11-10. なろうジャンル考察 移動方法編③ 体乗っ取り
11-10. なろうジャンル考察 移動方法編③ 体乗っ取り
最後に、異世界の移動方法3つ目の体乗っ取りについて考えてみる。
⑥体乗っ取り
一言でいえば ヴェノム。ウイルスのように、相手を殺して乗っ取るか、精神を奪って体をコントロールする。なろう小説にも、ウイルスになって小動物から犬などに移りながら殺していくようなものを読んだことがある。
とある人を乗っ取って、その人として生活する場合と、全く別人として別の地で活躍する者がある。自分が毎日投稿している「寝すぎ無双」はナーロッパで借金苦で自殺したニムリーにトラック事故死した日本の青年沖田が体を乗っ取るというストーリーだ。
このストーリーでは、前任者のニムリーは沖田の睡眠時にだけ対話でき、周囲の観察やニムリーの過去話を聞くことができるようになっている。ニムリーの仲間だったコーネットは、ニムリーの変化に気づきかけるが、沖田が何とかバレないように対応する。
体乗っ取り系は、乗っ取る体と乗っ取る側がどこまで干渉し破壊するかが重要だ。前任者の人格をすべて破壊する場合は、単純な転移とほぼ変わらず、前の仲間とどう振る舞うかの違いとなる。乗っ取る側が非常に弱く、乗っ取られた側が気づけなければ「憑依」のジャンルになる。
半々で対話できる場合は、ヒカルの碁のsaiのように入れ知恵ができ、ヒカルが許せばsaiが碁を打てるという仕組みだ。2人が仲良ければよいが、2人が仲違いして喧嘩してみるのも面白いかもしれない。
利点は、転生にあるべき「異世界の環境による不具合」を全て排除しながら、日本の価値観を持ち込める事。転生と違って即行動ができる事、前世の人脈で行動しやすい事、乗っ取りをバラすかバレるかの葛藤ができる事だ。
また、日本ではごく普通の学生だったが、乗っ取りで異世界に来たらマッチョだった。悪徳令嬢だったと他の組み合わせに干渉できること。前任者の記憶を使うことで、日本感覚を持ちながら異世界でも素早く順応できる理由付けができる。
いきなり異世界に飛んできて、異世界だけの独自のルールやしきたりを平然とこなしたら「来たばっかりでなんでそこまで知ってるの?」と突っ込みが入るはずだ。
勇者転生で仲間から親切丁寧に教わったのをちょろっと書いておけば良いのかというと、そうでもない。海外に半年住んでも文化に馴染めなかったり、知らない文化が多々あるのだ。異世界ならもっと文化の差異は大きいだろう。
体乗っ取りを使えば、美味しい所を色々と持っていけるパターンである。
まあ、転生時に神の翻訳と異世界文化コミュニケーション勉強をフルマスターしたチートを授けたりしたら別だが。細かい考察なんかいらねぇ、ハーレムと無双だけあれば他は知らぬ!と通しても良い。
あというと、言語の違いについても乗っ取りは有利である。サクッとなろう無双ハーレムを望む読者なら、転生先は日本語と全く同じで、恥の文化も日本と完璧に同じで、文化やしきたりも完璧に日本と同じで、それでいて技術だけは中世で、国王と政府の上層部が無能という形だ。
あるていど社会で上司を知ると、よくあの無能さで国が成り立っているなと思うはずだ。
先輩には、自分が3人いて逆立ちしてもかなわない。先輩が尊敬する部長に「社長にはかなわない」と聞いているなら、いったいどれほど雲の上の存在なのか、と。
その組織のはるか上で束ねる政府とその役人を考えたら、自身がどれだけ井の中の蛙なのかを新人3年目にようやく気付いたのだ。
そこは初枝さんの動画にもある通り、わかってて無能にして国家を潰すのが稼ぐ方法だと断言している。
文化、言葉、環境(水や未知のウイルス)の差分を「なろうだから」と全て偶然で片付ける人が多数だが、自分はどうしてもそれが気になってしまっていた。
だから、環境に適応している異世界側の住人を乗っ取り、言語は日本語でなくても前任者のニムリーと自動翻訳により解消し、文化の違いも彼から聞くという形で進めたのだ。
異世界ガチ考察したら弊害が多すぎて読まれない。脳死でご都合無双を乱立したら、アタリショック(※)と同じくブームが終焉した。
そうならないことを切に願いつつ、憑依ものと体乗っ取りジャンルが増えることを望む。
※1980年頃にAtari VCSが流行した結果、ペットフードメーカーまで参入して糞ゲーが乱造され、客が離れた




