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World's End Online  作者: yuki
第二章 異世界
38/83

リュミエール-7-

こっちにもペタリ。

とりまる様からセシリアのイラストを頂きました。

ありがたい限りです。

URLで失礼しますが、こちらになります。

http://6198.mitemin.net/i58608/

 一度は離れてしまった狩組と横領組の和解が一応の決着を付けた日の夜、屋敷の食堂では珍しく街で売られている様々な酒や厨房で作られた料理が並べられていた。

 邪魔な大机と椅子は必要最低限を残して室外へ追いやられ、今は立食形式のパーティー会場に変貌を遂げている。

 気の早いプレイヤーはせっせを準備を続けている料理人を眺めながら今か今かと開場を待ちわびていた。

 和解を祝してパーティーを開こうと言い出したのはセシリアだ。

 脅しつけたとはいえ、彼らはそれなりの覚悟で狩への参加を表明した。この時点でセシリアの言っていた試験は合格である。

 今後は共に戦う事もあるだろう。なのに両者がいつまでも確執を抱えたままでは活動に支障が生じかねない。

 互いに思う所があったとしても、これからは嫌でも付き合っていく必要があるのだ。

 完全に水に流すのは難しいとしても、親交のきっかけになればというセシリアの意見に反対する者は居なかった。

 パーティーと言っても、市場で朝の内にセシリアと親方で見積もっていたお酒や果物のジュースを買い付けた後、普段から大量に用意している料理を少しばかり豪勢するだけでそんなに手間がかかる訳ではない。


