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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 ミニストーリー【おまけの短編集】
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幕間紀行 『マジックマレット(6)』

 人は望みが生まれた時、とある行動をするものです。

 みなさんもやってるんじゃァございませんかね。

 実はわたくしもやる。

 それというのも。



 神頼み。

 神様にお願いするわけです。

 神様! どうか、一流の講談師にしてください!

 あ、これはもう叶ってたか。



 ははは。

 別にみなさんと笑い合うために言ったわけじゃないですよ。

 え? まだまだ半人前だ? そんな声がね、みなさんからじゃなくて、楽屋のほうから聞こえてきそうですけど。



 わたくしのこの願いも実際に神頼みをしましてね。

 一応は夢半ば、評価していただけることもあるが、まだまだです。

 今もこの願いをしにお参りに行きます。

 成長を感じた時や良い縁に恵まれた時、なにかの節目なんかでお礼を言いに神社へ行きますね。

 夢の大きさによってはそうやってずっと神頼みをすることもございますが。

 ゼンゾウという男は、ちょっと違う。

 なまけ者も板について長いですから。

 お参りに行くことさえなまけるんですね。



 じゃあゼンゾウ、どうやって神頼みをしたのか。

 家の神棚にある、木彫りの大黒様に頼むわけです。

 さっそく家に帰って、ゼンゾウは神頼みをしました。


『神様! 大黒様! おれをそれなりの金持ちにしてください! そして、気立てのいい嫁をください!』


 必死に伝えました。

 けどね。



 それで笑顔でひと息。

 ごろんと横になっちゃった。

 神頼みして満足したんです。


『よーし、おれも金持ちになるぞー』

 なんて言ってごろごろしていました。


 そのうち眠くなって寝てしまいます。

 みなさん、夢枕に立つって聞いたことあるでしょうか。

 寝ている間に、夢の中で誰かがなにかを告げることを言うんですね。誰かっていうのは大抵は亡くなった人か神仏です。

 ゼンゾウの場合はね。



 立たなかった。

 なんにもお告げを聞くことはできなかった。

 夕方に目を覚まして、ゼンゾウはつぶやきます。


『どこかで聞いたことあったんだけどなあ。神様が夢枕に立って、お告げをくれるって』


 その手の話は昔話にもよくございまして、夢枕に立った誰かが言った通りに行動すると、良い事が起こる。

 ゼンゾウもそれを期待していたわけです。


『まあ、そのうちなにかあるだろう』


 そんな考えのゼンゾウですから、自分からは行動を起こしません。


『もしかしたら、急になにか良いことが起こったりして。いや、ないか』


 期待半分、疑い半分。

 いやいや、半分も期待できる要素がどこにあるんだよと。

 そう思いたくなるのはゼンゾウの家族もそうです。


『なあ、ゼンゾウ。おまえ、ちょっと働いたらどうだ。金持ちになりたいって言ってただろ』


 父に言われても、


『それなりの金持ちって、どうやってなるんかな?』

『そんなもん、それなりで良ければ他の人よりそれなりに多く働ければそれなりに金ももらえるだろう』

『そうじゃなくて、働かないで稼ぐ方法だよ』


 と、こんな調子なので父も『あるわけねえだろ』と呆れかえります。



 翌日からもゼンゾウは働きません。

 しかし、ちょっと大黒様が気になってきます。

 どうすれば大黒様が自分の願いを聞いてくれるんだろうと考えるわけです。

 木彫りの大黒様を手に取り、かぶっていたホコリを払ってやりました。


『なあ、大黒様。おれの頼み、どうして聞いてくれないんだ?』

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