いない。

 オークを相手に戦って死ぬのはまだ納得できる。

 だが、勝手に送りつけられた連中に掻き乱されて死ぬなんて結末が受け入れられる筈もなかった。

 それがろくな調査もされないどころか、グレゴリーですら怪しいと思っている連中なら尚更だ。

 しかし、当のグレゴリーはそんなゼフェルをどこか冷めた目で見据える。


「なら聞くが、君達だけであのオークを撃退できたのか?」

 怒りに染まったゼフェルの顔が僅かではあるものの、憎々しげに歪む。

 当然だと叫べるだけの材料がない事を一番良く理解しているのは彼だ。

 そしてグレゴリーも、感傷的に肯定しないからこそ彼を信頼している。

 オーク達は数を把握されないよう、直前まで分散して潜伏していた。

 稀に出没する野生のオークには決して見られない、まるで軍隊のような挙動だ。

 それらを率いる統率体、ジェネラルオークの存在は掴めていたが、遭遇した部隊は壊滅的な被害を受けており、数少ない生存者から集めた情報も芳しいとは言えず、使われた魔法に至っては想像を遥かに凌駕していた。

 広い領土に分散して配置している軍を召集するには時間が足りず、殲滅に向かったのは新兵や徴兵した農民を含めた混合軍。

 数で負け、個々の力量でも負け、有利なのは防衛側という一点のみ。

 自由の翼が居なければどういう結末になっていたか、それが分からないゼフェルではない。

「君達だけでは勝ち目が薄い。巻き返すには追加戦力が必要だ。そこに都合よく彼らが現れた。勿論、あまりにも都合のいいタイミングだというのは重々承知の上さ。だが考えてもみろ。仮に裏切られても、君達が全滅する結果に変わりはない。それが多少早くなるだけだ。どちらにせよ、気乗りしない最終手段を使う事になるなら、可能な限り足掻いてみるべきじゃないのか?」

