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28-12 余命99日転生 ~スキル鑑定聖女ですが転生者に絶対言えない秘密があります~ →裏テーマは搾取と無知

 ★三行

 大宮道子(おおみやみちこ)は巫女のバイト中に倒木で圧死し、異世界転生で「余命99日化」スキルを受け、王都に仕えた

 転生者を99日余命にして残りの命を吸うスキルで、吸う過程で相手のステータスオープンと解析ができ、本人は3年も気付かず転生者たちを送り出していた

 53人目の勇者転生儀でゴミスキルを自覚して解析前に小林徹(こばやしとおる)は逃げ出し、余命認知スキル持ち高橋直樹(たかはしなおき)に疑われたことで人生が激変する


 ★一言

 →裏テーマは搾取と無知


 ★五頁プロットと感想

「転生者様、私は皆さまに謝らなければならないことがあります……」


「私のスキル判定の儀を行うことで、余命が99日に制限される呪いを受けます」


「ど、どういうこと!? そんなこと聞いてないわ!」


「このチートスキルで俺たちは無双ハーレムできるんじゃなかったのかよ!」


「……」


 魔法が使える中世ヨーロッパ風の異世界で、ミチコは道で拾われて王直属の「スキル判定師」として使えるようになった。

 毎月、不定期に魔法陣から現れる「地球勇者」が数人転生してくるが、大半はスキル詳細は能力が女神から告知されずに即戦力にはならなかった。


 当時、地球勇者の一人として転生された大宮道子(おおみやみちこ)も見知らぬ能力者であり、すぐに衰弱死するような虚弱体質であった。

 しかし同じ転生組4人とと冒険している間、他3人の能力やスキルを判別する「余命99日化による吸血と、それに伴う情報開示」が偶然発動して、鑑定士として他3人の地球転生者に持てはやされた。