 もうそろそろ準備も整い始めた頃、セシリアは会場ではなく通い慣れた執務室に向かっていた。

 等間隔に並ぶ窓の外からは晴れ渡る空に浮かぶ薄青い天体の光が僅かに入り込み、長い廊下を幻想的に浮かび上がらせる。

 目的の部屋からは蝋燭の灯すオレンジ色の光が漏れ出ていた。迷うことなく扉に手を伸ばし、数度ノックした後するりと入り込んだ。

「まだ居たんですね。ケインさんはマスターなんですから、こういうイベントにはちゃんと参加して貰わないと」

 ケインは机の上に組んだ手に顎を乗せながら何をするでもなく座り込んでいた。

 てっきり今日もいつもの様に残って仕事を続けていたのかと思ったが、机の上にはインク壷や羽ペンどころか1枚の紙さえも見当たらない。

 一体何をしていたのか疑問に思った所でケインがゆっくりと顔を上げた。

「すまない、ちょっと考え事をしていてね。それに、ここで待っていれば君が来ると思ったんだ」

 まるでここに来ることを初めから分かっていたような口ぶりにセシリアは益々首を傾げる。

「何か御用でしたか?」

「ああ。少し話をしていかないかい?」

 屋敷が古くなっているだけあって、耳を澄ますと食堂で巻き起こっている喧騒が僅かに届いた。

 他にも、近くの廊下を歩く誰かの足音や話し声が通り過ぎていく。

 パーティーの準備は大詰めで、プレイヤーは大部分はもう食堂に集まっているのかもしれない。

 急かすべきか僅かに逡巡するものの、彼の話を優先する事に決めた。ケインがこんな風に言うのも珍しいと感じたからだ。

「構わないですけど、あんまり遅れちゃダメですよ。ケインさんを待ってると思いますから」

「それもそうか。なら歩きながら話そう」

 ケインは椅子からゆっくり立ち上がり、机の上の燭台に灯る蝋燭の炎を吹き消してからセシリアを追い越しドアへ向かおうとする。

 この部屋から食堂まではちょっとした距離があるから、多少の話くらいならできるかもしれない。

 けれど、セシリアはすれ違おうとしたケインの服を掴んで困ったように笑った。

「んと、その、私はちょっとパスしようかと思ってて」

 思いもよらない一言にケインが怪訝な表情を浮かべる。

「今朝早くから走り回りましたからどうにも眠くて。それに、この身体はお酒を受け付けないみたいなんです。だから先に休ませて貰おうかと」

「そうか。いつも迷惑をかけてすまない」

 慌てて事情を付け足したセシリアにケインは深々と頭を下げた。

 それを見てセシリアは先の一言が嫌味に感じられてしまっただろうかと思い余計に慌てふためく。

「何を言ってるんですか。ケインさんはこのギルドの、プレイヤーにとっての希望なんですから。そんな暗い顔しないでください」

 眠いと言ったのは嘘ではない。ここ最近急に寝起きが悪くなっただけでなく、普段なら眠くならない時間帯に眠気を感じる事も増えている。

 ただ、パーティーを欠席して寝入る必要がある程かと言われれば口を噤まざるを得なかったが。

「それは大袈裟すぎるよ。正直言って、僕がギルドの為に何かした事なんて殆どないくらいだ。皆のおかげでどうにかやってこれてる」

 照れと謙遜を混ぜ合わせた様なケインの言葉にセシリアは思わず笑みを漏らす。

「いいえ。自由の翼はケインさんが居るからこそ成り立っていられるんです。もし私がマスターだったら3日と持たず喧嘩別れですよ」

 異世界に迷い込んだだけでなく、路頭にも迷うという二重苦の中でケインは他人を優先した。それは誰にでもできる物ではない稀有な才能だとセシリアは思っている。

 彼の優しさがなければプレイヤーがこうして一か所に集まる事もなかっただろう。領主とあんなやり取りを繰り広げる事だってできなかった。


「少し話を聞いてくれないかな」

 手放しに褒められたのがこそばゆいのか、ケインが露骨に話題を切り替えた。

 セシリアの返事を待たないでそそくさと先を続ける。

「僕は結構大きな会社で働いていたんだけどね、職場で派閥争いがあって酷く荒れていたんだ。人間なんだから誰だって時にはミスもする。大事なのはそのフォローだと僕は思ってた。でも彼らにとって誰かのミスはその上につく人間を叩く材料でしかなかった。わざと大事にしたり、時には足を引っ張ったり。それで潰れないのは流石だけど、次第に嫌気がさして気の合う仲間と一緒に辞めたんだよ」

 今でも時々夢に見る事があるとくたびれた口調で嘆息をもらした。

 批判がましい物言いはケインらしくないとも思ったが、それだけ陰湿で険悪な環境だったのかもしれない。

「それから一緒に辞めた仲間と小さな会社を興してね。提案したのが僕だったせいか取締役に座らされてね、それは落ち着かない毎日だったよ。皆はそんな僕を見て、こんな小さな会社の肩書に大した意味なんてないんだからと笑ったものさ」

 照れと謙遜の入り混じった何とも落ち着かない笑顔を浮かべるケインがからかわれる姿を容易に想像できてしまって、セシリアの口からくすりと声が漏れる。

「凄く楽しそうな会社ですね」

「楽しくはあったかな。前みたいな雰囲気にだけはしたくなくて明るく振る舞ったんだけど、事業が軌道に乗るまでは正直大変だった。苦節も挫折も数え切れないほどあったからね。結果的にどうにか安定したのは奇跡的な幸運と、支えてくれた仲間のおかげかな。だからこの世界でも仲間を信じて手を取り合えばきっと何とかなるんじゃないか。僕はそう思ってこのギルドを作ったんだ。だけど人数が増えると、どうしても気持ちは一つにならない。人の数だけ思いがあって、それを全て盛り込む事はできない。そんな当たり前のことをこの世界で初めて実感したよ」

