リュミエール-6-
「さて、これで後は出て行ってしまった皆さんを呼び戻せば元鞘ですかね」
ふっきれたのか、諦めたのか、軽い調子で別れを告げるグレゴリーを屋敷の外まで見送った後、3人は部屋へ戻り今後の打ち合わせに移る。
親方は話に付いて行けず眠たそうにしていたが、セシリアにはまだ一つ頼みたい事が残っていた。
「で、嬢ちゃん。次は何する気なんだ?」
大の大人を本気で凹ませたセシリアが何をしでかすか、親方は少しだけ楽しんでいるようだ。その期待にこたえるべく、セシリアは実に楽しそうに、にこりと微笑んで見せた。
「独占禁止法ってありますよね。あれがない時代って、さぞ大変だったんだろうなって思いません?」
大手の会社が結託して値段を釣り上げたり、逆に値を上げる為に売り渋ったり、はたまた自分達だけで独占したり。
そんな事をされたら市場は都合の良い様に操られて大混乱を引き起こすし、大企業が胡坐をかいて技術的な競争も起こりにくくなってしまう。
現代では公正取引委員会が見張っているが、歴史を紐解けば時の権力者による独占事業はそう珍しい話ではない。
特に内陸部では塩や水源といった、人が生きて行く上でかかせない物資はよく利用された。
気に入らない相手に売らなかったり、値段を釣り上げて混乱させたり、交渉の材料として利用されたり、時には戦争にまで発展したことだって少なくない。
領主の依頼だって同じだ。ステータス的な強さしか持っていないプレイヤーがお金を効率よく稼ぐ為には割の良い討伐の依頼しかない。
ここを出て行った狩組が、いや、プレイヤーの集団その物が高額なそれに依存しきっているのは誰もが知るところである。
自由の翼がこの依頼を独占した事で、離れていった狩組は恩恵に預かれなくなった。
あれだけの人数を簡単な素材の収集だけで養うのは不可能に近い以上、彼等は詰んと言っていい。
「待ってくれ、じゃああいつらはどうなるんだ?」
セシリアの楽しげな解説に親方が声を荒げた。ギルドを離れていった彼らの良い分は間違っていない。
このギルドから危険を承知の上で離れると宣言した彼等を内心では応援してやりたいと思っている。
もしユウトがここに残りたいと言い出さなければ、彼らについて行ったかもしれないくらいに。
だが、それはセシリアも同じだ。この軽快な口調は決してギルドを離れた狩組に向けられたものではない。
「大丈夫、彼等をどうこうするつもりはありません。斡旋所を経由していた依頼が自由の翼を経由する形に変わるだけです。報酬も今迄と同じ額を支払います」
しかし親方はまだ胡乱な視線を送り続けている。今さっきの領主との交渉を見て、同じ事が彼等にも起こるのではないかと心配しているのだろう。
セシリアの目的はあくまでプレイヤーが協力関係を築ける立場に戻す事であり、仲間から利益を毟り取ろうとは思っていない。
だから取引ではそれなりの利益を与えるつもりで居る。もっとも、もう二度とギルドが分解しないように、それなりの手綱を握るつもりでもあるのだが。
「つまり下請けと元請か……。よくそんな仕組みを考えついたね」
黙ってセシリアの話を聞いていたケインが呆れと称賛の入り混じった苦笑を漏らす。
セシリア達は領主と話をつけ、依頼の独占と金額の増額を取り付けた。それを出て行った狩組に流す事で切っても切れない関係性を作り出すこと。
セシリアが依頼を直接自由の翼に流すよう領主に条件を出したのはこの上下関係を作る為にある。
人が手を取り合うのに必要なのは目に見えたメリットだ。一方に与え続けるのではなく、互いに持ちつ持たれつの状態を作り出す。
自由の翼は領主から渡される報酬の一部を。狩組は労働力を。
多少卑怯な方法だったとは言え、これ以外に互いの関係を健全に保ち続ける方法が見つからなかった。
「それから、ここの設備を彼等に開放するつもりです。交渉で得た差額の20%はこの使用料と言う名目で徴収します。こうすれば少なくない額がこちらにも落ちてきますし、彼等に屋敷を使わせる口実にもなりますから」
彼等がここを出て行ったのは一種のケジメというか、プライドというか、覚悟を示す為でもあるのだろう。
しかし実際問題、数十人の寝床を確保、維持するのはそれなりに手間がかかる。
折角全員を収容できる屋敷があるのだから無駄にお金を使う必要はどこにもない。
口実さえ与えれば彼等も、特に一緒にいる女性陣はお風呂付の物件に戻ってきてくれる可能性が高いと踏んでいた。
「でもまだ、一番の問題が残ってるんですよね……」
「そうだね。どんなに破格の条件を用意したとしても、何らかの処罰を決めない限りは納得してもらえない気がするよ」
セシリアとケインが揃って頭を悩ませているのが横領組への処罰をどうするかだ。
ケインの言う通り、ここを離れた狩組にも維持やプライドがある。万に一の確率で戻ってきてくれたとしてもギルド内の空気が悪くなるのは想像に難くない。
