⭕ アイテムBOXの中身
ギッちぃ
「 ──これが〈 守護り手 〉に授けられたアイテムBOXだ 」
肥神瑩子
「 これが?
ヤバいよ……まるでゲームでお馴染みのステータス見れる画面みたい…。
この世界って何かのゲームの世界なの?? 」
ギッちぃ
「 ゲーム…とやらが何なのか我には分からん 」
肥神瑩子
「 だろうね。
知ってたら、それはそれで怖いよ…。
凄いね、種類別に仕分けられてるんだ。
【 食材 】の画面をタッチすると──、うわっ……凄いね!
【 肉 】【 魚介 】【 パン 】【 乳製品 】【 保存食 】【 乾麺 】【 乾物 】【 食花 】【 果物 】【 野菜 】──未だあるけど、こんなにも厨房には食材があったんだ?
──ひぇっ、【 野菜 】だけでもフォルダが複数ある!
細かく仕分けられてるんだ…。
これだけフォルダがあると探すの大変そう……。
──衣服類は…どうかな??
………………うわぁ……何れも悪趣味な衣類が多いね~~。
金持ちのセンスって凡人には分からない領域かも……。
こんなのを着る勇気はアタシにはないわぁ~~~。
人型のギッちぃにも似合わなそうじゃない?
下着類や肌着類は有り難く頂くとしてもねぇ……。
趣味に合わない衣類や必要ない衣類は選別して処分しないとね。
──宝石類も沢山ある~~!
聞いた事の無い名前の宝石が多いけど──、宝石に興味ないアタシには価値なんて分からないな~~。
宝石類や装飾品類は換金決定かな?
使わないアクセサリーなんか、ジャラジャラあっても邪魔だからね!
──道具類は……クローゼットとかタンスとかテーブルとか要らない物が有り過ぎぃ~~。
ねぇ、ギッちぃ──、こういう要らない物って、どうやって処分するの?
お金に変えれるの? 」
ギッちぃ
「 問題ない。
買い取り額90%向上で買い取らせる事が出来る 」
肥神瑩子
「 鬼かよ、アンタは!
90%って……100円の価値しか無い物を900円で買い取らせるようなもんじゃないの?
此方が800円も得しちゃうじゃないの 」
ギッちぃ
「 問題あるのか?
二束三文の無価値な物を高く買い取らせる事が出来るのだが? 」
肥神瑩子
「 確かに……大した問題はない気がする。
だけど、何でそんな悪魔の所行みたいな買い取り交渉が出来るの? 」
ギッちぃ
「 我の魅力の賜物だ 」
肥神瑩子
「 はぁ?
ギッちぃの魅力ぅ?
確かにギッちぃの見た目はアレだけど、贔屓目に見ても可愛いとは思うよ。
だけど “ 魅力 ” って言う程の魅力は…… 」
ギッちぃ
「 愚主よ、我の愛くるしい容姿に不満があるのか?
“ 見た目がアレ ” とは何だ? 」
肥神瑩子
「 えぇ~~……言ったら言ったで、ギッちぃ怒るじゃん?
兎に角、ギッちぃの魅力で買い取り額90%向上は無理なんじゃないの? 」
ギッちぃ
「 我は魅了を使える。
この容姿の我が恐れられずテムモンとして見られているのは、我が魅了を使っているからだ。
魅了が使えなければ愚主は宿屋に泊まれず野宿をする羽目になっていた。
魅了を使える我で良かったな 」
肥神瑩子
「 マジなの?!
魅了の力って怖い!!
因みに魅了って〈 守護り手 〉は皆使える力なの? 」
ギッちぃ
「 皆ではないな。
影の〈 守護り手 〉,魔の〈 守護り手 〉も使える。
使えても精々50%迄だな 」
肥神瑩子
「 ご…50%?!
それでも、かなり凄いんじゃないの? 」
ギッちぃ
「 我が本気で魅了すれば一国ぐらい易々と乗っ取る事も出来る。
国王が不在中のこの国は既に我が乗っ──ギギィ~~ 」
肥神瑩子
「 一寸ぉ?
今、なんか凄く重大な事を言い掛けなかった? 」
ギッちぃ
「 ギィギィギギィ~~? 」
こ、この野郎!
都合が悪くなったら、可愛い子ぶって惚けやがったわね!
見た目はアレ── 全身が黒紫色で不気味ではあるけれど ──、クニュリと体を曲げて惚けている仕草は可愛いのよね……。
(; ゜Д ゜)ハッ~~ハァ、ハッハッハッハッァァァァァア!?
──まさか、アタシもギッちぃの魅了の被害に遭ってるんじゃないの?!
だから、ギッちぃの事を “ 可愛い~~♥️ ” って思ってるんじゃ……。
恐るべし、影魔の王──。
肥神瑩子
「 …………ギッちぃ、アンタ…主のアタシにも魅了を使ってるんじゃないでしょうね? 」
ギッちぃ
「 それが出来るなら、とっくに愚主を懐柔している 」
肥神瑩子
「 か…懐柔??
ギッちぃ……アンタ、可愛いフリしてとんでもない事を企んでたわけ?
食えない奴ね… 」
ギッちぃ
「 我は影魔の王だからな。
魅了で懐柔する等造作もない。
影魔に指示を出し、国王の真似事をさせるのも容易い事だ 」
肥神瑩子
「 ………………国王達をミイラ化して不在中にしたのはアンタでしょ?
