⭕ モンスターを倒そう!
──*──*──*── グレーゾーン
城下町から半径500m以内の安全地帯を出て、グレーゾーンへ入った。
グレーゾーンのフィールドに入ると小動物ぐらいのモンスターの姿がチラホラ見える。
肥神瑩子
「 へぇ~~、あれがモンスターなんだ?
色んなモンスターが居るんだ? 」
ギッちぃ
「 城下町付近のモンスターはLV3 ~ LV5だ。
我の下僕が気絶にする故、トドメを刺して根絶させろ 」
肥神瑩子
「 は~~~い。
気絶になったモンスターをギッちぃだと思って、確り刺すからね! 」
ギッちぃ
「 ギィ…………。
愚主、モンスターに近付け。
モンスターに近付かなければ戦闘は始まらない 」
肥神瑩子
「 分かった。
あの角の生えた芋虫みたいなのにするね! 」
アタシは2本の角を生やした芋虫に向かって歩く。
芋虫がアタシに気付いたみたい!
1体しか居ないと思っていたのに、芋虫は5体も居た!
芋虫モンスターがアタシに対して威嚇をして来た。
どうやら芋虫モンスターはアタシを敵だと認識したみたい。
──*──*──*── 戦闘フィールド
フィールドの雰囲気がガラッと変わった。
突然、何が起こったのか分からなかった。
ギッちぃ
「 愚主よ、これが戦闘フィールドだ。
モンスターと遭遇し、モンスターが此方に威嚇をすると戦闘フィールドに切り替わる 」
肥神瑩子
「 戦闘フィールド?
なんかゲームの戦闘シーンみたいね~~ 」
ギッちぃ
「 戦闘フィールドから出るには、全滅,逃走,勝利の何れかしかない。
──全滅は愚主が死ぬと終わる。
戦闘フィールドから出られるが、愚主はモンスターに喰われる。
──逃走は愚主よりLVの高いモンスターからの逃走は成功率が低い。
愚主よりLVの低いモンスターからの逃走は成功率が高くなる。
逃走が成功すれば戦闘フィールドから出られる。
フィールドには逃走確率が元から低い場所もある。
其処では愚主よりLVの低いモンスターが相手でも逃走を失敗する回数が増える。
──勝利は戦闘フィールド上の全モンスターを倒し、戦闘に勝利すると戦闘フィールドから出られる 」
肥神瑩子
「 ふ~~~ん?
やっぱり、ゲームの戦闘シーンに似てるじゃん?
要は勝てば良いんだよね? 」
戦闘フィールドは以外と広い。
芋虫モンスターだけじゃなくて障害物も結構ある。
岩,丸太,草,花,宝箱……色々とある。
芋虫モンスターはアタシ達とは反対側に居て、離れているけれど向かい合っているような感じになっている。
やっぱり、何処かゲームっぽい感じがプンプンするよね~~?
ギッちぃ
「 浮遊移動の出来る〈 守護り手 〉の我には移動制限が無い。
花,草,宝箱の回収は我に任せると良い。
1体だけ残し、4体のモンスターを気絶にさせる故、愚主は── 」
肥神瑩子
「 分かってる!
針をブッ刺して根絶させるんでしょ? 」
ギッちぃ
「 愚主の移動範囲は狭い故、モンスターを愚主の近くへ投げて攻撃する 」
肥神瑩子
「 そんな事も出来るの?
凄いじゃん 」
ギッちぃが合図を出すと不気味で怖いニ●ロニ●ロが4体、戦闘フィールドに出現した。
“ 不気味で怖いニ●ロニ●ロ ” って長いから、略して “ 黒ニ●ロ ” って呼ぶ事にしようと思う。
黒ニ●ロは1体ずつ移動して行く。
何故かは分からないけど、黒ニ●ロの移動範囲はギッちぃ程ではなくても広いみたい。
ギッちぃなんて既に宝箱を開けて中身をゲットしている。
どうやらギッちぃは黒ニ●ロが移動する度に移動が出来るみたい。
鯔のつまり、アタシ達の1ターン目で、ギッちぃは5回も移動が出来てしまうって事になる。
チートじゃないのよ?
