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MMORPG系の話と言うモノを書いてみたくてデタラメながらも書いてみました。良ければ読んで評価を貰えるとありがたいです。


7/30 大幅改変。ついでに三人称に変更。

「本当に一生に一度のお願いだ!明日稼働する新作のオンラインゲームに参加してくれ!」

「は、はぁ……」


 五月三十日。ようやく終わった中間試験の翌日で、教室は開放感に満ちていた。

 千藤悠歳せんどうゆうさいは高校の級友クラスメートの一人、大分清志おおいたきよしから新しく稼働する『グリモワールオンライン』と言うMMORPGのオンラインゲームの誘いを受けていた。

 『グリモワールオンライン』とは最近流行りのMMORPGでも新興会社が作った話題の新作で、新参とは思えないほどクオリティーの高い絵や音楽から、稼動前より高い評判を有していた。

 ゲーム内容としては、プレイヤーたちが世界のどこかにある『全知全能の魔術書グリモワール』を手に入れて奇跡を起こすために、体術スキル魔術マジックなどを駆使して、魔物や魔獣、やり込めば幻獣や悪魔、天使とも戦い、世界の果てまで探索するのだ。

 話題の新作で一昨日までテスト版が配信されており、明日から正式サービスが開始されるのだ。


 大分は所謂廃人と言う部類に入る人物で、自宅で貫徹ネトゲーは常識、学校の授業中に睡眠を取る事でも有名な少年だ。十中八九、このグリモワールオンラインへの勧誘は彼が級友への当て付けに過ぎない。大分は良くも悪くも学校内の注目を集める俺たちの集団に対して自らの得意とする土俵ゲームで対決して見下そうとしたに違いないだろう。


「友人勧誘キャンペーンを最初からやっていて、ベータ版テスターだと勧誘したらお互いに特典があるんだ!だから、やってくれないか、センドー?」

「そう言われてもなぁ……」

「……何をやっている?」


 千藤が大分と話していると後ろから大柄な女性がやって来た。日本人がほぼ全てを占めるこの学校において唯一と言ってもいい外国人。フランス人のハーフである久保エトワールだ。


「そ、そうだ、久保。き、君もセンドーと一緒にやってみないかい、グリモワールオンラインを!」

「……魔術書グリモワール?」


 ちょっと退け腰になりながらも久保を勧誘する大分。引け腰になっているのは他でもない、久保と言う少女が怖いからだ。千藤が居る以上、危害を加えられる事は無いと踏んでの言い分だが、彼女に対する恐怖心は残っているようだった。


「……どうでもいい」

「ですよねー」


 どうでもいいと言っているが、彼女が幾つかの言葉に反応すると言う事は多少の興味を抱いているようだ。千藤は後で皆に相談してみる事を決めた。



  ◇◇◇◇◇◇◇◇



「勧誘自体は俺も受けたぜ」

「毎月二千円は痛いなぁ……」


 そう嘆いたのはどう見ても体育会系の坊主、井東と非常に痩せた印象の薄い少年である若狭の二人だった。史規はゲーム好きなのもあって、興味は持っているようだが資金的な面で否定的のようだった。集まった仲間たちは皆が皆、大分に勧誘を受けたモノの曖昧な返答をしていた。


「皆やっぱり有料だからやりたくないと言うのが実情ね。高校二年となって、来年に受験が控えている今だとあんまり乗り気では無いわね。……夏休みまでの娯楽として勧誘に乗ってもいいかなって言う人も居るけど、月額二千円が響いているわ」


 最上と言う少女がそう説明してきた。勧誘されたのはこの学年の過半数にあたる事は彼女から聞かされたが、それと同時にほぼ全員が断っていると言う事も聞けた。


「でも、俺がやるにはやっぱ金の問題かなぁ……」

「僕もだねぇ……」

「そうだな、金が無い」

「こういうゲームの中でも、売買とかは現実に似ているから、経験にはなるとは思うが、やっぱり金かなぁ……」


 四人でうんうん唸るがどうしてもぶつかる壁が有る。資金面だ。オンラインゲームは特にそれが大きく差が出てしまうのだ。ゲームなどが好きな彼等が踏み切れない理由がそこにはあった。


 だが、状況の変化は起こるモノだ。


「いよーす、皆元気にやってるかー?」

「田子ぉっ!?どうしてここに!?」


 四人で井戸端会議をやっている所に闖入者が来た。かつての級友であった田子と言う男であった。かつてと言うのは中学校時代は共に机を並べた仲だったが、高校進学を蹴って社会人になった男だ。

 社会人になっても交友は今もまだ持っているので、こうして会ったら声を掛け合うのだ。


「今日は何か用事があるのか?」

「いや、今日は学校側から防災器具の点検の仕事に来たんだ。んで、仕事も終わったから、ついでに教室にも顔を出したと言う訳だ」


 そう言いながら一歩前に出る銀髪黒スーツの男である田子。彼は便利屋の仕事をやっており、学校は来月(6がつ)の市から派遣される防災チェックに問題が無いかどうか、確認したそうだ。