メンタル的な部分が肉体にどの程度の影響を与えるかについては詳しくないが、荒んだ精神状況で討伐に影響が出るのだけは避けたい所だ。
この問題を解決せずに話を進めた結果、こじらせて他の街に移り住むと言われたら厄介極まりない。困った事に、彼らがやる気になればそのくらいはできてしまう。
結局の所、解決しなければならない問題は後一つ。一体どんな罰を加えれば出て行った彼等に納得してもらえるのか。
「ケインさん。横領した人達への処罰ですが、私に案があります」
「それは、追放か狩に参加してもらう以外の方法かな?」
横領が発覚した後、即時追放を叫んだメンバーは意外と少なかった。
誰だって魔が刺す事はある。当初は横領した額に多少の誠意を上乗せして弁済すれば不問にしてもいいという意見が大部分を占めていた。
それどころか、人手が足りず、何らかの方法でメンバーを増やさなければならないという差し迫った状況の最中、丁度いいところに手ごろな問題が振ってきたと喜んだ者さえ居る。
事実、この状況は一気に人手を増強するチャンスだった。
横領に加担したメンバーには明らかな非がある以上、多少強引に狩への参加を促しても他のギルドメンバーから不満は出ないだろうと踏んだのだ。
彼らの予想は半分当たって半分はずれた。
使い込んだ額を返済するまで狩へ参加すること。
勿論始めから難易度の高いオークの討伐を任せたりはせず、何度か訓練を施してから同伴の元、ノンアクティブのモンスターを狩ってみるプランだった。
狩組からすればこの条件はかなりの譲歩である。甘すぎるという案がなかった訳ではなかったが、ケインの一声で纏められ、横領したメンバーへと伝えられた。
ところが、彼等はこの提案すら拒否。
寧ろ要求が甘かった事で増長し、例え戦場に連れ出されても一切の戦いを拒否するとまで強気に表明した。
狩組が激昂したのは言うまでもあるまい。
しかしながら、横領組の下した自分勝手極まりない判断はセシリアでも口篭るほどの妙案と言わざるを得なかった。
戦場で戦うつもりのない輩にうろつかれてはかえって迷惑だ。まして妨害などされては堪ったものではない。
不戦の意思を堂々と宣言している彼らを前線に出すべきか。ケインが渋ったのは当然だろう。
結果的にそれが横領組の増長を促進し、益々狩組の不評を買い、結局明確な処罰も科されず今に至る。
やる気のない人間ほど厄介なものはない。
例えどんな仕事を与えても面倒だと放られればそれまで。
かといって追放するわけにも行かず、部屋に監禁するにしても命まで奪うわけにはいかないから監視役が必要になる。
結果的に余計な手間をかける必要が出てきてしまい、それなら普段のギルドの仕事を与えた方がマシという始末だった。
横暴極まりない彼等をギリギリの淵で救っていたのはケインやセシリアの持つ、プレイヤーの命を危険に晒すわけにはいかないと言う倫理観。
とても笑える内容ではなかった。
「要するに、彼らをその気にさせればいいんです。戦わなければ自分の身が危ないと思わせる事ができれば必死にもなりますよね」
セシリアの言葉にケインが曖昧に頷く。
彼らが自分達の置かれている危機的状況を理解し、自ら率先して闘う決意を表明すれば出て行った狩組の理解を得る事だってできるだろう。
でもそれは理想論で、絵に描いた餅、机上の空論でしかない。
ケインだって今日までを無為に過ごしてきた訳ではない。
これではこの先自由の翼が立ち行かなくなる可能性もあると必死の説得を繰り返していたものの、完全に開き直っていた横領組には見事に暖簾に腕押し状態だった。
何か他に両者を納得させる方策がないか考えに考えて、それでも代案は見つかっていない。
……だというのに。
「できます。彼らに危機的状況を理解させることも。率先して戦う気にさせることも」
セシリアは至極あっさりと、ケインが半ば諦めかけていた問題をどうにかしてみせると言い切った。
「本当はもっと早く思いつけばよかったんですけど、つい最近気付いたというか、気付かされたというか……。不本意ながら同室のカイトとフィアのおかげで」
申し訳なさそうな顔をするセシリアに、ケインは敵わないと苦笑する。
「聞かせてくれないかな。一体何をするつもりだい?」
ギルドマスターとして内容の可否を判断する必要がある、というのは建前だ。自分には思い至れなかった代案に興味が尽きないといった様子でケインが先を促す。
セシリアの事だ。きっと今度も限りなく効果的な案を思いついたに決まっている。
「焦らす様ですみませんが、お話の前に一つだけ確認したい事があるんです。……昔、私を襲って監禁したプレイヤーが居ましたよね。ギルドに始めてきた時、ケインさんは捕まっているって言ってましたけど、彼らのことをもう少し詳しく教えて頂けませんか?」
