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224 『セパレート』

 サツキとカーメロはペースを落とした。


「みんなは先に。俺はあとから追いつく」

「わかりました!」


 クコが答えた。

 二人を切り離した部隊は先行し、サツキとカーメロだけが残る。


 ここまで。

 カーメロが鮮やかな技の数々で敵を払いのけ。

 その様を目撃したマフィアたちは恐れひるむ者も多くなってきたが。

 それでも、マフィアたち全員がサツキたちの部隊を野放しにするはずもなく、まだ大半が好戦的に突撃してきていた。

 しかもヴィアケルサス広場の中央にあるオベリスクの脇を通り抜ける頃には、後ろから追撃する形になる者も増えてきている。

 オベリスクまでの突破が迅速であったともいえる。

 つまり、いいペースで来られたということだ。

 だが、想定していたよりも、その反動で後ろからの敵が増えている。

 もしカーメロが言い出さなくとも、サツキはこれになんらかの対策をしなければならなくなっただろう。


「さあ」


 と。

 ついに、カーメロは完全に足を止めた。

 サツキもカーメロのすぐ側まで来て周囲の敵を見てゆく。

 360度すべてを見透す《全景観(パノラマ)》があれば、カーメロの邪魔にはならずに戦える。


 ――カーメロさんの実力は知ってる。不安はない。むしろ、俺がいかに敵を引きつけられるかだ。


 もう一つ。

 敵を引きつけて戦えるかどうか、という問題のほかに、サツキの価値がどれほどなのか、という問題もあった。

 ここにいるマフィアたちから見たとき、サツキに価値があると判断してくれたらよりたくさんの敵が攻め寄せてくれることになる。

 そうなれば、戦闘はいっそう困難にはなるが、クコたちの部隊を先行させやすくなる。

 ただ。


 ――考えても無駄だよな。


 いかに考えてみたところで、出た目に合わせて動く以外のことなどできない。

 ジェラルド騎士団長の言葉を借りるなら――賽は投げられた。

 後戻りはできない。

 対応していくだけだ。

 サツキとカーメロが押し寄せる敵に備え、戦い始める。

 相変わらずカーメロはうまい。

 きっと、およそほとんどの人間が、こんな難しい状況での戦い方を必死に練習したところで、今のカーメロほどには戦えまい。

 たくさんの敵を引きつけて時間を稼ぎ、最後にサツキを仲間の元へと飛ばす。

 そんな計算を秘めての大立ち回り。


「ぐあああ」

「目が見えねええ!」

「おれは味方だ、やめろぉぉ!」


 敵の悲鳴が次々に上がっていく。

万能の戦士ミスター・パーフェクト居千河召呂(オルセン・カーメロ)

 本当に器用な人だ。

 これが戦闘センスなのだろう。

 それに引き換え、サツキはわずか九人を倒すだけでその時が来た。


「思ったより俺の元には敵が集まってくれました。クコたちも充分なところまで行ってくれましたし、あとはいつでも問題ないかと思います」

「そうか。では、あと十秒で飛ばす。五秒後、ボクに近づいてくれ」

「はい」


 カーメロはハルバードを振り回して敵を薙ぎ払う動きをする。


 ――来るか。


 サツキの目はカーメロの魔力の動きを視認する。

 タイミングを見計らい、サツキは五秒後にカーメロに近づいた。

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