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✒ 勇者の特権を発動す


ギッちぃ

「 ギギィ~~ 」 


 ギッちぃが体の中に手を突っ込んでゴソゴソとしている。

 痒いのかな?


肥神瑩子

「 どうしたの、ギッちぃ? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~ギィ 」


 ギッちぃは体の中から紙を出した。

 なんの紙かな?

 「 ギッちぃ、それは? 」って聞く前にギッちぃは体の中から出した紙をアタシに見せてくれる。

 ギッちぃって知能あるの??

 ちゃんと両手で紙の右端と左端を持った状態で、アタシに献上しようとしているみたい。

 まるでギッちぃ校長先生から賞状を授与されようとしている生徒みたいな気分になるんだけど……。

 ギッちぃから紙を受け取って見てみると城内の地図だって事が分かった。


 く地図を見てみると(バッテン)が付けられている。

 なにを意味する(バッテン)なのかな??


肥神瑩子

「 ギッちぃ、この(バッテン)なんなのか分かる? 」


ギッちぃ

「 ギギギィ~~ 」


 ギッちぃはペンらしき物を小さな手に持っていて、器用に地図に(バッテン)を書き込んだ。

 どうやら、この(バッテン)はギッちぃの仕業みたいね。

 やっぱり知能あるんだ……。


ギッちぃ

「 ギッギィ~~ギギ 」


 ギッちぃが持っているペンの先っぽで地図の箇所をトントンしている。

 地図にかれている部屋らしい場所には既に(バッテン)が付けられているから、ギッちぃがなにかを終えたあとなのかも知れない。


肥神瑩子

「 ギッちぃ、に行きたいの?

  からは──一寸ちょっと遠いね。

  ギッちぃが行きたいなら行こっか。

  旅には路銀が必要だからね。

  かでお金をゲットしないといけないし 」


 そんな訳でアタシはギッちぃと一緒に唯一(バッテン)が書かれていない場所へ向かって歩き出した。











──*──*──*── 目的地


肥神瑩子

「 へぇ~~~~、が地図に載ってる場所なのね?

  立派な扉じゃないの 」


 アタシは両扉に付いている取っ手を握って、両扉を開けようとするけどビクともしない。

 どうやら鍵が掛かっているみたい。

 ギッちぃは体の中に手を入れてゴソゴソとしている。

 やっぱり体が痒いの??


ギッちぃ

「 ギィギィギィ~~ 」


 ギッちぃは体の中からなにかを出すと、アタシの前に出した。

 鍵だ。

 なんて立派な鍵だろう。

 もしかして…………。

 アタシはギッちぃから献上された鍵を手に取ると、「 入れるね 」なんてギッちぃに声を掛けてから鍵穴の中へ立派な鍵を入れてみた。

 嘘みたいにピッタリ!!

 アタシは立派な鍵を回してみる。

 鍵穴の中でカチャッて音がした。


肥神瑩子

「 ギッちぃ、扉を開けるね 」


 アタシは両扉の取っ手を握って、慎重に両扉を開けた。


──*──*──*── 宝物庫


肥神瑩子

「 ──嘘…………凄い…………って王城の宝物庫だったんだ……。

  城って…こんなに金銀財宝を隠し持ってるんだ……。

  本物…………だよね? 」


 映画の中,アニメの中,漫画の中でしか見た事のない金銀財宝の山が、今──、アタシの目の前にあるんだ……。

 これだけあれば、死ぬまで苦労せずに生きられるんじゃない?

 旅もラクになるかも!!


肥神瑩子

「 ギッちぃ、凄い量だね!

  お手柄だよ、ギッちぃ!!

  これだけあれば、旅をするあいだの路銀を心配する必要もないね! 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~ 」


 う~~ん……ギッちぃも喜んでるのかな?

 宝の山を眺めているとギッちぃがまた(また)掃除機みたいに金銀財宝の山を吸い込み始めた!!

 ギッちぃってば、なんでも吸い込んじゃうんだね。

 吸い込まれた物はかな??

 宝物庫の中は「 あっ! 」と言うからっぽになっちゃた。


 ギッちぃがペンを持って地図に(バッテン)を書き込んでいる。

 地図の中は(バッテン)で埋め尽くされている。

 ペン先でギッちぃが出口をトントンさせている。

 城から出るつもりかな?

 ギッちぃは小さな手で地図をクルクルと丸めるとペンと一緒に体の中へ入れたみたい。


 ギッちぃと一緒に綺麗にスッカラカンになった宝物庫から出る。

 ギッちぃは律儀なのか、両扉をめると鍵を掛ける。

 鍵穴から抜いた鍵を体の中へ入れたギッちぃは、アタシにほおりをして甘えてた。

 甘えじょうな可愛いギッちぃを抱っこしたアタシは、城を出る為に出口を目指して歩き出した。


肥神瑩子

「 ねぇ、ギッちぃ。

  城から出たらに向かおっか?