 現実世界のケインは良い仲間に恵まれた。目標を同じくし、共に努力する関係を築けた。

 けれど、この世界のプレイヤーは殆どが初対面か、あってもバーチャルな付き合いだけだ。

 一つの目標に向かって邁進するのは無理があるし、それを強制すればプレイヤーは離れていく。

「ケインさんは、私の強引なやり口に呆れましたか?」

「呆れてるよ」

 どこか寂しそうに尋ねたセシリアにケインはきっぱりと答えた後、

「でもそれは処罰の内容に対してじゃない」

 彼もまた寂しげな口調で後を続けた。




「こんな話をしたのには理由があるんだ。どうも、今日の処罰について良からぬ噂を手に入れてね」

 ケインは心の中で慎重に言葉を選びながら注意深く反応を窺う。

 しかし、一体何でしょうかと言いたげに可愛らしく首を傾げるセシリアに目立った反応らしきものは見受けられなかった。

「噂好きな人くらい何処にでもいると思いますけど、一体どんな噂なんですか?」

 すらすらと淀みなく答えるのを聞いて苦笑を禁じ得ない。ケインの見立てではセシリアが噂の中身を知らない筈がないのだ。

 証拠こそ無いが、少なくともセシリアはこの噂に関わっている。場合によっては彼女本人が流した可能性さえあると思っていた。

「今日の罰則は君が僕の弱みを握って推し進めた物で、僕は最後まで粘り強く反対した。そんな噂話だよ」

 根も葉もない噂話の内容を、セシリアはおかしそうにくすりと笑う。

「あながち間違ってないです。ケインさんは躊躇していたじゃないですか」

「確かに躊躇はしたよ。でも反対はしてない。最終的に止む無しと思って許可を出したのはこの僕だ」


 初めて彼女から処罰の内容を聞いた時は流石に絶句した。

 娼館に男性用があると言う発想自体突拍子もなかったが、この時代では忌避感が薄く、需要も高いと言う説明を受ければ、彼女が何を考えているかくらい想像できる。

 当初彼女の提案を実行すべきか躊躇ったのは事実だ。けれど、積み重なった問題を解決するのに他の方法が思いつかないのもまた事実。

 悩みはしたが許可を出した事に今も後悔はしていない。

 にも拘らず、悪いイメージを全てセシリアに押し付ける様な噂話を聞いた時は苛立ちを隠せなかった。

 確かに、元ネカマという悪いイメージを引き受ける土台があるのかもしれない。

 だとしても、ケインの知るセシリアは決して悪い人間ではなかった。

「ただの噂話を深く考え過ぎです。ケインさんが優しいのは常識ですから、そう解釈される事もありますって」

 優しいと言うセシリアの言葉に、ケインは内心嘆息する。ギルド内でいつの間にか固まっていた自分へのイメージ。

 ケインには特に優しく振る舞っていたつもりはない。ただ出来る限り沢山のプレイヤーが過ごしやすい環境を整えるにはどうすればいいかだけを考え実行していただけだ。

 周りからすれば第三者を優先するその行動が優しいと言われる所以だったのだが、彼にとって過ごしやすい環境を心がげるのは身体に染みついた癖の様なものでもある。


「少し前に、横領したメンバーの何人かが代表を名乗ってこの部屋に来たんだ。今まで申し訳なかった。努力もする。だから見殺しにしたりしないでくれと頭を下げられたよ。僕だって犠牲者は出したくないから、出来る限りの事はすると約束した。その時、彼らは何て言ったと思う?」

 若干考える様な素振りの後、降参とばかりに首を小さく振った。それを見て、ケインは先を続ける。

「"ケインさんはやっぱり最後まで俺達の味方でいてくれたんですね"だよ。さっきの噂は彼らから聞いた物だ」

 思わず彼らに噂の出所を迫ろうとした所で、ケインはふと奇妙な感覚を覚えた。

 どうして彼らは自分の所に来たのか。あんな宣告を受けたすぐ後に頭を下げようと思うのだろうか。

 もしこの噂話が彼らの行動のきっかけになっていたのだとしたら、余りにもタイミングが良すぎる。

「どうしてパーティーを開こうとしたのか、もう一度聞いてもいいかな」

 セシリアは少し考え込んだ後、少し前に自分で言った台詞を思い出しながら告げる。

「……横領は許せませんけど、それをいつまでも引き摺って溝を広げれば組織は崩壊します。彼らが返済するなら不問にするっていうのは当初の指針でしたし、ここらで一度水に流せればと考えたんです。今後は一緒に戦う事になるかもしれないんですから、仲良くなるに越したことはありません」

 誰からも異論はなかった。狩組は処罰の内容に十分満足していたし、中には同情を寄せていた人さえ居る。

「なら、君はどうなんだい?」

「はい?」

 ケインの質問にセシリアが何の事だと首を捻った。

「君は彼らとの不仲を解消しなくていいのかい?」

「それは……」

 セシリアの言葉は尻すぼみに消える。

 眠いという申告を信じなかったわけではない。最近は何度か眠そうにしている姿を目撃しているし、今日のお昼頃もそうだった。

 でも眠いという理由で席を外す性格をしているとはどうしても思えない。

 なら彼女の目的は逆だ。同席しない事に意味がある。


「互いの禍根を少しでも薄めるのに宴会っていう手段はありだと思ったよ。でも流石に事があったその日に分かり合うのは無理だろうと思ってたんだ。……彼らが僕の所に尋ねて来るまではね」

 狩組はケインを信頼している。横領組もケインを頼った。両者から信頼を集めるケインが間に入り上手く立ち回れば、彼らのよりを戻す事だってできるかもしれない。

 少なくとも、無理だと思っていた所に可能性が生まれたのは確かだ。

「一体どこからどこまでが計算の内なのかな」

 今朝の内に宴会用の酒を手配していた時点で、セシリアにはこうなる事が予想できていたのではないか。

 タイミングのいい噂話も、その内容も、両者をマスターであるケインに結びつける為の布石だと考えればしっくりくる。

「何のことかさっぱりです」

 セシリアは微笑むばかりで肯定しない。その理由もケインは理解しているつもりだ。でも納得はできなかった。

「もう隠さなくても良いんじゃないかな? さっき"ただの噂を深く考え過ぎです"と言ったじゃないか。君は深く考えられる【何か】を思いついているって事だよ。それに、君がとんでもない策士なのは僕の"常識"さ」

 先ほどのセシリアの言い回しを利用して言い返すとさしものセシリアも難しい顔をして口を噤んだ。

 ケインは勢いのままに、自分の中で作り上げた仮説を披露する。

「言いたくないなら当てて見せよう。君はギルドメンバーを上手く煽てるか騙すなりして、自作の根も葉もない噂話を流して貰うよう頼んだ。狩組はそれなりの処罰が下されたことに満足している。でも横領組は脅迫に近い処罰に納得できる筈がない。保身から協力的な態度を取ったとしても内心穏やかではないだろう。このままでは両者の間に溝が生まれるのは避けられない。けれど、君の言うように確執があるまま戦場に出るのはどちらにとってもマイナスだ。だから君は僕が最後までこの処罰に反対したと言う噂を流す事で、僕を彼らにとって"良き理解者"という立場に仕立て上げた」


