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✒ 地獄 or 奇蹟


 両目を開けたアタシの視界に入ったのは──、石の床だ。

 なんで石の床??

 少し先にはベッドの足が見える。

 ベッドの足の近くには翠色の髪が見える。

 ベッドの足の上には、ブラン──と垂れ下がったままピクリともしていない腕……みたいたなのが見えている。


 ………………あれ??

 アタシ……倒れた部屋の中にるって事なの??

 全身がおもだるかった気がしたけれど……、今はそうでもないみたい??

 起き上がれるかも知れない??






 どうやらアタシは石の床の上で寝落ち──じゃなくて、意識を失ったまま倒れていたみたい。

 アタシの身体からだれていた柔らかいものの正体は──、黒紫色をした楕円形をした物体。

 コウモリの翼みたいなのを背中に2本生やしていて、宙に浮いている不可思議な物体。

 目は付いてなくて、でも大きくいた口には小さくて白い歯や牙が生えている。

 そして「 ギィギィギィ~~ 」と鳴きながら、アタシに馴れ馴れしくり寄っている。

 アタシの肌に頬をこすり付けて甘えてる姿は、一寸ちょっと可愛く見えて、心が和んだ気がする。

 この不可思議な物体の正体は分からないけれど、アタシに甘えている様子を見る限り、アタシの敵ではなさそうかな?

 アタシを食べる気も無さそうだし??


肥神瑩子

「 ──ねぇ、きみは誰?

  なんでアタシになついてくれてるの?

  きみは──からたの? 」


不可思議な物体

「 ギィ?

  ギィギィ~~ 」


 不可思議な物体は「 ギィギィギィ~~ 」としか鳴かなくて、アタシの周りをクルクルと回り始めた。

 いやね、可愛いんだけどね?

 ──言葉がつうじないってのはほんとうに不便で仕方無いな。

 言葉がつうじたらいのにね!


肥神瑩子

「 ねぇねぇ、聞いてくれる? 」


 アタシは不可思議な物体に話し掛けながら、頬らしき場所を人差し指でツンツンしてみる。


不可思議な物体

「 ギィ~~? 」


肥神瑩子

「 アタシの名前は “ かみえい ” だよ。

  宜しくね? 」


不可思議な物体

「 ギィギィ~~ 」


 不可思議な物体は「 ギィギィギィ~~ 」と言いながら楽しそうにクルクルと回っている。

 全然つうじてなさそぅ~~!


肥神瑩子

きみに名前は有るのかな? 」


 無さそうかな~~?


肥神瑩子

「 名前が無いと呼びにくいもんね。

  アタシがきみに名前を付けるね?

  なにいかな~~?

  ──ギィギィ鳴くから…………きみの名前は──、ギッちぃ──とか? 」


不可思議な物体

「 ギィ? 」


肥神瑩子

「 ギッちぃ!

  きみの名前は今から “ ギッちぃ ” ね 」


ギッちぃ

「 ギィギィ~~♥️ 」


 名前を付けるとギッちぃは「 ギィギィギィ~~ 」と鳴きながら、嬉しそうにアタシにり寄ってくれる。

 喜んでくれているみたい?

 いや……、もしかしたら餌を欲しがっているのかも??

 犬や猫って餌が欲しい時、呼ばなくても勝手にり寄ってるもんね。


肥神瑩子

「 ギッちぃ、ごめんね。

  なついてくれるのは嬉しいけど──、アタシはギッちぃが食べたそうなゴハン()は持ってないんだよね…… 」


 ギッちぃがアタシの言葉を理解してくれるか分からないけど、取り敢えずアタシが恵んであげられるような食べ物を持ってない事は伝えとく。

 アタシは石の床から立ち上がると、部屋の中を歩き始める。

 息を呑んで、覚悟を決めて、アタシは翠髪の男が寝転がっているベッドへ進んだ。

 アタシを愛玩奴隷にしようとした男の顔を拝んでやる為にね!!











 アタシにはなにのかが、全く分からない。

 ベッドへ近付いてみたら、しわしわに干からびたミイラに変わり果てていた3体の死体を見付けた。

 死体の1体目はアタシを愛玩奴隷にする為に名前を言うように命令した翠髪の男で、死体の2体目,3体目はアタシと同じ奴隷の男子だった。

 どうやら、奴隷牢をべつ(べつ)にされた男子達もアタシと同様に性奴隷扱いをされていたみたい。

 なんでミイラなんだろう??