因みにアタシは4体の黒ニ●ロの移動が済んで、ギッちぃの移動が済んだ後に漸く移動が出来るみたい。
然も移動範囲が狭いから3マス分しか進めない感じ?
アタシって…………めっちゃ足手まといじゃん。
ギッちぃは宝箱,花,草,丸太,岩を次々にゲットして行く。
障害物が無くなると芋虫モンスターも移動し易くなったみたいで、ガンガン遠慮なく近付いて来る。
黒ニ●ロが芋虫モンスターを持ち上げるとアタシの近くへ投げてくれる。
近くに居た黒ニ●ロが、投げられた芋虫モンスターに攻撃をして気絶にしてくれる。
だけどアタシはギッちぃが5回目の移動を済ませないと動けない。
芋虫モンスターは「 あっ! 」と言う間に1体になっていて、黒ニ●ロ達が芋虫モンスターを取り囲んでしまっている。
アタシは漸く気絶している1体目の芋虫モンスターに針を刺す事が出来た!
頭や体を針でザクザクと刺して刺して刺して刺しまくって、トドメを刺せるようにグリグリとすると、芋虫モンスターの体が消えた。
時間は掛かったけど、何とか気絶になった芋虫モンスターを4体倒し終わる。
後は、元気な芋虫モンスターが1体残すだけ!
最初に出現した4体の黒ニ●ロは既に居なくなっていて、新しくギッちぃが呼び出した黒ニ●ロが芋虫モンスターを持ち上げて、投げてくれる。
別の黒ニ●ロが攻撃をしてくれた後、アタシが針をブッ刺してトドメを刺せば、戦闘フィールドから出る事が出来た!!
肥神瑩子
「 はぁ~~。
以外と長く掛かったんじゃないの? 」
ギッちぃ
「 初めての戦闘にしては上出来だ。
戦闘フィールドから出ると倒したモンスターの死骸,ドロップアイテムを入手する事が出来る。
愚主の救世主LVも上がっている筈だ。
どんどんモンスターと遭遇して戦闘を繰り返すぞ 」
肥神瑩子
「 えぇっ?!
休ませてくれないの? 」
ギッちぃ
「 救世主LVを10まで上げたら魔王領地へ行くぞ 」
肥神瑩子
「 はぁ~~?!
たったのLV10で魔王領地の魔物と戦わせるつもり??
アンタは鬼か!! 」
ギッちぃ
「 此処ではLV10で潮時だ。
一気にLVを上げる方が効率が良い 」
肥神瑩子
「 …………アタシ、死んだりしないでしょうねぇ? 」
ギッちぃ
「 心配無用だ。
愚主は死なない。
我の下僕が愚主を衛る 」
肥神瑩子
「 下僕に丸投げしないでよ!
ギッちぃがアタシを守護るんでしょ~~ 」
ギッちぃ
「 ギッギィ~~ 」
ギッちぃは小さな翼をパタパタと羽ばたかせてクルクルと回り出す。
可愛さをアピールしたって駄目なんだからね!!
肥神瑩子
「 ギッちぃ~~~~、頭の串をもっと増やしたいの? 」
ギッちぃ
「 抜いてはくれんのか? 」
肥神瑩子
「 似合ってるから抜く必要ないでしょ。
ギッちぃの頭に刺さってる串はアクセサリーみたいなもんよ 」
ギッちぃ
「 ギィ………。
愚主よ、モンスターが此方を見ているぞ 」
肥神瑩子
「 分かった。
戦えば良いんでしょ! 」
アタシは救世主LVを10まで上げる為にグレーゾーン内で遭遇するモンスターと手当たり次第戦う事になった。
モンスターとの戦闘は日が暮れる夕方まで続いた。
──*──*──*── 安全地帯
日が暮れてくると出現するモンスターが夜行性のモンスターに変わったり、モンスターのLVやランクが上がるみたい。
屋台で昼食を済ませてからずっとブッ通しでモンスター退治をしていたから、御開きになった。
結構な数のモンスターを頑張って倒したんだけど、アタシの救世主LVは未だ6だったりする。
残りのLV上げは明日に繰り越される事になった。
安全地帯にはギッちぃの奴隷が張ってくれたテントがある。
張られているテントは立派なテントで、強風が吹いても耐えられそうな程に丈夫そうなテントに見える。
折角テントを張ってもらったんだから、今夜は宿屋には戻らないで、テントの中で一夜を過ごす事にした。
テント生活にも慣れないといけないもんね?