 負ければ多くを失うことになるが、最初から失うことが決まっている駒なら使い潰す方が良い。

 血も涙もないと罵る事はできたかもしれない。けれどゼフェルは何も言わなかった。


 戦場で勝てるよう采配を振るうのがゼフェルの役目なら、リュミエールを守る為なら何だって切り捨てて見せなければならないのがグレゴリーの役目だ。

 王都と周辺領地への救援要請を行えば、あの防衛ラインを突破されてからでも対処できる。

 ただし、その代償はあまりにも大きい。

 領土の割譲、金銭的便宜、幾つかの不平等条約の締結。

 リュミエールを狙う者達は二度と大きな顔はさせまいと、あらん限りの無茶な要求が突き付けられるだろう。

 それを避ける為にはどうしてもゼフェル達だけでオークを撃退してもらう必要がある。

 しかし、敵の戦力は当初の予想を超え、既に彼らだけでは勝ち目が薄かった。

 増援を送ろうにも、リュミエールの防衛網は領境である外縁部に集中している。

 兵力に制限を受ける中、効率的にリュミエールを守るなら、内部ではなく外縁部に目を光らせるべきだからだ。

 鬱蒼と茂った森の中を大量のオークが通り抜けて集まりつつあったのは完全に想定外だった。

 森の中には肉食の魔物もいる。人の軍隊であれば、わざわざ危険なルートを通って戦う前から損害を受けようとは思うまい。

「今思えば、散発的に出現したオーク事態、防衛網の薄い場所を探る威力偵察だったのかもしれんな」

「防衛の配置を再考する必要がある、か。周辺の貴族共に加えて魔物まで相手にするとなると、今の兵数ではお手上げだ」

 降参とばかりに手を上げたグレゴリーだったが、だからといって諦めるわけには行かない。

 もしこの状態をどうにかできるとすれば、方法は一つしかなかった。

「それが奴等と言う訳か」


 自由の翼と名乗る一団。素性は完全に不明、ただし腕は異様に立つ。

 増援を欲していたグレゴリーにとってこれ以上ない人材だが、あまりにも都合が良すぎた。

 最終手段を行使して欲しい誰かが、間違ってもオークの撃退を成功させないよう、内側から掻き乱すべく送りつけてきた集団だと疑ったのも無理はない。

 なにせ、交渉役として顔を合わせた少女はリュミエールの事情に詳しすぎた。

 ゼフェル達と合流させるのは危険だと判断していたのだが、ジェネラルオークを討伐したという報せを聞いて状況は一変する。

 それ程の実力を持つ集団を派遣できるのは余程の力を持った組織だけだ。

 少なくとも、リュミエールに歯が立たない周辺のボンクラ貴族が用意できるレベルではない。

 可能性からすれば国だが、十分な税と流通を提供しているリュミエールに突如攻撃する動機は見つからなかった。

 誰かが失脚した事実はなく、議会のパワーバランスが変わったわけでもなく、戦争が始まったわけでも、財政難でもない。

 もしかしたら彼らは何らかの理由を持ちつつも、本当にたまたまリュミエールに滞在しているだけなのではないか。

 だからグレゴリーはその可能性に賭けた。


「一体奴等は何なのだ」

 賭けには勝った。だが自由の翼の正体が割れたわけではない。

 ゼフェルの独り言にも似た呟きに、ゼフェルはまた違う書類を取り出す。

「彼らがなんであるかは分からないが、例の少女に関しては可能性が一つある」

 そう言って差し出された書類をまた眺めるが、今度は最後まで読まずに放り返した。

「馬鹿げてる」

「そうかい? 中々面白い話だと思うけどね」

 書類の中身は精霊の子と呼ばれる伝説に関しての考察だ。

 人と意思疎通の出来る姿を持った精霊の姿は古文書、御伽噺、伝説といった幅広い文献に残っているが、信憑性のある目撃例や報告はない。

 精霊の子とは、そんな居るかも疑わしい精霊と人の間に生まれた子供を指す。

 常識的には考えられない魔力と未知の魔法を扱うことができ、英雄譚の中では選ばれし者の傍に現れるヒロイン役としても有名だ。

「あれが精霊の子……つまりエルフだと? 何を根拠にそんな世迷い事を」

 馬鹿らしいと一蹴するゼフェルに対して、グレゴリー尚も真剣に続ける。

「救助された村人が彼女の使った魔法の諱を覚えていたんだよ。同じ諱が精霊の子について書かれている古文書の中に載っていた」

 諱とは魔法の発動に必要な言葉の一種で同じ物は2つと存在しない。

「……偶然か聞き間違いだろ?」

「今は使われていない古代言語だ。偶然の一致にしては文言が長すぎるし、一字一句間違ってもいない。そもそも、精霊の子、エルフは実在するんだよ」

 ゼフェルは一体何を言っているのか分からないとばかりに怪訝な表情を浮かべていた。

 エルフが空想上の存在だという事くらい小さな子供でも知っている。

「国はどうして転移魔法習得者を血眼になって探していると思う? 習得方法が確立しているなら専用の学院を作って学ばせた方が、居るかも分からない誰かを探すより効率が良い筈だ」

「転移魔法が秘伝だからだろう? 外部に漏らすわけにはいかない筈だ」

「確かに。機密保持の為に公募できないのかもしれない。でも王宮の中で習得に励んでいる者が居るのも確かだ。そうやって囲い込めるなら素質のある人間を領内から探せばいい。なのに、過去そういった試みは一度として無い」

 尤もらしい理由にグレゴリーも頷いて見せるが、まだ疑問が残っているようだった。

「……何が言いたい。回りくどいのは嫌いでな、結論を急げ」


 グレゴリーはゼフェルが食い付いて来た事に満足げな表情を浮かべながら先を話した。

「百年以上も前の事になる。当時は転移魔法習得者が今より圧倒的に少なくて、国は習得方法の確立に躍起になっていた。素養の高い人間を集めてみたり、赤子の頃から厳しい修練を積ませてみたり、考えうるあらゆる手段を試してみたが成果は得られなかったそうだ。でも、ある日その訓練の様子を見ていた一人の子供が転移魔法を使えるようになったんだよ。その子に言わせれば、急に使い方が"分かった"んだそうだ」

