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聖母の微笑み 前

月8日 PM11:50 サルフス美術館



美術館の入口近くに急遽作られた仮設テント中にモニターやら無線機などいろいろな機材が置かれている。

そのテントの中では10名程の警察服を着た男女が忙しなく動き回っている。

そんな中動き回る人の中で一人、テントの中央から動くことなく時計と手に持ったレポート用紙を交互に見ていた男がふいに一言発した。

落ち着いた声のトーン。それでも凄みを感じるような声色。

 

「時間が近づいてきているな。やつがそろそろ現れるはずだ。全員警戒を強めろ!!蟻の子一匹とおすんじゃねいぞ!!わかってるとは思うが、美術館内では様々な防犯システムが作動している。お前たちは外の警備をしっかり行え!!!」

 

薄い茶色のスラックスに白いシャツとネクタイその上にベージュのコートを羽織った男が周りにいる部下たちにに激を飛ばす。

歳の頃は40代後半くらいだろうか?程良くらいに恰幅がよく、若干白髪が交じり始めた頭をオールバックでまとめている。

 

(ブラックウルフ…今日こそはその面を拝んでやるからな…)

思わず力が入り、手に持っていたレポート用紙が『グシャッ』っと音を立ててつぶれる。


男は手の中でつぶれたレポート用紙の束を一瞥すると苦々しい顔をしてそのままゴミ箱に投げ込む。

 

(表紙だけ『関係者以外閲覧禁止」なんて大層なことがかかれているが、中身は長々書かれているが、なんてことねぇ、つまりはなんにも解かってねぇって事だろうよ…)


男は懐からタバコを取り出すと火をつける。



そこへひと組みの男女が近づいてくる。片方は細身の男の方でスーツ姿の出で立ちをしておりスーツケースを引きずっている。、女の方はなぜかスカートタイプのスーツ姿の上に白衣を重ねている。二人の左の袖にはそれぞれ緑色の腕章が付けられていた。

そんな二人はタバコを吸っている男の近くに手をに振りながら歩いて寄ってくると、女はダルそうに振っていた手を止めると話しかけてくる。


「岩本警部久しぶり。あんまりタバコを吸いすぎると体に良くないよぉ?それで警備の方はどんな感じ?」


女は二回り以上ある年の差を全く気にせずに馴れ馴れしく話しかけてきた。

連れの男の方も、


「警部さんおひさしぶりっす。今日はよろしくお願いするっす。」


敬語なのか敬語じゃないのかよくわからないような口調で挨拶をすると浅いおじぎをする。

そんな二人を一瞥すると岩本警部と呼ばれた男は苦虫を噛みしめたような顔をして、


「またてめぇらかよ…こっちは忙しいんだ。保険屋は大人しく車の保険でも売ってやがれ。ここは素人がうろついていい場所じゃねぇんだよ。」

そういって二人を追い払おうとする。


「私としてもね、ゆっくりカップ麺を食べたいところだったんだけど、誰かさんたちが『銀狼』たんにいいようにやられるから。うちとしても保険を掛けられたものが、

狙われている以上黙っているわけにはいかないの。っというわけでこれが入場証ね。」


そういうと自分の左の腕を指さす。


「検察庁の許可はもらってるからこっちはこっちで好きなようにやらせてもらうよ。」


そういって女は歩いてどこかに行ってしまう。


「あぁ先輩待ってくださいっす。警部さん自分も失礼するっす。」


スーツ姿の男のほうも女のあとを追う。


残された警部と呼ばれた男は吸っていたタバコを足で踏み潰し、近くいた部下の1人に


「あの二人の事は放っておけ。相手にするだけ無駄だ。」


そう言い残すと辺を見回りに出ていくのであった。






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関係者以外閲覧禁 

              ブラックウルフに関する報告書(一部抜粋) 



1.本年4月1日~10月10日現在で過去判明している限りで、5件程の犯行が行われている。

  ※なお判明していない事件もあるとみられる。

 

2.被害金額はは判明してる限りでもっとも市場価値にして安い物が数百万、もっとも高い物で数千万、被害総額が累計で1億円を超すといわれている。

  補足として今回犯行予告の対象となっている『聖母の微笑み』は少なくとも1000万以上の市場価値がある。

   ※金額はあくまでも市場価値であり、歴史的価値など付加価値をつけると金額は数倍に跳ね上がると思われる。


 3.ブラックウルフは犯行の前に必ずといっていいほど、犯行予告を行っている。過去10件全て『予告状』形式で行われている。

 なお予告状に関しては郵送で届けられたり、犯行予告現場に貼り付けられたりしているが消印もバラバラになっていて、現場に

 貼り付けられている場合も付近の防犯カメラにはあやしい人物の姿は映っていない。

 予告状自体もどこにでも売っているような紙を加工して作られており、予告状から犯人にたどり着くことは難しいと思われる。

 

 4.警備していてブラックウルフに遭遇した者の証言によると、身長は170~180、やせ形。全身黒の服で顔には額の辺りから鼻を隠すようなオペラで使われるような仮面が付けられている。


 5.空を自在に飛び回る。(原理は不明)他にもなにか特殊な現象が確認されている。


 

 被害にあった物のリスト(犯行順)

① 4/11 ティアラ (純金のティアラにルビーをあしらったもの。)メルス博物館

           ※別名火のティアラ。


② 4/28 王冠     (純金の王冠の中央にブラックダイア)  綾小路宅(資産家)

                        

③ 5/30 フランス人形 (アンティークフランス人形。目の部分にエメラルドを使用)   

                                佐伯邸 (個人収集家)


④ 7/1 ブローチ    (有名な歌姫が付けていたブローチアメジストで装飾)       

                                佐々木望記念館

               

⑤ 8/19 絵画   (ムーレ作 有名絵画。額にアクアマリンの装飾)         

                                テンバール国際博物館




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