 拠り所のない彼らは噂に一縷の望みをかけ、ケインを頼った。

 横領組とはいえ、狩への参加を表明した時点でケインが無碍にするはずないだろうというセシリアの計算どおりに。

「罰を受けた彼らは自分達をこんな目に合わせた誰かを恨まずにはいられない。その恨みの対象が狩組になっては両者の関係が立ちいかない。だから君は元からネカマで恨みを買いやすいという自分の立場を利用して、彼らの恨みを一手に引き受ける事にした。そうすれば狩組への恨みは多少なりとも軽減されると考えてね。違うかい?」

 横領組の中にはセシリアに騙されていたプレイヤーも在籍している。集団はその中の突出した意見に呑まれやすい。

 セシリアに矛先を向けても良い雰囲気さえ作り上げてしまえば自然とその流れに向かっていく。

 悪いのはセシリア一人。ケインは彼女の意見を抑えようとしてくれた味方。そう思わせる事が出来れば狩組と横領組の確執は一番障害の少ない形に納まるのではないか。

 確信めいたケインの主張に、セシリアはやはり小さく笑顔を零すのみだった。

「ご明察……と言いたい所ですが、考え過ぎですって。処罰の発案が私だっていうのは事情を話していたメンバーから結構広まってますし、昨日の夜遅くまでケインさんと話し合っていたのを誰かに目撃されていたなら、しつこく迫っているようにも見えるんじゃないでしょうか」

 セシリアの言う通り、全てが偶然奇跡的に重なってこの状況を作り出した可能性がないとは言い切れない。

 ケインはセシリアがそうしたという証拠を掴んでいないのだから。

 でも、こんな風に誰か一人を生贄にするような形で丸く治めるのはどうしても納得が行かなかった。

 その為にセシリアの本音を引き出す方法はもう見つけてある。

「なら僕が挨拶の時にこの噂を否定してもいいかな」

「ダメですよ」

 即答だった。

「折角綺麗に盤面が整ってるんですから、わざわざひっくり返す必要なんてありません」

「その一言で今までの言い訳は意味をなくさないかい?」

 取り繕う気があるのかないのか。

「言い訳じゃないです。どんな詭弁も論破されなければまかり通るんです」

 思わぬ返答にケインが小さく噴き出す。確かにケインには証拠がなく、セシリアには言い逃れる術がない。

 ケインは自分の中に正解を見出してしまっているし、セシリアは絶対に「はいそうです」とは言わないだろう。論破する方法がない以上、話は永遠に平行線のままだ。

 それなのにそんな事を言ってはケインの言葉を肯定したに等しいではないか。

「今度こそ全部台無しだよ」

 ケインは毒気を抜かれ思わず苦笑する。だがしかし、セシリアは酷く真剣な眼差しをしていた。


「ケインさん。真面目な話を一つさせてください」

「……何、かな」

 真っ直ぐにケインへと向けられた表情に普段の穏やかな微笑みは見当たらない。

 じっと注がれた視線の先にある碧い瞳は見ていると吸い込まれそうで、ケインは思わず息を呑む。

 口元はキッと結ばれ微動だにしないセシリアは真剣そのもので、まるで空気が凍りついたようだとさえ感じた。

「私は元の世界に帰りたい。いいえ、帰らないといけない」

 プレイヤーなら、きっと誰もが抱いている思いだろう。

 ケインだって会社を留守にしている身だ。できる事なら今すぐ帰りたい。

 だというのに、セシリアの言葉はどこか異質だった。

 あまりにも、少なくとも自分とは比べ物にならないほど強く濃厚な思いを感じずには居られない。

 帰りたいではなく、帰らなければならない。何をしても、どんな犠牲を払っても。そんな思いがひしひしと伝わってくる。

 そんな彼女が一体どんな話をしようというのか。

 反射的に居住まいを正した瞬間、セシリアがふわりと笑い、凍っていた空気が途端に柔らかくときほぐれた。


「母は忙しい人でよく家を空けるんです。妹は生活能力をどこかに捨ててきたみたいで、カップ焼きそばを作る時、3回に1回は中身を流すんですよ」

 セシリアは困ったように、呆れたように、でも楽しそうに笑う。

 ガラリと変わった雰囲気に付いて行けず固まってしまったケインを気にする事もなく、セシリアは先を続けた。

「掃除をさせれば逆に汚すなんていつもの事ですし、洗濯を頼んだら洗剤の入れすぎで廊下が泡塗れになった事もあります。その後片付けは決まって私の役割でした。我ながら手のかかる妹なんです。一人きりで家を壊さないか、もう不安で不安で」

