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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 コロッセオトーナメント
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11 『リングコントロール』

 デイルはチャクラムを手に、カウボーイハットの下からサツキとミナトを見比べる。


 ――選手交代、か。だが、関係ない。キミたちが言うように、ワタシの投げたチャクラムには物体を通す効果がある。それがワタシの魔法。条件がわかろうと攻略は無理。なぜなら……。


 ぎゅっと、デイルはチャクラムを握る力を強める。


 ――ワタシの魔法《空間省略(スペースカット)》は、どんなスピード自慢にも勝てる速さを持つからだ。


 セコンドのハッセがカルロスとやり取りしているのを一瞥し、デイルは静かにサツキとミナトを見つめる。


 ――フン。せめて、二人でカルロスを相手に戦うというのであれば、隙を見つけることができただろう。しかし、一対一ではワタシの魔法の餌食だ。


 その理由は、デイルの魔法による。


 ――ワタシの《空間省略(スペースカット)》の発動条件は、このチャクラムを二つ使うことから始まる。二つのチャクラムを投げ、二つのリングが重なった部分……この見えざるトンネルを、一瞬で物体が通り抜けられるのだ。つまり、このトンネルは空間を省略する装置の役割を果たす。


 だから、先程の攻防において、カルロスの拳が一つ目のチャクラムの穴を通った瞬間に、二つ目のチャクラムの穴からパンチが繰り出されたのだ。

 ゆえに、魔法名が《空間省略(スペースカット)》。

 空間を省略するという意味で命名された。


 ――これまで、この魔法が通じなかった相手はいない。ワタシが倒すべき相手、宿敵・スコットとカーメロさえ、この魔法を封じることはできなかった!


 前回優勝コンビも、《空間省略(スペースカット)》を攻略することは叶わなかった。

 デイルはそう思っている。


 ――ただ、カルロスのストレートがまるで効かなかった。ワタシの魔法は完璧だった。最高のお膳立てをしたのにだ。だが、今は違う。


 カルロスのストレートはより速く、より正確に、ずっとずっと強くなった。

 打倒スコットとカーメロを掲げてから、カルロスのパワーはどんどん増していった。

 今は、そこに《空間省略(スペースカット)》を合わせて、勝利に導いてやればいい。

 といっても、チャクラムのコントロールも簡単ではない。


 ――リングが重なるとき、リング同士は平行でなければならない。そこに見えざるをトンネルを作り、リングとリングをつなぐ。また、距離に制約はないが、一つ目を投げてから二つ目を投げるまでの時間は五秒以内でなければならないのだ。


 一つ目のチャクラムが手を離れてから五秒以内に、二つ目のチャクラムが手を離れていなければ魔法は発動しないということである。


 ――だが、ワタシのリングコントロール技術ならば、カルロスのストレートに合わせてリングを平行に保つことも可能だし、五秒あればこの舞台で届かない場所はない。すべてがワタシの攻略範囲なのだ。したがって、《空間省略(スペースカット)》の前にはどんなスピードスターも意味を持たない。


 距離を省略できる魔法。

 これによって、相手のスピードは無意味になる。

 デイルはそう考えていた。

 当然、デイルはミナトが《瞬間移動》の魔法を使えることを知らないが。

 同じ系統ともいえるがまるで異なる魔法の使い手であるミナトには、デイルの魔法の正体はよくわからなかった。

 それはサツキも同様で、目に見えたままの状況しか理解できない。


 ――チャクラムの穴を通ると、もう一つのチャクラムの穴から物体が飛び出す。見えたのは、その事実だけだ。


 条件次第でこれを封じられるのか、ほかにもこの魔法に秘密があるのか、サツキは探ろうとしているのだ。

 そして、カルロスの魔法を引き出すのがサツキの目的だ。

 このとき、観客席でも、似た魔法を使える少女がデイルの魔法《空間省略(スペースカット)》を分析していた。

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