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S級ド変態!!  作者: ぽこぴ
1年生編
2/15

静華の成長。テスト。肉まん。体育祭。


「才能かあ…好きな人に使えるなら本望〜」

夜の12時。布団に潜りながら呟く。


好きな…人……。だんだん意識がなくなり、(あかね)はそこで眠りについた。




あくびをしながら教室に入り、自分の席に座る。1番右の、同じ横列にいる静華を少し見て、先生が入ってきたので目線を前に戻す。



「はーい。それじゃ今日は委員会決め、やるぞー」

俺は当たり前に速攻で保健委員に手を挙げて、無事に決まった。やったぜ。


不意に横をちらりと見ると、案の定…オドオドとしている静華がいた。


ホワイトボードの3つ目程の項目に、『学園祭実行委員』と記載されている。そこは当然決まらずに後回し。


四つ目の委員決めに移ったのだが、問題が発生した。



「は??お前さっき手挙げてジャンケンで負けたやん」


「いや、そうだけど、それがどうしたん??」


「俺はまだ1回目なんだけど、普通こっち優先じゃね??」


「は???wwそんなこと言ってた????笑」


「あーはいはい。喧嘩しないで!ごめんね翔也(しょうや)、言ってなかった俺が悪いわ。

うーん…、とりあえず、ジャンケンにしようか」


翔也…とかいうバスケ部らしき人、まあ賢そうな人と単細胞っぷり全開の野球が喧嘩をしていたんだ。

そこに担任の哲也(てつや)が仲裁に入る。



「「じゃんけんぽん!」」


「よっしゃぁ!!」


歓声をあげたのは野球部の平石だった。

見事、負けてしまった翔也は涙目になっていたと思う。


(可哀想だなあ)



平石は嬉々として先生に「自分です!!」と伝えた。普通、そんな声で喜んだら負けた側がどうなるか、分かるだろ。


翔也は負けたーーその事実を知った上で、これからの委員決めは地獄だった。

ことごとく翔也は負け続け、余り物には福があるとか言い出したホラ吹き野郎の思う壷…学園祭実行委員に選ばれた。


みんな、翔也の方は見ていなかったが、俺は見ていた。泣きそうに事実を受け止める目だ。



「そんじゃあ、実行委員は翔也と渡辺の2人でな」



「?!!!!!」


わ、渡辺っ?!!どどどうしよう、保健委員という立場を捨てて静華ちゃんとペアになるか…???

ーー気づくと、俺は翔也の席の横に立っていた。



「なんだよ」


「委員会、変わろうぜ?なあ?いいだろぉ???」


「顔が…キモイ、、けど…いいのか?」


「あぁ!!もちろん!!!ふへへぇ、、」


なんだ、こいつ。ニヤニヤと、



「せんせーい!、翔也と俺!交換でぇ!!!」


「あぁ?茜が実行委員ってことか?」


「そうっす!!」


「うい〜」


へっ、哲也が何も考えてない馬鹿でよかったぜ。

かくして、静華ちゃんと茜の2人で実行委員。楽しみこの上ないな。



「ねー待ってよー静華ちゃーん。置いてかないでよー」


「え、あ!はい。部室に行くだけですが…」


「一緒に行こうよー」

帰りのホームルームが終わり、正式に部活開始では無いが先輩から来てくれというお願いを聞いてしまった為、行くしかない。


だから静華ちゃんと一緒に行くのだ。

そして部室のドアを開ける。



「お、何やってんすか」



「あ〜〜〜、、世界を逆に見てるんだ〜。」



「楽しいっすか?」



「楽しくな〜い」



「頭に血が上って死にますよ。」



「な?!や、やめるっ!」

体をバッと起き上がらせ髪がバサりと浮く。


俺は壁際にあるソファに腰掛けた。そして、念願の人から念願の言葉を貰う。


「あ、あの。茜…さん。髪の毛が、また…ボサボサで…」


左手でビヨンビヨンと跳ねさせて強調した。それより…茜、茜さん…だってぇ!!来るわあ…〜〜っっ!


