10-5. 血族に継がれる魂くん、一家絶滅でぼっちになる
10-5. 血族に継がれる魂くん、一家絶滅でぼっちになる
血族に継がれるダイアードという魂は、だいたい3世代から5世代先で亡くなった祖先から赤子に継承される。では、その血族が絶えたらどうなるのか?
近しい人か、全く違う人にランダムで配分される。
一家でふすま職人として何代も受け継いだ職人が、事故などで血を継がずに滅びてしまった。その時には、そのふすま職人のドライアード(血族の魂)は継ぐ先がなくなってしまう。その時には、同じ時系列の近所の一家の赤子や、遠く離れた海外の誰かに入ったりする。
海外でふすまの「ふ」の字の知らない文化圏の人が、偶然の日本の訪問で大きな魅力を感じてふすま職人になるケースが稀にある。あれは、単純な遺伝子的な興味よりも、ドライアードの行く当てをうなった先にたどり着いた海外の赤子であった可能性がある。これにより、遠く離れた海外の男性がふすま文化を通して日本女性と結婚して、新たなふすま文化が継承されるという「魂的交配」が起きる。
霊魂の仕組みが0だった世界線では、こういった内外の接触の機会が生まれないのだ。
ドライアードによる血族魂の輪廻転生は、赤子を7歳まで身を守るための守護神でありながら、文化継承や海外との接触の機会を作る素晴らしい仕組みなのだ。
今、人口が70億人に近づきつつある。
魂が血族に継がれるのであれば、この人口増加で人体の器が足りなくなるのではないか? と思うかもしれない。一部は、新しいダイアードが新規の転生者として入り込む場合があり、戦争や黒死病などの人口激減によって赤子の器が少なくなった場合は、余った魂が長めにまったり先に星に帰って転生を終えてしまう場合がある。
こういった帳尻合わせができるような仕組みが用意されている。
もし読者の近くに祖父や祖母がいたら、「おじいちゃんおばあちゃんの趣味はどんなのだった?」と聞いたら面白いかもしれない。本人や息子が偶然同じような趣味を持っているかもしれない。
それが、途中の血族の親子では一切かかわっていなかった場合は、魂によるものと考えてよい。(メンデルの法則による2世代後の劣勢遺伝の発祥の可能性もある)