10-2. この世の霊魂が明確な世界線だったら?
10-2. この世の霊魂が明確な世界線だったら?
創造主「どうすれば上手に進化できるのだ? そうか、未来の魂をごくまれに持ってくるようにしよう!」
再び神は大きな脳容量を持つサルに目を付けて、霊魂システムを採用した。
発展した未来の知識を世界線を壊さず持ってこれる、魂というものを作って十数回転生させる仕組みだ。さらに、一つの血族で趣味嗜好を統一して個性が出せるように、血族限定の魂をおまけで作り、死後に転生で継がせることにした。
神は地球シミュゲーでトロコンできると確信していた。
「平和すぎて何も改革が起きずに局所的な繁栄で終息してしまった」
チーン
創造主「はぁ!? 人口数百万でそのまま一定で変わらないんだけど、何でぇ!?」
霊魂を旧人類が簡単に触れて使えるようにした結果、過去と未来すべての情報が参照でき、お互いに感情や考えていることが共有されるようになった。
自然を破壊し、生物を絶滅させることの悲しみを知り、争いで同種を殺すことに悲しみ、生みすぎで不幸な子ができぬように出生数を管理するようになった。
お互いに思考が丸裸で、悪事を考え始める前に摘まれる優しい世界では、犯罪も戦争も起きなかった。
かつてのアトランティスは、まさに人類の理想の幸せとして享受し死ぬようになった。死なない技術もあったが、それによって死ななくなるとまた不幸の種になるので敢えて不死を選ばなかったようだ。
結果、変化のない単調な進化で終息したのだ。何百年進めてもその平和は変わらなかった。
創造主「それじゃあトロコンできねぇじゃねーか!! 死ね!」
霊魂を簡単に使えるように改良した人類は、創造主の逆鱗に触れて沈められた。
「よし、程よくバレない程度の霊魂システムを刷り込ませよう。転生したら前世の記憶が飛べばOK」




