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21 『大きな地図』

 クコがリアクションしてくれたことで、バローロは得意になった。


「おいらの魔法は特別製デショ! なんせ、おいらはこの三人の中のリーダーなんデショ!」

「なんであんたがリーダーなのさ!」


 すかさずレスコがつっこむ。


「デショ?」


 なぜつっこまれたのかわからず、バローロは首をひねった。


「あんただけはないわ」

「どうしてデショ!?」

「は? だって、あんた、なにかあったらいっつも最後はルチーノに決めてもらってんじゃん? しかも、レオーネさんから連絡が来るのだっていつもルチーノだしさ」


 あははは、とルチーノは苦笑した。


「でも、おいらはいつもみんな引っ張ってるしリーダーに違いないデショ! そりゃあ、ルチーノは頼りになるけど……」

「そうだね。バローロは持ち前の明るさと行動力でぼくたちを引っ張ってくれるよ」


 ルチーノが微笑むと、バローロはペカッと顔を輝かせた。


「デショ!? おいら行動力には自信あるデショ!」

「まったく、ルチーノはバローロに甘いんだよ。余計な行動力で今までうちらがどれだけ振り回されたか」


 嘆息して呆れかえるレスコをルチーノはなだめる。


「助けられてきたことも事実じゃないか」

「うーん……まあ、ないとも言えないか」

「デショデショ」


 と、バローロはうれしそうだ。

 クコがおずおずと手をあげる。


「あの。お話の途中すみません。先程おっしゃっていた、バローロさんの魔法というのは……」

「それデショ! おいらの魔法! クコちゃんに聞いて欲しいデショ!」


 息を吹き返したようにバローロが飛び上がった。

 立ち上がったバローロが背中に背負っていた大きな巻物のようなものを取り出す。


「これがおいらの魔法、《誰かの道しるべ(サイコマッピング)》デショ!」


 巻物が広げられると、そこには地図が描かれていた。

 クコとヒナが最初に反応する。


「地図です!」

「このあたりの地図ってこと!?」

「魔法ということは、この地図は……バローロさんが描かれたんですか?」


 リラの問いにバローロはトンと胸に拳を当ててみせる。


「そうデショ! おいらは行ったことがない場所でも、こうやって地図にすることができるデショ!」

「この地図は正しいのでしょうか」


 チナミがルチーノに尋ねる。

 ズコッとバローロがこけて、ルチーノが笑った。


「はい。正しいですよ。バローロの魔法は正確です」

「本人はズボラなんだけどさ。なぜか、魔法は正確」


 レスコも続けてそう言うと、バローロが眉を下げて、


「みんなひどいデショ! おいらの魔法も信じて欲しいデショ」

「すみません。悪気はありません」


 本当に悪気のなかったチナミだが、こうしてルチーノやレスコにあんな言われ方をされているところを見ると、バローロの素行には丁寧さや正確さの面での信頼はあまりないらしいとチナミは思った。


「でも、もう次の目的地であるレノーブルまでは地図も埋まっているようですね」

「チナミちゃんは小さいのに地図が読めて偉いデショ!」


 バローロはすぐに気を取り直してチナミを褒めるが、かえってそれがチナミを怒らせる。

 すっくとチナミは立ち上がり背筋を伸ばす。


「これくらい当然です。おじいちゃんに教えてもらったのでわかります。そもそも、私は小さくありませんので」

「え?」


 と、バローロはチナミの頭に手をやって身長を測るようにして自分の胸の高さにスライドさせる。


「どう見ても……」

「やめときな。あんたねえ、そういうところだよ」


 レスコに指摘されるがバローロは目を丸くするばかりだった。


「どういうところデショ?」


 チラとバローロを見てから、チナミはさっさと話を先に進める。


「それより、地図の件はもういいとして、あとは他に敵がいるかどうかですね」

「チナミちゃん、おいらのすごさをクコちゃんに見せたいデショ~」

「その必要はありません」

「そんな~デショ~」


 レスコがぷっと噴き出して、


「チナミちゃん、うちに欲しいわ。バローロの相手してもらえると楽なんだけど」

「お断りします」


 即答するチナミにレスコがまた笑っていて、バローロはクコに《誰かの道しるべ(サイコマッピング)》の説明をしていた。


「実は、初めの頃は、おいらは行ったことのある場所しか地図にできなかったデショ!」

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