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29.一学期 期末試験 ( 1 )

「さて、今日から期末テストだ。改めて概要を説明するぞー」


 バロリエ先生が黒板にテストの大まかな流れを書き記していく。


 テストは合計五日間実施される。筆記試験三日間と実技試験二日間という日程だ。筆記試験に関しては、毎日午前中のみ。対して実技は終日での試験となるため、体調面も気を使わなければならない。


「休みは、誰と過ごすことになるかな~はははは!ま、頑張れよ~~!!」


 初めての試験を前に、普段とは違う空気に包まれていたクラスだったが、いつもの調子の先生を見ていると少し緊張がほぐれるようだった。


「セレーネ、この前は勉強教えてくれてありがとうね」


 隣の席のダリアが、いつもより小さめの声で言う。


 体調不良のため、先日の勉強会には参加できなかったダリアだが、体調が回復してからは、空き時間にふたりで勉強したりしていたのだ。


「ううん。頑張ろうね」

「うん!」


 ガラガラガラ


 一科目目の先生が教室へと入ってくる。期末試験の始まりだ。今日は魔法学と歴史の筆記試験が予定されている。


 先生が最前列の人にテスト用紙を配り始め、前から順々に受け渡された紙が私にも回ってきた。誰も話さない、時計の音と紙が手渡される音だけが響き渡る教室内。全員の手元にテスト用紙が行き渡ったことを確認すると、先生は静かに時計を見つめる。


「はじめ」


 先生の言葉を合図に、クラスメイトたちが一斉に紙をひっくり返す。私も同じくテスト用紙をめくり、問一から順に問題を解いていく。


 これは勉強会でやったところだ。これは自分で勉強したところ。時計をちらっと確認すると、今のところ時間に余裕を持って解き進められていた。視線をテスト用紙に戻す。


 あれ……これって……。


 解くことに夢中になり前のめりになっていた姿勢を正し、問題用紙を俯瞰する。


 やっぱり……!




「試験終了です。後ろから前に用紙を回して下さい」


 先生の指示通りに、テスト用紙を前の学生に手渡す。周りの様子を見てみると、疲れ切って机に突っ伏している人もいれば、やっと終わったと大きく伸びをしている人もいる。


「あああああ、全然自信無いわ……」


 ダリアは疲れ切っている方に入るようだ。


「難しかったわね。まさか、あんな仕掛けがあるなんて」

「仕掛け!?」


 ダリアの大きな声に気圧されてしまう。


「え、えぇ」

「どういうこと!?」


 仕掛けというのは……。


 問題文の中には、魔法で使用する記号や古文も書かれているのだが、その中に少し字体が違う文字が混じっていた。字体が変わっている箇所は、問題文内の重要な部分だったり、問われいてる部分だったため、最初は違和感無く解き進めていたのだが……。


 ふと、テスト用紙全体を遠目で見た時に、その字体が変わっている箇所を繋ぎ合わせると魔法陣のような形になっていることに気がついた。試しに、繋ぎ目に線を加筆し魔法陣を作り、そこへ魔力を放出してみると、空白になっていたテスト用紙の一番下に新しい問題が浮かび上がってきたのだ。


 説明を聞いたダリアはがっくしという感じで、また机に突っ伏してしまう。私はその姿を苦笑いで見ていた。


 ガラガラガラ


 合間の休憩時間が終わり、歴史の担当の先生が教室へと入ってきた。魔法学のようにどんな仕掛けが隠されているか分からない。様々な可能性を考慮に入れながら、筆記試験も臨んでいこう。気持ちをもう一度引き締め直し、回ってくるテスト用紙を受け取った。



―――――

―――



 三日間にわたった筆記試験がやっと終わり、今日からは実技試験が始まる。予め、運動用の服で登校するようにと言われていた私たちは、運動着で教室に着席している。いつも制服で登校しているので、運動着はどこか不思議な違和感があった。


 そう感じているのは私だけではないようで、昨日までは疲れ切って口数もまばらだったクラスだったが、今朝はこれからの試験内容について楽しそうな会話が聞こえてくる。


「席着けー!!」


 教室に入って来たのはバロリエ先生。


「実技試験はデスゲームだ!!!」


 バロリエ先生の唐突な授業にはもう慣れてきたクラスだったが、デスゲームという言葉には驚きを隠せない。


 ……どうなる実技試験!?

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