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23-24. 前世保全しますか?遺伝子残しますか? →はい、いいえ

23-24. 前世保全しますか?遺伝子残しますか? →はい、いいえ


 現代における継承行為は、繁殖行為をして子孫を残すことである。当たり前の話だ。


 だが2080年以降は、遺伝子DNAによる継承に加えてもう一つの継承の選択ができるようになる。



 それが、前世保全による転生継承である。


 前世保全とは、死ぬ前に本人を特定する情報や遺物を機密組織に委託し、死後に継承者を探すカギとする行為である。


 実はチベットでは200年以上も前から、この前世保全の仕組みを作って今なお継続して運営している。頂点であるダライ・ラマと相方パンチェン・ラマ、そのほかは殉職者数名、すでに10名以上は転生継承が行われている実績がある。


 要は、チベットの前世保全からの転生継承承認を丸パクしようという試みである。

 この運動を分かりやすく、粛ラマ(粛々とダライ・ラマの転生継承を続ける運動)と呼んでいる。


 チベットで行われている仕組み自体は安定性や再現性が高いが、ごくごく少数前提の転生承認であるため、なろう好きの日本で求められる「国民ならだれでも」という普及を考えると日本風アレンジが必要となる。


 チベットにおける前世保全は、ラマが使用していた遺品を非公開で多数管理して長期保管しておく。ラマの相方が本人と密接な関係を持ち、転生後の3才児であっても受け答えの問答で特定できるように事前に準備していることである。

 さらに、信託という第三者による転生先位置の特定を行うことで、ラマ本人がズルできないように独立させているのである。遺品、相方ラマ、託宣で位置特定という3つをバラバラで管理することでより正確な転生判断ができるようになる。


 そして転生承認は、託宣により絞った地域に訪問して探索し、赤子に偽遺品を混ぜて選ばせて確率統計する。この時点で候補は3人に絞られる。最後の試験として、相方ラマによる問答があり一人が確定する。


 たった一人の転生のために、数億円レベルのお金がかかっている。ゆえに、転生承認は5年に一度くらいのペースでしか行えない。当然である。




 変態で小型化と効率化が得意な日本人職人なら、これらを独自で魔改造してしまうのである!




 これは自分が見た直感から来た仕組みになるのだが、チベットの仕組みから属人化をなくして超ライトにした低精度大人数プランに改良すると思っている。



 それは、スマホと着払い郵送、30分でできちゃうお手軽前世保全サイトを作る事である。最初は無料(のちに100万)で受け付けて、スマホで思い入れのある写真を保全サイトに送信し、アンケート、パスワード入力等を行う。誰にも言ったことがない本人しか知らない事をCOした自撮り動画を用意し、最後に大事な小物を保全サイトに送るだけ。なんと30分で完了する。


 前世を保全する運営と前世照合承認する運営は本来独立すべきだが、最初の零細企業の時は同じになるかもしれない。最終的にはに政府が保全管理すると予測している。

 前世照合承認サイト側は、前世保全サイトと連携して赤子や親が入力したクイズ結果を問い合わせる。照合サイト側は、前世保全サイトの機密情報(非公開情報)を知ることはできない。あくまでも、選んだ選択肢を渡すと、照合率(正答率)と他近似前世候補が返されるだけである。

 保全する側と照合する側が同じ運営だと、好き勝手不正ができてしまうのだ。粛ラマを実現するための必須条件として、前世保全した情報=死ぬ前に入力郵送した情報が一切外に漏れていないことが最重要なのだ。


 20年かけて日本人の保全人数が数万人まで増えれば、託した人が寿命や事故などで去るケースが増える。そうなったら次は、転生照合承認サイトの出番である。


 新生児の両親に前世保全の公開情報をSNSなどで送って、幼児が動画や写真を見て食いついた内容で回答してAI判定する。前世が特定できた親子には懸賞金100万円などを提供するようにする。


 保全した何万のデータベースから、赤子が反応した=笑った内容を組み合わせて絞っていく。チベットでいう、遺品の選択にあたる。


 赤子が選んだ選択肢から、保全側に問い合わせて近似する前世候補を絞っていく。限りなく前世が近いことがわかったら、最終試験に入る。



 それが、遺族と赤子の対面試験であり、これが突破できれば100万円である。


 遺族と両親赤子で双方に連絡を取り合い、亡くなった人がよく住んでいた場所を訪れながら最終判別を行う。遺族側も、亡くなった彼を見てきたうえで家族しか知りえない情報を事前にピックアップしてもらい、赤子に選んだり対話する。

 それらをライブなどで不正なく残し、前世承認されたときに全てを無料公開する。この無料公開が大事で、粛ラマにおける「不正がないこと」をできるだけ透明化して残す。


 この前世承認がされたときには、赤子の本人やその両親、遺族は「絶対に信じてもらえない前世という怪奇現象」を信じるようになる。非公開情報を赤子が言い当てるその現場にリアルタイムで立ち会ったのだ。

 一般人からすれば、「やらせだろww」「嘘乙」といくらでも煽られるのは間違いないだ。ただ、当事者だけは前世というものを信じざるを得なくなる。これで5人の唯物論否定者が増える。

 最後に、亡くなった彼だけが知っている公開、非公開とは違う「承認者本人だけに渡す動画」を見せるかUSB等で両親に渡して完了である。両親は、物心ついた10歳以降で彼に渡すように伝えておく。この本人だけ動画は、前世保全の最高権力者ですら見る事が許されない、二人だけの引継ぎ動画になる。データ追加も可能である。もし亡くなる人が自分の意思で前世継承にも分配する旨があれば、前世保全側が遺産を管理し、承認後に赤子の両親に引き渡す。



 これを粛々と30年繰り返す。ヤラセだ不正だ異端だ、金の亡者だと言われようが。粛々と承認して、動画公開する。

 金儲けのビジネスとしてはやってはいけない。慈善事業として、差し引いた利益は一人でも多くの前世保全できるように回すべきである。

 これらはすべて、継承した赤子のため、両親のため、そして日本のなろう転生革命のための慈善活動になるのである。




 初動では、この前世照合承認のメリットはほぼない。関わった2つの家庭に変化があるだけで、それ以外のヒトには全く恩恵がないのだ。


 Xデーはここから始まる。次回、唯物論の崩壊を考える。


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