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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 コロッセオトーナメント
658/1391

3 『バトルスタジアム』

 円形闘技場コロッセオの前で、クコが目を輝かせて独特の建築物を見上げた。


「わぁ! 近くで見ると、大きいですね!」


 高さは、五十メートルもある。

 コロッセオの壁は、いくつものアーチが整然と連なったような形状になっており、その一つ一つが大きく、三段組みになっている。さらに一段ただの壁が乗っているのだが、一部欠けている部分もあるため、アーチも二段組みの範囲のほうが大きいかもしれない。

 試合を観戦する席が四階席まであり、アーチでいえば二段目までで四階席となっている。しかし各階もスペースは大きめに取られているため、たくさんの人間を収容できるのだ。


「ここが、今日サツキとミナトが試合をするバトルスタジアム『円形闘技場コロッセオ』よ。普段は数千人から一万人くらいが集まるけど、こういう大会だと五万人が押し寄せるわ」


 と、ヒナがうさぎ耳のカチューシャを揺らせて得意げに言った。何度もマノーラに来たことがあるから詳しいのである。

 いつもの観客席を思い浮かべてサツキは口元に手をやった。


「そんなに人が来るのか」

「驚いた? サツキ」

「おう」


 素直にびっくりした顔になっているバンジョーにヒナがつっこむ。


「あんたには聞いてないわよっ! サツキに聞いたの!」

「うむ。驚いたよ」


 とサツキが答えたのを見て、ヒナは「そうでしょう」と満足そうな微笑みを浮かべた。

 小さなチナミがヒナを見上げて淡々と言う。


「まるで自分の手柄みたいな口ぶりですね」

「ちょっと詳しいところ見せて得意になって、いい気なものね」


 と、ルカもぼそっとつぶやく。


「そこまで言う!? あたしのことなんだと思ってるわけ!?」

「きっとなんとも思ってないから大丈夫だよ」


 ミナトが励ますように声をかけると、ヒナはテンション高めにつっこむ。


「なんのフォローにもなってないわよっ! なんとも思ってないって寂し過ぎるでしょ! 大丈夫に聞こえないからっ」

「まあまあ、みなさん」


 とクコが割って入って、


「まずは受付に行きましょう。ヒナさんも、みんなで観戦するから寂しくありませんよ」

「余計なフォローはすんなー! あんた、ちゃんと話聞いてた?」


 ヒナがまたつっこむ。

 元気な仲間たちを見て、リラは苦笑を浮かべた。


「このいつもの賑やかな光景が、試合前のサツキ様をリラックスさせられたらいいんだけど」

「サツキさん、笑顔だし、大丈夫だよ。リラちゃん」

「そうだね。ナズナちゃん」


 ナズナとリラがにこりと微笑み、バンジョーが先頭を歩き出す。


「おーし! 行こうぜ!」

「バンジョーの旦那、そっちじゃァありませんぜ。て、聞いてないや」


 ミナトが教えてやっても、バンジョーは意気揚々と歩いている。ミナトは苦笑いして、


「しょうがない人だなァ」


 と受付のある方向へと歩き出す。


「諦めんなー! ミナト、バンジョーを連れて戻してやんなさいよっ! あんなデカい旗掲げてニッコニコでコロッセオの周りぐるぐるしてたら変質者だわ!」

「しかも、『士衛組』と書いてありますからね。私たち士衛組について変な評判が立たないか心配になります」


 と、チナミも無表情につぶやく。

「やれやれでござるな。来なければよかったものを」


 フウサイがサツキの影の中で呆れた声で言うのが聞こえて、サツキは小さく笑った。


「士衛組隊旗は重いし持ってこなくていいって言ったのに、わざわざ持ってきてくれて応援してくれる気満々なんだ。そう言ってやるな」

「はっ」


 幼馴染みのバンジョーとは犬猿の仲なので、ついそんな言い方になるフウサイだが、心から来なければよかったのにとは思っていない。それをサツキはわかっていた。

 クコが慌ててバンジョーの元へと駆け寄って、連れ戻して来て、一行は受付に向かうのだった。

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