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196 『スピリチュアルプロフェット』

 リョウメイがさっさと歩き出す。


「とにかくまずは歩こうか」

「別にあんたが仕切ってもいいけど、どこに行こうとしてるわけ? 目的地はちゃんとあるの?」


 矢継ぎ早なヒナの質問には、軽くいなすように、


「目的地なんかあらへん。それで行けるほど、この街の構造は容易くはないんや」

「適当ね」


 不服そうな口ぶりながら、ヒナはせっせとリョウメイについていく。

 リラは元より不満も不安もない。

 むしろ、リョウメイのことは信用していた。


 ――リョウメイさんはここでのヒナさんとの出会いさえ()えていた。その通りになった。さすがだわ。


 実は、リョウメイはここでのヒナとの合流を予想していた。

 それは《(よう)(かい)(がく)(こう)()》が一つ《()(かい)》で、例の如くじゃらっと数珠を鳴らして、式神の力を借りて行う未来予知の結果である。


「士衛組のだれかと合流や。おそらく、うちらが次に会うのは……うさぎはんみたいやなあ」


 うさぎとはすなわちヒナのことだ。

 そのときリラは「ヒナさんのことを知っているんですか?」と尋ねたが、リョウメイはあっさりうなずいた。


「当然やろ。世間でも噂になっとるしなあ。士衛組が裁判に参加することは」

「なるほど。そうですね」


 と。

 そんな会話があった。

 今、リラはリョウメイの予言通りヒナとの合流を果たし、三人での行動を始めたのだが。

 ヒナはリョウメイをうさんくさいと思ってか、いろいろとしゃべりかけていた。リョウメイはヘラヘラ笑いながらかわしてゆく。それをリラがニコニコと見守っていた。


 ――前回の空間の入れ替えから、まだ五分としていない。このあたりではまだ次の入れ替えは発生しないはず。でも、そろそろというと……なにか、近くにあるのかしら?


 なにかが起こるらしい。

 そのときが、リラとヒナがリョウメイを切り離すときだという。

 不吉にも感じる言葉だが、これまでリラが知る限り言うことすべてが正しい『予言者』そのものなリョウメイのこと。

 本当に、なにかが起こるのだろうと確信していた。

 ただ、そのなにかが一体なんなのか読めない。


「あの。この先には、なにかあるのでしょうか」


 ついリラがそんな質問をすると。

 ヒナが答えた。


「特別な建物とか場所はないわね。マノーラの街には詳しいつもりだけど、なにもない。だから、あるとすれば人の存在」


 言葉を切り、ヒナはリョウメイを見る。

《兎ノ耳》で周囲の音を探れるヒナには、この近くにいる人の情報が入ってくる。何人いてどんな人物なのか。それが少しわかる。音で分析できる範囲でサーチ可能なのだ。

 しかしそんなヒナにも、近くに知人がいないことしかわからない状態だった。いても存在情報を隠せる人物である。

 リラもリョウメイに視線を転じた。


「さて。どうやろなあ。半分正解。半分不正解。そんなところやろか」

「ハッキリしないわね」


 リョウメイは語り出す。


「先に、うちの目的を話しておくわ。今回、うちはお友だちのリラはんたちのために士衛組に協力することにした。しかし、そこには碓氷氏だけじゃなく、ライバルの鷹不二氏の存在があってのこと。せやから、ちょっとのお助けをするだけやなく、うちは鷹不二氏とは戦う必要があるっちゅうわけや。これでハッキリしたんやないかな?」

「ははーん。つまり、陰陽術で予言したところ、この先に……鷹不二氏のだれかが待ってるってわけね」

「惜しい」


 と言って、リョウメイは解答を出す。


「これから、現れるんや」

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