⭕ 念願の魔法! 2
エイス・ヒーカミ
「 魔法の熟練度は馬車の中で上げれるから良いよね。
ユタちゃんのLVも上げないと。
ギッちぃ、ユタちゃんにも扱える殺傷力の高い武器を用意してあげてよ 」
ギッちぃ
「 任せろ 」
エイス・ヒーカミ
「 ユタちゃんに合う装備品は用意出来る? 」
ギッちぃ
「 ユタは幼過ぎる。
装備品は重い故、子供には身に付けられん。
強いて言うなら──、革の胸当て,ブーツ,マントぐらいだ。
足りない部分は装飾品で補う程度だ 」
エイス・ヒーカミ
「 良いんじゃないの?
身に付ける物が何も無いよりマシでしょ。
じゃあ、ユタちゃんにも装備の出来る装飾品を用意しての出しといてね 」
ギッちぃ
「 任せろ 」
エイス・ヒーカミ
「 ユタちゃんが魔法を使えるから、これからは今まで以上に楽な旅が出来るようになるよね! 」
ギッちぃ
「 その前に熟練度を上げ、コントロール出来るようにならんとな 」
エイス・ヒーカミ
「 ユタちゃん、ギッちぃにバンバン魔法を使って熟練度上げ、頑張ってね! 」
ユタ
「 うん、頑張るよ(////)」
ギッちぃ
「 先ずは火魔法の熟練度を上げるぞ。
ユタ、魔法力が尽きる迄、我に火魔法を放ち続けろ 」
ユタ
「 はい! 」
元気良く返事をしたユタちゃんは、ギッちぃに向けて火魔法の呪文を詠唱しながら魔法を使い始めた。
何語なのか分からない呪文って、どうやって覚えるんだろうね?
エイス・ヒーカミ
「 ──そうだ、ギッちぃ。
消費した魔法力は、どうやって回復させるの?
寝るの? 」
ギッちぃ
「 一般的には食事と睡眠だな。
十分な栄養補給をして十分な睡眠を取る事だ。
魔法力回復薬も有るが──、値が張る。
値段が高く、味も不味い。
幼いユタに飲ませるのは酷なしなものだな 」
エイス・ヒーカミ
「 えっ?
それてMPポーションみたいなヤツよね?
ちゃんと有るんだ?
そんなに不味いの? 」
ギッちぃ
「 気になるなら飲んでみるか? 」
エイス・ヒーカミ
「 ……………………止めとく。
MPポーションが有るなら、HPポーションも有るって事よね? 」
ギッちぃ
「 えいちぴー?
何だそれは?? 」
エイス・ヒーカミ
「 体力回復薬の事かな。
有るの? 」
ギッちぃ
「 有るには有るが、高いぞ 」
エイス・ヒーカミ
「 有るんだ。
魔法力回復薬が有るんし、そりゃ有るか?
高いって、魔法力回復薬よりも? 」
ギッちぃ
「 いや、体力回復薬は其処まで高くはない。
体力回復薬は1本で3.000Cuする。
魔法力回復薬は1本で10.000Cuする。
扱う店舗に依って多少は変わるが──、3.000Cu,10.000Cuが現在の正規値だ 」
エイス・ヒーカミ
「 マジなの?
1本で3.000と10.000!?
飲んで終わりの液体が??
高級化粧品並みかよ!!
でもまぁ、此方は90%の値下げが出来るから──、300Cuと1.000Cuで買えるんだよね?
節約が出来て有り難いけど、1.000Cuでも高い気がする……。
──って言うか、抑何で回復薬って、そんなに高いわけ? 」
ギッちぃ
「 貴族から市場へ卸されているからだな 」
エイス・ヒーカミ
「 うん?
貴族から??
何で貴族が回復薬を市場へ卸してるの? 」
ギッちぃ
「 金のなる木だからだ。
金のタマゴと言っても過言ではないな。
この世界ではフリーの調合薬剤師は存在しない。
貴族が作ったアカデミーに強制的に入学させられ貴族に飼い慣らされる。
アカデミーへ入学し、アカデミーを卒業しなければ回復薬を作る許可をえられない。
貴族の懐を潤わせる為、調合薬剤師は回復薬を量産し続ける。
完成品を貴族が市場へ卸し、回復薬を取り扱う店舗へ配られる。
売れた回復薬の売り上げの8割が貴族の懐に入る仕組みになっている 」
エイス・ヒーカミ
「 へぇ……。
儲かる事業になるって目を付けた貴族が居たわけね。
戦う事を職業にしてる騎士,兵士,冒険者,傭兵,魔法使い達には回復薬って必需品だもんね。
飲食,睡眠をしなくても瞬時に回復させてくれる回復薬って便利だし、重宝するもんね。
疲労回復薬ってのも有るの? 」
ギッちぃ
「 あるな。
疲労回復薬と体力回復薬を別々で飲むより、混ぜて飲む方が回復力が上がる事が分かっている。
疲労回復薬は2.000Cuするぞ 」
エイス・ヒーカミ
「 2つで5.000Cuもするんだ?