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等間隔で炎を灯された螺旋階段は幾ら降りても先が見えてこない。
案内して貰っている兵士は寡黙を良しとしているのか、それとも私語を禁じられているのか、ただ黙々と数歩先を歩いていた。
かなり地下深くに作られているせいか、染みだしてくる水によって湿った空気がじっとりと肌に纏わりつくようで気持ち悪いうえに気温も低く、セシリアは小さく身震いした。
人が住むのには全く向いていない環境。長かった螺旋階段がようやく終わり仄暗い地の底に辿りつくと兵士が一言だけ発する。
「こちらです」
彼が指し示す先には金属製の重厚な扉が幾つもの施錠を受けてひっそりと佇んでいた。
手にしていた鍵束から幾つもの引き抜き、扉にぶら下がっている、或いは埋め込まれている鍵穴に差し込む。
さして手間取っている様子もなく、順に解錠を続けると5分ほどかけてようやく扉が開かれた。
途端に内側からすえた臭いが漏れ出し、セシリアと親方は眉を顰める。
どうやら兵士は中に入らずここで待機する腹積もりの様だ。扉の脇に立つと直立不動の構えを取り目線だけで先を促した。
「親方はここで待っていても良いですよ。中は結構酷い匂いみたいですし」
「嬢ちゃんは入るんだろ? なら俺も付き合ってやらぁ」
2人が訪れたのはリュミエールの地下牢だ。
地上の牢は窃盗や喧嘩と言った軽犯罪が入れられるのに対し、地下の牢は強盗や殺人と言った凶悪な犯罪者が詰め込まれる。
リュミエールの治安が安定しているとはいえ、何人かは投獄されているようだ。
ここでの暮らしに慣れた者などはセシリアの姿を見て下賤な野次を飛ばしている。
それを無視しながら区画を巡り目当ての人物を探す。元から目立つ容姿だけあってすぐに見つかった。
「こんばんは。良いお部屋ですね。一度住んだらもう二度と外に出られなくなりそうな造りが逸品です。とてもお似合いですよ?」
鈴を転がすようなセシリアの声に、横になっていた何人もの人間がやつれた顔を上げ、途端に目を見開いた。
「た、頼む、ここから出してくれっ!」
かつてセシリアを襲った一団。傲岸不遜だったリーダーの男を筆頭に、やつれ果てた面々は躊躇う様子もなく額を地面にこすり付ける。
てっきり恨み言の一つや二つくらい飛んでくるだろうと思っていただけに、彼らの腑抜け様にはただ溜息が零れた。
「現代のゆとりっ子にこの環境は辛かったみたいですね」
彼らは皆、両手足に枷を嵌められ、そこから伸びる鎖は壁に繋がっている。ある程度動き回れる長さはあっても檻に届くほどではない。
自由の翼はセシリア(プレーヤー)に手を出した彼らを敵対勢力と断定。
このまま放置しては他のプレイヤーに被害が広がりかねないと決断を下したケインにより多勢に無勢のまま制圧された。
彼等も圧倒的な数のプレイヤーに包囲されるとは思っていなかったのだろう。
刃物を突きつけられ、装備やインベントリのアイテムを全て吐き出された後、人身売買の現行犯として当局に引き渡された。
セシリアを売ろうとした先が黒い噂の絶えない大きな組織だったのも災いした。
彼等と組織に何らかの繋がりがあるのではないかと疑った当局により彼らは重罪人と判断され、この地下牢に投獄されたのだ。
当の組織は知らぬ存ぜぬで通していた上に証拠もない。彼らは重要参考人として厳しい取り調べを受け今に至る。
与えられる食料は固くなってカビの生えたパンに泥の混じる水とあっては憔悴しきるのも無理はない。
「頼む! なんでもする、だから助けてくれ!」
「さぁ、どうしましょうか。前に私の助けは笑って無視されましたし、私もそうしましょうかね」
突き放すような冷たい一言の後に楽しそうな冷笑が浴びせられ、牢の中で身を寄せる男たちが震える。
セシリアに彼らにされた行いを許すつもりはない。だから助けるつもりもない。
「良いですよ。ここから出してあげます。ただしタダという訳にはいきません。貴方達には貴方達にしかできない仕事をしてもらいます。それでもいいなら寝床も食事も付いてくる環境を用意しても構いません。どうです? やります?」
「助けてくれるのか……! やる。何でもやる!」
セシリアの提案に拝まんばかりの勢いで頭を下げる男達を見渡して満足げに頷く。
「それじゃ手配をしてきますから。明日には揃って出られますよ。お仕事の話はまた後ほど。皆さんの頑張りを期待していますからね」
くるりと踵を返し牢を後にするセシリアの後姿に、男達はようやく助かったと涙していた。
「お待たせしました。引き渡しの話は上で構いませんか?」
兵士は重たい扉を厳重に施錠しながら短い返事を返す。
ケインに彼等がこの地下牢に囚われていると聞かされてからすぐに彼等を利用することを思い立った。
