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MAGIC×ARTS(マジック×アーツ)-アルブレア王国戦記- 緋色ノ魔眼と純白の姫宮  作者: 青亀
イストリア王国編 ミニストーリー【おまけの短編集】
1272/1373

幕間紀行 『ストップバイアート(17)』

 翌朝。

 リラたちは、最初にカルミネッロ美術館を訪れた。

 カルミネッロ美術館は、天才的芸術家と評されるカルミネッロの作品や彼の魔法、発明などに関する物が展示されている。

 美術館というよりも博物館の趣が強いかもしれない。

 今の時代では玄内が世界的にも有名な『万能の天才』だが、かつてはカルミネッロもそう呼ばれた。

 科学分野への貢献も大きく、画家としても史上最高の画家の一人ということは今でも言われている。

 仮に今を生きている玄内と無理矢理比較するなら、玄内は魔法も科学全般も発明も医術もカルミネッロを上回るが、やはり芸術面においてはどうしても敵わないと評価されてしまうだろう。

 しかし才能だけで比べればどちらがどうとは言えないのが時代の違いというものだ。


「だから一概に先生が優れていると言えるものでもありません。そして、カルミネッロさんはそれほどに素晴らしい芸術家だったと言えるのです」

「なるほど。そうだったのか」

「僕らはそんな相手と戦ったんだねえ」


 サツキとミナトがリラの説明にそれぞれ想いを馳せていた。

 二人はマノーラで操られた死体のカルミネッロと戦っている。そのため思うところもあるのだろう。


「どこかに現代の『万能の天才』、先生のことも書かれているかもしれませんよ」


 博物館の側面も強いだけに、玄内のことが記された場所があってもおかしなことではない。

 リラがそう思って言ったところで、先を歩いていたバンジョーが大きな声で呼びかけた。


「おーい! こっちに先生のことが書いてあるぜ! カルミネッロと並ぶ天才だってよ!」


 言った側から叫ぶバンジョーにみんなが笑った。

 ヒナだけは周りをキョロキョロ見て、


「ちょっと美術館で叫ぶやつがどこにいるのよ! 静かにしなさいよねっ!」


 と慌てて駆け寄っていた。

 おかしそうにリラが笑って、


「先生はそれが照れくさくて今日は来なかったのかもしれませんね」

「確かに、普段なら美術館にはついてきてくれそうだもんな」


 サツキもその通りだと思って小さく笑い返す。

 このとき、ナズナは一昨日のことを思い出していた。

 参番隊で玄内の元を訪れたとき、最後、ナズナだけが呼び止められてこんなことを言われた。


「美術館ってのはいいもんだ。なんにも考えなくてもいいから、いろいろ見ておけ」


 それを聞いてナズナは、「玄内は美術館が好き」なのだと思った。なのについてこなかったのは、そういう理由だったらしい。

 こんな異国の美術館にまで名前が出てくる玄内をすごい人だと思って萎縮していたが、ちょっと玄内が身近に感じられた。

 少しだけ口元がにっこりした。

 リラはそれに気づいて優しい顔になる。


 ――やっぱり士衛組のみんなはすごいな。


 チナミがリラとナズナに問いかける。


「バンジョーさんもどんどん先に行ってるし、私たちは私たちでゆっくり見て回ろう。どこから見る?」

「そうだね。じゃあ、あっちの魔法陣のコーナーから見に行こう」

「うん」


 こうして三人はいっしょに美術館を巡るのだった。

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