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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 ミニストーリー【おまけの短編集】
1301/1374

幕間紀行 『マジックマレット(1)』

 ラファエルとリディオはアキとエミに連れられて、とある神社にやってきた。

 そこは大きな神社で、参拝客も多い。

 (あま)()(みや)総鎮守、(てん)(せい)神社。

 境内にはいくつかの小さな神社が入っており、中でも大きな大黒様の石像の存在感が際立っている。


「天都ノ宮総鎮守になったのはね、旧戦国時代を統一した戦国武将の人が天下分け目の合戦の前にお参りしたからなんだよ」

「それで、一番のポイントは大黒様なの。こんなに大きい大黒様に会える場所ってなかなかないもんね」


 アキとエミの説明を受けて、リディオは感嘆の声を上げる。


「なるほどな! 音葉家のご先祖様が参拝して戦で勝ったのか!」

「そういえば、大黒様が持ってる小槌って、エミさんのと同じ……」


 ラファエルが大黒様の小槌を見上げてつぶやく。


「大黒様が持ってるのも打ち出の小槌なんだよ。エミの《(うち)()()(づち)》と同じだから、親近感が湧くよね」

「アタシもなんでこの魔法にしたのか自分でもわからないけど、大黒様って好きなんだあ」


 エミの魔法は《(うち)()()(づち)》。

 振ると、振った相手に一つ良いことが起きる。

 ただし一人につき一日一回まで。

 しかも振れる相手の数は一日に三人まで。

 また、「おおきくなーれ」と言って振れば人や物が大きくなり、「ちいさくなーれ」と言って振れば人や物が小さくなる。

 その上、「なんか出てこい」と言えばその状況でもっとも役立つと思われる魔法道具を出してくれる。魔法道具はエミがこれまでに見た物に限る。

 そういう魔法だった。

 この小槌を魔法道具化して同じ効果を持たせた物を、実は士衛組のリラが持っているのだが、こちらはまだ使いこなせていない。

 そんなエミと縁の深い神様がいる神社を、四人は参拝した。

 リディオとラファエルは神社への参拝そのものが初めてだったので、アキとエミに教わりながら行った。


「まずは名乗って、住所も言って、神様の名前を呼んで、感謝して、お願い事があれば祈る。それだけだよ」

「人によってはもっと自己紹介したり、あとは家を掃除しておくのも良いって聞いたことがあるかな」


 なぜ急に家の話になるのかラファエルにはわからなかったが、神社にはいろいろと作法があるらしい。また、拍手する数や礼をする数も神社によっても異なるらしい。

 祈っている間、ラファエルは早めにお願い事が終わったので目を開けると、横ではアキとエミとリディオがまだ手を合わせて祈っていた。


 ――三人とも、すごくいい顔してるな。きっと、だれかの幸せを祈ってるんだろう。


 この三人のことだから、自分よりだれかのことを考えているのだろうと思った。

 参拝を終えると、境内にあるお休み処に行った。

 お茶や食事の他に、お土産コーナーや御守りが売っている場所もある。

 四人はここでお茶を飲んで和菓子をいただきながら、少しおしゃべりした。

 アキとエミは大黒様や七福神の話をいろいろと聞かせてくれたのだが、また突然、ひらめいたようにアキが立ち上がった。


「あ!」

「どうしたの? アキ」


 エミに聞かれて、アキは言った。


「大黒様について、ちょっとおもしろい話を思い出したんだ。『大黒様と四十八豆』っていうお話」

「それかあ。アタシも好き。リディオくんとラファエルくんにも教えてあげるね」

「いや、講談を聞きに行こう!」

「そっか! それいいね! せっかくならサンゾウタさんの話を聞こーう!」


 二人が話を進める中、リディオが首をひねった。


「講談?」

「そうだよ。講談師っていう人が物語を一人でしゃべるんだ。行ってみようよ」

「楽しいよ。サンゾウタさん、しゃべりがとっても上手なんだよ」

「おう! 行こう!」


 リディオは二人に誘われて即決している。

 もちろん、ラファエルもその気だ。


「ボクも見てみたいな」


 アキとエミが「やったー!」と大喜びで、四人はさっそく講談を聞きに神社を出るのだった。

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