 後は調査するまでもなく、一つの仮説が立てられた。その子供の両親は王宮に囲われていた転移魔法習得者だったからだ。

 即ち、転移魔法の習得に必要なのは血統である。

「最初から習得できるかどうかは血筋で決まっているんだよ。だから一箇所に集めて子を作らせる。そうすれば必然的に、生まれてくる子も同じ血を引いている事になる。覚えられるかどうかは運次第らしいが、可能性はゼロよりも高い。公募しないのも素質のありそうな人材を探さないのも、最初から無駄だと分かっているからさ。おかげで転移魔法習得者の推移は安定したみたいだね。でも気にならないかい? どうして彼らだけが転移魔法を使えるのか。一体彼らの先祖は何なのか。きっと強大な力を持った、特別な種族なんだろうね」

「それで先祖がエルフだと? 突拍子もない結論だな」

 楽しげに語るグレゴリーとは対照的に、ゼフェルは胡散臭いとばかりに一蹴した。

「確かに。でも国は裏で転移魔法習得者の事をエルフの末裔と呼んでいる。それが真実かは闇の中だが、実在していると言えなくもない訳だ。古文書によると、エルフと人の間に身体的な特徴は殆ど差異はないらしいしね」

「そんなもの、便宜上エルフと呼んでいる"だけ"ではないか」

「そう言われてしまうと返す言葉がないね。ところで一体何の話をしていたんだっけ?」

 笑い出しそうになるのを必死に押さえているグレゴリーを見て、ゼフェルはやっと遊ばれていたことに気付いたようだ。

「相変わらず詭弁を弄するのが好きなようだな」

「まぁそう剣呑な目つきになるな。神の如き強大な力を持つ存在をエルフと称するなら、彼女はまさにエルフその物だろう? 結局彼女が何であるかなんて分かりようがないし、分かったところで意味もない。呼称を付けて理解できる存在になったと思い込むのは愚か者のする事さ」


 グレゴリーもただ手をこまねいているだけの無能ではない。

 使える手は全て使って、それでも調べられたのがあの短い書類程度だけだった。

 自由の翼のガードが固いというのもあるが、そもそも外国の旅人の仔細をたった一月で調べるなんて、どんな有能な間諜でも難しい。

「噂話なら沢山集まるんだ。酒の席で異世界から来た勇者だと話していたとか、エルドラドを目指して遠方から旅してきたとか。十中八九あの少女が意図的に撒いたデマだと踏んでるけどね。とにかく、情報工作が入り乱れていて全体を覆い隠しているんだよ。唯一分かったのは、これだけ調べても彼らが何者なのか分からなかった、ということだけさ」

「結局何も分からないという訳か」

「いや? そうでもないよ。これだけの実力を持つ集団にも関わらず、あらゆる手を尽くしても情報は集まらなかった。妙だと思わないか?」

 ゼフェルが一線を越えていると評するほどの実力者が集まった集団が居れば、例え外国であっても噂にならない筈がない。

 情報が全く集まらないという"情報"も、時として有益な情報になりえるのだ。

「表舞台には絶対に出せない集団か、余程遠い交流のない地から流れてきたか、さもなくば突然現れたかだよ。……例えば、彼らが言っていたみたいに、異世界から来たとかね」

 人は話をするものだ。隠したい何かがあっても一度姿を見せてしまえば勝手に広まってしまう。


「信じるのか?」

「少し前まではね。でも今はやっと納得がいった気分だよ」

 海路で彼らを運んだという情報は未だ見つかっていない。

 リュミエールの周辺で物資の補給が出来そうな村や街からも情報を募ったが、彼ららしき一団が立ち寄ったという情報はない。

 ずっと妙だと思っていたのだが、転移魔法があるなら話は変わる。

 どの程度の距離を結べるのか分からないが、領外から物資を運ぶことも出来るはずだ。

 となると、彼らの足跡を追う調査は全くと言っていいほど当てにならなくなる。

「大体、常識も慣習も異なるはずの異世界から来た集団がたった数日で居を構えた挙句、こちらの手の内を読んで付け入って来るなんてことがあるとでも?」

 否。断じて否である。それだけはどうしても認められない。

「確かにふと思うときもあるさ。もし異世界から来たという彼らの言い分が事実だとしたら、むしろ積極的に噂として流した方が与太話として処理されて好都合なんじゃないかってね。そう思う事態、彼女の作戦に呑まれているのかな。とにかく、何らかの理由でこの街に留まらずを得ない状況に追い込まれてるのは間違いないんだ。そっぽを向かれない程度に上手く使うしかない。これからの我々の為にもね」

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