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屍を背負っていきる!  作者: カボチャ畑


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1/1

旅する少女

「さぁ。今日も頑張ろう!」

荒廃したビルの上から街を見下ろす少女が一人。

時は2029年、東京にウィルス兵器が撃ち込まれた。そのウィルスに感染した者は例外なくゾンビへと姿を変え関東を中心に感染が爆発的に拡大。関東圏は危険区域となり、封鎖された。その影響により日本の中心となる都市は東京から大阪へと移り、日本は……

変わった。


政治形態は変化し国会は機能を失い、会社が国を動かすようになった。その中でも覇権を握った企業は株式会社next generations。主に武器開発を行う多国籍企業で、アメリカなどを拠点に成長してきた会社である。ここ数年で日本にも進出した。今一番勢いがある企業である。

あっ!そうだ。まだ私の自己紹介をしていなかったね。

私の名前は東雲 紬葵(しののめ つむぎ)16歳。神奈川県出身の元女子高校生。私の住んでいた神奈川は東京の次に感染が広がり私の家族は全員目の前でゾンビになった。悲しくはなかったと思う、涙が出なかったから。私は逃げた一人で、ただ生きるために。

『ゾンビの反応を感知しました。』

薄暗い廃ビルの中で、突如背中から男性の様な声の機械音がそう告げる。

「あ”ぁー」

前から一体、顔が変色し体が崩れ、脳がむき出しになったゾンビが現れた。動きはかなり遅く右足を引きずって歩いている。よく見ると足の骨が飛び出ている。

「あれ、このビルまだゾンビ残ってたんだ。」

私は冷静に背中のバックパックからショットガンを取り出し、引き金を引きゾンビの下半身を吹き飛ばす。それと同時にゾンビの汚染された血が周りに飛び散る。

「あ”ーーーーー」

ゾンビはうめき声を上げ後ろに倒れた。

「あれ、頭以外飛ばそうと思ったのに。」

ショットガンをリロードする。赤いから薬きょうが地面に落ちた。

動けなくなったゾンビの前に歩み寄り、両手を合わせる。

「安らかに、お眠りください。」

そう言い、私は持っていたナイフでゾンビの頭を切り落とす。

「やっぱり、これだけは慣れないなぁー。」

もう人ではないとは言えこれだけは慣れない、慣れてはいけない様な気がする。

私は背負っていたバックパックを地面に下ろし、切り取ったゾンビの頭を収納した。するとバックパックは異様な機械音を出し、頭を深く押し込んだ。このバックパックはお土産袋(ヘッドパック)と言ってnext generationsが開発したゾンビの頭を収納したり、武器を取り付ける事が出来る特別な装置だ。

「これでノルマ達成!」

私は再びお土産袋を背に背負いビルを後にした。

ビルの外にはゾンビが2、3体。どんどん近づいてくる。私は落ち着いて銃を構えると一呼吸をする。


バンッバンッバンッ


銃声が誰もいない街に響き渡る。

正確にすべてのゾンビの頭に銃弾が撃ち込まれた。

本当にすいません。ですがこれが私が生きていくために必要な事だったから、あなたたちの遺体はしっかり活用します。私は再び両手を合わせ死体に祈る。

これだけが最後に私が出来る弔いだから。


そういえば、なんで私がバックにゾンビの頭をしまったのか気になりましたか?

それは……ゾンビの脳みそは高く売れるからだ!

関東全域が立ち入り禁止区域になって数か月、株式会社next generationsが関東すべての土地の所有権を買い、お土産袋を販売すると同時に危険エリアの一部を開放しゾンビの脳みその買取を始めた。最初はみな半信半疑だったが、とある男性が脳みそを持ち帰ってきたことにより社会は変わってしまった。なんと脳みそ一つにつき20万円という値段で買い取りされていのだ。人々は仕事を辞め危険エリアに入り浸るようになった。