じゃあ今、城内に居るのは影魔って事? 」
ギッちぃ
「 ギギィ~~ギ? 」
肥神瑩子
「 一々惚けなくて良いから!
主のアタシにちゃんと教えなさい! 」
ギッちぃ
「 城内は我の下僕に占拠させている。
今後の運営は我の僕──影魔が行う。
この国は人知れず、我の──いや、愚主と我の国となった。
愚主と我の新居──愛の巣は王城だ。
城で暮らすか? 」
肥神瑩子
「 断固、お断り!
唯で寝泊まり出来て食事が出来るのは有り難いけど──、所々が悪趣味でしょ、あの城内って。
なんて言うんだっけ、模様替え?
内装リホーム??
兎に角、まともな城内に戻してほしいかも! 」
ギッちぃ
「 愛の巣が悪趣味なのは我も好かんな。
僕達には改装,改修,改築をさせる。
増築が必要ならば追々させる 」
肥神瑩子
「 全部、影魔にさせるつもりなの?
器用なのね、影魔って……。
余所の国との外交とかちゃんと出来るの? 」
ギッちぃ
「 我の僕は人間より優秀で有能揃いだ。
問題ない 」
肥神瑩子
「 そうなんだ?
でも “ 愛の巣 ” って言うのは止めよう?
吐き気を催すから!
だけど──、影魔ってのは人の姿をしてるの?
幾ら優秀で有能だって人間と異なる姿をしていたら外交や交渉どころじゃないんじゃないの? 」
ギッちぃ
「 外交相手とスムーズに交渉が出来るよう、我の僕にも魅了を掛けている。
問題ない。
此方の要求は全て承諾させる事も可能だ。
影は何処にでもあるからな。
僕を送り込み、魅了が切れないよう調整も可能だ 」
肥神瑩子
「 何それ!
怖過ぎるんですけど!!
ギッちぃ、アンタ──、実は世界征服とか狙ってないよねぇ? 」
ギッちぃ
「 ギッギィ~~? 」
肥神瑩子
「 可愛い仕草で誤魔化すな!! 」
ギッちぃ
「 愚主が望むなら叶える。
世界を手に入れたいか? 」
肥神瑩子
「 要らないからね!
お願いだから、アタシの知らない所で変な悪巧みとかしないでよ? 」
ギッちぃ
「 ギギィ 」
肥神瑩子
「 返事ぃ!!
アタシはギッちぃの絶対主なんでしょ? 」
ギッちぃ
「 愚主に逆らっても〈 守護り手 〉はペナルティを受けない。
〈 守護り手 〉は救世主が道を踏み外した時、改心させる役目もあるからな 」
肥神瑩子
「 救世主って道を踏み外したりするの? 」
ギッちぃ
「 人間だからな。
常識,環境,価値観の異なる世界から来た異世界人が、召喚された世界に慣れるのは難しい。
知らず知らずに人の道を踏み外し、救世主と正反対の事をしている事はザラにある 」
肥神瑩子
「 へ、へぇ……。
とても他人事とは思えないんだけどぉ~~~ 」
ギッちぃ
「 如何にも。
愚主は既に取り返しの付かぬ事を仕出かした後だ。
他の救世主からすれば愚主は間違いなく悪者だ 」
肥神瑩子
「 だ、だよねぇ~~。
アタシ以外の人間をミイラ化しちゃった訳だし……。
人間には戻せないんでしょ? 」
ギッちぃ
「 無理だな。
安心しろ。
我が巧く揉み消す故な。
超魔王の仕業にすれば問題ない 」
肥神瑩子
「 超魔王って?
──っていうか、超魔王にアタシとギッちぃが起こした犯罪を擦り付けても良いのぉ?!
無関係の超魔王にそんな酷い濡れ衣を着せるなんて……バレないの?? 」
ギッちぃ
「 問題ない。
超魔王は今迄にも数え切れない程の多くの国を滅ぼし、多くの人間を虐殺して来た。
重度の前科持ちに1つや2つ見知らぬ罪を着せたとて大した問題ではない。
バレもしない 」
肥神瑩子
「 そういうもんなの?
超魔王なのに気付かないもんなの??
例え相手が超魔王だとしても身に覚えのない罪を擦り付けるなんて……、まともな救世主のする事じゃないよね? 」
ギッちぃ
「 自分が助かる為に城内の人間の魂のみならず、国中の人間の魂を犠牲にしようとした愚主は、“ まとも ” だと言えるのか?
胸を張り、誓えるのか? 」
肥神瑩子
「 うぐ……確かにね。
自分可愛さの為に願った事は事実だし、否定は出来ないよね…。
実現しちゃってる訳だし……。
今更か……。
そうだよね……アタシは逆立ちしたって “ まとも ” な人間には戻れないね。
濁った水は元通りの清らかな水には戻れないもんね?
真実の隠蔽はギッちぃに任せるから、宜しくね? 」
ギッちぃ
「 それでこそ我の──影魔の王の愚主だ 」
肥神瑩子
「 そりゃどうも。
全く以て嬉しくないけどねぇ~~~ 」
何か……どんどんとんでもない事態になっていくんだけど、どうしたら良いんだろう??
アタシ……救世主なんだよねぇ?
こんな救世主で良いわけ??
罰とか当たらないよねぇ??
◎ 文章を打っている最中「 キャッツアイ 」ED2の歌詞が脳内再生されっぱなしでした。
◎ ギッちぃは仮の姿で主人公と話しています。
本来の姿に戻る時は、あまりないです。
◎ 変更しました。
下僕 ─→ 僕