さっき『 フリーの調合薬剤師は居ない 』って言ったけど、全く居ないって事はないんでしょ? 」
ギッちぃ
「 居ないぞ。
アカデミーは強制的に入学させられるが、衣食住が保証される。
卒業しても生涯の生活は保証されている。
貴族が用意した研究施設で回復薬の研究も出来る。
タダ同然で回復薬を作る事が出来て給料も貰える。
調合薬剤師は大事な金蔓だ。
優遇されるし裕福な暮らしが出来るとなれば、フリーで調合薬剤師はしない 」
エイス・ヒーカミ
「 それもそうか…。
冒険者パーティーに調合薬剤師が居たりする──って事はないの? 」
ギッちぃ
「 仮に居たとしても連行され、強制的にアカデミーへ入学させられるな 」
エイス・ヒーカミ
「 マジかよ…。
じゃあ、回復薬の類いは、販売されてる店舗で購入しないと手に入らないって事か…。
倒したモンスターが回復薬を落とす──って事は? 」
ギッちぃ
「 回復薬の類いは落とさんな。
稀に回復薬を上回る食材を落とすモンスターが居るには居るが──、LVもランクも高いモンスターが所持している。
落とす確率が低い為、レアアイテム扱いされているな 」
エイス・ヒーカミ
「 そうなんだ。
入手は困難なんだ?
でもさ、黒ニ●ロ達なら出来るでしょ? 」
ギッちぃ
「 造作無い。
朝飯前だな 」
エイス・ヒーカミ
「 じゃ、宜しく!
そのレアアイテムで作った料理を食べたら、魔法力は回復する? 」
ギッちぃ
「 一口で全快する良薬になる 」
エイス・ヒーカミ
「 凄いじゃん!
益々欲しいね。
ギッちぃ、ジャンジャン集めて来させてよ 」
ギッちぃ
「 既に向かわせた。
楽しみにするが良い 」
エイス・ヒーカミ
「 流石、アタシのギッちぃね!
御褒美にナイフを刺して、あ・げ・る~~♥️ 」
ギッちぃ
「 ギギィ~~~~♥️
──いや、刺すな! 」
エイス・ヒーカミ
「 アンタ、頭に刺されるの好きじゃん 」
ギッちぃ
「 好きではない!
断じて好きではない!! 」
エイス・ヒーカミ
「 じゃあ、グサグサしてあげる♥️ 」
ギッちぃ
「 ギッギィ……………… 」
エイス・ヒーカミ
「 ギッちぃ、魔物に回復薬の類いは作れないの?
身内に回復薬を作れる魔物が居てくれたら、材料を調達するだけで済むじゃない?
態々買いに行く手間も省けるし、何とかならないの? 」
ギッちぃ
「 無理を言うでない。
魔物には人間に合った回復薬は作れん 」
エイス・ヒーカミ
「 そ、そうなんだ?
ユタちゃんが作れるようになっても良いとは思うけど…、幾らなんでも未だ早過ぎるよね…… 」
ギッちぃ
「 調合薬剤師を拐って来るか?
大勢居るからな、1人ぐらい行方知れずになっても問題ない 」
エイス・ヒーカミ
「 救世主が調合薬剤師を誘拐したら駄目でしょ! 」
ギッちぃ
「 魅了で洗脳すれば問題無い 」
エイス・ヒーカミ
「 ………………誘拐は駄目!
アカデミーに入学前の調合薬剤師を拉致って旅の仲間に── 」
ギッちぃ
「 拉致も誘拐と大差無いと思うがな 」
エイス・ヒーカミ
「 うっさい!
アカデミーに入学してる調合薬剤師を誘拐するよりもマシでしょ!
入学前の調合薬剤師を狙うんだからセーフじゃん! 」
ギッちぃ
「 流石は我の絶対主であるな 」
ユタ
「 あ、あの…… 」
エイス・ヒーカミ
「 うん?
ユタちゃん、どうしたの?
魔法力が尽きちゃった? 」
ユタ
「 僕──、薬草の知識……有ります!
僕──、簡単な薬なら作れます!
僕……僕──魔法も使えて戦える調合薬剤師になります!! 」
エイス・ヒーカミ
「 えぇっ!?
ユタちゃ~~ん?!
急にどうしちゃったの?
張り切り過ぎだよ? 」
ギッちぃ
「 ふむ、それは面白いな 」