元より命を狙われた気分なのだ。いや、ある意味それよりも酷いかもしれない。
あのままカイトが助けに来てくれず、どこかに売られていたらと思うと今でも背筋が冷たくなる。
彼らの取調べの結果は既に出ていて、彼等が例の組織に深く関わっていたわけではなく、いわば証拠の残らない捨て駒であったと当局も把握している。
被害者であるセシリア本人や拘束した自由の翼が人身売買は誤解であり、身柄を引き受けたいと申し立てても、保釈金さえ支払われれば拒否する理由はなかった。
行きと同じく兵士が先頭を歩き、背後に親方が続く。最後尾を歩いていたセシリアは数歩先で振り返り、小さな声でくすりと笑う。
「なんでもする、か。自分達で言い出したんだし、本当に何をされてもいいよね」
薄暗い地下牢の塔から明かりの灯された応接間に戻ると書類を用意してもらい、それなりの額の保釈金をセシリアがポケットマネーから支払う。
同時に数枚の銀貨を応対してくれた2人の兵士に数枚握らせると便宜を量ってもらえないか誠心誠意頼み込んだ。
なんてことはない、ただ拘束されたままの状態でとある場所へ運んでほしいと言う他愛のない要望だ。
対応した兵士には怪訝な顔をされたものの、渡した額が大きかったこともあって何も聞かれる事なく淡々と進められる。
監獄を出る頃には既に人っ子一人見かけない、深夜と言っても差し支えない時間になっていた。
「しかし、娼館についてきてくれってのも驚いたけどよ、その後は監獄たぁな」
「遅くまで付き合わせてしまってすみません。今度美味しいお酒でも奢りますよ」
思いもよらなかったセシリアの申し出に親方が喜色をあらわにする。
セシリアもここまで遅くなるとは思わなかった。原因は監獄の前に立ち寄ったとある娼館で纏めた取引にある。
その甲斐あって内容は及第点と言える物に仕上がったが、時間がない事を逆手に取られて丸め込まれた感も拭えない。
そもそも、そういった施設を利用したことのないセシリアにとって、相場がどの程度のものなのかいまいち理解に苦しむ部分があった。
これは単純にリサーチ不足だろう。けれど、急がなければならない理由もある。多少不利な条件を飲まされても、これは所謂"オマケ"だ。
本命は後にあるのだから、相手に好感を得てもらうのに役に立ったとも言える。
「さ、早く帰りましょう。女性陣が戻ってくるのを考えると、のんびりお風呂に入れるのは今日が最後かもしれませんし」
せめて最後のお風呂くらいは一人でのんびり、心行くまで浸かろうと思っていたのだが、まだ起きていたリリーに連れ添われたのは言うまでもない。
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翌日。既に太陽は頂点を過ぎ、陽射しが一番辛くなる頃合いを越える時間帯に、ケインがいつも使い執務室と化した一室には久しぶりに酔いそうなほどの人だかりができていた。
朝から走り回り下準備は完全に整っている。これからの交渉に、セシリアも自然と力が入った。
まずは気さくに挨拶を交わすものの、部屋の空気はどこか重苦しさを感じる。
未だ横領組が何の罰も受けず野放しにされている状況を快く思っていないのは確かだ。
セシリアが淡々と、全ての依頼を自由の翼が独占したと告げた時は一部が激昂し、武器を抜かれ兼ねない事態にまで発展している。
「ですから、依頼は今迄通り皆さんに回します。依頼を受けて頂いた段階でこの屋敷の代金も頂く事になりますので、好きに使ってくださって構いません」
一通りの説明が行われると驚かせるなとばかりに非難の視線が向けられたものの、ある意味では納得してくれたようだ。
けれど、ある意味ではまだ納得していない。
「俺達の面子を潰さずに屋敷を使えるよう手配してくれた気持ちは正直嬉しいけどよ、そういう問題じゃないんだ」
彼の言葉に周りから次々に「そうだ」と賛同の声が上がる。
お金を使い込んだ。でも返す気はないし戦うつもりもない。もし無理やり連れて行けば邪魔をする。
そんな自己中心的な言葉を繰り返す横領組に愛想を尽かした抗議の意味合いもあるのだから、肝心の条件が抜けている限り納得できるはずがない。
「あいつらが自分らだけで狩に行くくらいの誠意を見せなきゃ俺達は納得しないって決めてるんだ」
「この際雑魚相手の依頼でもいいよ。あんたらの後ろに引っ付いてるだけなんて事さえなけりゃな」
結局一番の問題点は横領組みのやる気のなさ。納得させるだけの処罰を下せれば彼等に反発する理由はなくなる。
「お怒りはもっともですし、私達もこのままなぁなぁで終わらせるつもりはありません。今、横領に加担した人達を別室に集めています。これから彼等にギルドとしての処罰を言い渡しますから、それを見てどうするか決めて欲しいんです」
一体どんな内容なのか疑問視する声は少なくなかったがセシリアは教えなかった。
