表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 コロッセオトーナメント
734/1387

79 『スペシャルエフェクト』

 現状、サツキは右耳が斬り落とされ、そのほか全身に五カ所の傷がある。各所から血が流れ、出血量も多くなってきていた。

 サツキが傷を負う隙をつくったのは、ミナトの刀が折れたことであった。

 その攻防は、ミナトとしては順当に攻め方を試していった結果による。

 ミナトはまず、カーメロと戦っていたときに使っていた刀を鞘に収めた。

 白い鞘を持つその刀は、『()()(あま)()(しら)(ぎく)』。

 世に五振りしかない、『(てん)()()(けん)』の一つだ。

 (せい)()(おう)(こく)の刀には、位がある。ただの無名の刀にはそれがなく、サツキの刀も位を持たないのだが、世に出てからある程度以上の時を過ごし、人に知られた刀だけが位を与えれらる。

 そんな選び抜かれた位を持つ刀は、現在、二百三十三振りある。

 頂にあるのが、『(てん)()()(けん)』の五振り。

 それを持つ者は普通の人間ではない。特別な家柄や特殊な場所で見つかったもの、特級の逸話が語られるような刀なのである。まさに物語の中の刀であり、実物が人の目に触れることさえ希少だとされている。

 続くのは、『(さい)(じょう)(おお)(わざ)(もの)』十二振り。

 家系や伝承に起因するものもあるが、並外れた武士や剣士、桁違いの金持ちに所有者を知られる。

 さらに、『(おお)(わざ)(もの)』二十一振りも、よほどの人物でないと手にすることができない。

 だが、その下に位置する『(よき)(わざ)(もの)』五十振りは、時たま見かけられる名刀である。ミナトのもう一つの刀、『()(わの)(あん)(ねい)』がそうだった。

 そして、『(わざ)(もの)』八十振りであれば、それでも数こそ少ないが、巡り合わせで手にすることがあるかもしれないと言われる。

 ただ、それらのどれとも区別がつきにくい名刀を、『(こん)(ごう)』六十五振りと呼び、妖刀なども混じる極めて判断に難しい刀がここに分類される。

 ミナトの愛刀は、天下五剣の『()()(あま)()(しら)(ぎく)』。

 これを使って《ダイ・ハード》を崩しにいくことも考えたが、刀をダメにしてしまうかもしれない。

《ダイ・ハード》は硬化する魔法でありながら、ただ人や物を硬く強くするばかりでなく、弾性をなくして壊れやすくすることもできる。そのため、スコットは自分とカーメロの肉体、自分の鎧や二人の武器は最適な硬さに調整されており、対戦相手の硬化の幅を変えることで破壊する戦法を使う。

 また、《ダイ・ハード》の発動条件は、スコットの肉体に触れること、スコットの武器・バトルアックスと彼の鎧に触れることである。

 したがって、スコットと彼の鎧、そして彼の武器・バトルアックスに触れると、この硬化が付与されてしまうので、接触する攻撃は避けるのが賢明なのだ。

 ゆえに、ミナトは直接斬るのではなく、斬撃を飛ばすといった、空気の刃を用いることにした。

 もう一振りの刀、『()(わの)(あん)(ねい)』はそれにもってこいの刀だった。

 この刀は、ミナトが()(えい)(ぐみ)に加入する直前に、王都を訪れたときに手に入れた。

 人助けのお礼としていただいたのだが、そのとき、扱いが難しい刀だと言われたものだ。

 元の持ち主である剣術家・(さだ)(とみ)(たけ)(ぞう)は、こんなことも言った。


「一振りすればなにか一つを斬らずにはいられぬ代物です。離れた場所にある物かもしれないし、近くの物かもしれない。斬撃を飛ばすとも違う」


 ただの斬撃ではない空気の刃は、ミナトによって新技、《()(くう)(ざん)》に昇華された。

 サツキの推論によると、次のようになる。

()(くう)(ざん)》は、ミナトが亜空間を創り出す技だという。空間を斬り、空間にひびを入れて、そのひびの輪郭に亜空間ができてしまった。そして、この亜空間には、触れた物を傷つけてしまう効果があるのではないか。だから斬撃とは違う、というのだ。

 これが数日前、コロッセオでの試合でミナトにより創造された。

 ミナトはこの技で攻めるつもりになったのである。


「粉々にされたくはないので、いろいろ試させてもらいますよ」

「やれるものならやってみろ」


 と、スコットがバトルアックスを構えた。


「では、参ります。《()(くう)(ざん)》」


 即座に、ミナトは抜刀した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