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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 ミニストーリー【おまけの短編集】
1302/1373

幕間紀行 『マジックマレット(2)』

「サンゾウタさんはまだ三十五歳って若さで、脂が乗ってるって評判なんだよ!」

「『講談界の未来の大看板』なんて呼ばれるんだから。アタシたちの友だちなの!」


 (こん)(じゃく)(てい)(さん)(ぞう)()

 アキとエミの友人で、講談師をしている。

 年はまだ三十五と若く、講談師としては今一番の売れっ子である。


「変わった名前だな」


 リディオの感想にもアキが笑って、


「芸名っていうんだよ。サンゾウタさんは今昔亭っていう一門に入っていて、本名は別にあるんだ」

「弟子入りして一門に入って、頑張って修行と研究に打ち込んで大人気の講談師になった人でね。まだ駆け出しの頃に、アタシたちと出会ったんだよ」


 実は、出会ってから少しして、芸の上達に悩んでいたサンゾウタはアキとエミに笑顔にしてもらい、気が楽になったと思っていると、流れが変わり始めたのだ。笑顔になっただけでなにが変わったわけでもないようにサンゾウタ自身は感じていても、どんどん調子が上がって気づけば人気の講談師になっていたのである。

 そんなこともあって、サンゾウタはアキとエミには感謝しており、アキとエミとの交友が続いているのだった。




 四人が寄席の場にやってきたとき、時刻は十六時十五分。

 中に入ってアキとエミが受付でサンゾウタに会いたいと言うと、なぜか案内されて二人は奥に消えて行ってしまった。

 ラファエルは呆然と見送るばかりである。


「ああやって聞きたい話をリクエストするのかな?」


 リディオに聞かれて、


「そんなわけないだろ」


 とラファエルは返した。

 講談や寄席について、ラファエルも詳しくはないが、演目は演者側や主催者側が決めるものであって客にその権限はないだろう。

 そのあとすぐに戻って来て、ラファエルとリディオに言った。


「大黒様のお話やってくれるって!」

「やったね! 楽しもーう!」


 友だちというだけでそこまで頼めるなんて普通じゃないとも思いながら、せっかくのお話を楽しもうと思い直して着席する。


「広いな……」


 寄席の場内は思っていたよりも広く、二百人近くが入れるのではないかという感じで、お客さんでいっぱいだった。

 後ろのほうの席だけど高座はちゃんと見える。

 ラファエルがドキドキしながら待っていると。

 時間になり、高座に芸人が上がってきた。

 最初は落語だった。

 この日は落語と漫才、落語と講談、落語と漫談、落語と奇術、落語と講談、落語と講談、落語と太神楽、といったように落語を挟んで他の演目があり、全部で三時間となるスケジュールである。

 よく笑うリディオは最初からアキとエミといっしょに明るく笑って、平素あまり笑わないラファエルも場の空気のせいもあって笑ったりつい聞き入ってしまったりと、楽しい時間を過ごした。

 そして、お目当てのサンゾウタは最後から三番目だった。

 大トリの太神楽は曲芸であり、その前のトリが重鎮による落語、さらにその前がサンゾウタなのだ。

 ついにサンゾウタの時間になり、ラファエルは高揚した気持ちで高座を見つめている。

 すると、サンゾウタがすたすたと高座に上がってきた。

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