どうせなら何も知らないところで内容を聞いてもらう方が彼等にとっては効果的だろうと思ったからである。
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この問題の解決方法は突き詰めれば2つ。
一つは彼らの追放。ただし性根の腐りきっている彼等を野に放てば間違いなく何らかのトラブルを起こすに決まっている。
もう一つは横領した金額の返済。
この1か月で使い込んだ額は割とシャレにならない為、まともに返すつもりがあるならそれなりの額になる依頼をこなすしかない。
最悪でもリュミエールの街で臨時雇用を見つけて雇ってもらうのは必要不可欠だ。
戦闘も臨時雇用も自分の意思で行うものだ。寝転がっているだけでお金は稼げない。
横領組はこの意思を放棄した。これでは返済なんてできるはずもなく、ケインもセシリアも頭を抱えるしかなかった……のだが。
セシリアはケインとフィアのやり取りを見て思いついたのだ。
オークの討伐ほどではないにせよ、それなりに稼ぐ手段は残されていると。
横領したメンバーを集めたのはいつかの謝罪に使ったホールだ。幕の上がっている壇上に立つとホールを見渡す。
彼らにどんな罰が科せられるのかいち早く知ろうとする野次馬もそこかしこに見て取れた。
中には見慣れたカイトの姿もあって、視線が合うと小さく手を振られる。
手を振り返そうとした所で、眼下に集められた一団の中の一人が声高々に宣言した。
「言っとくが、何を言われたって俺達は戦わないからな」
ざわついていたホールがたった一言で静まり返った。
出入り口間近で成り行きを見守っている元狩組の面々が彼らに殴りかからなかったのは流石としか言いようがない。
横領組が反省の片鱗さえ見せずにふんぞり返っているのは、多分怖いからだ。
頭を下げ殊勝な態度を取れば良い様に使われ、戦場に駆り出され、最悪死ぬかもしれない。だから精一杯虚勢を張っている。
「いいですよ、別に戦闘に参加しなくても」
だからか、セシリアの発した予想外の一言には誰もが口をぽかんと開け、しばし時を忘れる事態になった。
「明日にオークの討伐に向けた訓練を行います。横領に加担した人は全員参加です。その働き振りを見て使い物になるかの判断をする事になります。もしそこで適正なしと判断された場合は街で別の仕事についてください」
だらしなく口を開けていた人々の時間が動き始める。まず初めに聞こえたのは横領組の歓喜。次に聞こえたのは元狩組の怒声。
結局奴らを野放しにする結論を出したと解釈した元狩組は、付き合っていられないとばかりに踵を返しホールの外へ出ようとする。
「まぁ少し待てって。ここからが面白い所だからな」
そこへ事情を知っている自由の翼の数人が止めに入った。
始めは彼等を押しのけてでも外へ出ようとしていた元狩組だったが、不意に笑顔を浮かべる彼等を見て怪訝そうに目を細める。
彼等とて横領組が何の処罰も受けないのには納得できていないはずだ。にも拘らず、今この状況でなお、どこか楽しげな雰囲気を纏っている。
「一体何故そんな態度で居られる?」
だが元狩組を引き止める面々は直接的な表現を避け、最後まで聞いていけば分かると譲らない。
「ま、嬢ちゃんのやる事は意外とえげつないってこった。どうだ、最後まで聞いて笑い出さなかったら俺の負けって事でお前等全員奢ってやる。もし笑い出したら俺の勝ちってな。そんときゃ美味い酒でも奢ってくれ」
いつの間にか出入り口を塞ぐようにして立っていた親方や周りの態度が一体何を意味するのか気にならないと言えば嘘になる。
元狩組はやれやれとばかりに好奇心の正体を探るべく、足を止めて壇上のセシリアへ振り返った。
「それから、始めからやる気のない人を連れて行くのは無駄ですし、街の仕事を希望する人は今ここで申告してくれても構いません」
外に出る必要すらないという破格の条件に彼等が喜ばないはずもなく、俺も俺もと次々に声と手が上がっていく。
追放もなく、無理矢理戦線に立たされる事もなく、安全な街の中で今までどおり過ごせる事に歓喜の声を上げながら。
全員がセシリアの言う"街の仕事"を希望したのは言うまでもないだろう。
それだけを見れば横領組みがゴネた結果勝ったように見えるかもしれない。
だがセシリアの表情は実に"楽しそう"だった。あたかも、新品の玩具を渡された、もしくは親へこっそり買ったプレゼントを渡そうとする子供のように。
成り行きを見守っている元狩組が怪訝な表情で首を捻る中、セシリアは1枚の紙を取り出した。
やる気がないならやる気を出させればいい。自分たちの置かれている危機的状況を理解できないなら、分かりやすい形に変えてやればいい。
「で、その仕事って何だよ」
その質問を待っていましたとばかりに、セシリアは満面の笑みを浮かべて告げる。
