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218 『ジョイントストラッグル』

 スタイリッシュなシルエット。

 その手にあるのは万能の武器、ハルバード。

 槍と斧とが一体になったもので、これを操る使い手をサツキは一人しか知らなかった。

 もちろんその一人が、ここにるその人だった。


「あなたは……」

「どうも。カーメロさん」


 ミナトがにこやかに挨拶する。

 端正な顔にやや長めの髪、背が一八四センチと高く引き締まった肉体が綺麗なシルエットをつくるのは、『万能の戦士ミスター・パーフェクト居千河召呂(オルセン・カーメロ)

 年はロメオやレオーネと同じ二十一歳。

 昨日『ゴールデンバディーズ杯』でサツキとミナトが戦った、前回大会優勝の強敵である。


「それと、スコットさんも。僕らの加勢に来てくださったんですかい?」

「ああ。そのつもりだ」


 そう答えたのは、『()(かい)(しん)胴禁棲健斗(ドーキンス・スコット)

 二〇三センチという高い身長よりも大きな斧・バトルアックスを片手で持ち、闘牛のようなツノがある兜と重厚な鎧を装備している。

 年はカーメロより上の二十五歳。

 オリンピオ騎士団長が二人を見回して、


「キミたち二人がいてくれるならこれほど頼もしいことはない。力を貸してくれるのかい?」

「ええ。ボクたちもこのマノーラを荒らす輩を放ってはおけませんから」

「共に戦いましょう」


 カーメロとスコットがいれば百人力だ。

 だれに任せればよいのかは決めかねていたから、サツキの心配事はこれで大方なくなったといってよい。

 スコットがサツキを見おろして、


「一度は負けたオレたちだからこそ、ここで力を貸したい。次になんの引け目もなく、互いに全力で戦えるようにな」

「そういうことだ」


 と、カーメロもサツキとミナトを順に見やった。


「よろしくお願いします」

「助かります」


 サツキとミナトの返事を聞いて、スコットが力強くうなずく。カーメロはなにも答えないが、「ボクの力を見せてやる」とつぶやき闘志を滲ませていた。

 すると、今度はまた別の足音もやってきた。


「随分と元気な駆け足ね」


 ヒナが顔を向けた先へとサツキも目をやると、そちらから走ってくる人影が見えてきた。

 それはコロッセオの魔法戦士だった。


「おーい! サツキくーん、ミナトくーん」


 姿を見せたのは、(うる)()(しん)()。晴和王国の出身で、サツキとミナトがコロッセオに参加して以来ずっとお世話になっていた少年だ。年は二人の一つ上で、コロッセオのことをいろいろと教えてくれた兄貴分といえる。

 しかしそんなシンジの登場に、サツキもミナトも驚いた。

 まさか戦う理由も必要もないのに危険な戦地にまで文字通り駆けつけてくれるとは思わなかったからだ。


「どうしてシンジさんが?」


 ミナトが問うと、シンジははにかむ。


「光ってる文字を見てさ。士衛組ってサツキくんとミナトくんのいるチームだから、心配になっちゃったんだ。そしたら、いてもたってもいられなくて」

「その文字は、わたしが魔法で書いた《光文字(ライトサイン)》なんだよ。ここに来る途中にも、ヴィアケルサス大聖堂で最後の戦いがあるって書いて回ってたんだ。それで来てくれたなんて、うれしいよ」


 この魔法については、シンジばかりじゃなくみんなも知らなかったからそれぞれに驚きはあったらしい。

 サツキやミナトはアシュリーのその作業を見ていたからスコットとカーメロがそれを見つけてここに来てくれたものとわかっていたが、ヒナやチナミなどはそういうことかと今更ながら理解した。

 シンジはアシュリーに親指を立てる。


「おかげでここに来られた。ありがとう」

「うん」

「ありがとうございます」


 サツキもお礼を言って、ミナトが簡単に説明する。


「僕らの敵はご存知、大聖堂の中にいます。オリンピオ騎士団長たちが広場のほうの敵は引き受けてくださるそうで、僕らは大聖堂へと突入しますが……シンジさんはどうします?」

「ボクも広場のほうで戦わせてもらうよ。大聖堂内での決戦も厳しいかもしれないけど、まずは突破しないとだもんね。行けたらあとから追いかける」

「わかりました」


 と、サツキが答えた。


「それでは、隊列も組みましょう」

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