今夜の夕食は倒してゲットしたモンスターの肉を使った料理を食べる事になった。
料理を作るのは奴隷みたい。
簡単な串焼きを作ってくれるみたいだから、ギッちぃの頭に刺している串を使って焼いてもらう事にした。
頭の上から串を抜いてもらえて余程嬉しいのか、ギッちぃは発情期の犬みたいにアタシへ甘えて来る。
可愛いんだけど、一寸ウザい。
肥神瑩子
「 ギッちぃ、倒したモンスターの事が分かるような図鑑とかないの? 」
ギッちぃ
「 図鑑ではないが、見る事は出来る 」
そう言ったギッちぃは、画面を出してくれる。
画面には倒したモンスターの2Dドット絵みたいなのが見える。
1番上にはランクが書かれていて、ランクが上がるとモンスターの色が変わるみたい。
肥神瑩子
「 へぇ~~、これだと倒したモンスターのランクも分かるんだ?
絵が見れるのが倒したモンスターになるのね 」
ギッちぃ
「 モンスターの絵を触るとモンスターの情報が見られる 」
肥神瑩子
「 ──あっ、本当だ。
名前と属性,使用技,使用魔法,生息地,出現地,遭遇率,撃退数,ドロップアイテムとか詳しく書いてある。
1回倒すだけで、これだけの情報が分かるなんて凄いじゃない? 」
アタシは絵が見えているモンスターの絵を触って、倒したモンスターの情報を見た。
アタシがモンスターを見ている間に料理が出来上がったみたい。
アタシはモンスターの情報を見ながら、夕食を食べた。
肥神瑩子
「 ねぇ、ギッちぃ。
グレーゾーンに出現するモンスターも日が暮れると強くなるの?
アタシには未だ倒せない? 」
ギッちぃ
「 そんな事はない。
夜の戦闘は周囲が見え難い。
足場も悪くなる故、明かりがなければ苦労する 」
肥神瑩子
「 明かり……ね。
ランプとか有れば良いって事かな? 」
ギッちぃ
「 魔除け効果のある明かりだな。
魔鉱石を加工したランプが売られている。
安全地帯で野宿するには必要ないが、グレーゾーンやフィールドで野宿するには必需品だ 」
肥神瑩子
「 未だ買えてないって事? 」
ギッちぃ
「 ランプもピンからキリ迄ある。
良質なランプを買いに行かせている最中だ。
今夜は無理だが、明日からは夜でもモンスターを倒せる 」
肥神瑩子
「 あ、そうなの?
魔法が使えたら便利なんだけどね… 」
ギッちぃ
「 救世主も〈 守護り手 〉も魔法は使えぬ。
魔法を使うなら加工された魔鉱石を使うしかない 」
肥神瑩子
「 救世主なのに魔法が使えないなんて不便だよね~~。
なんでもチートって訳にはいかないのね…… 」
ギッちぃ
「 出来ぬ事もあった方が楽しいであろう 」
肥神瑩子
「 ………………そうかな~~?
アタシは違うんだけどねぇ 」
夕食を終えたアタシは、寝る迄テントの中で寛ぐ事にした。
因みにテントの外では焚き火が焚かれていて、ギッちぃの奴隷が湯を沸かしてくれている。
やっぱり、奴隷の姿,形も黒ニ●ロと同じで、アタシには何がどう違うのか区別が付かない。
ギッちぃには区別が付いてるんだろうけど……。
どうやって焚き火を着けたり、料理を作ったりしてるんだかね!
◎ 作中には書いていませんが、ギッちぃが障害物を壊すと主人公に経験値が入ります。
壊せない障害物はアイテムとして入手が出来ます。
珍しい花,薬草,果物の木,活きの良い魚──として入手が出来たりします。