「男性向けの特殊な娼館です!」
その瞬間、会場の面々は2度目の時間凍結に見舞われた。
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時間は今朝早く、まだ元狩組との交渉が始まる前に戻る。
セシリアの姿はとある特殊な、男性だけを取り扱う娼館にあった。
まだ店は空いていない時間だったが、開いていた扉の中に滑り込むと受付の女性に自分の名前を告げる。
女性は名簿を眺めた後、すぐにセシリアを別室へ案内した。
それなりの価値がありそうな家具が所狭しと並べられた見るからに豪華な部屋には先客が一人いる。
「これは何の真似だ! 鎖を解いてくれ、助けてくれるんじゃなかったのかよ!?」
大人でも3人くらいなら余裕で横になって寝られそうなほど大きなベッドの上に、先客の男が一人もがいている。
両手は背面でキツく拘束され、首には壁から生えた鎖と繋がっている首輪を嵌められており、ベッドの外へ移動できない長さに調節されていた。
その男の方へと歩み寄りながら楽しそうに告げる。
「嫌です。外したら"また"襲われかねませんし。それに、助けるなんて一言も言ってませんよ。あそこから出してあげる。そう言っただけです」
言うまでもなく、彼は昨日牢屋から引き取った、傲岸不遜な態度でゲーム内でも散々迷惑をかけてくれた一団のリーダーだ。
それが今では上擦った声を出して怯えている。牢獄での暮らしは僅か1ヵ月足らずだったというのに相当堪えたらしい。
「それよりほら、お腹空いたんですよね。私が食べさせてあげますよ」
入り口で待ち構えていた別の女性によって持たされたトレーには、柔らかそうな白パンと、湯気の立つ野菜のスープが注がれた深皿が乗っている。
牢獄生活で常に空腹に悩まされていた彼にとっては久方ぶりに目にする御馳走だろう。思わず生唾を飲む。
「口を開けてください。よく味わって食べた方がいいですよ? 今後の身の振り方次第ではあの牢獄へ逆戻りですから」
男にとっては空恐ろしい一言だったが、久方ぶりに食べたスープの、野菜の、柔らかなパンの味の前にはどうでもいい問題に成り代わる。
彼にとっては今までに食べたどんな料理よりも美味しく感じられる食事を貪る様に、僅か数分で平らげてしまった。
その姿を見てセシリアは満足げに頷く。
「一体どういうつもりなんだよ。ここは何処なんだ。俺に一体何をさせるつもりだ」
空腹が満たされた事で余裕が出たのか、それとも甲斐甲斐しく世話を焼くような真似をしたセシリアになら強く出ても問題ないと思ったのか、鎖を鳴らし噛み付かんばかりに肉薄する。
しかし予め距離を測っていたセシリアにはあと少しの距離で届かない。
「言ったでしょう? 貴方にしかできない"仕事"ですよ。でもその前に人を散々な目に会わせてくださったお礼がしたくて、今日は特別に頼んだんです」
柔らかい微笑を浮かべるセシリアを見て、彼は小さな悲鳴を漏らし後ずさった。鎖が限界まで伸び、締め上げられた首から呻き声を出す
その笑顔の向こうに、少なくない憎悪や悪意を見て取ったのだろう。
粋がってはいても今の彼は拘束され自ら食事を取る事さえ難しい状態だ。もしセシリアが本気になれば魔法の一撃で殺されてもおかしくない。
何より、それだけの事をされてもおかしくない自覚は彼にもあった。
「少しは御自分の立場を御理解頂けたようで何よりです。大丈夫、殺したりはしません。死にそうな時はギルドに常駐しているクレかプリがヒールする手筈になってますから。それに、こんな便利な回復薬もありますしね」
黄色い液体の入った瓶を振ると堪えきれないとばかりに彼が悲鳴をあげた。
セシリアは死にそうな時には治療できる環境を整えていると口にした。果たしてそれは善意からだろうか。
ありえないと彼は断言する。セシリアが自分に少なくない憎悪を抱いているのは確かだからだ。
それでも治療できる環境を整えたとすれば、理由は一つだけ。治療が必要な環境に立たされるからだ。
「な、何をするつもりだ!」
彼はセシリアがこの間のお礼をする為に訪れたのだと言ったことを今更ながらに思い出す。
同時に、セシリアの職業も。それこそ、全身の骨を砕かれても治せるだけの魔法がセシリアには備わっている。
それどころか、痛みで気絶する事も許されない。凡そどんな状態異常でもセシリアに掛かれば一瞬で回復できるのだ。
首が絞まるのも気にせず、彼は限界まで退く。
セシリアはそんな彼へ悠々と近寄ると一本の筒を取り出して振って見せた。
すると、中からやや重たくはある物の水が跳ねる様な音が聞こえてくる。
「これなんだと思います?」
彼に考える余裕も答える余裕もなかったが、セシリアはさして気にしなかった。
先端に刺さっていた楔を抜き放つと、転がっている男の腹のあたりに向けて無造作に傾ける。