 気持ち悪いから、ギッちぃを連れて部屋を出る事にした。

 宙に浮いているギッちぃを抱っこする。

 両扉の片方を開けて部屋から出ると、廊下にもしわ(しわ)に干からびたミイラがなんたいも転がっていた。


──*──*──*── 城内


 アタシは城から出たくて、城内を歩き回る。

 に行っても人っ子1人ない。

 アタシみたいに生きている人間には会えないままミイラに変わり果てた死体ばかりを見る羽目になっている。


肥神瑩子

「 …………まぁね、生きてる人に会ったら会ったで面倒な事になりそうだし、会わない方がいのかも知れないよね、ギッちぃ? 」


ギッちぃ

「 ギッギィ~~ギギィ 」


 なにを言ってるのか全く分からないけど、アタシはギッちぃを抱きしめたまま、ひたすら城内を歩き回った。

 出口はよ??


肥神瑩子

「 城内の地図でも有れば助かるんだけど……。

  それに着替えとか欲しいな。

  どっかの部屋で服と下着を調達しちゃおうかな?

  状況が状況だし、泥棒にはならないよね? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~ 」


 ギッちぃが「 そうだよ 」って言ってくれてる事にして、着替えと城内の地図を探す事にした。


肥神瑩子

「 あっ、城から出る前に暫くの生活費とか旅に必要な必需品とかも調達しないとね!

  お腹もいてるから食料も……。

  パンと水以外のな食材を食べたいな… 」











──*──*──*── 部屋


 アタシは先ず部屋を探して、下着,衣服,履き物を手に入れた!

 靴下が無いってのがつらいよねぇ。

 荷物を持って行く為にクローゼットを開けたら、中に入っている物を出して仕分ける。

 勿論、部屋の中をすみ(ずみ)まで物色して必要になりそうな物も拝借するつもり!

 大きめのバッグを探してみたけど、見当たらないから困っちゃうな。

 バッグが有れば下着や着替えを入れるんだけどね。


肥神瑩子

「 ギッちぃ、かに荷物を入れられるような物はないかな?

  ──なんて、ギッちぃに聞いても分かんないよね? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~ 」


 ギッちぃはアタシが仕分けをした物の上をクルクルと回っている。

 なんでクルクルと回っているのかは意味不明。

 でも、可愛いから正義!!


ギッちぃ

「 ギッギィギィギィ~~ 」


 ギッちぃは口を大きく開くと、まるで掃除機のように部屋の中に有るものを吸い込み始めた。

 クローゼット,タンス,棚,ベッドまで、容赦なく吸い込まれていく。


肥神瑩子

「 ──ギ、ギッちぃ~~~~!! 」


 部屋の中がスッカラカンになると、ギッちぃはアタシを置いて部屋を出て行ってしまった。 


肥神瑩子

「 ギッちぃ~~~~?

  なんで1人で勝手に──って、1体か…。

  ギッちぃ……ちゃんと戻っててくれるよね? 」


 アタシはスッカラカンになった部屋を出る事にした。

 そうそう、フード付きマントを忘れたら駄目よね!

 かでフード付きマントを拝借──じゃなくて、調達しないと。


 「 ぐっぐぅうぅ~~~~ 」って、アタシのお腹の虫が盛大に鳴く。

 ギッちぃを探すのはあとにして、先に食べ物をゲット出来そうな厨房を探そうかな。

 アタシは1人で部屋を出ると、厨房を探す為に廊下を歩き出した。











──*──*──*── 厨房


 城内の地図が無いから厨房に着くのに時間が掛かっちゃった。

 転がっているミイラは放っといて、厨房の中を物色して食べれそうな物を探した。

 なにはともあれ、先ずは腹拵えをしないとね!

 御行儀が悪いけれど、邪魔なミイラを足で退かしながら、食べれそうな食材を隣の食堂へ運ぶ。

 テーブルの上に両手でかかえて持ってた食材を置いて並べたら、椅子に腰を下ろして座る。

 アタシは胸の前で両手を合わせて「 いただきます 」をして、空腹を満たした。


肥神瑩子

「 ──ふぅ~~。

  満腹満腹ぅ~~(////)

  こんなに物を食べれたの11ヵ月振りじゃないの?

  召喚される前日の夜はハンバーグだったなぁ……。

  召喚されてなかったら、夕飯はなにを食べれたんだろう…。

  ………………アタシ達が体育館内で消えちゃったあと、どうなったんだろう?

  警察沙汰になってるのかな?

  なんとかして帰れないかなぁ……。

  召喚する魔法があるんだから、召喚者を帰す魔法だって探せばある筈だよ!!

  探そう、アタシの産まれた世界へ帰る為の魔法を!! 」


 アタシは異世界で生きる目的を決めた。

 “ 日本へ帰る為の魔法を探す ” 為に異世界を旅するんだ!!

 折角ね、異世界にたんだから旅行気分や観光気分も味わいたい。

 出来る事なら楽しく旅をしたいよね!