 しまいには大きな溜息まで吐いて、一体どんな言葉をかけていいやら、先ほどのシリアスな雰囲気は何だったやら、どうすればいいのか分からずにケインはぽかんと口を開けたまま聞き入る事しか出来ない。

 そんなケインを見て申し訳なさそうにした後、泣いたような、悲しそうな、見た者の胸を締め付ける複雑な表情を作って、ぽつりと漏らした。


「それに、きっと心配してくれています」


「……それは、早く安心させてあげないといけないね」

 セシリアには同じ家で暮らす家族が居る。

 ケインは結婚しておらず、両親を少し前に亡くしていた。帰りを待ってくれている仕事仲間は居ても、家族は居ない。

 帰りたいとは思っているし方法を探してもいるが、第一目標はこの世界で暮らしていくことで、帰るのは二の次になっていた。

 でもセシリアは何より帰ることを望んでいる。それが、彼女と自分の間にある思いの違いなんだろうと思った。


「唐突ですが、ケインさんはこの世界に来た理由って何だと思いますか? VRMMOの不具合、ただの夢、超自然現象、神様の悪戯、……誰かの作意」

 深く考えずに答えるのは失礼な気がして、ケインは告げられた可能性を頭の中で順に検証する。

 しかしセシリアはケインの答えを待たず、すぐに自分の考えを告げた。

「私は一番最後の、誰かの作意だって思ってます。これだけの大人数が同時に転移して、しかもゲームのアバターの姿をしているなんて、偶発的な異次元トランスポーテーションにしては出来過ぎです。何者かが何らかの目的を持って、私達をこの世界に転移させた。となれば、転移する為の条件や法則は必ずある。A=Bなら、きっとB=A。この世界から元の世界に戻る方法はある筈なんです。絶対に」

 思考実験の域を出ないがケインも概ね同意見だった。少なくとも、神様の助けを待つより自分で探した方がずっと建設的だろう。

 だからケインは余剰のメンバーを使って異世界に関する情報を集めている。

 といっても、今のところ御伽噺以外で異世界人や異世界に関する情報は見つかっていない。

「ケインさんのやり方は正解だと思います。問題はタイムリミットの方です。この身体が元の私の身体でない以上、何らかの形で元の身体が存在している事になります。じゃあ、その身体って今どうなっているんでしょうか。元の世界で意識を失ったとすれば病院に運ばれてますよね。ベッドの上で寝たきりの身体ってどのくらい無事でいられるものなのかは分かりませんが、この状態が長時間続けば何かしらの悪影響はあるはずです。場合によっては戻る手段が見つかっても、戻る身体がないなんて事態にもなりかねない」

 現実の自分の身体がどうなっているのか。考えても仕方のない問題だと割り切っているが、セシリアの言う通り、今日を無事に過ごせても明日を無事に過ごせるのか不安はある。

 一人暮らしのプレイヤーが突然消えたり倒れたりしていない事から元の世界の身体と今の身体は関連性がないか、或いは時間の流れが違うのではないかと推測されているものの、本当の所は誰にも分からないのだ。

「幸いこの世界には魔法があります。だから元の世界に戻る手段も魔法にあるんじゃないか、なんて考えています。それを探る為には活動範囲をもっと広げる必要があるんです。面積的な意味もあるのですが、それよりもっと別方向の、例えば領主様を上手く取り込んで権力者相手の情報収集に協力して貰うとかも考えないといけないかもしれません。その為にはオークの拠点を出来る限り迅速に潰してこちらの実力を見せ付ける必要がある。こんなくだらない問題で右往左往している暇なんかどこにもない」


 俯いたセシリアの顔は前髪が影になってケインには見えなかったが、僅かに震える肩と吐き捨てるような言い方、握り締めている拳から、どんな気持ちでいるのか想像するのは難しくなかった。

 人海戦術で異世界に関する情報を集めるのに限界が見えている事を、彼女はとっくに気づいている。

 1ヵ月近く探してかすりもしないという事は一般的に異世界が認知されていない事になる。

 もし異世界への転移方法があったとしても、国家やどこかの一族が秘匿している可能性が高いのだ。

 権力を持つ相手がひたむきに隠している情報となればおいそれ探るわけには行かず、調査にもそれなりのコネクションが必要になってくる。

 再び持ち上げられたセシリアの顔はやはり息を呑むほど真剣そのものだった。

 だが、今は先ほどの凍りつくようなイメージではなく、熱く滾る熱意のようなものを感じる。

「だから勘違いしないでください。これは誰かの為じゃなくて私の為にした事です。元の世界に帰る為には、このギルドを失うわけにはいかない。根無し草の私にとって集団は数少ない武器の一つですから」

