第二話
目が覚めるとそこはどこまでも広がる草原だった。相棒の刀・雫を佩いて私は草原の中に立っていた。右も左もわからぬ土地で私は右往左往したがそれもすぐに解決された。目の前にゲームで言うメニューのようなものが出ていることに気が付いたのだ。
「ホントゲームやってる感じだよなぁ・・・あ、地図の項目があった」
さっそく地図にカーソルを合わせてみてみるとここはバラル平原だと言うらしい。そして私が立っている場所9は近くの町、ゲーンという町に近い位置にいるようだった。
『あー、あー、聞こえていますか?石川静音さん。今あなたの頭の中に直接話しかけてます。聞こえてますか?』
「ん、聞こえてる。何か不具合でもあった?」
『いえ。この世界で必要なステータスプレートについて説明していませんでした。まず腰に帯びているバッグの中を見てみてください』
「あ、なんか固いカードが入ってる」
『それはあなたの身分を保証するのと同時にモンスターの討伐数、あなたのステータスを表示するなどの機能を持っています。なくすことはないでしょうがこれが無いと大抵の町に入るには面倒な手続きが必要となるので覚えていてください』
「はーい。」
『ではまずはゲーンの町へ行ってみてください。途中でモンスターに出くわすかもしれませんので注意してください。これで私との会話は最後になります』
そう言って頭の中の声は聞こえなくなった。色々とステータスをメニューで確認してみると今私が使える技は初期スキルの≪斬撃≫というものだけだった。レベルや修練値を上げることによってスキルや魔法を覚えることができるようだ。
「っと、歩いていたらまぁ典型的な敵が出てきましたよ」
目の前にグニャグニャした生き物と呼べないようなものが出てきた。いろんなゲームに出てくるスライムだった。私は鞘から雫を抜刀し、臨戦態勢を取る。といっても戦いの経験なんてゼロだ。どう立ち回っていいかもわからない。だから相手の隙を突くしかなかった。スライムは相変わらず体?をグニャグニャさせていた。すると体を縮めたかと思ったらこちらに跳躍してきた。それを私は全霊でもって避けた。スライムはさっきまで私のいたところにドスンと音を立てて着地した。
「うへぇ・・・音からして当たるとマズイよなぁ・・・」
しかしスライムは着地時の衝撃を殺しきれていなかったのか動きが鈍いように見えた。
「チャンスは今か。刀に力をためて・・・斬撃!!」
私の思いに応えてくれたように雫が光りだす。そしてそのまま雫をスライムめがけてたたきつけた。雫はものの見事にスライムを両断した。そして視界にはスライム討伐で得た経験値が表示されていた。つまり殺したのだ。命を。そう思うと少し気分が悪くなる。これから先私は数えきれないほどの命を殺すことになるだろう。そう思うと何かが重くのしかかってくる気がした。私は頬を叩いて気分を入れ替える。スライムが倒れたところには一つの小さな結晶のようなものが落ちていた。どうやらメニュによると魔石というらしく、町などで換金できるようだ。それを取り合ずバッグに収納し私はゲーンの町を目指した。
「うーん。それにしても広いなぁ」
風が頬を撫で大自然の力を感じた。その中を私は歩いていた。途中何度かスライムと出会い、これを討伐してついにゲーンの町に着いた。その町は大きくはないが壁に囲まれた立派なものだった。そして門には当然門番がいる。町に入ろうとしているのは私以外にも数人いた。私はその人たちを注視してどう対応すべきか考えていた。そして私の番になる。
「娘。身分証チェックだ」
他の人たちを真似して私もステータスプレートを見せる。
「よし、通っていい。初めてきたようだな。ようこそ、ゲーンの町へ」
少しの歓待を受けて私はゲーンの町に入った。そこは活気にあふれていた。そしてメニューには『冒険者ギルドに行ってみましょう』と出ていた。詳しく見てみるとそこで登録することによって依頼などを受けれるようになるとのこと。ランクが上がればその分高い依頼を受けることができるとのこと。私はメニューに示されたまま冒険者ギルドに入った。
「ようこそ。初めて見る方ですね。冒険者登録ですか?それとも依頼を提出に来ましたか?」
「えっと、冒険者登録をしに来ました」
「ではステータスプレートをお貸し願いますか?」
言われるままに私はステータスプレートを見せた。
「ふむふむ。途中でスライムを何体か倒されたようですね。魔石は拾いましたか?」
「この結晶みたいなやつですか?」
「冒険者ギルドでは魔石の買取もしています。買い取りを希望されますか?」
「はい。お願いします」
私は数個の魔石を渡した。
「スライムの魔石だと一個100ゴールドですね。四個ですので400ゴールドになります。それから冒険者登録も完了しました。説明は必要ですか?」
私は冒険者について説明を受けた。基本的に冒険者ギルドで依頼を受けてそれを遂行する。冒険者にはランクがあり私は一番下のFランクからスタートするとのことだった。
「それではあなたの冒険に幸あらんことを。早速依頼を見てみますか?」
そうして言われるままに私は依頼が張られている掲示板を見ることにした。
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