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第四十九話

王都に帰ってきて数日。平和な暮らしが続いていたと言えばそうなる。

魔獣の大量発生を経て私たちのクランの名前は王都の冒険者の知るところとなったらしい。

おかげで武器の注文がかなり増えた。これは嬉しいことだ。ただたまに大剣や大盾を作ってくれと頼まれることがあるのだが、ウチはそんな特殊な設備は持っていないため、泣く泣く別の店を薦めていた。

とにもかくにも毎日アルとミーナと一緒に鋼を叩く日々が続いていた。

売れ行きも順調で大分売り上げも回収することができた。ただ冒険者は剣を買っても前の剣も予備で持つことが多いらしく下取りといったことは無かった。

しかし玉鋼を使った折り返し鍛錬によって作られた剣は識別してみると耐久、鋭さは大抵Aランク。

攻撃もBランク以上の物が生産で来ていた。ポロっと名剣クラスの物をポコポコと生産してしまい、これが問題につながってしまうのだ・・・。

昼。店は今日は休みにして、アルとミーナを連れて王都を回っていた帰り。私の工房に人だかりができていた。

「あの、ウチの店に何か用ですか?」

「あん?あんたがこの店の主か。ちょうどいい。俺らは工房組合の者だ。アンタ、工房組合に入ってないだろ?今までに不当に稼いでいた売り上げを徴収する」

「え?」

「工房を建てたら組合に届け出を出してその傘下に入る。それが王都じゃ当然のことなのさ。ほら、さっさと出しな」

突然のことで混乱していたけど思い出した。前に工房ができた時にレオ王子から忠告されていたことがあった。

「もし工房ができて順調に回っている時、注意した方がいい。工房組合といった組織があってね。そこは傘下に入ることで工房が有している技術を学ぶことができる・・・有料だけどね。そして売り上げが伸びている非加盟店を見つけると上納金を納めろと大人数で押しかけて来るんだ。組合に入るかは店の自由だ。一応気を付けておくように」

といった内容だった。つまり、『お前稼いでんだろ?それ寄こせ』ということだ。

「組合に入るかは店の自由なんですよね?」

「あぁ?組合に入るのは当然だろ」

「いいえ。自由だと法律で決まっているとお聞きしました」

「・・・ちっ」

「ウチは工房組合には興味がないので、お金を払う義務もありません。これ以上騒がれるのでしたら憲兵を呼びますよ」

「・・・戻るぞ」

そう言って男たちはすごすごと店から離れていった。

「な、なんだったんだ。今の」

「うーん。人の足を引っ張ってお金を横取りする悪い奴らだよ」

「そんな人がいるんですね・・・」

「さて、変な気分になったし、もうちょっと遊びに行こうか」

こうして再び王都巡りをすることにした。その後は工房で少し作業をしたりして一日を終えた。


朝。目が覚めてみんなで朝食を取る。そしたらエラムからこんな話が出てきた。

「そろそろなんか統一感のある装飾品を付けるのはどうですか?」

「統一感のある装飾品?」

「そうです。この前のスタンピードで私たちのクランの名前も大勢の人が知るところになりました。ですのでここはクランのシンボルを作って私たちが所属していることをわかるようにするんです」

「なるほど・・・いいね、それ。早速みんなに聞いてみよう」

と、言うことで冒険者ギルドでクランメンバー全員がちょうど揃ったので話し合うことにした。

「クランシンボルですか。良いと思いますよ」

「そうだな。前いたところも持ってたし。スタンピードが終わってから色々クランについて聞かれることも増えたしな」

「へー。どんなことを聞かれたんですか?」

「大体は金の話さ。いくら上に持ってかれるのか、取り分はいくらだとかな」

「なるほど・・・。とりあえずシンボルは作るという方向で」

こうして私たちはクランのシンボルを作ることになったのだが、デザインは私に一任するということになってしまった。

とりあえず私は服飾店を訪れていた。

「なるほど、クランシンボルね。ウチでできるよ」

「じゃぁ、こんな感じで・・・」

私は紙に書いた物を見せた。

「なるほど。お客さんのところは炎をモチーフにしているわけか。よし、生地はこんなのでいいかな?」

そう言った感じで色々と勧められて色々と決めていった。染色などをするためできるのは数日後ということだった。


そしてシンボルの完成日。私は服飾店にいた。

「やぁ、おまたせ。これが完成品だね」

渡されたのは黒の生地に赤い炎を囲うように炉をイメージした括弧のようなものが描かれていたバンダナだった。これを腕に巻くのだ。

「ありがとうございます。良い物ですね」

「そう言ってくれてもらえると作ったこっちもうれしいよ」

代金を払って私はその足で冒険者ギルドに向かった。

「これがクランシンボルですか」

「なるほど、炎か。団長は鍛冶師だからな」

一応シンボルのうけは良かった(と思う)。全員で腕に巻いてみるとなんか統一感があってかっこよかった。こうして私たちのクランは着々と準備が整っていっていた。

で、工房に帰ってきた私は二人にもシンボルを渡した。

「俺たちも貰っていいのか?」

「当然だよ。だって二人もクランのメンバーだもん。しっかりと店を守ってくれてるでしょ?」

「ありがとうございます」

「うんうん」

照れるアルと嬉しそうなミーナ。二人まとめて頭を撫でてやった。

ありがとうございました。コメントで意見や感想を頂けるとと幸いです。

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