 その為にも旅に必要となる物をいろいろと城内を物色して調達しないとね!


 衣食住は生きる為の基本だから、押さえたいよね。

 衣食住の中で大事なのは、しょく

 飢え死にしないように食材を持って行きたいところ。

 日待ちしそうな保存食は欲しいよね。

 水もるし、味に変化を付けたいから調味料,香辛料も欲しいな。

 食器類,調理道具,調理器具も出来れば欲しいし……。

 駄目だな……荷物が増え過ぎちゃう。

 キャスター付きのキャリーバッグが有ればいのに!


 じゅうは──、野宿に備えたキャンプ用品を揃えたいよね。

 異世界にキャンプ用品やアウトドア用品が有る訳ないけど、それっぽいのを揃えたい。


 は──、着る物だから、物色してれは自然に見付かるよね?

 出来れば季節事の衣服を揃えたいな。






肥神瑩子

「 う~ん──。

  食材は…こんな感じかな。

  パン類,野菜類,果物類,干し肉類,燻製類,乳製品,乾物類──と。

  あとは──、生肉類,魚介類…………玉子がるよね!

  粉類もる!

  異世界には小麦粉しかないのかな?? 」


 アタシは取り敢えず、厨房にあった食材を食堂のテーブルの上に置くと並べてみた。

 量が半端ない。

 こんなには持っていけないよね。

 この中から持って行けそうなのをチョイスするしかないよね?


 食材をテーブルの上に並べ終えたら、次は調味料と香辛料の番かな。

 アタシは厨房から調味料と香辛料らしきものを運び出す。

 それが終わったら、食器類と食具類を選別する。

 ガラス物や陶器物は割れちゃうから却下ね。

 旅には木製品がいと思う!


 一休みしてから、厨房で料理を作るのに必要な調理道具を選別する。

 包丁,まな板,オタマ,菜箸,木ベラ,ボウル,ザル,バット,計量カップ,計量スプーン,麺棒は必要だよね。

 ほかにあるかな?

 あっ、布巾とエプロンもるよね!


 調理器具と言えば……鍋やフライパンよね。

 裏濾しする為の濾し器も欲しいかな。

 蒸し器も欲しいよね?

 駄目だな……料理経験が無いからなにが必要なのか全然分からない。

 ガスコンロなんて無いみたいだし。

 石窯なんて持ち運べないし……。


肥神瑩子

「 困っちゃうなぁ……。

  持って行きたいのは沢山あるんだけど…… 」


 アタシが途方に暮れて椅子に座って突っ伏していると「 ギィギィギィ~~ 」ってなつかしい声が聞こえてた。

 ギッちぃが戻っててくれたみたい!


肥神瑩子

「 ギッちぃ! 」


 テーブルに突っ伏していたアタシがガバッて上半身を上げると、ギッちぃが食堂にある物を吸い込もうとしていた。

 アタシは慌てて厨房の中へ避難する。

 ギッちぃはミイラ以外だけを残してテーブルも椅子もカーペットも全部を吸い込んでしまった。

 吸引力がヤバくない?


ギッちぃ

「 ギギィ~~。

  ギッギィ~~ 」


 ギッちぃは満足そうな顔をして宙に浮いている。

 満足そうな顔をしてるかなんて分からないけど……。

 ギッちぃは厨房に入ってると、厨房の中に有る物も吸い込んでしまう。

 ミイラだけを残すなんて器用な事が出来るのね、ギッちぃってば。


 それからもギッちぃは部屋を見付けるたびに、部屋の中へ入ると遠慮なく室内に有る物を吸い込んでいった。

 どの部屋も見事にスッカラカンになっていて、火事場泥棒や空き巣泥棒も真っ青ね。

 これって……明らかに窃盗罪に入る犯罪よね……。

 ま、まぁ……異世界だからね、日本ではOUTアウトな事もOKオッケーだったりするよね?

 今は「 異世界、バインザイ!! 」って事にしておこう!

◎ ギッちぃ ─→ 「 四つ葉の勇者 」からの使い回しです。

  3Gが使えた頃に「 日本一ソフトウェア 」の「 ユーザーの広場 」で、SSを投稿していた時にも使っていたキャラでもあります。

  「 ラ・ピュセル 」の世界観で「 ホワギナロ・ブェイ・オルタング 」というオリジナルキャラが、少年時代に浄化をして仲間にしたモンスターです。

  因みにモデルは「 ファントム・ブレイブ 」に登場する紫色の使い魔です。

  どんなモンスターなのか気になる読者さんは「 ファントム・ブレイブ 使い魔 」で画像検索すれば見られると思います。

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