 ケインは自分を犠牲にするような手段をセシリアに取って欲しくなかった。

 セシリアは自分を犠牲にしてでも事態を改善させ前に進みたかった。

「……すまない。負けたよ、強いんだね。不要な詮索だったみたいだ」

 ケインの覚悟はセシリアに遠く及ばない。そんな彼女を一体どうして邪魔できようか。

 納得できないと息巻いて小さな自己満足を押し付けようとしていた自分が酷く小さく滑稽に思えてくる。

「謝る必要なんてありません。私も元の世界に帰るまでは謝れませんから」

 申し訳なさそうに項垂れるケインを見てセシリアはようやく表情を和らげた。




 会場へ向かうケインを見送った後、セシリアは自室へと戻る。

 パーティーに出ないのは彼らの感情を考慮してだ。処罰を告げた本人が居ては会場の空気を悪くしかねないし、交流の妨げになってしまうかもしれない。

 だから部屋に戻った時、カイトやフィア、リリーが勢揃いしていたのには、さしものセシリアも眼を丸くして驚くしかなかった。

「カイトは狩組なんだし、一応出た方が……」

「出てきたって。じゃなきゃ料理を持ってこれないだろ?」

 「そういう問題じゃない」と呆れて見せたが、「どうせ酒が入れば誰か居たかなんて綺麗さっぱり忘れるさ」とあっさり流される。

「で、何で私が出ないって知ってたの?」

 折角のパーティーだ。どうせなら3人にも楽しんで欲しい。でもセシリアが不参加を伝えればきっと3人も参加を自重する。だから敢えて黙っていたのに上手く行かないものだ。

「別に知ってたわけじゃないさ。でも何か企んでそうな顔してたからな、それで何となく分かった。そういうもんだろ?」

 てっきり誰かの口から漏れたのかと思っていたのに、カイトはさも当然だとばかりに言ってのける。

 予想だにしなかった一言にセシリアの挙動が完全に止まって、

「何それ」

 慌てて俯いた。色々な物が溢れそうな気がして。

 最適解が分かったとしても、それが本人にとって幸せとは限らない。それでもセシリアは選び続ける。元の世界に帰りたい、その一心で。


「私はお姉様と一緒の方が楽しいです」

「酒席にも良い思い出ないし、最近人ごみにトラウマができてさ。村長が酔うと決まってしつこく絡んで来るんだ。挙句酔い潰れて寝るし。夜は冷えるからってんで毎回運ばされる身にもなれ……っておい!」

 突然立ち上がったセシリアが2人揃って並んでいたフィアとリリーに飛びついたかと思えば猫のように擦り寄る。

 密着した肌から伝わる体温にフィアは顔を赤くして離れようとしていたがセシリアは放そうとしなかった。

「せ、セシリア!?」

 相手がセシリアとあっては、酔って絡んできた村長にするように力技で突き放す訳にも行かないのだろう。

 身体を捻って逃れようとするがリリーが居る事と、セシリアの腕がしっかり回されているせいで抜けるに抜けられない。寧ろ動くと余計大変なことになりそうで呻き声を上げる。

「幸せのお裾分け?」

 真似するように身体を摺り寄せるリリーと視線が合い、自然に笑顔が零れる。

 目線だけで意思の疎通ができたのか悪戯っぽく笑うと、未だ小さな抵抗を続けているフィアを2人がかりでベッドへ押し倒した。

「なんで酔っぱらっても居ない奴が酔っぱらいより性質悪いんだよ! カイトも見てないで剥がすの手伝ってくれ!」

 くんずほぐれつ、纏わりついて離れようとしない2人にフィアは手も足も出せず上擦った声で助けを求める。

 だが、カイトは食堂からくすねてきたそれなりに上等な葡萄酒を片手に、にやけながら傍観を決め込んでいた。

「剥がすのは無理でも剥くのなら手伝うぞー? それともなんだ、俺も抱きついた方が良いか?」

「どっちも要らねぇよ!」

 場違いな一言にフィアがやけくそ気味に絶叫した。


 それからはいつも通り。他愛もない話で盛り上がったり、フィアがお酒を飲んだらどうなるのか知りたがったセシリアとカイトが共謀して飲ませてみたり、ただの眠くなるタイプだったことに落胆したり、勘違いしたリリーまで飲んで、こっちはちょっと、いや、かなり凄い事になったり。

