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266 『レイスパーセンテージ』

「先に言っておく。ミナト、一応の警戒は忘れるな」


 サツキがそう言うので、ミナトは促す。


「というと?」

「半透明化した状態での銃撃は無理な可能性が高い。だが、レイスになったマルチャーノさんから物体が切り離された瞬間、その物体は半透明化の効果を失い、実体化するかもしれない」

「うん、かもしれないねえ。そりゃあそうだ」

「手だけ半透明化せずに銃撃するのがセオリーだとは思うが、その隙を狙う作戦にも油断禁物だぞ」

「わかってるよ」


 答えると。

 もう、ミナトはマルチャーノの真後ろにいて。

 さらに、剣は四回振られていた。

 左右の手足をすべて断ち切る剣だ。

 だがマルチャーノはそのすべてを半透明化で無効化した。


「あら、読まれてましたか」

「当然だ。最後にこうして、腹部を刺すところまで、すべてな」


 ミナトは《瞬間移動》でサツキの横に舞い戻り、ちょっと照れたように笑った。


「ごめん、サツキ。全部読まれてた」

「そのようだな。あえて心臓を含む上体は半透明化せず、手足を半透明化して、おまえの言っていた『切り落としていく作戦』を封じた。それが通じないとみると腹部に突きを入れることも読んで、今度は上体を半透明化した」

「ずっと斬り続けていればいつかはヒットすると思うけど、どうだろう?」

「やめたほうがいい」


 きっとミナトの剣の速さなら、マルチャーノの半透明化する場所のコントロールを凌駕し、どこかで斬れる。だが、それをするのは危うい。


「どうして?」

「反撃がないはずないからな」

「どんなカウンターがあるかな?」

「それは試してみるしかない。二人でいくぞ。俺の《波動》ならレイスも捉えられるかもしれないしな」

「だね。やってみようか」


 マルチャーノにはその会話も聞こえていて。

 穏やかに、楽しそうにこう言った。


「そうだ。やってみろ。城那皐、貴様の《波動》を見せてみろ」

「はい」


 力強く返事をして。

 サツキは駆け出す。


「いくぞ、ミナト」

「承知」


 ミナトは、こちらも駆け出しながらも、所々に《瞬間移動》を挟んで狙いをつけさせないようにする。

 マルチャーノ得意の銃撃を警戒しての動きである。

 むろん、マルチャーノは銃を右手に構えて待っている。サツキとミナトが近づくのを待っているのか、次の仕掛けを作動させるタイミングを待っているのか、それはわからないが。


「左手にも注意だ」

「了解」


 サツキには、マルチャーノが左手を動かし始めるのがわかった。

 筋肉の収縮やわずかな挙動から見えるのである。

 だがなにをするのかわからない。

 また数歩進んだところで。

 ミナトが消える。

 消えたということは、《瞬間移動》したということであり。

 どこからか現れるということである。

 次にミナトが現れたのは、マルチャーノの左後方だった。

 やや距離はある。


「《(そら)()》」


 斬撃を飛ばし、また消える。

 普通ならば、これに対応するのもギリギリの反射神経を要する。

 しかしマルチャーノは斬撃をかわすだけじゃなく、右手の銃撃の準備はどこまでもできた上で、左手も動かしていた。


 ――見えた!


 サツキの瞳がそれを捉え、


「まずいっ」


 とも思った。

 また次にミナトが現れる場所がどこなのかはサツキにもわからないが、速く接触したい。


 ――ミナトは、どこだ!?

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