「整えて欲しい?」


「は、はい」


俺はソファから立ち上がり、静華ちゃんの前まで行くと、少し前かがみになって言う。



「嫌〜〜」


「?!!!」

花火先輩は驚いてこちらは爆速で振り返る。

私は後ろ姿しか見えていないが、どうせニヤニヤしている茜と、キョトーーン…と目が丸くなっている静華ちゃんを見た。



「な、なんで?」


「いや〜、俺髪ボサボサの子の方が好きなんだ〜」


「え!じゃあ茜って渡辺ちゃんのこと、す、好きなの?!!」

割り込む私。すると、予想外の返答が帰ってくる。


「はい!大好きです!!じゃなきゃこんな絡まないっしょ〜」


私の方を見てケラケラ笑う茜は、さながら狂気の沙汰だった…


「お、おうぅ…予想外の展開ぃ、、」


「いや僕は控えめに愛情をアピールするより、はっきりと愛情表現したい派なんで」


「……はっきりしすぎなんだよ君、静華ちゃん気絶してる…」


「、ガチやん」





「落ち着いた?ごめんね〜あんなこと急に言って」


「い、いえ、ちょっとびっくりしただけで、、」

ちょっとずつ水を飲む静華。飲み終わり、唇を離す瞬間はプハーと小さく声を漏らす。


「ま、まさかあんなに隠しもせず言うとはねえ…、、私もびっくりしたわ、いや…ほんとにびっくりしたわ!!」


「まあ実際好きなんで。結構まじで、好きなんで。」


「……その、いつ、?この学校に来てから2日…しか経ってない、。」


「初日さあ、裏校舎の渡り廊下?みたいところで話しては無いけど会ったじゃんね。あん時、髪ボッサボサだなあって思って、普通にボサ髪好きなんで」


「だって〜!!どうすんの静華ちゃん!!ほぼ告白みたいなもんだよ!!!」


「い、いや…まだよく分かんなくて…今のところは…、、」


「おっとぅ?!振られましたよ茜さん!!!」

いちいち視線を静華へ向けて、また俺へ向け直した。


「振られて、ないっ。まだチャンスはあるっしょ」



チャイムがそこで1度なり、俺と静華は帰宅することに。階段を降り、下駄箱まで行く。


「対して考えなくていいよ〜本心だけど口癖みたいに出てくるから」


「は、はい。」



…やっべ、今考えると、俺のしてること、静華ちゃんからするとちょー迷惑、。やっば…




ーーそこから1ヶ月とそこそこの時は過ぎていった。

そして時は第1回定期テスト…にみんなヒーヒー言ってらあ。


「ーーだからここの数字は3Xなー。わかったか?」


哲也は数学担当の教師、だが正直言って、クソほど分かりにくい!!



「なあ、茜茜」

と、2回後ろから俺の名を呼ぶ声が、振り返ると翔也だった。

そいや席替えて近くなったんだったな。


「お前わかるか?これ」


「あぁ。それなりにかな。基本は出来ると思う」


「まじかー…(じゅん)も出来るんだよー、、俺やばいかもしれない…」


「ははっ、順…?」


じ、順?なんて失礼極まりない疑問を抱いて横を見ると、まさかの白衣に萌え袖…わお、2人目の100点だ。


「い、いつの間に仲良く?」


「ん??あぁ、委員会でな。話があったんだ。順、めっちゃ頭いいんだぜ?!」


「ほーーん…」



「そんでここの途中式は〜〜━━━━」


ーーまじで、早く終わってくれ、、!!




「先輩、ここ分かりますか…?」



「んー?えぇ…、、わ、分かるよ??分かるに決まってる」



1ヶ月もすりゃぁ、静華ちゃんだって少し喋れる様になるってもんだな。

花火は静華の問に答えられずに居る。


「嘘つけ。」


「う、嘘じゃないもん!分かるもん!!」


「ギャーギャー騒ぐ先輩は捨てといて…どれ?見せてみてよ」


正直、静華からの信頼は無い俺はこれだけしかイキれないのだ。だから全力で行く。


「ここなんだけど…途中式のここ、。なんで6なのかなって」


「あー、これはね。因数分解の応用って感じで、戻したげるのよ。かけてこの数字、足してこの数字になればいい、だからこれは6だね」


1度ノートに書いている式を一緒に見直して行くと、「あ!!」と純粋に声を上げて間違いに気づいたらしい。



「サラサラサラサラ…、」


「サラサラ…可愛い〜……ごふぅっ!」


「…、、サラサラって言ってましたか??」


「言ってたね」

静華は俺の足を踏むと、花火先輩へ問う。すぐさまそれに応えた花火。


「っっっ〜〜〜〜〜〜!!!不覚ですっ、、」


「ご、ご褒美頂戴イヤッフーって感じ?なんだけど??」


「そ、そうですか、、」


静華の目線的に、踏んだ足を気にしているのだろう。

ほんとにイヤッフーだから気にしなくていいのだが。

それより、静華ちゃんの人見知りはまだ治っているわけじゃ無い。

知らない人には「あ、ああありがとうございます、、。」の様に、最初の頃並の返ししかできない。


1ヶ月も喋っている相手になら少しの遠慮が無くなるのは当然だな。俺がそこに入っているというのが良い。



「ていうか!もう体育祭だよね!明日から練習始まって来週?!」


「そ、そうだね…私、運動苦手、だから、行きたくない、」


「行ったら行ったで楽しいかもよ?」


「そうよ〜出席くらいはしてみよ?そこからノリで種目に出てみよう!」

なーんて!と自分で頭をコツン!と叩く花火。あなたのは求めてねぇよ。


「い、いや。中学の時に…バトン落として最下位、、、ウッ、、」



「あーあーあー!リレーはしょうがないよね!!大縄跳びとかさあ!!」



「うんうん!!種目はひとつじゃなーーい!!なんてっ!!?」


「大縄跳び…私が引っかかりまくって、記録12回、、」



「おぅ?!!んん!!んんん〜〜〜〜〜?!」


2人で自分の胸を叩いて席をしているふうを装う。

その間、静華はだんだん液状に溶けていった。



「よーっす」

その雰囲気を良い方にぶち壊してドアを開けて入ってきたのは、翔也と順だった。


「はっっ!!」

静華も固体へと巻きもどる。



「~~~??な、何?!!」

富風花火(とみかぜはなび)16歳。JKである彼女の目には、よーっす。と入ってきた男の子…ではなく、

その隣の女の子…の肉まんに目が釘付けになった。


きょ……!!きょにゅ、、、?!!!


「く、、、、クソ!、クソガキめ!!静華ちゃんにも負けてきてるってのにぃぃ!!!ちくしょーー!!!!!」


ーー泣きながら走り去っていった。






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