  やっぱり宿屋かな? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~ 」


 う~ん……やっぱり言葉がつうじないのって不便だな……。

 どうしたらギッちぃと意思の疎通が出来るようになるのかな?

 ──っていうか、そもそもギッちぃって……なに??

 動物じゃないし、…………モンスター??

 はたまた魔物??

 宿屋に行くのはいけど、ギッちぃを見て驚かれたりしないかな??


 アタシは不安に感じていた。

 ギッちぃの正体が分からないし、ギッちぃを抱っこしたまま人前に出でも大丈夫なのかな。

 ギッちぃと出会ってそんなに経ってはいないけれど、愛着のあるギッちぃを置いて城を出る選択肢はアタシにはない。

 なによりも右も左も分からない異世界で、ボッチなんていやだし。

 言葉がつうじなくてもギッちぃがてくれるだけで不思議と心強いもんね。

 マスコットパワーは、異世界でも健在みたい。


肥神瑩子

「 この扉を出たら、アタシは自由なんだ!

 隷属の首輪も知らない内にはずれていたし、アタシはもう誰の奴隷でもないんだ!!

 アタシの新しい人生を始める大事な第一歩!!

 ギッちぃ、アタシを助けてくれてがとう?

 アタシと一緒に新しい人生を生きよう!!

 ずっと一緒だよ 」


 アタシはギッちぃの頭に軽く唇を付けて “ チュッ ” っとキスをした。

 御礼のキスだよ!

 ギッちぃの頭から唇を離すとギッちぃの黒紫色の体が光だした。

 ギッちぃの体になにが起きてるのかアタシには全く分からない。

 悪い事じゃなければいんだけど……。


 11ヵ月間、奴隷として生かされた王城を出て、「 さよなら 」をする。

 後ろは振り向かない。

 前だけを見て、逞しく生きるんだ!!

 橋を渡れば城下町に入るみたい。

 今のアタシが目指す所は、今夜寝泊まりする為の宿屋がある所!

 レッツゴー!!






──*──*──*── 城下町


肥神瑩子

「 へぇ~~、城下町って人が沢山て賑やかね~~。

  色んなお店も出てるし見てるだけでも楽しい~~。

  う~~~~ん、なんしい匂いもするね~~♪ 」


ギッちぃ

「 ギッギィ 」


肥神瑩子

「 ギッちぃは、お腹いたりしないの? 」


ギッちぃ

「 ギィ~~ギッ 」


肥神瑩子

「 へぇ~~、そうなんだ。

  一寸ちょっと残念かも… 」


 アタシはギッちぃと会話が出来るようになっていた!

 ギッちぃの体が光に包まれたあとから、ギッちぃと会話が出来るようになったの!

 相変わらずギッちぃは「 ギィギィギィ~~ 」しか言わないけど、ちゃんと会話が出来てる!

 これって凄くない??

 どんな仕組みで話せるようになったのかは分からないけど、がたいよね!

 それに薬指に現れた変な模様がなにかもアタシには分からない。

 こうやって見ると真っ黒な指輪を薬指に嵌めてるように見えるんだよね~~。

 洗ったら落ちるかな??


ギッちぃ

「 ギィギィ 」


肥神瑩子

「 えっ、あっちに宿屋があるの?

  ギッちぃ、城下町に詳しいんだ?

  た事あるの? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~ 」


肥神瑩子

「 そうなんだ。

  折角だし、明日あしたは城下町を観光しよっか? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~♪ 」


肥神瑩子

「 楽しみだね、ギッちぃ 」


 ギッちぃと話ながら宿屋がある場所へ向かって歩くと、色んな宿屋がある場所に到着した。

 う~~ん、こんなに宿屋があると選ぶのに迷っちゃうよね?

 の宿屋がいのかな?


肥神瑩子

「 ギッちぃ、宿泊するならの宿屋がいと思う? 」


ギッちぃ

「 ギィギィギ 」


肥神瑩子

「 あっちにあるの?

  行ってみるね 」


 ギッちぃが教えてくれる方向へ歩いて行くと、テイマーテイム亭っていう看板が出ている宿屋の前に到着した。

 見た事のない文字なのになんて書かれているのか分かるし、読める。

 えっ……なんで??

 不っ思議ぃ~~~~。

 便利でがたいけどね♪


肥神瑩子

「 ギッちぃ、この宿屋に泊まればいの? 」


ギッちぃ

「 ギギッ 」


 城下町の事を知っているギッちぃの言う事を素直に聞く事にした。

 アタシはギッちぃを抱っこしたまま、テイマーテイム亭の両扉の片方を開けて中へ入った。

◎ 因みに「 勇者の特権 」とは「 泥棒行為 」の事です。

  タンスとか樽からアイテムや金銭をゲット出来るアレです。

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