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131 『シーケンシャルオーダー』

 ルカは空間の入れ替えが起こったタイミングで、ヤエと共に動き出した。

 魔法《紫色ノ部屋(ヴァイオレットルーム)》によって、設置したドアノブがある場所を渡り歩くことで、仲間を探しにゆくためだ。

 一つ目のドアノブを壁につける。

 ドアを開けると、別の通りがあった。

 それは一度ルカとヤエが通った場所である。


「本当に、さっき見かけた通りやね」

「ええ」


 二人は少しだけ歩いて、周囲を見回した。

 見られる範囲は限られるが、どうやら人影はないようだった。


「だれもいませんね」

「うん。次やね」


 ルカは今通ってきたドアのドアノブを取り、手の中にそれが消える。


「あれ? ドアノブ、取ってしまってよかと?」

「ドアノブは手の中にしまうことができるので。ただ、場所と場所をつなぐ際、ドアノブはペアになっている物同士でないと行き来できません。だから、ペアになったもう片方だけ残せばその場所へは移動可能になります」

「あーね。たとえば、ペア同士のドアノブを『(ラージエー)』と『(スモールエー)』みたいにアルファベットで表して、ルカちゃんが設置して回っとったもんばすべてスモールアルファベットとすると」

「すべてのラージアルファベットは私の手の中に入っていた状態から始まります」

「うん。そうやね。それで、この場所に設置してあったドアノブが『a』だとすれば、ルカちゃんがさっきの通りで設置したドアノブが『A』やった。これを通って、ここ『a』にやってこられた。代わりに『a』を手ん中に収納しても、またどっかに『a』ば設置したら『A』には移動可能ってことばいね?」


 つまり、場所のセーブポイントをつくって回っていたことになる。だが、その各ポイントにはそれに対応するドアノブがそれぞれにあったのだ。ルカの手の中に。


「ええ。そのペアが把握できていれば、『A』と『a』のどちらを手の中に収納しておいてもよいことになります。もちろん、両方残しておいてもよくて、そうすればだれでも利用できる状態です」

「ばってん、両方のドアノブを残しっぱなしやと、だれでも出入りができてしもうて混乱が起きる、と。やけん、ドアノブはペアのうち片方は手ん中に回収しとく、と」

「はい」


 と、ルカはうなずいた。

 これだけ説明すれば、ヤエは理解してくれたようだった。


「ドアノブの回収は、混乱を防ぐ以外に、効率化の意味もあります。いちいち最初の場所に戻って移動することも可能ですが、戻らず各地点を渡り歩いたほうが早いですから」

「ふんふん、ばってんそうなると、次に行く先にあるのが『b』やけん、元々ここにあった『a』がルカちゃんの手ん中に回収されて、『b』と対になる『B』を設置するやろ?」

「はい。次の場所についたら、『b』のドアノブは手の中に回収します」

「つまり、別の場所からまたこの場所に戻りたくなったら、『B』の対になった『b』を使えばいいんやね」

「ええ。さっきまでここは『a』の場所でしたが、今からはここが『B』の場所になりますので」


 こうして各地点にドアノブを残しているので、いつでも好きな地点に戻れる。それさえわかっていれば充分だ。


「あとは、見て回るだけですが……」

「ここは収穫なしたい。確認はもういいっちゃない?」

「はい」


 エリア内の確認はどれほど入念にするべきかは諸説あるし悩むところではあるが、通りを確認して少し移動して見回しドアノブがあった場所に戻る工程のみで済ませることにした。

 次の空間の入れ替えが起こる前に各ドアノブを回ってしまいたいからだ。


「よし。次に行こう」

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