 そして勇者パーティは王都に戻り、判明したスキルと能力から編成を組みなおして大きく成果を出す。


 余命99日を知ることなく、正確なスキル判断と能力提示だと勘違いした大宮と王家は、闇のループを繰り返す。


 魔王場の直前、大宮含む4人勇者パーティは順調だったが、戦闘中にデバフがかかったように弱りだし、全滅した。

 3人は健全だった大宮にこの怪奇な魔王の呪いを持ち帰るように護衛しつつ、残りの力を振り絞って魔王エリアの外に大宮を転送した。


「大宮! この呪いは! 必ず城に戻って伝えてくれ……助からない! 頼んだぞ!」「お願い! ミヤちゃん!」「早く行け、こいつらは俺らが何とかする!」


「ごめんなさい! みんな!」


 戻った大宮は魔王の呪い、勇者パーティの討伐日記を何とか持ち帰って王と側近に渡して伝えた。

 まだ彼女は、勇者たちが99日目で呪いで死んだことを知らない。



 その後、スキル鑑定士として認められた大宮は魔王討伐の勇者に回されず、魔法陣の受け入れ人と判定者として常駐することとなる。


 3年間、大宮のスキル判定により一気に魔王領土を奪い返して人間側は活気を取り戻した。

 だが、勇者たちは転送されては快進撃をして、魔王城手前で必ず「全滅する」という魔王の壁があり、うわさで広がるようになった。


「彼ら地球勇者たちは100日生きられないのでは?」


 そう、転送された魔王人にいるスキル診断師大宮は国王専属であり、誰も疑うこと無くようようとスキル診断を受け手は一喜一憂していた。



 3年目のある日、53人目の勇者転生儀で小林徹(こばやしとおる)が魔法陣の部屋から無断で脱走、彼は「ゴミスキルだからどうせやっても無駄!」と先に旅立った。

 彼が100日経過後に、王都に戻って来て、死なない不死身勇者としてもてはやされることとなる。


 そのニュースから、58人目の勇者、高橋直樹(たかはしなおき)は余命認知の補助スキルを自覚して転生時にほんのり把握していた。


 3人転生されたと時、3人目の高橋は大宮のスキル診断を見て絶句する。


「はい、二人目の方のスキル診断はこちらになります。では次の方、こちらに来てください」


「えっと、大宮さんでしたっけ? あなたは、あなたは死神ですか?」


「はい? 私は王に仕えるスキル鑑定師、大宮ですよ?」


「……俺はいいです。年齢(ねんれい)がわかるだけのスキルですので、もう使えてます」


「え、でもこの国のルールでは転生者は漏れなくスキル教授の儀を受けることになっています。そうでないと、補助金や装備が渡せません」


「悪魔か……大宮というもの、あなたは……いややめよう。俺は補助も受けないし診断も請けない。ソロで行く」


 そういって、3人目の大宮は武器や補助金を受けずに、王城から去っていった。


 大宮に後日、高橋からの手紙が届く。


「異世界に転生した人の寿命が10万以上日数が見えたのですが、あなたのスキル判定の儀の直後に99に変わりました。アレは貴方の罠ですか? 俺は寿命が見えるスキルを最初に使えていました」




 大宮は3年半のスキル判定の儀、謎の全滅、寿命の全てが一致した彼女は、悩んだ。


 その後、直接の理由を告げずに彼女は体調不良を訴えて2か月休み、その間は5人ほどスキル判定せずに放浪した。


 大宮は、徐々に老いて体の崩壊を感じた。



 そして涙する。



 誰かを、スキル判定して寿命(いのち)を奪わなければいけない体になってしまった、と。


 大宮はそのまま飛び降りの自死を選ぶが、死にきれない。



 眠れず悩みに悩んだ末、王に全てを話した。


 しかし王は、過去の実績から、スキル判別しなかった時期は勇者たちの魔王討伐の成果が悪く、彼ら転生者に告げずに復帰することを命じた。


 罪悪感と葛藤しながらも半年、王も大宮もわかっていながらスキル鑑定して見送る日々。



 ついに彼女の心は壊れ、倒れてしまう。



 彼女は最後、冒頭の告白をして、王に謝罪しそのまま城を飛び出した。

 彼女は直前までスキル判定を拒絶し、死ぬ直前だった。

 そして、彼女はけじめをつけるため、最後の最後に転生した3名の寿命を奪い、スキル判定をした。

 近藤隼人(こんどうはやと)永山恵美(ながやまえみ)足立美代(あだちみよ)は、99日寿命に減らされながら、自白を受け、脱走犯である大宮の討伐に参加することになる。


 逃げ出した大宮は、生き残ったゴミスキルの小林徹(こばやしとおる)は逃げ出しと、寿命数値化認知ができる高橋直樹(たかはしなおき)を酒場等を歩き回って協力をお願いした。


 その二人のスキル判定をせず、99日チート勇者では成し遂げられなかった魔王討伐のために、全てを捧げたのだった。


 王家を裏切った罪として指名手配された大宮は、直前までスキル診断して寿命を奪った3人に憎悪で追われることとなる。


 魔王討伐に進む3人、追う3人。何だかんだで和解して、スキル判定の重ね崖によって寿命を99に「リセット」しながら強化バフをして6人で魔王を倒す。


 贖罪を受けた大宮は、魔王の最後の一撃で瀕死となり、5人に遺言を残す。


「まきこんでしまって本当にごめんなさい。私のように無知で、心を無くした人がこんなスキルを盛ってしまったら、葬って助けてあげてね」


 王都に戻り、残った5人はいきさつを全て話、国民全員で情報共有した。


 余命20日を切ったが、大宮の夢である魔王討伐に加わった「スキル診断を受けた3人」は余命を全うし死んでいった。


 スキル鑑定士、その転生者が今後現れることなく、今もなお毎月数人の異世界転生者が現れる。


「おう! 死んで異世界転生してきたぜぇ! 王様よ、俺の能力をステータスオープンして判定してくれよ! なあ」


「異世界にようこそ。スキルは各自で手探りで探すしかないですよ? 天界の女神様から効かなかったのですか?」

 スキル鑑定を逃れた二人が、王族の魔法陣の迎えとして選ばれたのだった。

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