 日付が変わる頃にはリリーもフィアもすっかりベッドの上で寝息を立てていた。

「ありがとう。おかげで楽しかった」

 起きているのはお酒に手を付けていなかったセシリアと、飲んでも全く問題のない体質のカイトだけだ。

 部屋の蝋燭は消して、窓から差し込む月明かりを照明に果実のジュースをちびちびと飲でいたセシリアが小さな声でお礼を言う。

「下は大丈夫だよ。親方とノリのいい何人かが盛り上げ役を買って出てたからな。昔からそうだったけど、不思議と誰からも嫌われないんだよなぁ」

 MMOで高レベルプレイヤーが妬まれる事はよくある。誰よりも早く上限レベルに至った親方も何度か掲示板で名前が挙がっていた。

 それでなくとも、親方は色々噂になる事が多い。【脳筋】が極まった【勇者様】として。

 【脳筋】はゲーム内で状況の判断やパーティーの構成などを一切無視してとりあえずぶん殴るというスタンスの人に付けられる蔑称だ。

 パーティを前提としたダンジョンには職業やステータス、スキルタイプ別に割り当てられた役割がある。

 例えば前衛はモンスターを抱えヘイトの管理をするのが基本。

 だが狩場によってはサークルトレインで逃げ回る事もあるし、戦闘中に横沸きしたモンスターの対応を迫られる場合もある。

 なるべくパーティメンバーに負担をかけないよう、それぞれが互いの特色を意識し合って連携するのがパーティーの醍醐味なのだ。


 ところが、MMOに慣れていなかったり、そもそも連携を意識するつもりが無かったりして何も考えずに特攻を繰り返す人も時に出くわす。

 黙って俺について来い。他のパーティーメンバーにかける負担や迷惑を一切考えずに背中で語る彼らの事を、人は晴れやかな笑顔と共に【勇者様】と呼ぶ。

 勿論、良い意味である筈がない。【脳筋】よりも性質の悪いプレイヤーを示す蔑称だ。

 親方は基本的にユウトを含めた5~6人の固定パーティーに属していたが、ユウトが学校に行っている時間にも接続していた為、即席パーティーを募集するゲーム内の掲示板にも良く出没していた。

 親方は静止役であるユウトが居ないとモンスターハウスだろうがなんだろうが果敢に突撃を決めると有名だった。

 付き合わされるパーティーにとってはかなりの無理を強いられ、何度言っても突撃を敢行する彼に発狂する者までいたらしい。

 普通ならこんな事を繰り返すプレイヤーはすぐに名が知れ渡りブラックリスト化され、以後のパーティー加入を断られる。

 しかし、親方はなまじレベルが高かったのと、ユウトによって適切な高額装備を整えられていたせいで、パーティーが的確にフォローすればモンスターハウスだろうが何だろうが潰して見せるポテンシャルを秘めていた。

 的確にフォローさえ出来れば親方は並みの前衛3人に匹敵する。

 だらだらと狩りをするパーティにはてんで向かないが、効率を求め、動きを最適化し、他人のフォローに余念がないプレイヤーが集まると、親方はとんでもない経験値効率を叩きだすのだ。

 その上、彼は他人のミスを追及したりもしない。死んでデスペナを貰っても豪快に笑い飛ばすばかりで、MMOプレイヤーには珍しく気持ちのいい性格をしていた。

 彼にとってはゲームで自由に動きまわれることが楽しいのであって、レベル上げや経験値はただの付加価値でしかなかったのだ。

 だから親方は【脳筋】で【勇者様】だと思われながらも沢山の人に認められ、一部には面白いプレイヤーとして愛されてさえいる。

「あの破天荒な性格なら横領した奴らもさくっと取り込むさ。明日あたり肩を組んで歩いててもおかしくないしな」

 その光景がありありと想像できてセシリアは小さく噴き出した。そうなってくれるに越したことはない。


「でも、お前はそれでいいのか?」

 からん、とカイトのグラスに重なっていた氷が音を立てた。

 中途半端な質問で文言だけを見ればいまいち意図がつかめない筈なのに、どこか心配そうな顔、少しだけ怒ったような口ぶりで何を言いたいのかするっと分かってしまう。

 カイトが何も言わなかったにもかかわらず、自分の様子を見ただけでその後の行動をさらりと当てて見せた様に。

「うん。私にしかできない事もあれば、ケインにしかできない事もある。ケインはマスターとして、全員からの信頼を寄せられてないとギルドが成り立たない。こうするのが一番いいの」

