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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 コロッセオトーナメント
661/1392

6 『トーナメントブラケット』

 トーナメント表が会場の白い幕に映し出されると、会場はざわめいた。


「全68組が参加してくれるぞ! 四つのブロックに分かれていて、それぞれのブロックで勝ち上がったバディーがベスト4となる! シードの四枠は去年のベスト4! つまり、今年ベスト4に入れば来年はシード権を獲得できるんだ!」


 観客席では、だれが出るぞと話す人や、あの組とあの組が同じブロックなのかと話す人など、トーナメント表に夢中になっている。

 一階席にいる出場者たちも、それぞれに自分の名前を探して相方と話していた。

 サツキとミナトの名前も、最初にチナミが見つけた。


「ありました。サツキさん、Bブロック、24番です」

「チナミちゃん、見つけるの早い」

「左下、だね」


 参番隊のリラとナズナも、チナミの横でサツキとミナトの名前を確認した。


「じゃあ、出番はちょっとしてからか。だれが相手だろうと関係ねえ! 頑張れよ!」


 バンジョーは名前こそ見つけられなかったが、サツキとミナトが優勝を目指していると聞いているし、それなら全部勝つだけなので、トーナメント表そのものには興味がない様子だった。

 ルカは腕組みして、


「これはいいのか悪いのか、わからないわね」

「シードってもう戦う前からベスト8ってこと!? やり過ぎじゃない? ねえ、チナミちゃん」


 ヒナがチナミに聞くが、チナミは「まあ、そういうものなんでしょう」と言うばかりだ。


「各ブロック、16組の選手がトーナメントを勝ち抜き、最後にシード権をもったバディーと戦って、勝ったほうがベスト4だ! ちなみに、明日はベスト16を決める試合から始まるぞ!」


 などとクロノが説明してるが、観客席も選手たちもほとんど聞いていなかった。

 サツキとミナトも自分たちのブロックが気になっている。


「知っている選手はいないブロックだな」

「ヒヨクくんとツキヒくんは?」

「51番だから、Cブロックだ」

「当たるなら決勝だね」


 シンジが選手情報を教えてくれる。


「ヒヨクとツキヒはシードじゃないし、Cブロックのシードバディーは第3位。どっちが勝つかはわからないよ。サツキくんとミナトくんのBブロックだけど、こっちもシードバディーは前回第4位。そしてキミたちが決勝へ進むには、前回第1位のバディーがいるAブロックの勝者に勝つ必要があるんだ」

「じゃあ、AブロックとDブロックのシードが1位と2位だったんですね」

「うん。でも、問題はキミたちの初戦だよ」

「どういうことです?」


 ミナトが首をかしげる。


「そのAブロックのシードで、前回優勝したバディー、胴禁棲健斗(ドーキンス・スコット)居千河召呂(オルセン・カーメロ)。この二人といい勝負をしたけど敗れたバディーが、キミたちの最初の対戦相手」

「なるほど」


 ただ納得するだけで危機感のないミナト。対してサツキは情報を得たいと思っていた。


「強いんですか?」

「だいぶ。この一年、スコット選手とカーメロ選手を倒すことを目標に頑張ってきているらしいし、手強いだろうね」

「サツキ様ならきっと大丈夫です!」

「そうだよ。あのデメトリオ選手とマッシモ選手にも勝ったんだもん」


 と、クコとアシュリーが勇気づけてくれる。


「このトーナメント表は美しい。考え抜かれた組み合わせなのかもしれない。ボクには決勝までの映像が見えたよ。フフフ。サツキくんとミナトくんがヒヨクくんとツキヒくんと戦うのが楽しみだ」


 ブリュノに至っては、彼の想像の中でもう決勝までの結果が出てしまっているらしい。すっかりトーナメント表が気に入ったようだった。

 ついさっきまで各ブロックの対戦回数などの説明をしていたクロノだが、会場を見回し、


「あれ? ワタシの話、聞いてる?」


 ぽかんとした顔で尋ねる。

 だが、すぐに気を取り直して声を張り上げた。


「ルール説明に戻るぞ! みんなも聞いてくれよー!」


 再び、会場のざわめきは少し収まり、クロノの声がよく通るようになった。


「さて! 試合には、武器の持ち込みは可、魔法道具の持ち込みは可、ただし銃器や爆弾の使用はダメだ! 魔法によって試合中に創り出したものだけが許されるぞ! そして、当然ながら魔法戦士たちの魔法の使用は自由! 使っても使わなくても構わない。また、対戦相手を殺したら失格だ。故意と思われる場合には無期限の出場停止になる。しかし、怪我をさせても問題なし! 医療班がなんとかしてくれるから、選手たちは思う存分戦ってくれー! ルール説明は以上だ!」


 ルール説明も終わり、会場はこれから始まる試合に胸を高鳴らせている。歓声が飛び交う。それらを聞いて、クロノは大会の説明を付け加える。


「ちなみに! 優勝したバディーには、この『ゴールデンバディーズ杯』創設のきっかけとなった史上最強のゴールデンバディー、レオーネ選手とロメオ選手の二人と戦う権利が得られるぞー! ゴールデンバディーへの挑戦権は、来年の『ゴールデンバディーズ杯』の二か月前までの間、一度だけ、好きな日時を指定して使うことができる。そしてそして、ゴールデンバディーのお二人は、明日登場してくれる予定だ。楽しみに待っていてくれ!」


 そして、高らかに宣言した。


「よーし! さあ! ルール説明も終わったところで、いよいよ始めるぞ! 『ゴールデンバディーズ杯』、開幕だー!」


 会場からは「わーっ」と声が上がる。

 開会式が終わり、ついに『ゴールデンバディーズ杯』の第一試合が始まるのだった。

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