私もその一人だ、家も学校もなくなってしまい毎日危険エリアと安全地帯を行き来し、ひたすらにゾンビを狩り続けて生活している。

「早くシャワー浴びたい。」

今日のノルマを終え安全地帯へ向かい歩いていると、ゾンビの群れが何かを囲ってい居る。

「なんだろう。誰か襲われてるのかな。」

腰の弾薬入れに目をやる、残りの弾薬は数えるほどしか残っていない。

助けようにも弾薬が無いから無理だ、ごめんなさい。もしゾンビになったら楽に倒してあげます。

私がその場を立ち去ろうとした次の瞬間、ゾンビの群れが吹き飛ばされた。吹き飛ばされた群れの中心には男性が一人立っている。男の人は何も武器を所持しておらず、こぶしを握っていた。よく見ると体の欠陥が浮き出ている。心なしか肌の色が悪いようにも見えた。もう感染しているのだろうか。

とにかく関わらない方がよさそうなので、取り合えず逃げ出す。

「なんなのあれ。怖すぎ!」

とにかく逃げなきゃ、次は私が殺されちゃうかも。

私はとにかく走り、最初に入って来た入口へと向かったはずだった。

「あれ、ここどこぉー。」

辺りを見回す、目の前には見たことのない地下への入り口がありとてつもない異臭が立ち込めている。

なんだろうここ、所々焦げ跡やひっかき傷がある。とても不気味だ。

これ以上前に出たら死んでしまう気がする。

「どうしよう、日も沈んできたし。」

ここから出入り口までどの位あるのだろう。流石に逃げすぎた感がある。


ーーザッザッ


後ろから不気味な足音が聞こえる。ゾンビとも違う、ただ人でもない。

「だっ……れ、だ」

たどたどしい言葉。

怖い、動けない。全身が凍えているかの様に震える。

どんどん何かが不気味な足音と共に距離を詰めて来た。

何かが私の肩に手を置く。その瞬間私は恐怖で気を失った。



『なんでお姉ちゃんだけ生き残ったの?』

突然目の前に死んだ筈の弟が現れた。

『どうして貴女だけ。』

『どうしてだ、紬。なんで一緒に』

『死んでくれなかったんだ。』

次に母親、父親と家族が現れた。

違うそうじゃない、ちゃんと話したい。もう一度言いたかったことを。


地面から無数の白い手が現れ、私のことを引っ張る。底へ底へと引っ張る。深くなるにつれ段々と手の数も増えていく。


——地下一階


何時間立ったのだろうか、私は薄暗い通路で目が覚めた。

「はっ。」

今のは何だったのだろうか、家族の夢?だけど目が見えなかった。

周りを見回すが、誰もいない。ただすぐ近くに焚火があり、荷物もそこに置いてあった。


ポチャンッ


上から水が滴り落ちる。私は座ったままふと天井を見上げると、そこにはこちらを覗き込むように立っている男が居た。それは先ほどゾンビの群れに襲われ、たった一人でその群れを突破した男だった。

「はぁ、はぁ、。」

息が次第に荒くなる。

逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ。

「お……ち、、け」

「え?」

あれそう言えば、この人?さっきも何か喋ろうとしてた。何も聞かずに怖がるのはさすがに失礼だったかも。

そう思いもう一度よく男の顔を見た。しかし、周りが暗いせいでよく見えない。

「あなたは誰?」

私は今までの恐怖が嘘のように無くなり、そのまま男に質問をした。

男は無言のまま紙を私に見せたそこには……。

「実験体0323、、スチェソ・ディ・ペルソナ?」

私がそう言うと、目の前の男もと言いスチェソは頷いた。

「あなたは何者?」

私がそう質問をしたとき。

「ゲッホッ、ゴホッ。」

スチェソは床に倒れこみ血反吐を吐いた。

「えっえ、大丈夫?!」

「ゴホッ。こ……れで少しは話せる。」

私は少し後ろへ下がり、落ちていた銃を拾い上げる。

「そんなに…か、まえるな。」

スチェソはその場に座り込むと咳ばらいをし、私を落ち着かせるように手を下げる。

「さ…てどこから話すか。」

私は焚火を挟み、床に銃を置きスチェソの反対側に座った。

焚火の明かりでうっすらとスチェソの全体が見えた。顔の右側は焼けただれており、緑色の診察衣を着ているが袖は破けている。肩から顔にかけ血管が浮き出ていた。

「俺……は、スチェソ。こっ…ここの施設で育った実験体だ。」

プロフィール

東雲紬葵 16歳 6月3日生まれ A型


筆が乗ったのと息抜きに書いたので当分は投稿しないと思います。

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