 それに、セシリアが引き受けた物があるように、ケインに押し付けてしまった物もある。謝る必要があるとすれば自分の方だとセシリアは思っていた。

「それに私は支援職だから、今後どうあっても一緒にパーティーを組むわけじゃない? そうすれば命運を握ってるのが誰か、はっきり自覚すると思うの」

 パーティーメンバーの命はヒーラーの手の中に。あながち間違ってないから恐ろしい。

 彼らがセシリアを恨んだとしても、自分の命を繋ぐために欠かせない存在でもある。そう簡単に敵対できないという打算もあった。

「ね、私が適役でしょ?」

「仰る通りで……」

 恨まれる環境も、恨まれた後の対策も万全に揃えているのはセシリアだけだ。その周到さにカイトは呆れながらお酒を煽る。

「大丈夫。私は一人じゃないみたいだし」

 セシリアの身体が傾いて、並び合って座っていたカイトの肩にもたれかかった。

 手をそっと伸ばしてやや乱暴に頭を撫でるとむずがるように幾度か身を捩り、その後は大人しくなる。

 何分くらいそうしていたか、いつの間にか隣からは規則正しい寝息が漏れていた。




 翌朝、後悔を滲ませるカイトの声によってぐっすりと寝入っていたセシリアはいつもよりずっと早い時間に起こされた。

「おはよ、寝起きで悪いんだけど、フィアを回復してやってくれないか?」

 まだ開ききっていない瞳でぼんやりと室内を眺めまわした先に、頭を抱えて転がっているフィアが居る。

 隣ではリリーが心配そうに水を差しだしているところから察するに、二日酔いの症状だだろう。どうやらアルコールへの耐性はまだ幼いリリーの方が高いらしい。

 たかが果実酒の1杯や2杯でと思いはしたがセシリアも人のことは言えない。

 しかも飲ませるよう仕向けたのが自分達とあっては、今更ながらではあるものの罪悪感だって沸いてこよう。

 眠気を気合で吹き飛ばして近寄るとすぐに【ディスペル】によって状態異常を解除する。

 頭の中で鐘を打ち鳴らされているかのような暴力的な痛みがすっと遠のき、フィアはそのままベッドの上に突っ伏した。

「さんきゅ……」

 痛みが消えても悪かった気分がすぐに良くなる訳ではない。青白い顔で深く長い溜息を吐くとゆっくり半身を起こす。

 申し訳なさそうに頭を下げたセシリアとカイトの内、昨日助けてくれなかったカイトだけに恨めしそうな視線を投げかけていた。


 今日は朝から予定が詰まっている。というのも、横領組の訓練が始まるからだ。

 予定は一泊二日。これは領主に頼んでいるオークの拠点の情報を集め終わる時間に合わせてある。

 これが終われば届いた情報を元に作戦を練り、場合によっては彼らを伴って討伐に当たらなければならない。

 適性や能力を見る為にこの2日間でこなす必要のあるタスクはそれこそ山のように積まれていた。

 だから時間を食っている暇はないと言うのに、着替えたセシリアは小さく溜息を吐く。

 同時に薄淡い緑色の光がセシリアの身体を包み込んだ。回復魔法であるヒールを見たリリーが何事かと首を傾げる。

 それに何でもない風を装うとセシリアはカイトを伴って後で合流するから先に食堂へ行くよう、フィアとリリーに告げる。

「つかぬ事を言いますが、胸が痛いんです。物理的な意味で」

 人気のない階段の踊り場にカイトを連れ込んだセシリアは、恥ずかしさから視線を背け俯きがちに言った。

 自覚症状が出たのは少し前。その時は大して痛みもなく、俯せで寝いてたからかと流したものの、今日は少し酷くなっている。

 念の為ヒールやディスペルといった回復魔法を使ってみたのだが効果はない。

 その辺りの事情を早口でまくしたてると、何か原因になりそうな物を思いつかないかずずいと迫った。

「回復も効かない、状態異常でもないとなると、怪我や病気じゃない別の要因って事か。ちょっと両手上げてみ」

 言われるがままに両手を上げた瞬間、カイトは真顔で両手で包みこめる程度には存在を主張している膨らみへ、躊躇う事なく触れる……だけに留まらず、力を加えたり動かしたりし始めた。

 突然の事態にセシリアは声にならない小さな悲鳴を上げ、丁度良く突き上げていた両手を勢い良く振り下ろす。


「直接確かめたわけじゃないからいまいちはっきりしないけど、張ってそうだから成長期かもな。そういや誰かから胸が張って困るって聞いた事もあったような……」

 顔を赤らめ、両手で胸を守るように抱いているセシリアへカイトは歯切れの悪い言い方をした。

 流石に高レベルの前衛だけあって、セシリアの繰り出した大ぶりのチョップは両手ともきっちり避けている。

 当たらなかった悔しさと、カイトが診察目的で触れたのに驚いて変な声を出してしまった気恥ずかしさに、セシリアは非難がましく睨みつける。

「触るなら先に言ってよ!」

 うっかりしてたと軽い謝罪を述べるが楽しそうな顔を見るにまず間違いなくわざとだろう。

 反省するどころか手をわきわきと躍らせながらあっけらかんと言ってのけた。

「じゃあじっくりねっとり直接触って確かめるから部屋に戻らないか?」

訓練編まで一気に書き上げようかと思っていたのですが、難しかったようです。

2万字越えてしまった為分割しようと思います。

こちらは前編に当たる感じで、明日には後編をアップする予定です。


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