たったそれだけの動作で彼は哀れにも悲鳴をあげるが、特に痛みがあるわけではない。
中からは粘り気のある赤みがかった液体が滴り落ち、みるみる内に毒々しい色合いの染みを作り出した。
それが何か分からず、彼はただキョトンとした表情でセシリアを見上げるばかりだ。
「これは貴方が私に使った物と同じ、あの気持ち悪い液体です。受付の人が言うには気持ちよくなれる薬まで配合されてるとかなんとか。まさにこれなんてエロゲですね」
楽しそうに説明を続けるセシリアに男はただ目を丸くする。
「お前……何言って……俺は男だぞ」
「知ってますよ。ですから、ジャンルは女性向けです。そうそう。ここが何処だか知りたいんでしたよね。娼館ですよ。ただし、商品は"男性"限定ですけど」
彼の顔がまるで世界の終わりを見たかのように凍りついた。セシリアの説明で、ここがどういう場所なのか想像できたのだろう。
「これって男性にも使えるみたいなんです。世の中には少年愛っていう、美しい少年を愛でるのが趣味な鬱屈した貴族のオジサマも多いらしくて。その為の商品の調整に使うらしいですよ」
「冗談、だろ……」
その言葉を口にしたものの、それが冗談ではないと分かっていたのは他ならぬ彼自身だった。後はもう言葉を失ってわなわなと震えている。
売ろうとした本人が売ろうとした相手によって売られる。文句が言えるはずもなく、彼は無言のまま助けを求める様にセシリアを見上げた。
「嫌ですか?」
「当たり前だろうッ!」
裏返った彼の怒鳴り声が部屋に響く。色々な物が限界を迎えたのだろう。
ベッドの上で無茶苦茶に暴れるものの、枷や鎖が取れるはずも無く徒労に終わるだけだ。
やがて疲れ果て動かなくなった彼に向かって、セシリアは晴れやかに笑いながら一つの案を提案した。
「じゃああの牢獄に戻りますか? ここの食事は美味しかったでしょう? 貴方の世話はここの従業員が何から何までしてくれます。鎖に繋がれてるとはいえ、こうして暖かい部屋も用意されています。それでもあの凍えるような牢獄に戻って、硬いカビの生えたパンと泥水を飲む生活を死ぬまで続けたいならそれもいいでしょう。もし御希望とあらばそうしますけど、どうしますか?」
彼は俯いたまま震えるばかりで、何一つ答えられなかった。
頷けるはずもなかった。牢獄の中で選択肢を突きつけられたのであれば、まだ選択の余地はあったかもしれない。恐れを知らず牢獄に戻ると答える事が出来たかもしれない。
けれど、今の彼は部屋の暖かさを、食事の味を、空腹に苛まれない幸せを身を以って知ってしまった。
「なぁ、頼む……助けてくれよ。こんなの酷すぎるだろ!」
「それが答えなら、ここで我慢した方が得ですよ。もし帰る手段が見つかれば連れ帰ってあげます。どうせアバターの身体じゃないですか。元の世界に戻れれば"なかった"事になる。だから貴方も私にあんな事をしたんでしょう? ここに居る限り命の保障だけはされます。でも牢獄に戻るなら保障できませんよ? 死んでは元も子もないじゃないですか」
後はもう項垂れたまま動く気配はなかった。
「聞きたい事も言いたい事もないならこれでおしまいですね。スライムに塗れながら良い声で啼いてください。正直男が悶えてる姿なんて見たくないのでさっさと帰らせてもらいますけど。ではお幸せに。良いご主人様と巡り合えることを祈ってますよ?」
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セシリアが横領組に見せ付けた紙には、今朝方貸し出してきた一団の初夜権を巡る競りが行われる旨が書かれていた。
やる気のない者でどうすればお金を稼げるか。答えは簡単だった。
彼等が始めから持っている、アバターによって与えられた美麗な外見を利用すれば良い。
この世界にはまだ避妊具が開発されていない。そういった商売で働く女性にとっては酷く過酷な環境だ。
だからこそ、見た目美しい中世的な男性、特に18未満の青年や16未満の少年には時に高級娼婦を上回る価値が生まれる。
あり大抵にいえば現代よりも少年・青年愛に寛容的なのだ。
といっても、現代で生きてきた彼等にとってこの感覚は理解しがたいに違いない。
だがそれでいい。否定的であればあるほど、彼等は逃げ場を失うことになる。
それでも中にはそんな事をするわけがないと無条件に信じる輩も出てくるだろう。問答無用で娼館送りにしてもよかったがちょっと可愛そうにも思う。
だからこそセシリアが遠慮容赦の欠片もなく突き落とせる一団を利用させて貰い、既成事実を作り上げた。
実際に娼館へ送られたプレイヤーが居るという否定しようのない前例があるだけで、そんな事がある筈ないという藁にも縋る夢想は文字通り夢に溶けて消えたわけだ。
