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290 『ウィズアウトノウイング』

 マノーラ各地では。

 士衛組、『ASTRA(アストラ)』、マノーラ騎士団連合が勝った報せが巡っていた。

 表向きには、戦った相手というのがサヴェッリ・ファミリーとアルブレア王国騎士の連合であり、宗教側の裏取引は報されてはいない。

 しかし、宗教側にサヴェッリ・ファミリーとアルブレア王国騎士を煽動した噂はうっすらと知られていて、こびりついた小さな汚れのように、この噂を知った一部の人々の印象にも残る。

 宗教側の関与はそれくらい印象の薄いものだが、アルブレア王国騎士については疑問視する声も見られた。

 士衛組を狙ったことも、アルブレア王国騎士を指揮下に置くアルブレア王国政府とアルブレア王国の王女姉妹との確執とも取られたし、そうした疑惑は憶測が憶測を呼ぶ。

 現在のアルブレア王国では、国王と妃が長らく姿を見せていないという話もあったし、それも王女姉妹との不和ゆえと話す者もあったが、家族間での不和が国王が表舞台に姿を見せないことにはならないとの指摘もあり、国王が幽閉されたか殺されたかして、その後の王国を運営している大臣たちに嫌疑が向けられたりもした。むしろ、大勢の人が疑問視するそのきっかけになるほど、アルブレア王国の現状への違和感は膨らんできている。

 しかし、マノーラ市民はそれ以上は邪推になるし、自国のことでもないので、素直に街が守られたことを喜んだ。

 ここでのアルブレア王国騎士の関与はのちに響くことであって、今記すべきことではない。

 サツキたちはオリンピオ騎士団長に付き従い、マノーラ騎士団と共に事後処理を開始する。

 一方で。

 マノーラで現在もっとも多くの人が集まっている場所、円形闘技場コロッセオでは、ロメオが緊急参戦していた。

 ロメオは街で起こっている事件についてリディオに話を聞くと、コロッセオに集まる人がこの事実を知って混乱しないよう、コロッセオに観客たちを留めることにした。

 コロッセオで一番の実力者として知られ、一番の人気者が『バトルマスター』ロメオなのである。

 そのロメオが戦うとなれば、観客は舞台に釘付けになった。

 こうして観客たちはなにも知らないままに、事件は士衛組によって解決された。

 事件解決をリディオからの通信で知ると。

『司会者』クロノはロメオの試合が終わったタイミングで切り出した。


「またしてもロメオ選手の勝利だー! 挑戦者も素晴らしい戦いっぷりでしたが、やはりロメオ選手は強い! さすがは絶対王者! 何人たりとも寄せ付けなーい! さあ、お話を……と思いましたが、なんだなんだ?」


 控えているスタッフにわざとらしく目線で合図を送り、スタッフが駆けつけると、紙を受け取ったフリをする。


「おーっと! 緊急ニュースが飛び込んできたぞ! なんと! 我々がコロッセオでロメオ選手のバトルに熱中している間に、サヴェッリ・ファミリーがアルブレア王国騎士と結託して襲撃してきたらしい! 細かいことは後日新聞にも掲載されるでしょうが、それを解決したのが、士衛組とのことです!」

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