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11-7. なろうジャンル考察 時代編

11-7. なろうジャンル考察 時代編

 自分が考える、よく読むなろう小説ジャンルが現実的にどう出るか考えてみる。まず時代編だ。


 ①中世ファンタジー

  ドラクエ、PRGで真っ先に思いつくイメージだ。スマホもなければ、電気もない。原始的な動力(水力と馬力)が生活水準であるため、現代人が転生すると夢想しやすい土台がある。

 「それスマホあったらこうするよね?」という展開縛りのため、無線などの普及前がストーリーとして作りやすく、古代すぎると武器防具の販売の流通が全くなく地味になる。

 一番ストーリーが作りやすく、程よく妄想の産物が使えて、無双ドヤできる。中世のナーロッパがこれほど定着した理由はこれである。

 1100年のヴァイキング繁栄期から1500年の哲学や宗教分裂する時代、1800年の電気が実用化される時代までが使いやすい設定だろう。

 後述するが、「魔法が使える」という前提をガチで取り込むと攻防においてナーロッパの設定では矛盾が生じる。


 ②近未来SF

  2021年から20年後がどうなっているのか正確に予測できる人はこの世にいるだろうか?

 一つ上げるとすれば、こちかめの萌えガチャゲー課金煽りやオンライン会議(zoom)を10年以上前から予測していた。下手な鉄砲が多少当たったとは違う、かなりのヒット率だと思う。

  なろう小説を書く人は、ガチの小説家もいれば、若い読者が興味を持って書き始める人もいるだろう。スマホ一つあれば、無料で作品を見てもらえる時代である。敷居の低さから、参入も多いし、エタる(途中で消えちゃう)人も多くいる。

 近未来SFは、今の時代よりもさらにハードになるのは容易に想像できるだろう。

 なぜなら、大衆に普及した新技術を予測して作らないといけない。さらに、それを当たり前に活用したうえで、人々の思考をベースに行動を考えなくてはいけないからだ。


 「ゲームは無課金で、気に入ったら課金しよう!」


 こんな考えが生まれたのはここ10年である。パズドラやドラゴンリーグなど、ポチポチHP100を減らす文字ゲーから技術介入とリアルタイム対人戦が生まれた時期である(懐かしい)。


 スーファミやPSが思春期だった自分には、ゲームには漏れなく対価(金)を払い、くそげーだったとしても泣かない! 頼るのは雑誌レビュー! という古代の考え方が染みついていた。月額課金のMMO、ファンタジースターオンラインがちょうどその頃だろうか。ネットでチャットできるだけでもそれを払う価値があった。


 今の世の中はどうだろうか。運営側のコストや人件費を考えれば、無料でやること自体が異常だと思うが、プレイヤー層のマインドが「まず無料、良くて払う」という 急激な民衆マインドの変化 を 20年前の予測者が思いついただろうか?


 今のそのままの価値観で20年後のストーリーを考察するなら、このスマホ普及によるマインド変化という2ステップを完全に読み切らないと成立しないのだ。20年後の「民衆のスマホ」を予測して、それから発生するマインド変化まできっちり当てるのは2億のたからくじ当選より難しい。

 ということで、近未来SFは40年前の予測よりもはるかに分岐が多くて難しいのだ。


 昔の藤子不二雄氏の近未来SFはどうだろうか。宇宙に手軽に行って、多種交配できて、何でも機械が作ってくれる。ドラえもんのような時間操作や四次元ポケットは今は存在しない。

 

 プロの小説家でもない一般小説家や新人小説家が、現代をベースにしても破綻するのに近未来SFをガチ考察したうえで作るのはほぼ不可能である。ガチ考察による縛りでストーリー展開が地味になり読まれないし、その難解さと独自のルールにより埋もれて消えてしまうのがおちだ。


 一番楽なのは、近未来というタグだけ使って都合の良い機械エロロボットと四次元VRエロ体験でハーレムするといった「ご都合エロで他考察は遺棄」だ。サクッとスマホでツエーハーレム体験するスナックならば、読者としても作者としても一番都合が良いのだ。


③現代

 地味。なろうサイトで出す必要がない。 それに尽きる。

 現代の設定のそのままでは、共感できる範囲がほぼ日本限定となる。他の国(とくに宗教がある国)では、若者から価値観がずれすぎてしまって読まれない。ミサ、寄付、拝礼、神などだ。


 それを日本人がみて面白く昇華できる設定にできたのであれば別だが、なろう小説でそれを私は知らない。海外が日本に来て、「ニホンノコレスゴイネ!」の日本すごい系のなろうなら読まれるかもしれない。


 現代になろうや魔法を入れない場合、やることは恋愛や家族愛、国家戦争などであろうか。スマホという便利すぎる媒体でどう熱いストーリー展開を作れるかがカギだが、難しいと思う。



④古代

 転生したら稲作もない古代だった。あまりに古代すぎて、簡易ナイフや煙突、鉄の抽出ができるだけで無双できてしまう。なろうによくある、他が国王だろうがバカ設定にして無双するとは別の、古代すぎてまだ未開というストーリーが作れる。

 平均寿命が20歳以下で子は死にやすく(衛生面、薬も手術もない)、その分繁殖行動に振り切った生活になる。稲作が始まって、牧畜や穀物の貯蓄ができるようになってから、村同士の争いが発生した。 それまでは、種を残すために共に狩りをして子や友に食事を分け与え、余力があれば生殖行動をとる。

 我々現代人とは「性」や「死」について大きな隔たりがあるのが分かるだろう。大学生が古代にとんで、ハーレムうはうはを考える。受け入れる住人にとっては、未来人は労働力であり運命共同体であり、子孫繁栄(=集落の教化)の一員でしかない。

 他の集団から襲われたときも、やられるより、殺されるかどうかが重要であり、恐らく将来を見据えて自殺する古代人は少なかったと思う。


 繁殖は仕事だ。当時は男女に恥じらいはあるのだろうか。子への愛情、性欲、村や集落を守る義務感。それが男女ともに持ち、一種の「武器」を作る行為として性行為をするだろう。転生者や読者は他99%の住人の古代マインドで楽しめるだろうか?


 正直なところ、恥じらいの文化、性ギリギリ展開への美徳などは日本特有なものだと思っている。もちろん古代から売春といった性や快楽を売りとた職業が存在したことは間違いないが、性の寸止めがそこまで素晴らしいものなのだろうか?

 もちろん、18禁という縛りがあり、より劣情を煽るほうが売れる世界なのだから、健全な本としてギリギリを攻める事はビジネスとしてありだろう。しかし、日常生活と性の境界線を明確に決めて分けた事は、日本が強いと思っている。

 昔のアメリカの映画は、家族愛はとうぜんあり、アクションもあり、裏切や銃もある。そして、後半くらいに当たり前のように妻とキスしてベッドインするのである。下腹部以外はおっぴろげである。

 私生活も仕事も、争いも殺人も、性行為もひとくくりでドラマだったのだ。今のディズニーやワーナーではポリコレ的にもうやらないけどね!


 話はそれてしまったが、要は古代すぎると価値も生存本能が強いサルに近いので、ガチ考察でエロするとなろう読者に読まれないのだ。


 読まれる古代転生をするなら、「なぜか古代の女性は現代の価値観を偶然持ってる、ものすごい学習力で身に着ける。またはスキルや神のチカラ」だ。

 あとは、同じ現代の知識を持つ敵対勢力を作って対立させながら何とかする。1話目で古代転生して、突然2年後……と飛ばして主人公が村を教育している展開だ。これなら面白そうである。


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