「さて、ここに載ってる彼等はあくまで貸し出しです。大丈夫、売ったりはしないですから安心してください。横領した額を加担したメンバー全員で貯めた暁にはちゃんと解放されます」
セシリアの説明は静まり返ったホールによく響いた。事情を知っているメンバーは笑いを堪えていたが、それ以外のメンバーは完全に我を失っている。
「皆さん顔はいいですから、始めから良い値をつけて貰えます。そこに拘束オプションと嗜虐オプションを付ければ結構な額になりそうなんですよね。ちなみに拘束オプションは文字通り縛られた状態でプレイを受ける事で、嗜虐オプションは、まぁ何といいますか、貴族サマの中にはこう、可愛らしい少年に鞭打つのが大好きな人も居ましてね、多少の怪我なら目を瞑る代わりに代金が高くなるって言うプレイ内容です」
眼下には顔を引きつらせ崩れ落ちる横領組の姿がちらほら見えた。
「やっぱり誰だって痛いのは嫌じゃないですか? だから希望者が少ないらしくて……。皆さんほど美形でこのオプションありなら連日予約殺到間違いなしらしいです。大丈夫、怪我はヒールで治しますから安心してください」
安心できるはずのない後押しに再び何人かが膝をついた。
働く気のない彼等にお金を稼がせるとしたら、これ以外に方法はあるまい。
不本意ながら、セシリアはカイトとフィアがこそこそ身を寄せて囁き合っているのを見て思いついたものだ。
接客に然り、掃除に然り、普通は拒否した瞬間にクビを言い渡される。
ところがこの娼館という場所では例え嫌がって悲鳴をあげても、そういう初々しい反応が好みという客は居るのだ。
需要があるなら供給しない手はない。
店としても商品を死なせるわけには行かず、怪我を伴う場合には監視が入る。
彼等は死ぬ事もなく、仕事を拒否してもお客の方が無理矢理仕事にしてくれるわけだ。ありがたい事この上ない。
「それから、ないとは思いますけど、もし"逃げた"場合、相当酷い事になると覚悟してくださいね」
にっこりと微笑むセシリアは、もはや横領組にとって手の負えない悪魔でしかなかった。
「狩に……参加させてください」
横領組の一人がその場で頭を下げる。もはや退路は何処にもなかった。後はもう雪崩のように、あれほどまで頑なだったにも関わらず、全員が後に倣う。
「あれ、でも皆さん街での仕事を御希望されたんですよね。戦力になるかも分からないのでは、正直こちらで稼いで貰った方が助かりますから、別にこのままでいいですよ」
笑顔のままとんでもない事を言い切るセシリアを前に、全員の顔からサッと血の気が引いた。
周りには幾多のプレイヤー。ここから逃げ出すのは困難だし、リュミエールに留まる限り捕まる可能性は付きまとう。
もし逃げれば、どんな目に合わせられるかは想像に難くなかった。
かといって、男に抱かれるなど、それもどんな酷い事をされてもおかしくないと追加されてはいと頷ける筈もない。
「し、死ぬ気で頑張らせて頂きますから!」
涙ながらに語る彼等をセシリアは散々あしらった挙句、遂に泣き出した所で朗らかに笑って言う。
「皆さんの熱意は受け取りました。では次の試験で合格された暁には狩への参加を認めましょう。もしダメなら問答無用で男性への御奉仕が待っていますので、頑張ってくださいね」
結局最後まで容赦の欠片もない言葉に遠くからセシリアを眺めていた元狩組は惜しみない声援を送った。
この日を以って分裂していた2派は1つに戻った。
同時に、討伐へ参加したプレイヤーには利益の一部を還元する方策も加えられている。
遊びたいなら稼げ。簡単明瞭な指針が加わった事で、横領組を伴う演習には幾らかの一般プレイヤーの参加も集まる事になった。
交渉編の終わりを記念して閑話をお一つ。
ネカマ確認に一時期流行った質問
Q.普段どんな日焼け止め使ってる?
Q.普段どんな雑誌読んでる?
Q.ブランドの話題
Q.香水どんなのが好き?
Q.普段どんなお店行く?
即答できる方はプロの才能があります。
もうちょっと踏み込むと化粧品の使用感とかもありますが、
MMOでそこまで聞くのは世間話を逸脱していて気持ち悪がられる諸刃の剣です。
性別を知りたがる≒出会い厨or直結厨ですしおすし。
ちなみに回答が分からない場合、無理に答えると酷い事になります。
日焼け止めのSPFやPAについて聞かれて使ってないとか答えると大爆死です。
なので怪しまれない様に話題をすりかえる技術が必要になります。
例えば、「どんな」という表現がある以上、種類が複数あると判断できる訳で、
「どれがいいかよく分からなくて、店員さんに選んでもらったの使ってる」
と返せば意味を知らなくてもスルーできます。
他にも別の人の回答を拾って話を盛り上げるとか。
この辺りの判断は迅速かつ慎重に! 相手の言葉からヒントを探るのです。
ちなみに沈黙は「適当に答える」の次ぐらいにNGなのですよ、にぱー☆