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299 『アダプトポテンシャル』

 そういえば、とサツキは思い出す。


「キミは《賢者ノ石》を取り込める身体を持っている。《賢者ノ石》をコントロールするポテンシャルも秘めている。そうも言ってましたね」

「その通りであり、その通りになった。よかったよ。よかったね。ボクの実験体としてもこれ以上ない成果であり、キミは《賢者ノ石》の力に振り回されることなく制御した。リスクに勝った」

「さすがです、サツキ様。適応能力と《緋色ノ魔眼》、そして《波動》の力のおかげでしょうか。ワタクシも嬉しく思います」


 ルーチェは讃えてくれる。


「《波動》がそんな便利に働いてくれているのかは不明ですけど、《緋色ノ魔眼》との相性もあったかもしれませんね」


 サツキとしても、そのどれもが噛み合ってくれたおかげで馴染んだものだと感じている。


「相性の問題は確かにありそうですね。それでも、力を引き出せたというのはサツキ様のお力です」

「最後の最後、力を使い果たしたと思ったときは絶体絶命で。だから夢中で力を振り絞ったんです。そのとき、左目から魔力がやってくるのがわかりました。それで、もしかしたら《賢者ノ石》は完全には消えず、俺の力の一部になったのではないかと予想もしたのですが……希望的観測になってなかったようでよかったです」


 メフィストフェレスはうんうんとうなずきながら話を聞いて、


「なにかあれば、またファウスティーノがボクと共に治療すると約束したし、ボクからも最後の治療をしようか」

「最後の……?」

「いや、なに、ボクがもうキミになにもしないわけじゃない。まだ実験体になってもらいたいとも思っているし、まだ実験体としても頑張ってもらいたい。ここでの最後っていうのは、ファウスティーノの治療がそろそろ終わるから、その傷を綺麗に消す処理さ。そして、再び、ボクにその目を試させて欲しい」

「試す、というと?」

「ボクはキミがこの世界で、最後の目標を達成するまでは《賢者ノ石》が消えないと思っていた。だが消えた。無理は禁物だと言ったのに無理をしたせいで一度は消えて、それをキミは自分の力の一部として行使できるようになりかけている。無限じゃない《賢者ノ石》が、無限になりかけている。そこで、ボクはさらにキミに力を与えたい」

「もう一度、《賢者ノ石》を埋め込んでくれるんですか」

「端的に言えばそうなるね。今度のは前回とほとんど同じで、効き目の強いものだ。するとここで、またリスクがある」


 サツキは思ったことを述べる。


「せっかく馴染んできたのに、また埋めることは、負荷が大きくなる。とかですか」

「一つにはそれもある。またもう一つに、ボクの実験がある」

「実験……?」

「言っただろう? 今度のは前回とほとんど同じ、と。つまりまったく同じじゃない」

「具体的には、どう違うんです?」

「より、もっともっと、オリジナルに近い《賢者ノ石》さ」


 意味がわからなかった。

 サツキが目をしばたたかせると、ファウスティーノが手を止めた。


「こちらの治療は終わった。メフィストフェレス、あとは任せた」

「はいはい」


 メフィストフェレスはサツキの腕を綺麗に修復する。見た目が元通り綺麗になった。そして、さっきの言葉の続きを告げた。


「前回、ボクは《賢者ノ石》の一部を与えた。これを超えるとしたら、なにがあり得る?」

「……」

「フフ。そう、そうさ。その顔、わかったようだね。まさに、それだ。ボクの力の一部を、キミに与えようというのさ」

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