「それより何を話してたんだ?」


 その田子に聞かれたので、千藤たちは大分の勧誘のグリモワールオンラインについて話してみた。


「ふむ、なるほど。丁度いい、俺もテスターやってたんだ」

「おい、社会人。お前何やってるんだよ!?」

「そう気にするな」


 井東が田子の発言に思いっきり噛み付いた。そりゃあ突っ込みたくもなるだろう、化け物社会人がオンラインゲームをやっていると言われたら。


「と言う事で、お前たちもやってみるか?月々の必要経費+αぐらいなら払っても良いぞ?ただ、七人ぐらいが限度だけど」

「七人かぁ……となると難しいなぁ」


 うんうんと頭を唸らせた。ここに居るのは千藤・井東・史規・最上の四人+1だが、彼等には他にも仲間がいる。7人と言う枠は彼等に取って少ないがそれでも願っても居ない話だった。


「なら、俺が親しい奴だけ指定でいいか?その方が俺も提供しやすいし、文句の矛先も俺になるし」

「それが良いかもな」

「なら、指定させてもらうとしようか。センドー、久保エトワール、相沢、井東、史規シキ、最上、最後にここに居ない四月一日リーダーの七人だ」

「資金提供があると言うなら俺はやってもいいぜ」

「僕もだね」

「それなら願ってもない話だよ」


 他人の金を使ってゲームをする程、気楽な事は無いと言わんばかりではあるが、ここに居る四人は皆、頷いた。そしてずっと黙っていた久保も頷いていた。


「後は四月一日リーダーだけど、後で伝えてくれるかい?電子マネーや招待コードとかは明日メールで伝えるからさ」

「了解だぜ」


 こうして、千藤たちは【グリモワールオンライン】をやる事になった。それが欲望と狂乱にまみれた事件に巻き込まれるとも知らず。



  ◇◇◇◇◇◇◇◇



「クソッ、田子の奴め!僕の招待の餌を取りやがって!!」


 ……ただ一人、その様子を後ろで見ていた大分が愚痴を漏らしていた。



  ◇◇◇◇◇◇◇◇



 翌日、千藤は自室でパソコンを立ち上げて、グリモワールオンラインの公式ページへと向かった。稼働十分前から登録内容の設定が出来ると聞いていたのでその間に設定をしようと思ったからだ。


「登録名は……。『獣の威を借る烏レントクロウ』、クロウか。まぁいいだろう。田子に寄生する事にはなるだろうし。初期職業は八つか……」


 『戦士』『弓兵』『盗賊』『騎乗兵』『魔術師』『僧侶』『商人』『鍛冶師』だ。肉弾戦系が少ないのは魔術師系と生産系を多少なりともアピールしようと言う魂胆なのだろう。


「皆が使いそうに無いのは……『騎乗兵』かな」


 千藤は選択肢の中から、田子によって選ばれた仲間たちが一番選びそうにない、その職業を選んだ。それがどのような能力を持つか全く知らずに。


「これで本当によろしいですか?開始すると二度と変更出来ません、<Yes> No」


 千藤はYesにカーソルを合わせて6月1日の午前零時を待った。


「よし、行くぞ」


 零時と同時にyesを押した、その瞬間。パソコンの画面に面妖な五芒星の絵が出て、彼の意識は闇にへと堕ちた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ゲーム名:グリモワールオンライン

世界に散らばる二十五冊の全知全能の魔術書グリモワールを集める事が目的となったオンラインMMORPG。商品の象徴は魔術式をかたどった五芒星。

六月一日の午前零時よりスタートした。

魔術書を多数集める事で『奇跡』を起こせるため、人々はその奇跡を手にするために争いを始めた世界のお話。

前評判が非常に高く、開始前一ヶ月のテストプレイの選考倍率は十倍以上になったと言われている。

テストプレイからレベルと職業、お金を引き継げているため、テストプレイヤーたちは周囲のプレイヤーに比べると少しアドバンテージを有している。

ヴァーチャルリアリティーではないが、数々の現実的な機能を付けた前評判の高いMMORPG……のはずだった。



主人公たち:仲間(メンバー)

県下一の進学校に通う高校二年の同級生7名+社会人1名の合計8名。学校内でも有名な仲良しでかつ、『問題児揃い』のグループとして良くも悪くも知られている。

男女関係無く仲の良い様は周囲から見れば羨ましい青春の限りであり、時々級友から嫉妬の意を向けられる事も少なくはない。


構成員の名前は以下の通り:千藤悠歳せんどうゆうさい[主人公]、田子たごやすし[出資者]四月一日わたぬき足一たしかず[リーダー]、久保くぼエトワール[第一ヒロイン]、相沢智代あいざわともよ[第二ヒロイン]、最上もがみあきら[参謀]、井東芳樹いとうよしき[親友その1]、若狭わかさ史規ふみのり[親友その2]の計八人。


毎回、ラストに解説やキャラ紹介のようなモノを挟んで行きたいと思います。

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