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24-13. ウリナム境界線からみる、日本人の財布交番届け

24-13. ウリナム境界線からみる、日本人の財布交番届け


 よく日本のバラエティで、財布をわざと落として交番に届ける実験があったりする。

 これは海外で驚かれたりして、普通はそのまま盗まれるのに、日本人は中のお札も盗まずに交番に届ける。不思議な民族だ、と。



 日本凄い!!




 という自慰ではなく、なぜそうなるのかを韓国と交えて考えてみる。



 結論から言うと、日本人は日本全体、世界全体を共同体として見る傾向がある。

 道徳的に、人のモノを盗むのはいけない、という思想から交番に届けるという人はいるだろう。



 では日本人として思考実験をしよう。

 街中で宇宙人の財布を拾い、中に魅力的な宝石や機械があったとする。宇宙人はもう地球に来ない。交番に届けるだろうか?

 技術的にヤバかったり、死とかありそうだったり、報復怖かったりで政府に託すのは多々あるだろう。

 だがそういったリアルな問題は見なかったことにして、宇宙人の落としものを自分だけが拾ったらどうするか?



 自分なら、その機械や宝石をツイートしたり色々情報発信する。一応、自分のモノにする。


 

 だって、宇宙人の落とし物で、今後探しに来ないのだもの。




 損得の境界線は、国によってさまざまである。これをウリナム境界線と呼んでいる。韓国では、ウリ(我ら)とナム(やつら=敵)で財布の盗みの条件が変わる。ウリの境界線が家族なら、親や兄弟の財布の盗みはしない。すると、ウリ(仲間)の裏切であり、バレると終わるからだ。仮に盗んでバレなかったとしても、ウリ全体でみるとプラマイゼロ、むしろ盗まれた側は感情的にも金銭的にも損するため、盗んだ主のプラスを差し引いてもウリ全体でマイナスになる。

 ウリナム境界線が友人まで広い場合は、友人の財布は盗まない。だが、疎遠な知人の財布は盗む。疎遠でバレにくく、バレてもしらばっくれたり絶縁すればよい。盗んだ分がプラスになり、ナム(部外者)が相対的にマイナスになり、ウリ共同体が相対的にプラスになる。だから盗む。

 最初の家族がウリナム境界線だった人が、喧嘩で家を出たらどうなるか? ウリの境界線が自分になり、ナムが家族になる。そうなると、家族の財布を見つけたら盗むようになる。家族への憎悪が重なり、奪うことで報復の爽快感がある。

 面白い点は、この境界線はその場の損得や感情で合理化して動くことである。財布が誰のものか分かった時点で、最初は友人まで広いウリだったとしても、盗んだことによる損得を考えた時に友人の損切りを考えて得なら、こっそり友人をナム(部外者)に動かして盗んだりする。

 政府やメディアによる陽動で、有名人が批判されたら、それでウリからナムになり袋叩きにある。そう、韓国大統領がレームダックで逮捕や自殺になるのはこのウリナム境界線によるものなのである。


 日本人には到底考えられない思想だが、向こうにはこのウリナム境界線が「その時の感情と損得」で動く面白いモノなのだ。



 日本人の場合は、このウリナム境界線が非常に広いことと、ナム(部外者)がプラマイゼロで計算されることである。

 イメージして欲しい。海外の人は、敵か味方か? ぱっと浮かぶのは、来た外国人が交友的なら同じように交友的に、敵対的なら敵対的で対抗するである。

 優しすぎる人は、敵対的だろうが優しく対応するかもしれない。優しくしすぎて付け込まれたり、銃で殺されるかもしれない。なので、それはベストとは限らない。


 そう、日本人にとって部外者=ナムはニュートラルであり特別憎むべき相手ではない。一方韓国では半島と儒教と朱子学によって序列と従順が明確に決まっている。そういった環境では、ウリではないナムは敵なのだ。ウリをプラスする事は自分へのプラス、ナムをマイナスにすることはウリ全体のプラスである。ゆえに、部外者は倒すべき敵として判断する。


 日本では部外者=ウリは無味無臭として扱う。そして、ウリの範囲は、家族でも友人という枠もあるが、地域全体、日本全体、地球全体という面白い範囲を持つ。



 財布を盗む行為は、盗まれた人が悲しみ、その損失分を労働や対価で賠償する。盗んだ人以上に苦労するのは間違いない。だから、



 「落とした財布の中身を盗むことは、盗まれた人が困るからちゃんと交番に届けなさい」



 となる。盗まれた人の立場になって考えれば、気づいて交番に行って完璧にそろって帰ってきたらそれで良い話ではないか。

 たしか返礼で1割もらえるとかそういうのもあるかもしれない。だが、金銭以上に、落とした人への共感と損を考えて、交番に届ける。

 1割の返礼を落とし主が提案したとしても、大丈夫です、と断って帰る良い人がいるのは事実である。

 その良い人にとっては、次落とさないように気を付ければよい。それだけなのである。

 宗教によって、思想によって縛りがあり、そんな人を考えずにそのまま度とける人もいるだろうが、それは割愛する。



 財布届けは、ウリナム境界線がその地域や日本全体ということになる。たとえそれが外国人だとしても、届ける人はいるだろう。それは、世界全体がウリとして見るからである。


 宇宙人という地球の枠を外れた、財布落としの場合は、ちょっと考えちゃう人がいるだろう。

 それは、ウリ境界線が世界全体までで止まるということだ。

 そもそもこの時代、地球外生命体自体の認知がなく、その有用性や危険性が未知数であるため、危なさから財布を政府に返すかもしれないが、まあそれはそれ。



 宇宙人の財布なら、ウリ(対象外)だし、ツイートしてバズらせようとやっちゃうのである(自分も)。



 まとめ

①日本人の財布盗まず交番届けは「盗まれた人が困るでしょう」のウリ全体共感


②韓国はウリナム境界線と金額を見て動かす合理的判断をする


③宇宙人の財布なら、もらっちゃうよね♪

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